南阿蘇鉄道高森線
高森線 | |
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雄大な景色を望む立野橋梁 立野駅も参照 | |
概要 | |
起終点 | 起点:立野駅 終点:高森駅 |
駅数 | 10駅 |
運営 | |
開業 | 1928年2月12日 (1928-02-12) |
三セク転換 | 1986年4月1日[1] |
所有者 | 鉄道院→鉄道省→ 運輸通信省→運輸省→ 日本国有鉄道→ 南阿蘇鉄道 |
使用車両 | 南阿蘇鉄道#車両を参照 |
路線諸元 | |
路線総延長 | 17.7 km (11.0 mi) |
軌間 | 1,067 mm (3 ft 6 in) |
電化 | 全線非電化 |
停車場・施設・接続路線 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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凡例
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高森線(たかもりせん)は、熊本県阿蘇郡南阿蘇村の立野駅から熊本県阿蘇郡高森町の高森駅に至る南阿蘇鉄道の鉄道路線である。
目次
1 概要
1.1 路線データ
2 2016年熊本地震による被災
3 運行形態
3.1 2016年熊本地震前の運行状況
3.1.1 普通列車
3.1.2 トロッコ列車「ゆうすげ号」
3.2 2016年熊本地震後の運行状況
4 歴史
5 駅一覧
6 脚注
7 参考文献
8 関連項目
9 外部リンク
概要
旧国鉄特定地方交通線であった高森線を第三セクターに転換して開業した路線[1]。立野を出て北の阿蘇五岳(中央火口丘)、南の外輪山に挟まれた南郷谷を白川に沿って東に進み終点の高森に至る[1]。高森駅を除いた全駅が南阿蘇村に属している。
起点の立野駅は阿蘇カルデラを囲む外輪山の切れ目にあり、九州旅客鉄道(JR九州)豊肥本線と接続している[1]。立野駅はスイッチバックがあることで知られているが、これは豊肥本線で阿蘇谷(阿蘇カルデラの北半分)に進む場合に通るもので、高森線を行く場合は経由しない。
立野 - 長陽間にある立野橋梁は九州では珍しいトレッスル橋で、2010年7月に山陰本線の旧余部橋梁が供用を停止してからは日本最長 (136.8m) の鉄道用トレッスル橋である[2]。また同区間にある第一白川橋梁(高さ64.5m)は、完成当時水面からの高さが日本一であった。現在でも、のちに建設された、高千穂橋梁、大井川鐵道関の沢橋梁に次ぐ高さである。1953年6月26日の熊本大水害(6.26水害)時には、橋梁前後のトンネルにも水が押し寄せてきたという。第一白川橋梁では、以前高千穂橋梁で行っていたように、運転士が乗客に車窓を楽しませるため、乗客サービスの徐行運転をすることがある。
この路線には日本一長い駅名の「南阿蘇水の生まれる里白水高原駅」があるほか、もうひとつ「阿蘇下田城ふれあい温泉駅」という長い駅名を持つ駅がある。
かつては高千穂線とつながり九州中部を横断する予定だったこの路線も、南阿蘇の山々と田園風景の中を行くのんびりしたローカル線になっている。高森駅近くには、工事中の異常出水で工事を断念せざるを得なかった高森トンネルが高森町湧水公園として保存されている。
完成当時、高さ日本一であった第一白川橋梁からの眺め
阿蘇下田城ふれあい温泉駅
見晴台駅
高森湧水公園(高森トンネル)
路線データ
- 管轄(事業種別):南阿蘇鉄道(第一種鉄道事業者)
- 路線距離(営業キロ):17.7km
軌間:1067mm- 駅数:10駅(起終点駅含む)
- 複線区間:なし(全線単線)
- 電化区間:なし(全線非電化)
閉塞方式:特殊自動閉塞式(電子符号照査式)
- 交換可能駅:1(中松)
2016年熊本地震による被災
高森線は、2016年4月に発生した熊本地震で被害を受け、全線で不通となった[3]。2016年7月31日に中松駅〜高森駅間が復旧し、運転を再開しているが[4]、立野駅〜中松駅間は2018年10月時点でも不通のままとなっている。
熊本地震による不通区間については国土交通省の復旧調査によると、立野駅〜長陽駅間の第一白川橋梁・犀角山トンネル・戸下トンネル・立野橋梁・崩壊箇所復旧および全線の軌道修復を中心として5年の期間と、65〜70億円の予算が掛かる見込みとなっている[6][7][3]。
