ロードサイド店舗










集客相乗効果を狙ってロードサイド店舗が集中している場所(兵庫県篠山市)


ロードサイド店舗(ロードサイドてんぽ)とは、幹線道路など通行量の多い道路の沿線において、自家用車・オートバイ(原動機付自転車)・自転車でのアクセスが主たる集客方法である店舗のこと。特に都市郊外の主要幹線道路沿いに立地するものを指す場合が多い。「ロードサイド」とは沿道のこと。








目次






  • 1 概要


  • 2 由来


  • 3 メリットとデメリット


    • 3.1 メリット


    • 3.2 デメリット




  • 4 歴史


  • 5 ロードサイド店鋪の主な種類


  • 6 地域


    • 6.1 その他の都市




  • 7 脚注


  • 8 関連項目


  • 9 外部リンク





概要


自家用車を主な交通手段とし、車道をアクセス動線として店舗に付帯する大規模な駐車場を集客装置とする商店形態をとっている。また、鉄道駅から無料の送迎バスを運行している商業施設もある。


営業時間は深夜もしくは24時間営業する店舗もあり、業態についてはコンビニエンスストア、ラーメン店から、大型複合ショッピングモールまで多岐に渡る。



由来


ロードサイド店舗の名付け親は、チヨダの社長であった舟橋政男とされる[1]。舟橋が日本経済新聞社からインタビューを受けた際、記者から「チヨダの郊外店は」というように「郊外」という言葉を何度も聞かされた。それに対して舟橋は「郊外というのは周りに何もないようなところを言うのではないか、私達が出店しているのは人口急増地帯だ」と答えた。記者が「では何と言えばいいのか」と問うたところ、舟橋は「ロードサイドとでも言えばいいんじゃないの」と何気なく答えた。これを記者が気に入り、「ロードサイドショップ」という言葉で行こうということになった。



メリットとデメリット



メリット


ロードサイド店舗は都市部の商店街(アーケード)などと比較して地価が安いため床面積を広く取ることができ、通常の店舗では販売されていない大型商品も取り揃えることができるなど、品揃えも充実している。


このため、バイパス道路沿いなどに全国展開している店舗(フランチャイズ店舗など)が連なり集客力を高めている。


その他の利点


  • 敷地が広大で店舗面積が大きく、また、複数の店舗が入居しているため、圧倒的に豊富な品揃えで大抵の物が手に入る。

  • 大量生産・大量仕入れ・大量販売方式により、旧業態の店舗に比べ商品価格が安価である。

  • 複数の店舗が一堂に会しており、多くの商品を一度の買物でまとめ買いできるため、多くの場合、一日で買物が済み極めて効率的に買物ができる。

  • 自動車で来店できる(想定している)ので、通常の店舗では販売されていない様な大型商品なども購入でき、品揃えも充実している。

  • 大量生産・販売するため、価格に比して開発力が高く、高性能な商品が多い。

  • 個人商店の場合、店によって当たり外れがあり、悪質な店舗になると不良品等の返品や交換に応じない場合があるが、大型店では大抵の場合、すぐに返品・交換に応じる(統一された対応マニュアルで決められている)。

  • 十分な数の駐車場が整備されているため、車の置き場所に困らず、違法駐車がほとんど発生しない。

  • 都心部から外れた場所に店舗が設置されるため、都心部の人口過密や慢性渋滞を緩和できる。

  • 利用客のほとんどが車を利用するため、満員電車を緩和できる。



デメリット



  • 店舗の敷地面積が広く、広大な駐車場を持つことで駐車場から店舗間の距離が遠大になるため、高齢者や障害者による徒歩でのウィンドウショッピングが難しい。

  • 交通量の増加による周辺地域の渋滞や交通事故が誘発されることがある。

  • 自動車や原付を持てない利用者の来店が困難(自転車の場合、あまり多くの荷物を運ぶことができない)。

  • 客の大半は自動車で来店する事から、ガソリン価格の推移が客足にも影響を与える。



歴史


1960年代後半、高度経済成長とともに自家用車を所有する家庭が増え、モータリゼーションが発達した。生活圏の範囲が広がったことにより郊外ではガソリンスタンドやスーパーマーケット、都市部ではドライブインやモーテル、24時間経営の自動販売機を集めたオートレストラン(オートスナックまたはコインスナック)といった商業施設が現れ始めた。


1969年(昭和44年)に、日本初の郊外型ショッピングセンターである玉川高島屋ショッピングセンターが二子玉川にオープン。しかし、開店当初は客寄せに苦労したと言われている。


1970年代になると、無料駐車場を完備したファミリーレストランやホームセンターが出店し始め、ファミリーレストランのすかいらーくが1970年(昭和45年)に東京都府中市に、ホームセンターのドイトが1972年(昭和47年)に埼玉県与野市(現在のさいたま市中央区)に初出店している。その後、洋服の青山(青山商事)が1974年(昭和49年)に広島県東広島市に、東京靴流通センター(チヨダ)が1977年(昭和52年)に埼玉県入間郡鶴ヶ島町(現在の鶴ヶ島市)に初出店した。これらの店舗は、当時「大規模小売店舗における小売業の事業活動の調整に関する法律(大規模小売店舗法)」が施行されていたため、店舗面積を500m2未満に押さえたスタイルで出店を進めていった。


