刈羽郡
刈羽郡(かりわぐん)は、新潟県(越後国)の郡。ここでは前身にあたる三島郡(みしまぐん)についても記述する。
人口4,667人、面積26.27km²、人口密度178人/km²。(2018年10月1日、推計人口)
以下の1村を含む。
刈羽村(かりわむら)
目次
1 郡域
2 歴史
2.1 古代から近世まで
2.2 近代以降の沿革
2.3 町村制以降の沿革
3 行政
4 脚注
5 参考文献
6 関連項目
郡域
1879年(明治12年)に行政区画として発足した当時の郡域は、上記1村のほか、以下の区域にあたる。
柏崎市の大部分(高柳町田代および青海川、笠島、小杉以西を除く)[1]
長岡市の一部(小国町大貝[2]を除く小国町各町・千谷沢[3])
歴史
古代から近世まで
刈羽郡の地域はかつては越中国古志郡に属していた。大宝2年(702年)に越後国に割譲され、平安時代に三島郡(みしまぐん)として古志郡から分離した。
その後、中世に古志郡からさらに山東郡(さんとうぐん、のち三島郡)が分離した頃から、三島郡(みしまぐん)は刈羽郡または苅羽郡と称するようになった。江戸時代初期に幕府は当郡の呼称を旧に復すると称して沼垂郡(ぬったりぐん)としたことがあった。しかし、沼垂郡は本来、越後国北部の阿賀野川以北を指した郡名であり、この改称は誤りであった。
近代以降の沿革
- 「旧高旧領取調帳」に記載されている明治初年時点での支配は以下の通り。幕府領は全域が桑名藩預地。●は寺社領、○は寺社除地[4]が存在。(1町194村)
幕末の知行
知行 | 村数 | 村名 | |
---|---|---|---|
幕府領 | 幕府領 | 26村 | 尾町村、灰爪村、○石地村、別山新田、○滝谷村、○入和田村[5]、成沢村、○刈羽村、○善根村、嶺村、軽井川村、○下方村、佐藤池新田、半田村、大河内新田、女谷村、清水谷村、谷川新田、折居村、石黒村、○岡野町村、○山室村、○大沢村、○石曽根村、山横沢村、○新町村 |
旗本領(安藤熊吉) | 12村 | 春日村、○下原村、上原村、原新田村、○長崎村、○長崎新田、山本村、田塚村、橋場村、黒橋新田、大沼村、○平井村 | |
旗本領(安西保太郎) | 1村 | 上高町村 | |
幕府領・旗本領(安西保太郎) | 1村 | 下高町村 | |
藩領 | 伊勢桑名藩 | 1町 79村 | 大坪村、西室西淵新田、○井岡村、大塚村、悪田村、長浜村、○比角村、○柏崎町、上田尻村、●○藤井村、○茨目村、●○下田尻村、新田畑村、両田尻村、○土合村、土合新田、下大新田、○剣村、上大新田、○畔屋村、○中田村、○与三村、○矢田村、○吉井村、○曽地新田、○曽地村、○大広田村、○北条村、○小島村、○山澗村、○長鳥村、善根村下組、○南条村、南条新田、○加納村、○宮平村、○与板村、○安田村、中浜村、○大窪村、下宿村、○鯨波村、上方村、○枇杷島村、○剣野村、桜井新田、堀村、山谷新田、○藤橋村、小池新田、横山村、岩上村、○新道村、○南下村、○宮窪村、北川原村、城川原村、小田山新田、○古町村、細越村、田代分[6]、山口村、芋川村、貝淵村、○水上村、佐水村、○黒滝村、○久米村、○野田村、宮川新田、○木沢村、○田屋村、○漆島村、○荻ノ島村、○門出村、門出新田、○栃ヶ原村、○岡田村、○森近村、苔野島村、○上岩田村 |
越後椎谷藩 | 1町 19村 | 大津村、大崎村、甲田村、浜忠村、椎谷町、鎌田村、礼拝村、下山田村、伊毛村、上山田村、藤掛村、池浦村、鬼王村、妙法寺村、北野村、内方村、十日市村、五日市村、和田村、旧広田村 | |
陸奥上山藩 | 20村 | 黒部村、小黒須村、五十土村、○赤田北方村、○飯塚新田、割町新田、○赤田町方村、○飯塚村、○花田村、黒川村、新保村、新保新田、西元寺村、○相野原村[7]、二本柳村、○横沢村、武石村、上新田村、下新田村、○千谷沢村 | |
