青春18きっぷ
青春18きっぷ(せいしゅんじゅうはちきっぷ)は、旅客鉄道会社全線(JR線)の普通列車、快速列車が11,850円で1日乗り放題を5回利用可能[1]となる、販売および使用期間限定の特別企画乗車券(トクトクきっぷ)である。本項では青春18きっぷの前身である青春18のびのびきっぷについても述べる。
目次
1 概要
2 利用規定
2.1 発売期間・利用期間
2.2 効力
2.3 乗車できる列車等
2.4 特急列車に乗車できる特例
2.4.1 特例が適用される例
2.4.2 特例が適用されない例
2.4.3 使用できない路線
2.5 一部の第三セクター鉄道の普通列車に乗車できる特例
2.5.1 道南いさりび鉄道線
2.5.2 青い森鉄道線
2.5.3 あいの風とやま鉄道線
2.5.4 IRいしかわ鉄道線
3 歴史
3.1 夜間の長距離移動
3.2 発売枚数
3.3 赤い地紋の青春18きっぷ(常備券、販売終了)
4 発売箇所
5 関連商品
5.1 青春18きっぷ利用者向けの企画乗車券
5.2 書籍など
6 脚注・出典
6.1 注釈
6.2 出典
7 関連項目
8 外部リンク
概要
日本国有鉄道(国鉄)旅客局が、運賃増収策の一環として企画し、1982年(昭和57年)3月1日に「青春18のびのびきっぷ」として発売を開始。1983年(昭和58年)春季発売分から現名称に改称した。
主に学生などの春季・夏季・冬季休暇期間を利用期間として発売され、原則として新幹線・特急・急行を除く旅客鉄道会社全線の普通列車・快速列車など、運賃のみで乗車できる列車に乗車することができる。
2014年(平成26年)夏季以降の販売価格は、5回(人)分で11,850円(消費税率8%化にともなう改定[1])。第1回発売時は8,000円で、のち10,000円に変更。1986年(昭和61年)冬季に11,000円に値上げされた後、1989年(平成元年)4月1日に、消費税の導入と税率引き上げによる値上げが行われて、現行価格となっている(なお、後述のように2007年(平成19年)春季はJR発足20周年・青春18きっぷとして8,000円で発売[2])。主として学生向けの商品として企画されたが、利用者の年齢制限はなく、小児運賃の設定もない。
JRホテルグループの予約センターに宿泊を申し込み、当日現地で青春18きっぷを提示すると、ホテル宿泊料金の割引等が受けられる[3]などの特典が一部に設けられている(関連商品参照)。
「青春18きっぷ」の名称の由来については、当時国鉄旅客局長だった須田寛により、青少年・学生をイメージした「青春」と、その象徴的な年齢で「末広がりの8」にも通じる「18」を組み合わせたと、後年に須田が説明している。国鉄分割民営化後、JR各社を代表して東日本旅客鉄道(JR東日本)が1994年(平成6年)に商標登録(商標登録番号第3007644号)を行った。
利用規定
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発売期間・利用期間
利用期間は学生・生徒がおおむね長期休暇(春休み・夏休み・冬休み)に入る期間で、その開始約10日前から終了日の10日前まで発売される。
- 春季[4]
- 発売期間:2月20日 - 3月31日
- 利用期間:3月1日 - 4月10日
- 発売期間:2月20日 - 3月31日
- 夏季[4]
- 発売期間:7月1日 - 8月31日
- 利用期間:7月20日 - 9月10日
- 発売期間:7月1日 - 8月31日
- 冬季[1][4]
- 発売期間:12月1日 - 12月31日
- 利用期間:12月10日 - 1月10日
- 発売期間:12月1日 - 12月31日
ゴールデンウィークは利用期間に含まれていない。なお、秋は、秋の乗り放題パス(2012年[5]から[6]。2011年までは鉄道の日記念・JR全線乗り放題きっぷ)が発売されている。
