リングマガジン
ザ・リング | |
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The Ring | |
創刊号の表紙。写真はプロモーターのテックス・リチャードとロード・ロンズデール。 | |
愛称・略称 | リングマガジン |
ジャンル | スポーツ雑誌 |
刊行頻度 | 月刊 |
発売国 | アメリカ合衆国 |
言語 | 英語 |
出版社 | スポーツ&エンターテインメント・パブリケーションズ |
ISSN | 0035-5410 |
刊行期間 | 1922年 - |
ウェブサイト | The Ring |
『リングマガジン』・『リング』誌は、アメリカ合衆国で1922年の創刊当初からボクシングのみを扱う月刊専門誌『ザ・リング』(The Ring) [1]の別称で、毎月、ボクサーのランキングを独自の基準で選定している。ボクシング界では最も歴史と権威ある雑誌とされ、「ボクシングの聖書」(The Bible of Boxing) とも呼ばれている。かつてはプロレス関連の記事が遠慮がちに掲載されることもあった[2]。
目次
1 歴史
2 王者の認定
3 現王者
4 表彰
4.1 年間表彰
4.2 その他
5 脚注
6 参考文献
7 外部リンク
歴史
創刊当初は、当時の有力プロモーター、テックス・リカードの支援を受け、ニューヨーク市マンハッタンのマディソン・スクエア・ガーデン2階[2]に事務所が置かれていた。1922年2月15日にユダヤ系のナット・フライシャー (Nat Fleischer) によって発行された創刊号は販売価格20セント、総ページ数24の小冊で[3]、ジャック・デンプシーやベニー・レナードを扱い、写真は少なかった[1]。スポーツライターのダン・ダニエルズが共同創始者として協力している。
フライシャーは「ミスター・ボクシング」と呼ばれて国際的に親善大使のような役割を果たしながら、自ら記者活動を行い、NBAから改称した後のWBAの依頼でポーン・キングピッチ vs. ファイティング原田などの審判員も務めた。リカードには自身の興行の宣伝に利用しようという思惑があり、フライシャーとの確執が深まるが、そのリカードが1929年に死去すると財政は逼迫した。1972年にフライシャーも死去すると娘婿のナット・ローベットが後継編集長となったが、彼はプロレス編集者であった[1]。
1977年には創刊当初からの英語版に加えて、ベネズエラからスペイン語版、東京から日本語版、パリからフランス語版と3つの国際版が出版されるが、自らの利益を企図するプロモーターのドン・キングと提携した後には数年間試合をしていない選手やすでに死亡している選手をランキングさせていたことが、同年ABCテレビ関係者らの知るところとなり、ABCが放送を手がけた全米トーナメントは中止され、人事更迭に発展する事態を招いた。「ボクシングの聖書」と呼ばれた権威は著しく低下、発行部数も激減し、1979年にはデイブ・ディバッシャーの投資グループに買収され、3代目編集長にはバート・ランドルフ・シュガーが着任した。1984年に元記者で後にニューヨーク州コミッショナーとなるランディ・ゴードンが4代目編集長に着任するが、1985年には英国生まれのアメリカ人、ナイジェル・コリンズに交代。1990年には元イラストレーターのスタンリー・ウェストンに買収され、スティーブ・ファーフッド(2012年現在、テレビ解説者)が6代目編集長に就任した。事務所は同年ロングアイランドに移り、1993年にカッパ・パブリッシング・グループに買収されると[1]さらにペンシルベニア州の郊外に移り[3]、1979年には5代目を務めたコリンズが7代目編集長として再任した[1]。
2007年9月にはオスカー・デ・ラ・ホーヤが代表を務めるゴールデンボーイ・エンタープライズの子会社でその出版部門を担うスポーツ&エンターテインメント・パブリケーションズに買収された。この発表に際してデ・ラ・ホーヤは、この雑誌は(同時に買収したもう一誌とともに)彼やゴールデンボーイ・カンパニーから編集の方向性や内容に関していかなる影響も受けることなく完全に独立して運営され、編集の信頼性は保たれる、と述べている[4]。2008年にはYahoo! スポーツと提携し、リングマガジン公式ウェブサイトとしてRingTV.comを開設した[1]。2010年3月号からスタートしたデジタル版は当初、雑誌購入者だけに提供されていたが、2011年2月号からはさらにリニューアルされたデジタル版を雑誌とは別に単独でオンライン購入できるようになった[5]。2012年からは事務所をロサンゼルスに構え、マイケル・ローゼンタールが編集長を務めている[1]。
