グラミー賞



























グラミー賞

第60回グラミー賞
受賞対象
音楽産業において傑出した実績をあげたもの

アメリカ合衆国
授与者
ナショナル・アカデミー・オブ・レコーディング・アーツ・アンド・サイエンス
初回
1959年
公式サイト
http://www.grammy.com/

グラミー賞(グラミーしょう、英:Grammy Awards)は、ナショナル・アカデミー・オブ・レコーディング・アーツ・アンド・サイエンス (NARAS) が主催する音楽賞。当初はグラモフォン・アウォード(Gramophone Award)と呼ばれており、現在グラミー(Grammy)とだけ呼ばれることもある。アメリカ合衆国の音楽産業において優れた作品を創り上げたクリエイターの業績を讃え、業界全体の振興と支援を目的とする賞だが、今日世界で最も権威ある音楽賞のひとつとみなされており、テレビにおけるエミー賞、舞台におけるトニー賞、映画におけるアカデミー賞と同列に扱われる。毎年2月に授賞式が行われ、著名なアーティストによるパフォーマンスや代表的な賞の授賞の模様が全米をはじめ世界の多くの国で放映される。


1959年5月4日、1958年の音楽業界での功績を称える第1回グラミー賞授賞式が行なわれた。
2000年より、NARASがラテン・ミュージック部門の充実を目的とし、ラテン・アカデミー・オブ・レコーディング・アーツ・アンド・サイエンス(LARAS)を設立し、ラテン・グラミー賞が始まる。




目次






  • 1 沿革


  • 2 概要


  • 3 蓄音機形のトロフィー


  • 4 部門


    • 4.1 2012年、カテゴリー再編




  • 5 会場


  • 6 最多受賞者


  • 7 日本人による受賞


  • 8 日本での放送


    • 8.1 テレビ中継


    • 8.2 ラジオ中継




  • 9 脚注


  • 10 関連項目


  • 11 外部リンク





沿革


グラミー賞はハリウッド・ウォーク・オブ・フェーム計画から始まった[1][2]。ウォーク・オブ・フェーム委員会に選出されたレコード会社の重役達は、ハリウッド大通りに星を埋め込まれることのない音楽業界のリーダー達が数多く存在することを理解しており、ウォーク・オブ・フェームの星に値する音楽業界の重要な人々のリストを編集していた。音楽業界の重鎮達はアカデミー賞やエミー賞のような音楽業界の賞を創立することを決心。これがナショナル・アカデミー・オブ・レコーディング・アーツ・アンド・サイエンスの始まりである。名称には蓄音機(phonograph,フォノグラフ、円筒記録方式)を発明したトーマス・エジソン(Thomas Edison)に敬意を表しエディー賞(Eddie)が候補に挙がったが、1958年、最終的にエミール・ベルリナーが発明した蓄音機(gramophone,グラモフォン、円盤記録方式)に因みグラミー賞と名付けられた[3][4][5]


1960年代には「The Best on Record」というタイトルでNBCで放映されていたが、1971年にはABCにて生放映される。1973年からはCBSが放映権を取得している。


なお、日本では「グラミー賞」創設に啓発されるかたちで、翌1959年に日本レコード大賞が創設されている。また、1977年イギリスにおいて、音楽雑誌グラモフォン誌が主催するクラシック音楽の賞グラモフォン・アワード(英語版)と、英国レコード産業協会が主催するポピュラー音楽に関する賞ブリット・アワードが創設され、現在に到っている。



概要


毎年、米国内でリリースされた楽曲とアーティストを対象に選考され、NARASの会員の投票によって選考され、第1回目でノミネート作品が選考され、第2回目で決定されている。
音楽業界で最も栄誉ある賞だとみなされ、受賞結果はセールスに多大な影響を与える。また、アメリカでは注目度の高い祭典の一つであり、2013年2月に行われた第55回グラミー賞の中継番組は2837万人の視聴者数を得た[6]。これはスーパーボウルなどNFLの一部の試合中継やアカデミー賞授賞式中継などに次いで、全米で非常に視聴者数の多い番組の一つになっている。


売り上げが良くても確実にグラミー賞にノミネートするわけではなく、年間第1位の曲でも受賞を逃すことが多い。加えて、2000年に入ってから、その年に最多ノミネートした歌手が最多受賞を逃すケースが増えている。2009年は7部門ノミネートのコールドプレイを筆頭にイギリス出身アーティストが多くノミネートされている。この年の最優秀レコード賞は全てイギリス出身アーティストによる作品が候補に選ばれた[7]