払い戻しは、利用期間内で5回とも未使用の場合に限り取扱箇所で行える(220円の払戻し手数料がかかる[7])。利用期間が終了した後は5回とも未使用でも払い戻しは受けられない。列車の運休・遅延等による場合など、いかなる理由でも一度使用開始した回(日)の取消はできず、払い戻しおよび利用期間の延長もできない。利用期間が終了したきっぷは5回使用していなくても無効となり、次の利用期間にまたがって使用することはできない。
効力
1枚で、利用可能期間中の任意の日に5回まで利用できる。5回分は一度に連続して使用しなくてもよく、利用期間内であれば別々の日に1回ずつ使うことができる。1枚を複数人数で同時に使うことも可能で、その場合は同一日に人数分の回数を使用することになる。未使用のきっぷであれば1枚を1日に5人で同時に使用することも可能である。ただし複数人で使用する場合、入場・出場時は集団で行動することになる。
自動改札機は利用できないため、有人通路を利用する。
現行の様式となってからは、1枚の券面に5箇所ある乗車日記入欄への改札印の押印等による日付の記載により使用開始を示す方式を採用しており、各回とも最初に乗車する際に、有人駅の場合は有人改札の駅員に、無人駅においては乗車した列車の車掌(ワンマン運転の場合は、停車中に車掌業務を行う運転士)が乗車印と日付を記入する。
1回分は原則乗車日当日限り有効で、乗車日内(0時から24時までの間)であれば、何度でも乗降や途中下車ができる。日付をまたいで運転する列車については、0時を過ぎて最初に停車する駅まで有効(0時を跨いで停車している列車はその停車駅まで有効)である。なお、これは「乗降可能な駅」のことであり、時間調整や乗務員交代等のいわゆる「運転停車」は通過扱いなので、これに該当しない。例えば、2009年に廃止になったムーンライト九州は日付変更前に厚狭駅を出発し、日付変更後に広島駅で運転停車していたが、岡山駅までは乗降できなかったので岡山駅まで有効とされていた。ただし、東京および大阪近郊の電車特定区間(大都市近郊区間ではない)では0時を過ぎても、終電まで有効である。
なお、乗車日の24時(翌日0時)以降終電までに、電車特定区間の駅と区間外の駅との間を乗車する場合は、電車特定区間の境界の駅と区間外の降車駅との間で有効な乗車券などが必要となる。このことから、特に夜行列車を利用する旅客にとって(前日夜に乗車してから日付が変わるまでの区間において)青春18きっぷを2回分使用したほうが得か否かは、その列車が0時を過ぎて最初に停車する駅によって左右される。例えば2007年のダイヤ改正において、下り「ムーンライトながら」の日付変更駅は横浜駅から小田原駅へと大きく移動した。
乗車できる列車等
- JR線普通列車・快速列車の普通車自由席
- 快速列車は特別快速、新快速等や、列車名のある快速(例、快速アクティー)を含む。
- 普通・快速列車の普通車指定席は別に指定席券を購入すれば乗車できる(利用可能な設備は「普通列車の普通車」であるため。前身の「青春18のびのびきっぷ」の初回発売当初からそうであった)。また、ホームライナーなど整理券制度のある列車についても乗車整理券・ライナー券を購入することで利用できる。
- 新青森 - 青森間では、全車指定席の快速・普通列車の普通車指定席の空席に、指定席券なしで乗車できる(この区間相互発着の場合に限る。2017年春季から)。
- 普通・快速列車のグリーン車自由席に限り、グリーン券を別に購入[注 1][8]することで利用できる(2004年冬季から)。
- グリーン車自由席を連結した普通・快速列車は、多くがJR東日本の東京近郊区間で設定[9]されている。湘南ライナーのグリーン車自由席も可能。一方「中央ライナー・青梅ライナー」、瀬戸大橋線の快速「マリンライナー」、「ホームライナー中津川」などのグリーン車は指定席であるため別途乗車券も必要となる。
- 列車でないもののうち、以下のものに乗車可能である。