越後長岡藩 | 18村 | ○高尾村、○山中村、原村、増沢村、三桶村、山野田村、○太郎丸村、○諏訪井村、島屋敷村、○島新田、法末村、○楢沢村、○森光村、○小栗山村、○小国沢村、○法坂村、上谷内新田、○桐沢村 | |
越後与板藩 | 13村 | ○別山村、○田沢村、○後谷村、○宝蔵寺新田、○滝谷新田村、尾之内村、○長嶺村、●二田村、油田村、荒浜村、○宮川村、○寺尾村、○新屋敷村 | |
越後高田藩 | 1村 | ○谷根村 | |
幕府領・藩領 | 幕府領・長岡藩 | 1村 | ○七日町村 |
幕府領・桑名藩 | 1村 | 市野新田 | |
幕府領・椎谷藩 | 1村 | 坂田村 | |
旗本領・桑名藩 | 1村 | ○正明寺村 |
慶応4年
閏4月29日(1868年6月19日) - 戊辰戦争で新政府軍が桑名藩の陣屋がある柏崎を制圧。
7月27日(1868年9月13日) - 幕府領・旗本領・桑名藩領が柏崎県(第1次)の管轄となる。
- 明治元年11月5日(1868年12月18日) - 柏崎県を廃して新潟府に合併することが布達される(実行されず)。
- 明治2年
2月22日(1869年4月3日) - 再度柏崎県を廃止する布達が出され、越後府(第2次)に合併。
8月25日(1869年9月30日) - 旧・柏崎県の管轄地が柏崎県(第2次)の管轄となる。
- 明治3年10月22日(1870年11月15日) - 長岡藩が廃藩となり、領地が柏崎県の管轄となる。
- 明治4年
7月14日(1871年8月29日) - 廃藩置県により藩領が椎谷県、上山県、与板県、高田県の管轄となる。
11月20日(1871年12月31日) - 第1次府県統合により全域が柏崎県の管轄となる。
- 明治初年 - 山谷新田が堀村に、小池新田が半田村にそれぞれ合併されたとみられる。(1町192村)
- 明治6年(1873年)
6月10日 - 新潟県(第2次)の管轄となる。- 北川原村・城川原村が合併して上条村となる。(1町191村)
- 明治8年(1875年) - 別山新田が別山村に合併。(1町190村)
- 明治9年(1876年)(1町187村)
- 原新田村が上原村に、大沼村が上高町村にそれぞれ合併。
- 西室西淵新田が井岡村に合併。
- 明治10年(1877年) - 善根村下組が善根村に、黒橋新田が橋場村に、南条新田が南条村に、桜井新田が下方村に、門出新田が門出村に、新保新田が新保村に、増沢村が原村に、島屋敷村・島新田が諏訪井村にそれぞれ合併。(1町178村)
- 明治12年(1879年)
4月9日 - 郡区町村編制法の新潟県での施行により行政区画としての刈羽郡が発足。郡役所を柏崎町に設置。- 嶺村の所属郡が東頸城郡に、谷根村の所属郡が中頸城郡にそれぞれ変更。(1町176村)
- 明治13年(1881年) - 十日市村のうち日本海に面した十日市新田と称する地区が分村して大湊村となる。(1町177村)
- 明治14年(1882年)(1町180村)
- 長鳥村が東長鳥村・西長鳥村に分村。
- 北条村支村のうち今熊村・十日市村・鹿島村・赤尾村が分村して本条村となる。
- 北条村支村のうち上光安村・下光安村・深沢村・家則村・兼則村・笹川村が分村して東条村となる。
- 明治20年(1888年) - 飯塚新田が飯塚村に合併。(1町179村)
町村制以降の沿革
- 明治22年(1889年)4月1日 - 町村制の施行により以下の町村が発足。特記以外は現・柏崎市。(4町67村)
町村制施行時の4町67村
柏崎町(単独村制)
大洲村 ← 大窪村、中浜村
下宿村、鯨波村(それぞれ単独村制)
枇杷島村 ← 枇杷島村、剣野村
鏡里村 ← 半田村、岩上村、佐藤池新田、軽井川村
豊田村 ← 上方村、下方村、横山村、藤橋村、堀村、南下村
日高村 ← 新道村、大河内新田、貝淵村、黒滝村
上条村 ← 宮窪村、上条村、山口村、古町村、芋川村、小田山新田、佐水村