運行形態
2016年熊本地震前の運行状況
以下は熊本地震前の運行形態である。2016年4月に発生した熊本地震により被災し、2016年7月31日より、中松駅 - 高森駅間で運転が再開されているが、被災前とはダイヤが異なる。
普通列車
定期運行の普通列車はすべて立野駅 - 高森駅間の線内折り返し運転でワンマン運転を実施しており、1時間あたり1本程度運行されている。土曜日・日曜日・祝日・休校日は朝の始発1往復が運休しその後の列車が始発列車となる。ほとんどが各駅停車であるが、昼間の上り1本は見晴台駅を通過する。昼間の1往復は後述のトロッコ列車「ゆうすげ号」の運転日にトロッコ車両を連結する。
車両はMT-2000形・MT-3000形が使用される。
トロッコ列車「ゆうすげ号」
観光客向けとして、3月から11月までの土日祝日に(春休み・夏休み期間およびゴールデンウィークは毎日)トロッコ列車「ゆうすげ号」が2往復運行されている。DB16形ディーゼル機関車2両の間にトラ700形2両、TORA200形1両を組み入れた編成である。2往復のうち1往復は普通列車との併結で、前述の編成に普通列車用の気動車が連結される。
全席指定席で、運賃のほかにトロッコ料金が必要となる。JR九州が発売している「旅名人の九州満喫きっぷ」では乗車できない。
2016年熊本地震後の運行状況
中松駅 - 高森駅間で、日中のみの運行となっている。
2016年7月31日の運行再開当初から同年8月31日までは平日・日祝日ともに普通列車1往復・トロッコ列車3往復の運行であった。2016年9月1日からのダイヤでは、平日は普通列車3往復が運行される。土日祝日は4往復の運行で、始発1往復が普通列車、そのあとの3往復がトロッコ列車「ゆうすげ号」で運行された。2016年12月1日からのダイヤでは、全日普通列車1日3往復となっていた。
2017年4月16日改正ダイヤでは、平日は普通列車3往復、土日祝日は普通列車2往復・トロッコ列車2往復となっている[8]。
トロッコ列車は南阿蘇村・高森町の住民に限り、住所を示す公的証明を提示すれば運賃のみで乗車できる。
2017年4月15日からは、復興支援として漫画家117人が参加して「ドラえもん」・「名探偵コナン」等のキャラクターを描き寄せた「がんばれクマモト!マンガよせがきトレイン」を運行開始した[9][10]。
歴史
豊肥本線の前身である宮地線の支線として開業した。改正鉄道敷設法で「熊本県高森ヨリ宮崎県三田井ヲ経テ延岡ニ至ル鉄道」として定められ、高森駅から三田井(高千穂)を経て延岡までの延伸が計画されていたが、宮崎県側の高千穂 - 延岡間が高千穂線(後の高千穂鉄道高千穂線)として開業したのにとどまり、高森 - 高千穂間の建設はトンネル掘削中の異常出水事故により中断、1980年凍結された。完成していた一部のトンネルや高架橋は1998年までに解体された(高森 - 高千穂間の詳細は高千穂鉄道高千穂線「未開業区間」の項を参照)。
1928年(昭和3年)
2月12日 立野 - 高森間が宮地線として開業、長陽・阿蘇下田・中松・阿蘇白川・高森の各駅を新設
12月2日 豊肥本線の全通により立野 - 高森間を高森線に分離
1981年(昭和56年)9月1日 第1次特定地方交通線として廃止承認
1984年(昭和59年)
2月1日 全線の貨物営業を廃止
11月17日 第三セクター鉄道への転換を決定
1986年(昭和61年)
4月1日 南阿蘇鉄道に転換[1]
11月1日 加勢・見晴台の各駅を開業[1]
1992年(平成4年)4月1日 南阿蘇水の生まれる里白水高原駅を開業(日本一長い駅名)
1993年(平成5年)8月1日 阿蘇下田駅を阿蘇下田城ふれあい温泉駅に改称
2012年(平成24年)3月17日 阿蘇白川 - 見晴台間に白川水源の最寄となる南阿蘇白川水源駅を開業[11][12]。
2016年(平成28年)
4月14日 熊本地震により、全線で運転を見合わせ[13]。
4月16日 この日発生した熊本地震の本震で立野 - 長陽間のトンネル内壁にひび割れ、橋梁変状が確認されるなどの被害[13]。
7月31日 中松 - 高森間で運転再開[14][4]。
2018年(平成30年)3月3日 熊本地震からの災害復旧工事(立野 - 長陽間、犀角山工区)着工。当該区間にある犀角山トンネルをなくして線路を復旧予定[15]。
駅一覧
- 全駅熊本県阿蘇郡に所在。