蓄音機形のトロフィー


金色の蓄音機を表現した金めっきのトロフィーはコロラド州リッジウェイのビリングス・アートワークスにより手作りされている。1990年、オリジナルのトロフィーのデザインは改訂され、損傷を防ぐためそれまでの軟鉛からより強い合金となり、戦前のギブソンのバンジョーのフラットヘッド・トーンリングを再現し、トロフィーは以前より大きく壮大になった[8]。受賞者の名前が刻まれたトロフィーは受賞者名の発表があるまで手にすることができないため、テレビで放送されるのは毎年同じ代用品である[9]



部門



以下の4部門は「主要4部門」として特に衆目を集める。これらの賞はジャンルで制限されない。




  • Album of the Year(最優秀アルバム賞) - アルバム演奏者および製作チームに授与される。


  • Record of the Year(最優秀レコード賞) - シングル曲演奏者および製作チームに授与される。


  • Song of the Year(最優秀楽曲賞) - シングル曲の作詞者、作曲者に授与される。


  • Best New Artist(最優秀新人賞) - この1年で著しい活躍をみせた新人に授与される。正確な発売日やデビュー日時は考慮されない。


主要4部門の受賞者はグラミー賞受賞者一覧を参照。


その他の賞はジャンルによってアートワークやビデオを含み演奏者や製作者に授与される。音楽業界へ長年貢献してきた者には特別賞が授与される。


2012年現在78カテゴリーと膨大であり、様々なアーティストの演奏も行なわれることから、上記の主要4部門およびポップ・ミュージック、ロック、カントリー・ミュージック、ラップなど最も人気のあるジャンルから1から2カテゴリーの授賞式のみがテレビ放送される。その他の賞は授賞式当日昼間からテレビ放送前に授与される。



2012年、カテゴリー再編


2011年4月6日、NARASは2012年に行なわれる第54回グラミー賞のカテゴリーの多くの大幅な見直しを発表し[10]、カテゴリー数は109から78に減少した。最も重要な変更点はラップ、ロック、リズム・アンド・ブルース、カントリー、ラップで男女、コラボレーションおよびデュオやグループの区別がなくなったことである。また、インストゥルメンタルのソロのいくつかのカテゴリーがなくなった。これらのカテゴリーは現在他のジャンルの最優秀ソロに含まれる。


ロック部門ではハードロックとメタルは一緒にされ、最優秀ロック・インストゥルメンタル・パフォーマンス賞は演奏者の減少により削除された。


リズム・アンド・ブルース部門ではコンテンポラリー・リズム・アンド・ブルースと他のリズム・アンド・ブルースとのアルバムの差異はなくなった。現在どちらも最優秀リズム・アンド・ブルース・アルバム賞として授与される。


ラップ部門ではソロとデュオおよびグループは合併され、最優秀ラップ・パフォーマンス賞となった。


アメリカン・ルーツ・ミュージック部門において大幅な削除が行なわれた。2011年まではハワイアン・ミュージック、ネイティブ・アメリカン・ミュージック、ザディコまたはケイジャン・ミュージックなどアメリカ国内の様々な地域の音楽のカテゴリーがあった。しかしこのカテゴリーでの演奏者の数が常に少なく、2009年に削除されたポルカと共に最優秀リージョナル・ルーツ・ミュージック・アルバム賞として統合された。


また同部門において、コンテンポラリー・フォークとアメリカーナ、コンテンポラリー・ブルースとトラディショナル・ブルースの区別がなくなってきたことから、ブルースのトラディショナルとコンテンポラリー、フォークのトラディショナルとコンテンポラリーがそれぞれ統合された。ワールドミュージック部門でもトラディショナルとコンテンポラリーが合併された。


クラシック音楽部門では最優秀クラシック・アルバム賞が広義すぎるため、この賞に受賞したアルバムがクラシック部門の他のアルバム賞でも受賞し重複することが多いため削除された。クラシックのアルバムも現在最優秀アルバム賞を受賞可能である。


その他にもより自然に近い名前に変更されるなど、小さな改変がいくつか加えられた。ゴスペル部門は「ゴスペル」という言葉がコンテンポラリー・クリスチャン・ミュージックとかけ離れた伝統的なソウル・ゴスペルを思い起こさせるため、ゴスペル/コンテンポラリー・クリスチャン・ミュージック部門となった。