- JR線の代行バス(JRの乗車券で利用できる代行バス) - 代行バスが運行されている場合、乗車券の発券については運行中のJR線と同等に取扱うため。
気仙沼線・大船渡線のBRT
JR西日本宮島フェリーの宮島航路 - かつては宮島航路を含む国鉄・JRの鉄道連絡船(青春18きっぷ発売当初は宮島航路の他に青函連絡船・宇高連絡船・仁堀連絡船が運航されていた)の普通船室に乗船が可能であり、現在でも宮島航路が利用可能である。
JR以外の鉄道事業者からの直通列車が運行されるJR線区間(七尾線 七尾 - 和倉温泉間、鹿島線 鹿島神宮 - 鹿島サッカースタジアム間など)や、他鉄道事業者所有・運行であるもののJR線の運賃が適用される場合(東京メトロ千代田線 綾瀬 - 北千住間など)があり、こうした例ではJRの運賃が適用される区間であればほぼ利用可能である。ただし私鉄として運行される場合は利用不可能な場合もあり、例えば井原鉄道の列車で清音 - 総社間を青春18きっぷで乗車することはできない[10](伯備線の列車で乗車することはJR線なので可能)。
特急列車に乗車できる特例
以下の区間では、青春18きっぷのみで特急列車の普通車自由席を利用できる。
普通列車が運行されておらず、特急列車のみ運行しているため
石勝線 新夕張 - 新得間
- 過去の特例
津軽海峡線 蟹田 - 木古内間(2016年3月21日まで適用)[注 2]。
普通列車は運行されているが、利用客の利便性向上のため
奥羽本線 新青森 - 青森間(2012年夏季発売分より)
宮崎空港線 宮崎 - 宮崎空港間
佐世保線 早岐 - 佐世保間(2018年3月17日から適用)
ただし以下の場合は、特急列車に乗車した全区間の運賃および特急料金が必要となる。
石勝線および奥羽本線の特例区間の場合(過去に存在した津軽海峡線の特例区間も同様)
- 特例区間を越えて利用する場合(以下に該当する場合を含む)。
- 乗車列車が特例区間の境界駅を通過するため乗下車することができない場合。
- 特例区間の境界駅あるいは中間駅で特急列車から一旦下車し、再度同じ列車に乗車した場合。
- 特例区間内であっても、普通車自由席以外を利用する場合。
宮崎空港線および佐世保線の特例区間の場合は、下記の通り上述の制限が緩和されている。
- 特例区間外の有効な乗車券類と組み合わせて引き続きの利用が可能。
- 座席指定券により普通車指定席、自由席グリーン券(普通列車用)によりグリーン車自由席を利用できる[11][注 3]。
(特例区間内で特急列車を下車し、特例区間外にまたがる後続の特急列車に乗車する場合は、後者の特急列車に対する運賃・特急料金のみが必要となる)
例外規定については「特急料金不要の特例区間」も参照。
特例が適用される例
南千歳 - 新夕張間を普通列車で乗車し、新夕張 - 新得間を特急「スーパーおおぞら」または「スーパーとかち」の普通車自由席に乗車、新得 - 帯広間を普通列車に乗車。
- 特急列車の乗車が特例区間内のみであるため、本きっぷのみで乗車できる。
- 本きっぷを用いて青森 - 新青森間を特急「つがる」の普通車自由席に乗車。新青森から新幹線「はやぶさ」に乗り換え、新青森 - 新函館北斗間を乗車券と立席特急券で乗車。
- 特例区間外の特急列車(新幹線)に乗り継いでいるが、同一の列車ではないため特例区間内の特急「つがる」には本きっぷのみで乗車できる。
- 宮崎空港 - 延岡間を特急「ひゅうが」・「にちりん」の普通車自由席を、本きっぷと宮崎 - 延岡間の乗車券・自由席特急券を用いて乗車。
- 宮崎空港線と佐世保線の特例区間は特例区間外とのまたがり乗車が認められているため、宮崎空港 - 宮崎間の特例区間内で本きっぷは有効となる。
特例が適用されない例
- 青森 - 弘前間を特急「つがる」普通車自由席に乗車(青森から境界駅である新青森を超えて弘前まで乗車)。
- 帯広 - 新得間を普通列車に乗車、次に乗車する特急「スーパーおおぞら」が新夕張駅を通過するため、新得 - 南千歳間の特急普通車自由席に乗車。