1980年代になると、特に地方においては1人1台自動車を保有するようになってきた。また、中心市街地を回避するバイパス道路完成とともに道路沿線に比較的大規模な土地が供給され、カー用品・タイヤ専門店・自動車ディーラーなども出店し始めた。


1990年代に入ってバブル崩壊し地価が下落し始めると郊外にはさらに多様な業種が参入し、コンビニエンスストアやレンタルビデオ店、量販店や家具店、ホームセンターなどが出店攻勢に出た。


2000年代になると「大規模小売店舗立地法」が施行されたことにより、アウトレットモール、家電量販店、総合スーパーの郊外化が急速に進んだ。数百台から数千台規模の駐車場があり、映画館(シネマコンプレックス)や遊技場などを兼ね備えた複合商業施設も誕生した。


しかし、2010年代以降は居住機能の都心回帰や若者の車離れに起因する運転免許保有者数の減少、高齢化の進行などによって従来の車保有前提のライフスタイルに変化が生じつつあることなどから、郊外店舗は集客力や従業員確保の面で苦境に立たされている[2]



ロードサイド店鋪の主な種類




  • ショッピングセンター

  • ホームセンター

  • 家電量販店

  • 複合商業施設

  • シネマコンプレックス

  • ディスカウントストア

  • スーパーセンター

  • アウトレットモール

  • カー用品店

  • コンビニエンスストア

  • ドラッグストア

  • ファミリーレストラン


  • ファーストフード店(ドライブスルー)

  • 新古書店


  • レンタルビデオ店

  • ゲームセンター

  • インターネットカフェ

  • パチンコ店

  • 消費者金融

  • ホテル




地域






関東地方は群馬県では比較的早い時期からモータリゼーションが発達しており、1966年の高崎前橋バイパス開通に伴い、1967年には沿線に「高崎卸商業団地」が造成され、多種多様なロードサイド型店舗の立地が進んだ[3]
北関東地域では、高崎市の高崎市道高崎環状線、栃木県宇都宮市の宇都宮環状道路西〜北西区間、茨城県水戸市の国道50号水戸バイパスの各沿線に多く見られ、南関東地域では千葉県印西市の国道464号沿線(千葉ニュータウン)や千葉県から神奈川県にかけての国道16号沿線もロードサイド店舗が多く見受けられる。また、神奈川県内の国道246号沿線(東京・横浜バイパス・大和厚木バイパス)や埼玉県さいたま市から戸田市にかけての国道17号新大宮バイパスや、同県草加市から越谷市にかけての国道4号草加バイパス沿線にも多い。


北陸地方では、新潟県上越市の北陸自動車道上越IC付近、石川県金沢市の国道8号金沢バイパス沿線などでロードサイド店舗が発達している。


沖縄県では国道58号沿いにロードサイド店舗がある。これは「駅前商店街」の概念がなく、密集する商店街の発展が見込めなかったことや、旧市街地が戦後アメリカ軍に接収されたことなどが考えられる。



その他の都市


都市圏人口が少ない地域(県庁所在地から離れた地域)の場合でも、利便性に優れているなどの場合は10万人未満の地方でもある程度の店舗密集地になっている。




  • 北海道岩見沢市の国道12号岩見沢バイパス沿線

  • 北海道恵庭市の国道36号恵庭バイパス沿線

  • 北海道登別市の北海道道782号上登別室蘭線沿線


  • 茨城県神栖市から鹿嶋市にかけての国道124号沿線


  • 千葉県東金市から山武市にかけての国道126号沿線


  • 神奈川県藤沢市から大和市にかけての国道467号沿線


  • 岐阜県羽島郡岐南町の国道22号岐大バイパス沿線


  • 広島県東広島市寺家地区、八本松地区(国道486号)沿線、御薗宇地区(御薗宇バイパス沿線)


  • 岡山県倉敷市笹沖・西中新田・吉岡地区の市道古城池線沿線(ロードサイド店舗で形成された商店街「笹沖商店街」がある)[4]


  • 山口県宇部市や山陽小野田市などの国道190号周辺の平野部


  • 福岡県田川市川宮地区・糒地区・下伊田地区・夏吉地区、同田川郡香春町の国道201号沿線


  • 宮崎県日向市日知屋地区から同財光寺地区までの国道10号沿線

  • 宮崎県日南市吾田地区・油津地区の国道222号沿線


  • 沖縄県中頭郡北谷町の国道58号沿線(美浜地区)



脚注


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  1. ^ 舟橋政男 わが経営


  2. ^ 東海地域における「街と車の関係」の変化について - 日本銀行名古屋支店


  3. ^ 高崎経済大学付属産業研究所『車王国群馬の公共交通とまちづくり』日本経済評論社、2001年3月31日、42頁。


  4. ^ 倉敷笹沖商店街




関連項目



  • ウォルマート地獄

  • レールサイド戦略

  • ドーナツ化現象

  • ファスト風土化



外部リンク



  • 郊外路線商業地(郊外ロードサイド)の地価研究(1)

  • 郊外路線商業地(郊外ロードサイド)の地価研究(2)

  • 郊外路線商業地(郊外ロードサイド)の地価研究(3)








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