ホラガイ
ホラガイ | |||||||||||||||||||||
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生きたホラガイ(撮影地グアム) | |||||||||||||||||||||
分類 | |||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||
Charonia tritonis (L., 1758) | |||||||||||||||||||||
和名 | |||||||||||||||||||||
ホラガイ | |||||||||||||||||||||
英名 | |||||||||||||||||||||
Triton's trumpet |
ホラガイ(法螺貝、Charonia tritonis、英: Triton's trumpet)は、フジツガイ科(旧分類 中腹足目 フジツガイ科)に属する巻貝の一種。日本に産する最大級の巻貝。サンゴを食害するオニヒトデを食べることから『オニヒトデの天敵』と言われることもあるが、オニヒトデの大量発生を抑える程の効果は無いとされる(詳しくはオニヒトデの項目を参照の事)。内臓の部分を除く身の部分は刺身などの食用とされる他、貝殻の部分は楽器として使用される。
目次
1 楽器としての利用
2 備考
3 脚注
4 関連項目
楽器としての利用
貝殻の殻頂を4-5センチ削り、口金を石膏で固定して加工した吹奏楽器が、日本、東南アジア、オセアニアで見られ、日本では、使用例は平安時代から確認でき、12世紀末成立の『梁塵秘抄』の一首に、「山伏の腰につけたる法螺貝のちやうと落ちていと割れ砕けてものを思ふころかな」と記され、同じく12世紀成立の『今昔物語集』においても、本朝の巻「芋がゆ」の中で、人呼びの丘と呼ばれる小高い塚の上で法螺貝が使用されていた記述がある。戦国時代には合戦における戦陣の合図や戦意高揚のために、陣貝と呼ばれる法螺貝が用いられた[1][2]。
現存する中世の法螺貝笛として、「北条白貝(大小2つ、日本名貝の一つ)」があり、現在、福岡市美術館所蔵で、由来は16世紀末の小田原征伐の際、降伏した北条氏直が黒田如水の仲介に感謝し、贈ったものの一つとされる[3]。
修験道においては、立螺作法(りゅうらさほう)と呼ばれる実践が修行される。立螺作法には、当山派・本山派などの修験道各派によって流儀を異にし、吹奏の音色は微妙に違う。大まかには乙音(低音側)、甲音(高音側)、さらには調べ、半音、当り、揺り、止め(極高音)などを様々に組み合わせて、獅子吼に擬して仏の説法とし、悪魔降伏の威力を発揮するとされ、更には山中を駈ける修験者同士の意思疎通を図る法具として用いられる。
昭和初期に発表された醍醐寺三宝院当山派本間龍演師の『立螺秘巻』は、その後の修験者、とりわけ吹螺師を修行する者の必須テキストとして評価伝承されている。
東大寺二月堂の「お水取り」では、堂内から鬼を追い祓うため、法螺貝が吹き鳴らされる。
J-POPでは歌手の忌野清志郎が生前よくライブ等で愛用していた。
楽器分類法上は、唇の振動で音を出すため金管楽器に分類される。
備考
新渡戸稲造が聞いた話として、「戦争で用いられる法螺笛は、なるべき傷があるものが選ばれたとされ、その理由として、海底で波とうに打たれ、たたかれ、かしこの岩や石にぶつかり、かん難を重ねた貝が一番良い音を発するゆえ、漁師が取っていた」としている(新渡戸稲造 『修養』明治44年刊、第十章「逆境にある時の心得」内の「逆境の人は心に疵を受けやすい」の項より)。
脚注
^ 上泉信綱伝の『訓閲集』(大江家の兵法書を戦国風に改めた兵書)において戦場における作法が記述されている。
^ ただし、西日本で取れる材料であることから、東では代用品として、「竹ぼら」が作られ、用いられた。音は、法螺貝の音色に似ており、2012年11月4日(日曜)放送の日本テレビの番組『音のソノリティ』においても紹介されている。従って、法螺貝でなくては出せない独特の音というわけではない。
^ 『歴史読本 5 2013 特集 徹底検証!黒田官兵衛』 新人物往来社 p.12.
関連項目
- 山伏
- トゥンカル
- ほら話
デロレン祭文 - 別名「貝祭文」。幕末から明治に盛んであった芸能。法螺貝に口を当てるが、吹くのではなく「でろれんでろれん」と声を出す(拡声器として使用)。
トリートーン - 欧米では、ホラガイは「トリトンのトランペット」と呼ばれる。