- 石勝線および奥羽本線の特例区間では特例区間外とのまたがり乗車は認められていないため、本きっぷは使用できない。特急列車乗車全区間に対する運賃・特急料金が必要となる。
- 新得 - 新夕張間を特急「スーパーとかち」に本きっぷを用いて乗車、新夕張でいったんホームに降りた後、同一の「スーパーとかち」に再度乗車し、自由席特急券と乗車券を用いて南千歳まで乗車。
- 石勝線および奥羽本線の特例区間では、他の乗車券類と組み合わせても同一の列車で特例区間内外をまたがり乗車することはできない。この場合も特急列車乗車全区間(新得 - 南千歳間)に対する運賃・特急料金が必要となる。
- 新夕張 - 新得間を特急「スーパーおおぞら」の普通車指定席またはグリーン車指定席に乗車。
- 石勝線および奥羽本線の特例区間では特例区間内の乗車であっても、普通車自由席以外では使用できない。乗車全区間に対する運賃と普通車指定席またはグリーン車指定席の特急料金が必要となる。
使用できない路線
新幹線は全列車が特急列車であり、特例もないため利用できない。
- ただし、本州と北海道を結ぶ海峡線では2016年3月26日に北海道新幹線が開業したことにより、在来線旅客列車(団体専用列車を除く特急と急行)が全廃されたため、北海道新幹線においては、有効な「青春18きっぷ」を携行している場合に限り「青春18きっぷ北海道新幹線オプション券」(2,300円)を追加購入することで、奥津軽いまべつ駅 - 木古内駅の間で片道1回のみ普通車の空席を利用できる(北海道新幹線#乗車券の特例制度)[注 4][注 5]。なおこれは、「北海道&東日本パスの新幹線特例制度」とは内容が大きく異なる。
- 新幹線車両・設備を用いつつも在来線扱いとなっている博多南線および上越線の支線越後湯沢 - ガーラ湯沢間は、すべて特急列車のみの運行となっており、特例区間扱いにもなっていないため青春18きっぷは利用することができない。
- 発売開始以来、JR線以外の会社線(私鉄・公営鉄道・第三セクター等の路線)では原則として使用することができず、JR線と会社線を直通運転する列車を利用する場合、会社線内の乗車区間についてはその区間に有効な乗車券類が別に必要となる。整備新幹線の開業により第三セクターへ転換された路線であっても原則使用できないが、特定の区間に限り通過乗車もしくはJRとの接続駅同士の乗車に限り青春18きっぷが利用可能である(後述)。
- 典型的な例では、快速「みえ」に乗車して名古屋 - 鳥羽間を利用する際、ショートカットのために途中河原田 - 津間を伊勢鉄道伊勢線経由で利用する場合は別途伊勢鉄道の510円の運賃が必要となる。
- なお智頭急行、三陸鉄道および肥薩おれんじ鉄道では、有効な青春18きっぷを提示することを条件として発売する企画乗車券が設定されている(後述)。
- JRの関連会社が運営する各線(JR東日本関連の東京モノレール・東海旅客鉄道(JR東海)関連の東海交通事業・西日本旅客鉄道(JR西日本)関連の嵯峨野観光鉄道・九州旅客鉄道(JR九州)関連のJR九州高速船)および、JRバス各社なども利用できない。
一部の第三セクター鉄道の普通列車に乗車できる特例
接続していたJR幹線が新幹線の開業により並行在来線として経営分離・第三セクター化されたことでJR在来線との接続がなくなったJR路線(飛び地路線)について、その飛び地路線の起点の駅につながる一部の第三セクター鉄道区間の普通列車・快速列車自由席を通過利用できる。対象となる区間は下記の各路線で、いずれもJR線と第三セクター路線との接続駅ではその飛び地路線を利用するかどうかにかかわらず乗降が可能であるが、接続駅以外の第三セクター鉄道区間内の駅では乗降できない(乗降する場合は第三セクター鉄道区間の乗車した全区間の運賃を別途支払う必要がある)。下記以外の区間は対象外。
道南いさりび鉄道線
「青春18きっぷ 北海道新幹線オプション券」を本きっぷと併用することで木古内 - 五稜郭間を通過利用することが可能。
