渡り鳥
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渡り鳥(わたりどり)は食糧、環境、繁殖などの事情に応じて定期的に長い距離を移動(渡り)する鳥のこと。翻って、1年を通じて同一の地域やその周辺で繁殖も含めた生活を行う鳥を留鳥という。
鳥の渡り(英語:Bird migration)の解明は、鳥類学の研究テーマのひとつで、鳥を捕獲して刻印のついた足環を付ける鳥類標識調査(バンディング)が日本を含め世界各国で行われている。また、大型の鳥では、超小型の発信機を付け、人工衛星を使って経路を調べることも行われている。
目次
1 進路の決定
2 いろいろな渡り鳥
3 距離
4 比喩表現
5 脚注
6 参考文献
7 関連項目
8 外部リンク
進路の決定
移動の際の進路は、三段階ほどの過程を経て決定されているのではないかと考えられている。
第一段階では、ある時間にある方向に向かって飛ぶことを何度か繰り返すことにより、目的地から数百kmほどのところまで進む。これは太陽や星の配置などを指標にすることにより行われると考えられている。
第二段階では、磁場などがかかわる、生まれながらにして持つ地図を頼りに目的地まで数kmのところまで進む。この段階では、磁場だけでなく地形の情報もある程度考慮されるかもしれない。
第三段階では、地形や環境の特徴を頼りに最終目的地まで到達する。この段階では、非常に細かい地図情報を鳥が持っている場合がある。しかし、生まれながらにして完全な形で持っているというわけではなく、移動の途中で組み込まれていく部分が多いことが、研究によりある程度解明されている。
ただし、これらの段階についての仕組みはほとんどまったく分かっていない。
いろいろな渡り鳥
地域をどの範囲まで広げる(狭める)かによって、同一の鳥でも異なる分け方になる場合があるが、日本を基準とした場合、以下のような分け方となる。
- 夏鳥
- 主として繁殖のために日本より南方から渡ってきて、夏を日本で過ごし、繁殖期が終わると再び越冬のために南に渡って行く鳥。ツバメ、アマサギ、オオルリ、キビタキ、クロツグミ、ハチクマ、サシバなど。
- 冬鳥
- 主として越冬のために日本より北方から渡ってきて、冬を日本で過ごし、冬が終わると再び繁殖のために北に渡って行く鳥。ツグミ、ジョウビタキ、ユリカモメ、マガモ、オオハクチョウ、マナヅル、オオワシなど。
- 旅鳥
- 日本より北で繁殖し、日本より南で越冬するため、渡りの移動の途中に日本を通過して行く鳥。主として移動時期である春と秋に見られる。シギ、チドリの仲間に多い。
距離
なかにはキョクアジサシ(北極圏ツンドラ地帯←→南極周辺海域・約32000km)や、ハシボソミズナギドリ(オーストラリアから北太平洋を右回りしオーストラリアへ戻る・約32000km)など、非常に長い渡りをおこなう鳥がいる。
比喩表現
働き場所や住み場所を転々とする人のことを「苦労人」「落ち着かない者」という意味をこめて「渡り鳥」と呼ぶことがあり、この場合の類義語として「根無し草」がある。
省庁や地方自治体の高級官僚が役所を退職した後、天下りで公社、公団、特殊法人、第三セクターなどを渡り歩いて退職金を稼ぐこともまた「渡り鳥」と呼ばれ、批判の対象となっている。
常に多数派に付くため政党を渡り歩く政治家も「政界渡り鳥」と呼ばれ、批判の対象となっている。
脚注
参考文献
- 樋口広芳 『鳥たちの旅.渡り鳥の衛星追跡』 日本放送出版協会、2005年。ISBN 4-140-91038-0。
関連項目
- 渡り
- 回遊
- 留鳥
- 漂鳥
- 迷鳥
- 渡り鳥条約
- ラムサール条約
- トリインフルエンザ
WATARIDORI - 渡り鳥をテーマにしたドキュメンタリー映画。- 磁覚
外部リンク
- 渡り鳥生息地ネットワーク 「水鳥と渡りについて」
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