蒸留酒
この記事は検証可能な参考文献や出典が全く示されていないか、不十分です。 出典を追加して記事の信頼性向上にご協力ください。(2013年9月) |
蒸留酒(じょうりゅうしゅ)とは、醸造酒を蒸留して作った酒である。スピリッツ(spirit)とも呼ばれる。
基本的にはアルコール度数が高いものの、蒸留後に加水した場合でも蒸留酒とされるので、アルコール度数を大きく落とすことも可能である。世界各地に、地域に応じた様々な蒸留酒が存在する。
目次
1 蒸留酒の製造原理
2 歴史
3 各種の蒸留酒
4 脚注
5 関連項目
6 外部リンク
蒸留酒の製造原理
酵母によるアルコール発酵で作り出される醸造酒のアルコール度数は16%~20%が限界であり、これ以上の濃度では酵母自身が死滅してしまう。そのためこれ以上度数を上げるにはエタノールの濃縮が必要になるが、1気圧におけるエタノールの沸点は約78.325℃、水の沸点は約100℃と差があるので、単純に加熱濃縮した場合はエタノールの方が気化しやすく、逆に度数が下がってしまう。そこで蒸発したエタノールの方を集めて濃縮する蒸留を行う必要がある。
醸造酒を蒸留器で加熱すると、沸点の低いエタノールが水よりも盛んに気化してくる。この蒸気を集めて冷却することで液体に戻すと、元の醸造酒よりもエタノールが濃縮されているため、アルコール度数の高い酒になる。これが蒸留酒であり、気化せずに残った液体は蒸留残液と呼ばれる。
蒸留を繰り返すことでさらに高いアルコール度数を得ることが可能である。ただし、共沸という現象により、蒸留ではアルコール度数96%までしか度数を上げられない。
一般に、連続式蒸留器を用いた蒸留では、単式蒸留器を用いた蒸留を何度も繰り返すことに相当する蒸留を行うことが多い。蒸留を進ませると、エタノール以外の成分の除去も進み、原料や発酵副産物に由来する風味は薄くなる。癖を除くため、蒸留でアルコール濃度を高めた後に加水することもある。
蒸留酒は貯蔵によって香りが変化する。蒸留直後は飲用に適さない香りであることも多く、通常は一定期間貯蔵し熟成させる。熟成には金属容器や陶器が用いられることもあるが、熟成に木製の樽を用いて、木に由来する香りや色をつけることもある。
歴史
紀元前4世紀から紀元前3世紀にかけてのメソポタミアの北部で簡単な蒸留器が出土している。そして紀元前1300年頃のエジプトでは、ナツメヤシの蒸留酒が売られていた。中世の錬金術師によって蒸留酒の技術は確立され、その蒸留酒はアクアヴィテ(生命の水)と呼ばれた。
タイ米に黒麹菌を繁殖させ、麹にした泡盛は日本最古の蒸留酒だといわれる。[1][2]
各種の蒸留酒
名称 | 原料例 | 区分 |
---|---|---|
アクアビット | ジャガイモ | |
アラック | 果実、穀物、ヤシの師管から採取する液など多様 | アラック |
アルヒ | 家畜乳 または 穀物 | アラック または ウォッカ |
アワ泡盛 | インディカ米 | 焼酎 |
ウイスキー | 大麦、小麦、ライ麦、トウモロコシ | |
ウォッカ | ライ麦、グレーン、甜菜、フルーツ、ジャガイモなど多様 | ウォッカ |
カシャッサ(ピンガ) | サトウキビ | ラム酒[a] |
キルシュヴァッサー | サクランボ | |
コルン | 小麦、ライ麦 | |
シヨ焼酎 | 米、麦、サツマイモ、黒糖、そば、栗、トウモロコシ、酒粕、糖蜜 | 焼酎 |
ジン | 大麦、ライ麦、ジャガイモ | |
スピリタス | 穀物、ジャガイモ | ウォッカ( ポーランド) |
ソジュ | 米、ジャガイモ、コムギ、オオムギ、サツマイモ、タピオカ | 焼酎(韓国焼酎とも称される) |
チユ中性スピリッツ | 飲用が可能な醸造酒 | |
テキーラ | 竜舌蘭 | メスカル |
ハイ白酒(パイチュウ) | 穀物 | 白酒 |
マオ茅台酒(マオタイ酒) | 高粱 | 白酒 |
ブランデー | 果実酒 | ブランデー |
アルマニャック | 白ブドウ | ブランデー |
カルヴァドス | リンゴ | ブランデー |
グラッパ | ブドウの搾りかす | ブランデー |
コニャック | ブドウ | ブランデー |
シンガニ | ブドウ | ブランデー |
ピスコ | ブドウ果汁 | ブランデー |
メスカル | 竜舌蘭 | メスカル |
ラク | ブドウ | アラック |
ラム酒 | サトウキビ、糖蜜 | ラム酒 |
ワラギ | バナナ、キャッサバ |
^[a]ブラジルでは「カシャッサはラム酒ではない」と明確に区別している。
脚注
^ “日本最古の蒸留酒「泡盛」を探る | 暮らしの発酵” (日本語). 暮らしの発酵. 2018年8月17日閲覧。
^ 宮崎正勝 『知っておきたい「食」の日本史』 角川学芸出版〈角川ソフィア文庫〉、2009年。ISBN 978-4-04-406412-9。
関連項目
- リキュール
- アグアルディエンテ
外部リンク
- FOR WHISKY III.お酒の歴史 III-2.蒸留酒の歴史
|
|