- 駅名欄の背景色が■である駅(立野駅 - 南阿蘇水の生まれる里白水高原駅の各駅)は熊本地震の影響による不通区間の駅を示している(2016年7月31日現在)。
駅名 | 駅間営業キロ | 累計営業キロ | 接続路線 | 所在地 |
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立野駅 | - | 0.0 | 九州旅客鉄道:豊肥本線 | 南阿蘇村 |
長陽駅 | 4.7 | 4.7 | | |
*加勢駅 | 1.0 | 5.7 | | |
阿蘇下田城ふれあい温泉駅 (阿蘇下田駅) | 1.5 | 7.2 | | |
*南阿蘇水の生まれる里白水高原駅 | 1.9 | 9.1 | | |
中松駅 | 1.4 | 10.5 | | |
阿蘇白川駅 | 3.0 | 13.5 | | |
*南阿蘇白川水源駅 | 0.8 | 14.3 | | |
*見晴台駅 | 1.8 | 16.1 | | |
高森駅 | 1.6 | 17.7 | | 高森町 |
()内は、転換前の旧駅名。*印は転換時(後)に設置された新駅
脚注
- ^ abcdef『鉄道ジャーナル』第21巻第10号、鉄道ジャーナル社、1987年8月、 94-97頁。
^ 現在日本最長のトレッスル橋は旧国道4号の青岩橋 (189.0m) である。
- ^ ab草町義和 (2017年4月17日). “南阿蘇鉄道の全線復旧は「5年程度」「65億円」…国交省が試算”. レスポンス. イード. 2017年4月17日閲覧。
- ^ ab南阿蘇鉄道が一部再開 全線復旧のめどは立たず - 朝日新聞デジタル、2016年7月31日
- ^ ab“南阿蘇鉄道の鉄道施設災害復旧調査に関する報告書の公表について” (日本語) (プレスリリース), 国土交通省, (2017年4月16日), オリジナルの2017年4月17日時点によるアーカイブ。, https://web.archive.org/web/20170417123851/http://www.mlit.go.jp/report/press/tetsudo01_hh_000113.html 2017年4月17日閲覧。
^ “南阿蘇鉄道の鉄道施設災害復旧調査報告概要 (PDF)”. 国土交通省 (2017年4月). 2017年4月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年4月17日閲覧。[5]
^ “南阿蘇鉄道の災害復旧調査結果について (PDF)”. 国土交通省 (2017年4月). 2017年4月17日時点のオリジナル[リンク切れ]よりアーカイブ。2017年4月17日閲覧。[5]
^ 時刻表 - 南阿蘇鉄道、2017年4月18日閲覧
^ 松本真弥 (2017年4月15日). “ドラえもん・コナン…キャラ列車が復興支援 南阿蘇鉄道”. 朝日新聞デジタル (朝日新聞社). オリジナルの2017年4月15日時点によるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20170415111613/http://www.asahi.com/articles/ASK4H36Q5K4HTNAB005.html 2017年4月17日閲覧。
^ “南阿蘇鉄道で「がんばれクマモト!マンガよせがきトレイン」運転開始”. railf.jp(鉄道ニュース). 交友社 (2017年4月17日). 2017年4月17日閲覧。
^ 南阿蘇白川水源駅開業祭 - 南阿蘇村観光協会、2012年2月25日閲覧。
^ 『JTB時刻表』2012年3月号
^ “南阿蘇鉄道中松〜高森間、7/31運転再開! 熊本地震から復旧、トロッコ列車も”. マイナビニュース. (2016年7月21日). http://news.mynavi.jp/news/2016/07/21/443/ 2016年7月21日閲覧。
^ “南阿蘇鉄道災害復旧工事(犀角山工区)安全祈願祭・着工式を行いました。” (2018年3月6日). 2018年5月27日閲覧。
参考文献
- 今尾恵介(監修) 『日本鉄道旅行地図帳 - 全線・全駅・全廃線』12 九州沖縄、新潮社、2009年。ISBN 978-4-10-790030-2。
関連項目
- 日本の鉄道路線一覧
外部リンク
- 南阿蘇鉄道
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