会場


1971年までグラミー賞授賞式は毎年違う会場で行なわれていた。元々はニューヨーク市とロサンゼルスが主催地であった。1962年、シカゴが主催地に加わり、1965年、ナッシュビルが第4の主催地となった。


1971年、ロサンゼルスのハリウッド・パラディアムで行なわれた第13回グラミー賞が、1箇所で行なわれた最初の授賞式となった。その後ニューヨーク市のマディソン・スクエア・ガーデンのフェルト・フォーラムに移動し、さらにその後2年間はナッシュビルのテネシー・シアターで行なわれた。1974年から2003年、ニューヨーク市とロサンゼルスのいくつかの会場で行なわれた。主な会場はニューヨーク市のマディソン・スクエア・ガーデン、ラジオシティ・ミュージックホール、ロサンゼルスのシュライン・オーディトリアム、ステイプルズ・センター、ハリウッド・パラディアムである。


2004年、ステイプルズ・センターが恒久的授賞式会場となった。グラミー賞の歴史を振り返るグラミー博物館がステイプルズ・センターの向かい側のL.A.ライブに創設された。博物館の歩道にはハリウッド・ウォーク・オブ・フェームのように毎年の最優秀アルバム賞、最優秀レコード賞、最優秀楽曲賞の受賞者のブロンズ・ディスクが埋め込まれている。



最多受賞者


ゲオルク・ショルティが史上最多の31回受賞者である[11]。女性ではアリソン・クラウスが27回受賞で最多[12]。グループでは22回受賞のU2が最多である。



日本人による受賞


グラミー賞の公式ウェブサイトのPast Winners (過去の受賞者)の項目に記載されている日本の歴代受賞者。現在はアメリカ国籍であるオノ・ヨーコも過去に受賞している。











































































受賞年 (回) 受賞者 部門 備考
1987年

第29回


石岡瑛子 ベスト・アルバム・パッケージ賞
マイルス・デイヴィスのアルバム「Tutu」のアルバムアートのデザイナー
1989年

第31回


坂本龍一 ベスト・アルバム・オヴ・オリジナル・インストゥルメンタル・バックグラウンド・スコア賞 映画「ラスト・エンペラー」のサウンドトラック作曲による受賞
2001年

第43回


喜多郎 ベスト・ニュー・エイジ・アルバム賞 アルバム「Thinking Of You」が受賞
2002年

第44回


熊田好容 ベスト・ポップ・インストゥルメンタル・アルバム賞
ラリー・カールトン&スティーヴ・ルカサーのライブアルバム「No Substitutions - Live in Osaka」のレコーディング・エンジニアとして受賞
2008年

第50回


中村浩二 ベスト・ニュー・エイジ・アルバム賞 ポール・ウィンター・コンソートのアルバム「Crestone」の太鼓奏者
2011年

第53回


松本孝弘 ベスト・ポップ・インストゥルメンタル・アルバム賞
B'zのギタリスト。4度のグラミー受賞歴のラリー・カールトンのパートナーとして作成されたアルバム「Take Your Pick」が受賞
2011年

第53回


内田光子 ベスト・インストゥルメンタル・ソリスト・パフォーマンス賞 アルバム「モーツァルト:ピアノ協奏曲第23番・第24番」
2011年

第53回


上原ひろみ ベスト・コンテンポラリー・ジャズ・アルバム賞 受賞したスタンリー・クラークのアルバム「The Stanley Clarke Band」のピアノ奏者。
2014年

第56回


Sadaharu Yagi ベスト・ラテン・ポップ・アルバム賞
ドラコ・ロサのアルバム「VIDA」を手掛けたエンジニアとして受賞。同作で2013年(第14回)ラテン・グラミー賞も受賞。
2016年

第58回


小澤征爾 クラシック部門「ベスト・オペラ・レコーディング賞 ラヴェル作曲:歌劇「こどもと魔法」。2013年8月に長野県松本市で録音。サイトウ・キネン・オーケストラが演奏し、地元の子供らの合唱団も参加。
2017年

第59回


内田光子 最優秀クラシック・ソロ・ボーカル・アルバム賞 ドイツのソプラノ歌手、ドロテア・レシュマンさんの伴奏を務めた、アルバム「シューマン:リーダークライス、女の愛と生涯/ベルク:初期の7つの歌」


