クラス地方
クラス地方(スロベニア語:Kras、イタリア語:Carso)あるいはカルスト地方(ドイツ語:Karst)は、スロベニア西南部からイタリア北東部にかけての台地を指す地域名称。ヴィパーヴァ谷、ブルキニ(Brkini)の丘陵、トリエステ湾に囲まれた地域であり、その西縁はイタリア人とスロベニア人の伝統的な民族境界となっている。
この地方に多く見られる石灰岩の地形から、カルスト地形という地理学用語が生まれた。
地理的特徴
カルスト台地は、東南側を除いて、周辺から急傾斜で立ち上がっている。台地は東南側が高く、西南側が低くなっており、平均標高は334mである。アドリア海に向かって急角度で標高を下げるため、海洋性の気候の影響はあまり受けない。森林は台地の3分の1を覆っており、植生はかつてはオークが主であったが、現在はマツが主流をなしている。この地の木材はヴェネツィアに運ばれ、杭としてヴェネツィアを支えている。
カルスト地方はその洞窟(鍾乳洞)で有名である。スロベニアにあるヴィレニツァ鍾乳洞は、観光用に開放された洞窟として長い歴史を持ち、シュコツィアン洞窟群はユネスコの世界遺産に登録されている。イタリアにあるグロッタ・ジガンテは、世界一大きな観光洞窟としてギネスブックに認定されている。
ボーラと呼ばれる地方風を含め、カルスト台地の自然環境は、この地の農業に、単純だがくっきりとした形を与えている。カルスト地方は、テランの名で知られる濃厚な色をした赤ワインや、生ハム(プロシュット)でも有名である。
地理的範囲
カルスト台地の面積は429km2、ちょうど100の集落があり、1万9000人が住んでいる。 大部分はスロベニアのプリモルスカ地方に属する。地域の中央部に位置する町は、スロベニア側のセジャーナである。主要な集落はディヴァーチャ、ドゥトヴリェ(セジャーナ市)、コメンである。台地の北縁にあるシュタニェル(コメン市)は、丘のまわりに家屋が密集する中世風の家並みが美しく、観光の拠点になっている。リピツァ(Lipica、セジャーナ市)の馬の牧場はリピッツァナーの故郷であり、観光地としても有名である。
イタリア側にはヴィッラ・オピチナ(トリエステ市)、ドゥイーノ(Duino、ドゥイーノ=アウリジーナ村)、ナブレジナ(Nabrežina、ドゥイーノ=アウリジーナ村)などの集落がある。
カルスト地方(クラス地方、カルソ地方)には、以下の町の全部もしくは一部が含まれている。
イタリア
- サヴォーニャ・ディゾンツォ
- ドベルド・デル・ラーゴ
サグラードの一部
モンファルコーネの一部- ドゥイーノ=アウリジーナ
- ズゴニーコ
- モンルピーノ
トリエステの一部
サン・ドルリーゴ・デッラ・ヴァッレの一部
スロベニア
ミレン=コスタニェヴィツァの一部- コメン
- セジャーナ
- ディヴァーチャ
フルペリェ=コジナの一部
ピフカも含めることがある。
シュタニェル(Štanjel)の村
シュタニェルから眺めるカルストの眺め
ドゥイーノの景観
ナブレジナ(Nabrežina)の崖
トリエステ県のカルスト
モンルピーノにある要塞化した教会
セジャーナ郊外のロケフ(Lokev)の村
ドベルドの湖
関連項目
- スロベニアの地理
- イタリアの地理
- プリモルスカ地方
- リピッツァナー