「青春18きっぷ 北海道新幹線オプション券」は2016年3月26日の北海道新幹線の開通の際、海峡線から在来線の旅客列車が廃止されたことと江差線が道南いさりび鉄道に経営分離されたことで北海道と本州の間が普通列車で接続できなくなったために発売された。詳細は#使用できない路線の記載を参照。
青い森鉄道線
青森 - 野辺地 - 八戸間を通過利用できる。青森・野辺地・八戸の各駅でのみ乗降できる[12]。
2010年12月4日に東北本線の青森 - 八戸間がJR東日本から青い森鉄道に経営分離された際、大湊線は他のJR路線との接続が無くなり、八戸線は他のJR線との接続が新幹線のみとなった為、制定された。
あいの風とやま鉄道線
普通・快速列車に乗車して通過利用する場合に限り、高岡 - 富山間を利用できる。高岡・富山両駅でのみ乗降できる。
2015年3月14日に、北陸本線の倶利伽羅 - 市振間がJR西日本からあいの風とやま鉄道に経営分離された際、城端線と氷見線は両路線が高岡駅において相互に接続する以外に他のJR在来線との接続がなくなったため制定された[13]。
IRいしかわ鉄道線
普通・快速列車に乗車して通過利用する場合に限り、金沢 - 津幡間を利用できる。金沢・津幡の両駅でのみ乗降できる[13]。
2015年3月14日に、北陸本線の金沢 - 倶利伽羅間がJR西日本からIRいしかわ鉄道に経営分離された際、七尾線が他のJRの路線と接続の無い飛び地路線となったため制定された。
歴史
前述の通り、青春18きっぷは国鉄の増収策の一環として企画された。当時、国鉄内部では利用者層を青少年(学生)・中年(社会人・主婦)・老年と分けた場合、中年男性は出張などで長距離の利用が多いものの、それ以外の年齢層では比較的短距離の利用が多いと分析していた。
そこで、それらの層にも長距離の利用を勧めるためのトクトクきっぷを発売することとなった。老年向けには「フルムーン夫婦グリーンパス」を発売していた(中年女性向けには1983年から「ナイスミディパス」を発売)。
これらの成功を受けて、1982年から青春18きっぷの前身にあたる青春18のびのびきっぷの発売が開始された。「青春18」とある通り、青少年(学生)を主な発売対象としたきっぷであったが、開始当時から年齢制限は無かった。当時国鉄には、長距離区間を運転する普通列車が数多く存在しており、民営化後のような合理化が進展していなかったこともあって、学校の長期休暇期間中、主要路線の普通列車はしばしば各地で長大編成の輸送力を持て余していた。そのような既存列車の輸送力を活用しながら、新たな需要を喚起することで、増収が狙われたのである。
発売当初は1日券3枚と2日券1枚(共に青い地紋)のセットで、価格は8,000円であった。また青少年の利用を意識して、バッグなどに貼付できるシール状の「青春18ワッペン」が附属していた。利用期間は3月1日から5月31日までで、ゴールデンウィークを含む(ただし、1982年当時5月4日は国民の休日・みどりの日のいずれでもないため飛石連休)。
夏季用は1日券4枚と2日券1枚のセットで10,000円となった。利用期間は7月20日から9月20日まで。冬季の設定なし。
1983年春季、青春18のびのびきっぷは青春18きっぷに改称された。利用期間は2月20日から4月10日までとなった。
1984年夏季用から1日券5枚となった。使用できる期間が1日短くなったが、価格は10,000円のままであった。また、1984年から冬季用が発売された。冬季の利用期間は12月10日から翌年1月20日まで(2009年冬季用まで続く)。
1985年夏季用の利用期間は7月20日から9月10日までとなった(2015年夏季用継続中)。
1986年冬季に価格が11,000円に改定され、1989年夏季より消費税が導入されたことを受けて11,300円に改定された。1990年からマルス端末による発券が可能となった。