別俣村 ← 久米村、水上村、細越村
野田村 ← 野田村、宮川新田
田沢村 ← 田屋村、木沢村
女谷村 ← 女谷村、市野新田、清水谷村、谷川新田
折居村(単独村制)
石黒村 ← 石黒村、門出村[板畑・居谷]
門出村(門出村[板畑・居谷を除く]が単独村制)
荻ノ島村、栃ヶ原村、漆島村、高尾村、岡野町村、山中村、岡田村、大沢村、山室村、石曽根村、森近村、森光村、小栗山村(それぞれ単独村制)
増田村 ← 山野田村、苔野島村、三桶村、原村
法末村(単独村制)
結城野村 ← 諏訪井村、太郎丸村、小国沢村、上岩田村、楢沢村
中里村 ← 新町村、相野原村、二本柳村、上谷内新田、法坂村、桐沢村
七日町村(単独村制)
千谷沢村 ← 千谷沢村、上新田村、下新田村
武石村、横沢村、山横沢村、善根村、加納村(それぞれ単独村制)
秋津村 ← 与板村、宮平村
北条村 ← 本条村、北条村、東条村
小澗村 ← 小島村、山澗村
広田村 ← 大広田村、旧広田村
長鳥村 ← 東長鳥村、西長鳥村
南条村、安田村、平井村(それぞれ単独村制)
田尻村 ← 上田尻村、下田尻村、両田尻村、茨目村
比角村(単独村制)
藤井村 ← 長浜村、新田畑村、田塚村、藤井村
旭村 ← 中田村、上大新田、畔屋村、与三村
槇原村 ← 悪田村、春日村、橋場村、下原村、上原村、山本村
日吉村 ← 剣村、土合村、土合新田、下大新田、長崎村、長崎新田
吉井村 ← 矢田村、吉井村
曽地村 ← 曽地村、花田村、曽地新田(現・柏崎市)、飯塚村(現・柏崎市、刈羽村)
油田村 ← 油田村、黒川村(現・刈羽村)、成沢村、小黒須村、五十土村(現・柏崎市)
東城村 ← 大塚村、新屋敷村、赤田町方村、赤田北方村(現・刈羽村)
刈羽村 ← 刈羽村、割町新田、上高町村、下高町村、正明寺村(現存)
勝山村 ← 十日市村、西元寺村、寺尾村、入和田村、滝谷村、滝谷新田村、宝蔵寺新田(現・刈羽村)
長原村 ← 北野村、大坪村、内方村、五日市村(現・柏崎市)、井岡村(現・刈羽村)
妙法寺村(単独村制)
二田村 ← 坂田村、二田村、鬼王村、黒部村、新保村、和田村
長谷村 ← 長嶺村、後谷村
別山村 ← 別山村、尾之内村、灰爪村、上山田村
中川村 ← 田沢村、藤掛村、池浦村、礼拝村、伊毛村、下山田村、鎌田村
石地町 ← 石地村、尾町村
大田村 ← 大津村、大崎村、甲田村、浜忠村
椎谷町(単独村制)
宮川町 ← 宮川村、大湊村
荒浜村(単独村制)
- 明治30年(1897年)1月1日 - 新潟県で郡制を施行。
- 明治32年(1899年)4月14日 - 二田村・長谷村が合併し、改めて二田村が発足。(4町66村)
- 明治33年(1900年)2月23日 - 森光村・小栗山村が合併して森山村が発足。(4町65村)
- 明治34年(1901年)11月1日 - 下記の町村の統合が行われる。いずれも新設合併。(3町29村)
明治34年の合併
高浜町 ← 椎谷町、宮川町
石地町 ← 石地町、大田村
枇杷島村 ← 枇杷島村、鏡里村[半田・岩上]
田尻村 ← 田尻村、安田村、平井村、鏡里村[軽井川・佐藤池新田]
西中通村 ← 槇原村、日吉村
北鯖石村 ← 旭村、藤井村
高田村 ← 日高村、豊田村
中通村 ← 吉井村、油田村、曾地村、東城村[赤田町方・赤田北方]
刈羽村 ← 刈羽村、勝山村、東城村[新屋敷・大塚]
中鯖石村 ← 善根村、加納村、秋津村
南鯖石村 ← 森近村、石曾根村、山室村、大沢村
上条村 ← 上条村、別俣村
野田村 ← 野田村、田沢村
鵜川村 ← 女谷村、折居村
高柳村 ← 岡野町村、岡田村、高尾村、漆島村、荻ノ島村、門出村、栃ヶ原村、山中村
上小国村 ← 森山村、増田村、結城野村、法末村
北条村 ← 北条村、南条村、小澗村、広田村、長鳥村
内郷村 ← 別山村、中川村
二田村 ← 二田村、長原村、妙法寺村