日本での放送



テレビ中継


1989年の授賞式まではテレビ朝日系で放送され、翌1990年の授賞式からはテレビ東京系に移る。その後、1990年代後半よりWOWOWで放送されている。生中継は同時通訳を介して放送され、再放送は字幕スーパーによる放送となる。


2017年の放送

  • WOWOWで生中継

案内役:ジョン・カビラ、ホラン千秋


ラジオ中継


1980年に、FM大阪が日本国内での独占放送権を獲得し、JFN系全国ネットで放送された。なお、一時期阪急グループがラジオ中継の冠スポンサーに付き、同グループと関係が深い高島忠夫がメインパーソナリティを担当したことがある。その後、InterFM、2008年はミュージックバードが生中継した。親会社のTOKYO FMでもその一部を放送した。2014年は新たにcross fmが時報、コマーシャル無しでの生中継を実施。


2014年以降の放送

  • InterFM

パーソナリティ:アリ・モリズミ、南美布 / 現地リポーター:大友博

  • cross fm

パーソナリティ:立山律子

2009年以降の放送

  • InterFMが生中継。

2008年の放送

  • MUSIC BIRD

パーソナリティ:萩原健太、荒ヶ田貴美

  • TOKYO FM

パーソナリティ:西任白鵠(第1部)、Filiz(第2部)

  • FM NORTH WAVE

パーソナリティ:タック・ハーシー

2007年の放送

  • InterFMが生中継。


脚注


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  1. ^ “Hollywood Walk of Fame History”. Los Angeles Times. http://projects.latimes.com/hollywood/star-walk/about/ 2011年5月21日閲覧。 


  2. ^ “Hollywood Walk of Fame History”. Hollywood Walk of Fame. 2011年5月21日閲覧。


  3. ^ Thomas, Bob (1959年4月8日). “Record Academy Plans TV Spectacular Of Its Own”. Ocala Star-Banner. http://news.google.com/newspapers?id=NnRPAAAAIBAJ&sjid=5wQEAAAAIBAJ&pg=1440,1446700&dq=paul+weston&hl=en 2011年1月29日閲覧。 


  4. ^ “Recording Stars Plan Eddie To Join Oscar And Emmy”. The Deseret News. (1957年8月9日). http://news.google.com/newspapers?id=ca9NAAAAIBAJ&sjid=cEgDAAAAIBAJ&pg=7065,1739274&dq=paul+weston&hl=en 2011年2月2日閲覧。 


  5. ^ “Bronze Stars Begot Grammy”. The Robesonian. (1976年2月22日). http://news.google.com/newspapers?id=aSBAAAAAIBAJ&sjid=Z1gMAAAAIBAJ&pg=3612,4838071&dq=paul+weston+grammy&hl=en 2011年5月2日閲覧。 


  6. ^ FYI/TMI: 55th Annual GRAMMY Awards Draws High Ratings And Record Social Media Comments Grammy.com February 13, 2013. 2013年2月14日閲覧。


  7. ^ グラミー・アワーズ・ノミネート、UKアーティストが大健闘


  8. ^ “Making the Grammy”. Billingsartworks.com (2006年). 2010年8月28日閲覧。


  9. ^ “About Billings Artworks”. Billingsartworks.com (2006年). 2010年8月28日閲覧。


  10. ^ “Recording Academy Awards Category Restructuring”. Grammy.org (2011年4月6日). 2011年8月5日閲覧。


  11. ^ Tommasini, Anthony (2003年2月23日). “Music: the Grammys/Classical; Fewer Records, More Attention”. The New York Times. http://www.nytimes.com/2003/02/23/arts/music-the-grammys-classical-fewer-records-more-attention.html 2010年8月28日閲覧。 


  12. ^ By Todd Leopold CNN (2009年2月9日). “Plant, Krauss rise with 'Raising Sand' at Grammys”. CNN. http://www.cnn.com/2009/SHOWBIZ/Music/02/08/grammy.night/index.html 2010年8月28日閲覧。 




関連項目



  • ラテン・グラミー賞

  • グラミー賞 クラシック現代作品部門

  • グラミー賞 映画・テレビサウンドトラック部門

  • 音楽に関する賞



外部リンク



  • 公式ウェブサイト(英語)














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