1993年春季用の利用期間は3月1日から4月10日までとなった(2015年春季用継続中)。
1996年春季より、現行のように、5回(人)分を1枚の券片にまとめた様式となった。これは、金券ショップなどで1枚ずつバラ売りされるのを防ぐためとも言われているが、複数人数で同時に使用する場合、前述したように、集合・解散が煩雑になり、全員が同じ行程で移動しなければならなくなったため、使い勝手が悪くなった。
JRの旅客営業規則において、旅行開始後の乗車券を他人から譲り受けて使用すると乗車券は無効(不正乗車)になることが定められているが、青春18きっぷについては、5枚つづりであったことに鑑み、5枚のきっぷをJRの都合によって1枚にまとめただけで各回の効力は独立しており、1回目のみを使用しても2回目以降は旅行開始前であると、一部書籍では説明されている[14]。しかし、1回目の旅行開始できっぷ全体について旅行開始後となり、1回目の使用者とは別の人が譲り受けて2回目以降を使用するのは不正乗車とする意見もある[15]。「複数人数の場合は同一行程」の条件の解釈に差異があると言えるが、1枚になった理由についてJRから公式の発表はない。
1997年夏季から消費税の税率変更に伴い、価格が11,500円に改定された。
2004年冬季から、普通・快速列車のグリーン車自由席に限り、グリーン券を別に購入することで利用できるようになった。同年10月のダイヤ改正に伴って実施されたJR東日本におけるグリーン車の制度変更によるものである。
2007年にはJR各社が発足20周年を迎えたのを記念し、春季のみJR発足20周年・青春18きっぷが発売開始時の価格と同じ8,000円(乗車できる列車・回数などは通常のものと同じ)で発売された。
当乗車券の発売・利用期間は1993年から2009年まで固定されていたが、2010年冬季から発売期間が12月1日 - 31日、利用期間が12月10日 - 翌年1月10日と10日間短縮され、また東北本線八戸 - 青森間の青い森鉄道への移管を受けて、青い森鉄道に乗車する際の特例が設けられた。
2014年夏季から消費税の税率変更に伴い、価格が現行の11,850円に改定された。
夜間の長距離移動
青春18きっぷは1日単位(24時間)で有効の形式を取っているため、夜間の長距離移動については、当きっぷ発売以前から運行されていた普通夜行列車に加え、1980年代後半以降に広範囲で「ムーンライト」など、当きっぷでも利用可能な夜行列車が運行され、より遠距離への移動需要を満たす役割を担ってきた。しかし、1990年代までに旧来の普通夜行列車は多くが廃止され、2000年代後半以降は「ムーンライト」についても次第に廃止される列車が増え、2009年春のダイヤ改正で、それまで定期運行されていた「ムーンライトえちご」(2014年春期を最後に運行なし)、「ムーンライトながら」が当きっぷ有効期間に合わせて運行される形となり、元々臨時列車であった「ムーンライト信州」とともに、青春18きっぷを利用できる夜行列車で移動できる地域は限定される傾向となっている[16]。
発売枚数
2000年代における販売枚数は、JR東日本によると、前半から中盤は毎年25万枚から30万枚で、2007年は35万枚以上の販売実績があった[17]。朝日新聞コラムの引用によると、JR全体では2013年度67万枚となっている[18]。その後も発売枚数は伸びており、JR全体では2015年度は71万枚で、70万枚を超えたのは2009年度以来となった[19]。
赤い地紋の青春18きっぷ(常備券、販売終了)
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かつて、一部駅の窓口では、赤い地紋の用紙に印刷された常備券での販売が行われ、鉄道ファンの間でナマ券・赤券と呼ばれた。常備券とマルス端末発行の券で効力は同等であるが、貴重あるいは風情があるとしてファンの間で人気があり、遠方から常備券を扱う駅まで購入しに行く者もいた。