日本からはジョー小泉が早くから記事を投稿し、東洋地区通信員として活動をしており、現在はリング・ジャパンの代表を務めるとともに『リング』誌が独自に定めるランキングの選考メンバーも務めている[6]。リングマガジンおよびRingTV.comのカメラマンで 『ボクシング・マガジン』の通信員も務める福田直樹は、全米ボクシング記者協会 (BWAA) の年間賞において、2010年度および2011年度にはアクション部門で[7][8][9]、2013年度にはスクープ部門で[10][11]、それぞれ最優秀写真賞に選出されている。また、これまでにファイティング原田らがリングマガジン認定の王者となっている[12]。
2015年11月、ロンダ・ラウジーが総合格闘家として初めて表紙に起用された[13]。
王者の認定
設立当初の1922年から、独自に認定した王者にチャンピオンベルトの授与を行っている[3]。初回はヘビー級のジャック・デンプシーに、2度目はフライ級のパンチョ・ヴィラに贈られた[1][3]。この制度は1990年代に一度廃止されたが、2002年より新たに選定基準を整備して各階級ごとにベルト授与を行うようになった。この方針は厳格な基準を設けることで、それを満たした選手がその階級で真の、そして唯一の世界王者であるという主張を偽りのないものとするために立ち上げられたものである[3]。
以降はリングマガジンの編集委員会に各国ボクシング記者から成るランキング諮問委員会を加えたメンバーの選考により、毎月独自に各階級およびパウンド・フォー・パウンドで世界10位までの選手を格付けした順位を発表している。この格付けは3つの要素によって決定される。まず第1に結果。次に、勝利または敗北においてどのようなパフォーマンスを見せたかということ。さらに、対戦相手の質を考慮した上での最近の戦績である[6]。
2012年上旬までの王座認定ルールは以下の通りであった。各階級のランキング1位選手と2位選手(特例として1位と3位)が対戦した場合、その勝者が王者として認定され、これらの対戦がない場合、王座は空位となる。王座が失われるのはタイトルマッチで負けた時、他の階級へ転向した時、選手が引退した時、の3つの場合だけである[6]。
しかし多くの階級で王座が空位の状態が続いたため、上位ランカー同士の対戦を促し空位の王座を埋めようと、2012年5月に新しい選考ルールが発表された。新ルールでは1位選手と2位選手が対戦した場合、あるいはそのいずれかが3位から5位までの選手と対戦した場合、その勝者が王者と認定される。王座が失われるのは、王者が自らの階級で試合に負けた時、他の階級へ転向した時、どの重量であれ18か月試合を組まない時、別の重量で試合をしたとしても自らの階級では18か月試合を組まない時、どの階級でもよいが5位までの選手と2年間試合を組まない時、選手が引退した時、の6つの場合である(下線部は変更箇所)[14]。しかし、これは選考レベルの引き下げであり、競技水準の低迷にリングマガジンが加担することはないとの批判的な見方もある[15]。
現王者
ミニマム級
- 空位
ライトフライ級
田口良一( 日本)
フライ級
- 空位
スーパーフライ級
シーサケット・ソー・ルンヴィサイ( タイ)
バンタム級
- 空位
スーパーバンタム級
- 空位
フェザー級
- 空位
スーパーフェザー級
- 空位
ライト級
ホルヘ・リナレス( ベネズエラ)
スーパーライト級
- 空位
ウェルター級
- 空位
スーパーウェルター級
- 空位
ミドル級
サウル・アルバレス( メキシコ)
スーパーミドル級
- 空位
ライトヘビー級
- 空位
クルーザー級
- 空位
ヘビー級
- 空位
表彰
リングマガジンは王者の認定以外にも以下のような部門の年間表彰や時代を遡った評価を行い、ファイター・オブ・ザ・イヤーを受賞した選手にはメダルが贈られる[16]。
年間表彰
リングマガジン ファイター・オブ・ザ・イヤー(年間最優秀選手賞)
リングマガジン ファイト・オブ・ザ・イヤー(年間最高試合賞)
リングマガジン ノックアウト・オブ・ザ・イヤー(年間最高KO試合賞)
リングマガジン アップセット・オブ・ザ・イヤー(年間最高番狂わせ試合賞)
リングマガジン イベント・オブ・ザ・イヤー(年間最高出来事賞)
リングマガジン カムバック・オブ・ザ・イヤー(年間最優秀カムバック選手賞)
リングマガジン イベント・オブ・ザ・イヤー(年間最優秀興行賞)- リングマガジン ラウンド・オブ・ザ・イヤー(年間最高ラウンド賞)
- リングマガジン トレーナー・オブ・ザ・イヤー(年間最優秀トレーナー賞)
- リングマガジン プログレス・オブ・ザ・イヤー(年間最優秀成長選手賞)
- 1988年に廃止。
リングマガジン プロスペクト・オブ・ザ・イヤー(年間最有望選手賞)
- 1988年度の選定後に廃止されたが、2011年度より復活した[17]。
- リングマガジン マネージャー・オブ・ザ・イヤー(年間最優秀マネージャー賞)
- 1983年度以外は選定されていない[17]。
