ワイドボディ機




ワイドボディ機とは、旅客機のうち、客室1階に通路が2本あるものをいう。これに対して、通路が1本だけの旅客機はナローボディ機と呼ばれる。




目次






  • 1 長所


  • 2 短所


  • 3 セミワイドボディ機


  • 4 各社のワイドボディ機


  • 5 脚注


    • 5.1 注釈


    • 5.2 出典




  • 6 関連項目





長所


一般にワイドボディ機では1機で運べる乗客数が増やせるために、航空機そのものと、機上の操縦士や地上のスタッフ、地上の各種設備類なども、乗客1人当たりの数が少なくて済むので、運航経費の削減に寄与する。床下貨物室も広く取れるので貨物輸送での収益増加も見込める。また、空中を飛行する時間に比べて乗降の頻繁な路線では、通路が2本あることは乗降時間の短縮となり収益性の向上効果が大きい[注 1][注 2][1][2]



短所


2階席を持たないワイドボディ機では、単通路機ではそれほど目立たなかった客室上の無駄な空間が大きくなり、一部は乗務員用の休憩室などへの利用も行われているが、ほとんど空気を運んでいるにすぎない。胴体幅が広がると操縦席からの側方や斜め後方の視界は狭くなり、ボーイング747のように2階に操縦席を備えるか、機体先頭部をやや縦長にするなど工夫が求められる。機首部分にだけ2階席を設けた機体では基本構造を複雑にして製造コストを増やす。


運用においても、乗客数が相応に多い路線以外では運航しても座席を埋めることはできないため、主要路線以外では採用しにくい。欧州でのハブ・アンド・スポーク式から地方空港間での路線増加のような中小型機主体で細かく空港を結ぶ形態のポイント・トゥ・ポイント式の旅客輸送が今後広がりを見せれば、輸送効率では優れるワイドボディ機が不利になり、航空会社にとっては所有することが足かせとなる可能性もある[2][1]


長所で挙げられた床下貨物室も広く取れるので貨物輸送での収益増加も見込める面は通常このサイズの機体で航空貨物用コンテナを使用した輸送となるが、航空機運航の面では専用の地上支援機材(ハイリフトローダー:コンテナを機体の貨物室まで持ち上げる機材)などが必要となり、空港によってはこれら機材が揃っていない空港もあり貨物取扱が困難となり実質、ナローボディー機以上の時間がかかり、不効率な運用となることもある。



セミワイドボディ機


通路が2本ある旅客機でも、機体幅が狭いために横一列に並べられる座席数が少なく、床下の貨物室にもLD-3航空貨物用コンテナを並列に搭載できないボーイング767は[注 3]、特にセミワイドボディ機としてワイドボディ機とは区別される場合がある。



各社のワイドボディ機


登場初期には自動車のバスのように大量に旅客を運べる旅客機、という意味のエアバスという呼び方もあった[注 4][注 5]が、これを社名に採用したエアバス社が世界的な旅客機メーカーとして台頭してくると、この呼び方は同社および同社の航空機のみに使用されるようになった。



ボーイング社

ボーイング社では、ボーイング747(但し、アッパーデッキは1通路仕様)、767、777、787がワイドボディ機である。

ボーイングに買収されたマクドネル・ダグラス社では、マクドネル・ダグラスDC-10とMD-11がある。



エアバス社

エアバス社では、エアバスA300、A310、A330、A340、A380(メインデッキ・アッパーデッキともに2通路仕様)が、ワイドボディ機に該当する。また2013年に初飛行したエアバスA350 XWBもワイドボディ機である。

ロッキード・マーティン社


ロッキード・マーティンでは、ロッキード L-1011 トライスターがある。

ロシア製の機体


イリューシン設計局のIl-86やIl-96も該当する。



脚注


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注釈





  1. ^ ナローボディでありながら乗客数の多い大型機は、乗降に時間がかかりすぎるため、航空会社に敬遠される傾向がある


  2. ^ 2本の通路が客席に通せることで3席+4席+3席という座席配置
    が可能になった。通路側や窓側の席では少なくとも片側には人がいないため心理的圧迫感が軽減されるが、3人掛け席での中央の座席のように両側に他の乗客がいると、一般的にはあまり快適とはならない。これは「ミドルマンの悲劇」と呼ばれ、航空会社はできればミドルマン席を無くしたい。ワイドボディ機が持つ複数の通路によって比較的ミドルマンの席を減らすことができた。ミドルマンの座席幅は少しだけ広くなっている。



  3. ^ ボーイング社ではセミワイドボディ機であるB-767の販売において、2席+3席+2席という座席配置によって「ミドルマンの悲劇」が1席だけとなるとして乗客への快適性向上をアピールした。


  4. ^ ANAの運航機材の歴史|企業情報|ANAでは、同社初のワイドボディ機だったロッキード L-1011 トライスターを「『エアバス』と呼ばれる定員300名クラスの大型機」と解説している。


  5. ^ 柳田邦男の『続・マッハの恐怖』(1971年初版)では「エアバスとは、国内線を主目的に三五〇人乗り前後を標準としたジャンボ・ジェット機」としており、具体例としてボーイング747SR、ロッキード L-1011 トライスター、マクドネル・ダグラスDC-10を挙げている(新潮文庫版 P522-523)




出典




  1. ^ ab久世紳二著、『旅客機の開発史』、日本航空技術協会、2006年9月11日第1版第1刷発行、ISBN 4902151146

  2. ^ ab青木謙知 『ボーイングVSエアバス』 2004年9月20日発行、イカロス出版、ISBN 4871495892




関連項目



  • 旅客機

  • ナローボディ機

  • 格安航空会社




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