本券はみどりの窓口が設置されていない駅で発売される事例が多いが例外もあった。
北海道旅客鉄道(JR北海道)では2012年春季まで発売していた(一部駅では通信販売を含む)ほか、JR九州では販売委託先で2009年冬季まで発売していた。JR西日本・JR四国の駅においても発売駅の縮小が進んでいたが、JR西日本・JR四国の両社共に2016(平成28)年冬季を以て発売を終了した[20]。
JRにおける赤券の販売終了後の2017年3月19日より当面の間、いすみ鉄道がキハ28形を運用していることから、パロディ商品として「青春28きっぷ」の販売が行われている[21]。
これは、「いすみ鉄道全線※急行(準急行を含む)の指定席及びJR線・小湊鉄道線を除く」で普通列車及び快速列車・急行を2回もしくは2人で利用することができる(有効期間は6ヶ月)。
地紋デザイン等は国鉄時代の青春18きっぷを彷彿とさせる。
発売箇所
JR各社のみどりの窓口や一部のきっぷうりば、旅行代理店などで発売されている。
JR東日本の指定席券売機、JR西日本のみどりの券売機(一部の設置駅を除く)・みどりの券売機プラスでも発売されている。
関連商品
青春18きっぷ利用者向けの企画乗車券
青春18きっぷ発売時期にあわせて、以下の事業者では企画乗車券として全線の乗降が自由となる商品を発売している。
智頭線1日フリーきっぷ(智頭急行)[22]- 大人1,200円、小児600円。利用可能期間は土曜・日曜・祝日および7月1日 - 9月30日・12月1日 - 1月10日・3月1日 - 4月10日で1日間有効。別途自由席特急券を購入すれば特急列車の自由席に乗車可能。なお、2014年春季までは智頭線満喫 普通列車一日乗り放題きっぷ[23](大人1,000円、小児500円(消費税5%時))で、特急列車に乗車する場合は別途特急券および乗車券も購入する必要があった。2014年夏季からは、智頭線開業20周年記念1日フリーきっぷ[24]となり、同時に、別途自由席特急券を購入すれば特急列車の自由席に乗車可能となった。2015年5月1日発売分からは現在の名称となった。
三鉄1日とく割フリーパス(三陸鉄道) - 青春18きっぷまたは北海道&東日本パスを呈示すると、片道運賃の半額程度で指定区間の乗降が自由となる企画乗車券を、北リアス線用・南リアス線用としてそれぞれ発売している。なお、2011年春季途中からは東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)による津波被害により多くの区間で不通(連絡するJR線も同様)となったため、発売を見合わせている。また、三陸鉄道は2014年4月6日に全線運転再開したが、本きっぷの発売再開については未定である。
おれんじ18フリーきっぷ(肥薩おれんじ鉄道)[25] - 青春18きっぷを呈示すると、2,060円(通常の一日フリー乗車券は2,880円)で全線の乗降が自由となる乗車券を発売している。
上記のほか、北近畿タンゴ鉄道(現在の京都丹後鉄道)では2007年春から2009年1月までの間、青春18きっぷを呈示すると、全線の乗降が自由となる「KTR青春フリーきっぷ」を500円で発売していた。
一方、関釜フェリー[26]では、青春18きっぷを呈示すると割引となる。
書籍など
青春18きっぷを活用する方法などを記した書籍は多数出版されている。多くはルールの解説や便利な列車の紹介、モデルコースの案内などで構成されている[17]。
かつては、利用できる夜行列車ときっぷの解説をした書籍が多く発行されていたが、インターネットの普及と中高年需要の増加および夜行列車の廃止など列車設定の変容を反映し、中高年向けに旅行プランを提案する書籍(ムックを含む)が増加している[要出典]。
脚注・出典
注釈
^ Suicaを利用した「グリーン車Suicaシステム」も可能