その他
- リングマガジン 歴代偉大なパンチャー100人 (100 greatest punchers of all time)
- リングマガジン 過去80年最優秀選手80人 (80 Best Fighters of the Last 80 Years)
- リングマガジン ボクシング殿堂 (Boxing Hall of Fame)
脚注
- ^ abcdefghジョー小泉「ジョー小泉の海外ボクシングの周辺 第16回 – 『リング』誌が90周年を迎えた」、『アイアンマン』3月号増刊(『ボクシング・ビート』3月号)、フィットネススポーツ、2012年2月15日、 89頁。
- ^ abGilbert Rogin (1962年8月6日). “'mr. Boxing, Himself'” (英語). スポーツ・イラストレイテッド. 2012年3月8日閲覧。
- ^ abcdeAbout the Ring Archived 2011年10月28日, at the Wayback Machine. RingTV.com 2012年3月8日閲覧。(英語)
^ “Golden Boy Promotions media inomation”. 2007年10月24日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年1月3日閲覧。 ゴールデンボーイ・プロモーション 2012年3月8日閲覧。(英語)
^ “The Ring goes Digital” (英語). RingTV.com (2010年12月20日). 2012年5月24日閲覧。
- ^ abcBoxing Ratings RingTV.com 2012年3月8日閲覧。(英語)
^ Michael Rosenthal (2011年4月5日). “Fukuda, Soto win BWAA photo awards” (英語). RingTV.com. 2012年5月18日閲覧。
^ “RingTV.com's Fukuda wins top photo honors” (英語). RingTV.com (2012年5月17日). 2012年5月18日閲覧。
^ “全米ボクシング記者協会の最優秀写真賞 2年連続日本人が受賞”. マイナビニュース(『週刊ポスト』2012年12月14日号) (2011年12月4日). 2012年12月4日閲覧。
^ “BWAA photo winners announced” (英語). 全米ボクシング記者協会 (2014年4月3日). 2014年4月17日閲覧。
^ “RING photographer Naoki Fukuda wins top prize at BWAA awards” (英語). RingTV.com (2014年4月4日). 2014年4月17日閲覧。
^ “五十嵐“日本人初”伝説のベルト披露へ”. 東スポWeb. (2012年11月2日). http://www.tokyo-sports.co.jp/sports/51693/ 2012年11月3日閲覧。
^ 絶対王者ロンダ・ラウジーが凄い 7万人超のチケット前売券は即完売 livedoorニュース 2015年11月11日
^ “The Ring updates championship policy” (英語). RingTV.com (2012年5月3日). 2012年5月10日閲覧。
^ “"The Ring" Changes The Rules, Further Clouds Title Scene” (英語). BoxingScene.com (2012年5月10日). 2012年5月10日閲覧。
^ Andre, Fleischer & Rafael 2001, p. 271
- ^ ab“PAST WINNERS OF THE RING'S YEAR-END AWARDS”. RingTV.com (2012年2月24日). 2013年1月29日時点のオリジナル[リンク切れ]よりアーカイブ。2012年3月11日閲覧。
参考文献
Andre, Sam; Fleischer, Nat; Rafael, Don (2001年12月) (英語). An Illustrated History of Boxing (sixth ed.). 米国ニューヨーク市: Citadel Press. p. 271. ISBN 978-0-8065-2201-2.
- 三浦勝夫「海外読物/リング誌チャンピオンベルトの威力」『ボクシング・ワールド』競馬最強の法則4月号増刊、2008年4月号 116-117頁、ベストセラーズ、2008年4月20日
外部リンク
- The Ring
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