大正12年(1923年)3月31日 - 郡会が廃止。郡役所は存続。- 大正13年(1924年)8月10日 - 下宿村・大洲村が柏崎町に編入。(3町27村)
- 大正15年(1926年)
6月30日 - 郡役所が廃止。以降は地域区分名称となる。
9月10日 - 比角村が柏崎町に編入。(3町26村)
- 昭和3年(1928年)12月1日 - 枇杷島村が柏崎町に編入。(3町25村)
- 昭和15年(1940年)
4月1日 - 鯨波村が柏崎町に編入。(3町24村)
7月1日 - 柏崎町が市制施行して柏崎市となり、郡より離脱。(2町24村)
- 昭和23年(1948年)11月1日 - 西中通村の一部(悪田)が柏崎市に編入。
- 昭和24年(1949年)7月1日 - 中里村・横沢村・武石村・七日町村が合併して小国村が発足。(2町21村)
- 昭和26年(1951年)4月1日 - 北鯖石村の一部(田塚・長浜・新田畑)が柏崎市に編入。
- 昭和27年(1952年)7月1日 - 上小国村が中魚沼郡仙田村の一部(現・長岡市小国町大貝)を編入。
- 昭和29年(1954年)
- 4月1日 - 西中通村が柏崎市に編入。(2町20村)
7月5日 - 荒浜村が柏崎市に編入。(2町19村)
- 昭和30年(1955年)
1月10日 - 山横沢村が小国村に編入。(2町18村)
2月1日 - 北鯖石村・田尻村・高田村が柏崎市に編入。(2町15村)- 4月1日 - 石黒村が高柳村に編入(2町14村)
11月3日 - 高柳村が町制施行して高柳町となる。(3町13村)
- 昭和31年(1956年)9月30日(4町7村)
- 上条村・野田村・鵜川村が合併して黒姫村が発足。
- 石地町・内郷村が合併して朝日町が発足。
- 小国村・上小国村が合併して小国町が発足。
- 中通村の一部(赤田町方・赤田北方・油田・黒川および飯塚の一部[8])が刈羽村、一部(吉井の一部[9])が北条村、残部が柏崎市に分割編入。
- 昭和32年(1957年)
- 4月1日 - 高浜町および黒姫村の一部(上条・宮之窪・山口・佐水・芋川・古町・小田山新田)が柏崎市に編入。(3町7村)
7月5日(3町4村)
- 中鯖石村・南鯖石村が柏崎市に編入。
- 千谷沢村の一部(原小屋・千谷沢・鷺ノ島)が小国町、残部(菅沼・小坂・袴沢)が三島郡越路町に分割編入。
10月1日 - 北条村が町制施行して北条町となる。(4町3村)
- 昭和34年1959年)4月10日(4町2村)
- 二田村の一部(井岡)が刈羽村に編入。
- 朝日町および二田村の残部が合併して西山町が発足。
- 昭和43年(1968年)11月1日 - 黒姫村が柏崎市に編入。(4町1村)
- 昭和46年(1971年)5月1日 - 北条町が柏崎市に編入。(3町1村)
- 昭和60年(1985年)4月1日 - 高柳町が東頸城郡松代町の一部(田代)を編入。
平成17年(2005年)
- 4月1日 - 小国町が長岡市に編入。(2町1村)
- 5月1日 - 高柳町・西山町が柏崎市に編入。(1村)
行政
- 歴代郡長
代 | 氏名 | 就任年月日 | 退任年月日 | 備考 |
---|---|---|---|---|
1 | 明治12年(1879年)4月9日 | |||
大正15年(1926年)6月30日 | 郡役所廃止により、廃官 |
脚注
^ 高柳町田代は1985年に東頸城郡から編入。
^ 1952年に中魚沼郡から編入。
^ 1957年に三島郡に編入。
^ 領主から年貢免除の特権を与えられた土地。
^ 入和田村、入和田村玉泉寺持に分かれて記載。
^ 詳細不明。本項では便宜的に村数には数えない。
^ 相野原村東組、相野原村西組に分かれて記載。寺社除地は双方に存在。
^ 現在の刈羽村枯木。
^ 現在の柏崎市吉井黒川。
参考文献
角川日本地名大辞典 15 新潟県- 旧高旧領取調帳データベース
関連項目
- 刈羽三山
- 柏崎刈羽地域
|
|