^ 3月21日に特急スーパー白鳥の運転が終了し、海峡線(青函トンネル区間)を走る在来線定期旅客列車は全廃となった。3月26日からは別売のオプション券で北海道新幹線奥津軽いまべつ駅-木古内駅間に乗車できる(後述)。
^ 宮崎空港線は2017年3月4日よりグリーン車指定席に変更された。
^ これに加え道南いさりび鉄道線の木古内駅 - 五稜郭駅間を通過利用する場合のみ、片道1回の普通列車を利用できる。“北海道新幹線開業に伴う「青春18きっぷ」などのおトクなきっぷのお取扱いについて” (PDF) 2016年1月5日 北海道旅客鉄道プレスリリース
^ 18きっぷと類似する「秋の乗り放題パス」でも同様のオプション券が発売されている。「秋の乗り放題パス」及び「秋の乗り放題パス北海道新幹線オプション券」の発売について (pdf) 2016年9月2日 JR東日本プレスリリース
出典
- ^ abc「青春18きっぷ」の発売について (PDF) - JRグループプレスリリース
^ https://www.jreast.co.jp/press/2006_2/20070206.pdf
^ 「青春18きっぷ」(春季)の発売について - JR東海
- ^ abc「青春18きっぷ」の発売について (PDF) - JRグループプレスリリース
^ 「秋の乗り放題パス」の発売について (PDF) - JRグループプレスリリース
^ 「秋の乗り放題パス」の発売について (PDF) - JRグループプレスリリース
^ JR東日本おトクなきっぷ
^ 交通新聞社トレたび
^ 普通列車グリーン車とは
^ JR時刻表2014年4月号355ページ
^ JRおでかけネット
^ よくあるご質問 - 青い森鉄道
- ^ ab「青春18きっぷ」の発売および北陸新幹線開業に伴う「フルムーン夫婦グリーンパス」などのおトクなきっぷのお取扱いについて (PDF) - JRグループプレスリリース
^ 種村直樹 『新版 種村直樹の汽車旅相談室』 p.93 - 自由国民社、2000年 ISBN 4-426-54802-0
^ 杉山淳一の時事日想:「青春18きっぷ」廃止の噂はなぜ起きたか (4/4) - Business Media 誠(2012年3月30日付)
^ 2013年春の増発列車のお知らせ (PDF) - JR東日本
- ^ abイカロス出版「青春18きっぷ」ガイド本が好調-誌面も大改訂 - 市ケ谷経済新聞(2008年8月11日付)
^ 青春18きっぷの全国の発売枚数は67万枚。総売上は77億円。JR東日本のシェアは約38%と判明 - 旅行総合研究所タビリス、2014年11月21日閲覧
^ 青春18きっぷ研究所
^ 珍しい赤の「青春18きっぷ」、2016年12月で発売終了 乗りものニュース、2016年11月22日(2016年11月23日閲覧)。
^ 「いすみ鉄道 青春28きっぷ」発売のお知らせ
^ “「智頭線1日フリーきっぷ」の発売について”. 智頭急行株式会社 (2015年4月24日). 2015年5月9日閲覧。
^ 2014年春の例
^ “「智頭線開業20周年記念1日フリーきっぷ」の発売について”. 智頭急行株式会社 (2014年6月27日). 2014年11月24日閲覧。
^ 公式案内
^ フェリー旅客運賃50%割引き! “青春18きっぷ旅”大応援キャンペーン - 関釜フェリー、2014年11月21日閲覧
関連項目
- 鉄道の日記念・JR全線乗り放題きっぷ
- 北海道&東日本パス
- 旅名人の九州満喫きっぷ
- 高速バス乗り放題きっぷ
- 特別企画乗車券一覧
青春18きっぷの旅 - 2006年から2007年にかけて旅チャンネルで放送された、当きっぷをテーマとした旅番組。
伊藤敏博 - 国鉄出身のシンガー・ソングライター。現職(富山車掌区)時代、当きっぷが初めて発売される直前の1982年2月25日にデビュー2曲目となる『青春18』を発表した。
外部リンク
青春18きっぷ(トクトクきっぷ一覧) - JR四国ツアー(JR四国)
青春18きっぷ - JR九州