布
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布(ぬの)とは多数の繊維を薄く広い板状に加工したものを指す。作り方によって織物、編み物(メリヤス生地)、レース、フェルト、不織布に分けられ、使用している繊維の種類、織り方、編み方により性質が決まる。古代日本では植物繊維で作られた物のみを指し、絹織物や毛織物は「布」とは呼ばれていなかったが、現在は繊維の材質に関わらず布と呼ぶ。衣類、装飾、税などに使用される。歴史上では、貴重な材質の布は、一種の貨幣としても流通した。
目次
1 歴史
2 製造・加工
3 分類
3.1 編物組織
3.2 織物組織
3.2.1 基本
3.2.2 薄手
3.2.3 厚手
3.2.4 和物
3.3 その他
4 原糸
5 比喩
6 関連項目
7 出典
歴史
中国では2200年前の西周にはすでに簡単な織り機が生まれていたとされ、これを使って布が作られた。前漢の馬王堆王墓(湖南省)からも布や、特に布に書かれた書物である帛書が出土しており、現地で展示されている。
古代中国では税源として布を使ってきた。日本でも飛鳥時代の『大宝律令』において租庸調が定められ、調として布を納めた。この制度は、調布市の地名の由来ともなっている。当時の日本では絹は別格のものとされていたため、布の概念には含まれておらず、『大宝律令』でも絹と布は分けて書かれている。また、毛織物や木綿も当時の日本では生産されていなかった。従って当時の「布」は麻・苧・葛・藤・楮などで作られたものだけを指していた。
宋代の中国では、各種の綿糸加工器具や織り機が改良され、綿布の加工技術が向上した。特に烏泥涇鎮(現上海市)の黄道婆は紡ぎ車などを改良して高度な織物を織ったと伝えられ、「棉聖」とも称される。
江戸時代、琉球王国では人頭税として宮古上布を納めていた。
製造・加工
布は糸から作られる。従って布を作るにはまず糸を入手する必要があり、古代には糸を作るところから作業が始まる。糸の材料から糸を作るには紡ぐということが行われる。こうしてできた糸を縦横に組み合わせてゆくことを織るという。そのために布のことを織物ということもある。この作業をするための機械を機(はた)という。これを使って布を作るのを機織りというので、その機械を機織機ということもある。
このような布は平らで単なる長方形なので、そのままでは使用目的は制限される。たとえば衣服とするにはそのまま巻き付けても良いが、切り離してつなぎ合わせることも可能である。糸を使って布同士をつなぎ合わせるのを縫う(裁縫)という。これはまた、布製品が破れたときなどに修理するための方法でもある。
分類
編物組織
緯(よこ)編
- 基本組織
平編み(天竺編み:てんじくあみ)
- ストレッチ天竺
- ベア天竺
ゴム編み(リブ編み)
- フライス編み
パール編み(ガーター編み)
- 応用組織
両面編み
- スムース編み
- 鹿の子編み
- テレコ
- なわ編み
- ジャカード
- 基本組織
経(たて)編
- チュール布
- ラッシェル
- トリコット
- パワーネット
織物組織
基本
- 平織
綾織(ツイル)- 朱子織
薄手
- 斜文織
揚柳(ようりゅう)- オーガンジ
ガーゼ
- ダブルガーゼ
- ギンガム
- クレープ
- コットンサテン
コットンツイル - 綾織りの木綿地- コットンボイル
- サテン
晒(さらし)- シーチング
- シフォン
- シャンタン
- ジョーゼット
- 新モス
- ブロード
- ボイル
- モスリン
- リネン
- リネンダマスク
- ワッフル織
厚手
- キャラコ
コーデュロイ(コール天)- スエード
- ストレッチブロード
- タオル地
- デニム
- ネル
- パイル
- ビロード
- フランネル
- ベッチン
- ベルベット
- ベロア
- 帆布
- 毛布
- ラシャ
和物
- お召
- 黄八丈
- 塩瀬
- 上布
- 紬
ちりめん(縮緬)- 西陣
- 羽二重
- 富士絹
- 本しゅす
- 銘仙
- 綿ちぢみ
- 浴衣地
- 綸子
その他
- 不織布
杢糸(もくいと)- コア・ヤーン
- シャーリング
- シャンブレー
- ストレッチ
- スラブ
- リップル
- フリース
原糸
天然繊維
木綿 - 綿織物
- 絹
- 麻
- モヘヤ
- ウール
- カシミア
再生繊維
- アセテート
- キュプラ
- レーヨン
- 再生ポリエステル
合成繊維
- ナイロン
- ポリウレタン
- ポリエステル
- フィストップ
比喩
- 「布」という言葉は、平らであることを表す建築用語として使われる。
中国語圏では、じゃんけんの「パー」を「布」と呼ぶ[1]。「グー」と「チョキ」は「石頭」と「剪刀」で、パーのみが日本や英語圏の「紙」と意味が異なる。
関連項目
- ファッション
- 織り
編布(あんぎん) - 縄文期から続く技法を用いた布
出典
^ 白泉社中国語辞典
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