鍛造
鍛造(たんぞう、forging)とは、金属加工の塑性加工法の一種。金属をハンマー等で叩いて圧力を加える事で、金属内部の空隙をつぶし、結晶を微細化し、結晶の方向を整えて強度を高めると共に目的の形状に成形する。古くから刃物や武具、金物などの製造技法として用いられてきた。
金属の素材を金型などで圧力を加えて塑性流動させて成形する。鍛流線 (fiber flow) が連続するために組織が緻密になり、鋳造に比べて鋳巣(空洞)ができにくいので、強度に優れた粗形材をつくることができる。
目次
1 鍛造の分類
2 鍛造方法
3 鍛造機械
4 鍛接
5 鍛造を利用した部品例
5.1 レシプロエンジン
5.2 航空機
6 関連項目
鍛造の分類
熱間鍛造 (hot forging) :素材の変形抵抗を減少させるために再結晶温度以上の高温に加熱して成形する。
冷間鍛造 (cold forging) :再結晶温度以下の常温で成形する。仕上がりの製品の寸法精度が熱間鍛造より優れる。
溶湯鍛造:鋳造の改善工法、凝固収縮による鋳巣の発生をふせぐため、半凝固状態で加圧する。
鍛造方法
大きく分けて以下に大別される
型鍛造 (die forging) :鍛造用金型を用いて鍛造する。初期投資が高価となるので大量生産向き。
自由鍛造 (free forging) :加工物を治具などにセットして、ハンマー等で成形する。初期投資は比較的安く済むが熟練の技術が必要で、少量生産向き。
鍛造機械
現代の鍛造では、次のような鍛造機械が用いられる。
ハンマー:おもにエアハンマー(上下運動型)・スプリングハンマー(クランク式)が用いられる。
鍛造プレス:機械プレスや液圧プレスなどがある。
トランスファープレス:型鍛造を自動化する大型プレス。
鍛接
鍛接 (forge welding) は、金属を接合する技術の一つで、圧力を加えて接合面を密着させ、一体化させる技法。代表例としては、刃物を製造する際に鋼と軟鉄を鍛接する技法が知られている。鋼管の製造法として帯状の鋼材を丸めて接合部を鍛接する方法がある。
鍛造を利用した部品例
- 歯車
- ゴルフクラブ(アイアン)ヘッド
- アルミホイール
レシプロエンジン
レシプロエンジン:
- ピストン
コネクティングロッド(コンロッド;連接棒)- カムシャフト
- クランクシャフト
- ロッカーアーム
航空機
航空機:
- プロペラブレード(アルミニウム合金のもの)
- ランディングギア
関連項目
ショットピーニング (Shot peening)- 鋳造
- 転造
- 機械材料
- 鍛治