秘密結社
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秘密結社(ひみつけっしゃ)とは、結社の一形態。一般に団体結社の存在や、組織内の活動などを外部の人間に対して秘匿しているクラブや団体、会を指す。政府などの組織によって組織される機関は含まれない。
目次
1 概要
2 日本での法的規定及び、日本での秘密結社
3 代表的な秘密結社
4 脚注
5 参考文献
6 関連項目
概要
秘密結社とは、結社の存在そのものが構成員により秘匿される、又は、結社の存在は公になっていても、その構成員であることが、組織や構成員自身の許諾によらないで、第三者等により公開されることが禁じられている組織、あるいは、結社の活動目的や活動内容を構成員以外の第三者等に公開することが禁じられている組織などが秘密結社であると指摘される。フリーメイソンは、存在は元より、連絡先や支部などが公開されている。秘密結社の明確な定義は存在しない。
その性格から、政治的秘密結社と宗教的秘密結社に大別されるが、両方の要素を持つ場合もあるし、数は少ないが、どちらにも属さないものもあり、単なる親睦団体である結社も存在する。特定の職人同士や、特定の職種の商業者同士が自分達の技術の漏洩を防いだり、利権を守るために結成する職能・商業組合的な秘密結社も歴史的に多い。メンバーは主義、職業、趣味、嗜好などなんらかの要素を共通して有する。また、秘密の主義、信仰などを有している場合もある。結社への入会に際しては、一定の厳しい制限が設けられていることが多い。しばしば構成員の公募を行わず、非公開の通過儀礼、符牒などを構成員が持つ場合もある。
秘密結社は結社の自由が存在しない体制や、結社の主張が公に認められていない状況で発生する。このような理由から、体制やそれを支持する者にとっては秘密結社は悪事を秘匿して行っているものと取られることがある。こうした理由から、中国近世以降の歴史における秘密結社や、フリーメーソンなどはしばしば当局の攻撃対象となり、弾圧されている。18世紀末の清では「会党」と呼ばれる秘密の宗教結社(義和団など)が多く作られたが、当時の領土拡張戦争によって、負担が大きくなった民衆(農民・手工業者・小商人・人夫など)が絶望的になった結果の集いであり、思想的特徴としては、反清復明である(岩村三千夫 野原四郎 『中国現代史 [改訂版]』 岩波新書 13刷1973年 p.8)。現在でも「陰謀論」では事象の背後にこうした秘密結社が暗躍したものであるという主張が述べられることがある。
一方で、符牒を持つような閉鎖的な組織がもたらす連帯感や、反社会的な雰囲気自体を楽しむ、娯楽としての秘密結社が組織されることもある。イギリスの「地獄の火クラブ」などはその典型であり、主として会員の娯楽のための活動しか行わなかった。
日本での法的規定及び、日本での秘密結社
古来より日本では任侠や鉱山夫など、特殊技能を有する職人などは、師弟関係を親子に凝するなどといった、擬似的な家族関係を主体にし、独自の法や儀式(親子杯など)、挨拶法(仁義を切るなど)を持ち、事実上秘密結社として機能していた。しかし近代では職能的な「結社」は労働組合などにその役割を取られ、任侠の集団である暴力団の儀式・制裁の一部にその名残を残すのみである。何らかの秘密を持ち、非公開の儀式を持つという意味では暴力団も秘密結社に類似しており、暴力団対策法等数多くの法律で規制されている。
大日本帝国憲法下、治安警察法により政治的な活動をする集団は届け出の義務があったため、村の青年会のようなものが一時的に政治的な活動をした場合でも無届けのものは全て秘密結社として取り締まりの対象となった。また、届出制とはいえ内務大臣権限でいつでも結社を禁止することができ、たとえば社会主義・共産主義の結社は即日禁止されるのが常であった。そのため、共産党は結成当初から非合法であったので秘密結社であった。また神職・軍人は政治活動を禁じられていたため、昭和初期の大量の国家主義的な活動者のグループは秘密結社にあたる。しかし、当時の宗教団体への法制度は国による認可制・教師資格制だったが、公式な神職(教師)が参加しない新宗教の団体も、届出を出して許可を得ており秘密結社にはあたらなかった。学校教員・生徒の政治的集会への参加は1880年4月5日の太政官達により集会条例第7条に基づいて禁止されていた。大日本帝国憲法第29条にも結社の自由は名目上は認められていたからである。ちなみに、フリーメイソンは、日本人を入会させないことを条件に黙認されていた。
日本国憲法では結社の自由が保障されており、法的に秘密結社とされるものはない。ただし、公務員には結社への参加制限があり、厳しく法によって規制されている。したがって公務員が法を破って結社を創った場合には実質的には「秘密結社」となる。
代表的な秘密結社
秘密結社と噂されているもの、秘密結社との世評のあるものも含む。
- イルミナティ
コーサ・ノストラ(別名マフィア) - イタリアシチリア島。
クー・クラックス・クラン(KKK) - アメリカ合衆国。
スカル・アンド・ボーンズ - アメリカ合衆国、イェール大学の学生クラブ。
ブナイ・ブリス - アメリカ合衆国。
黄金の夜明け団(G∴D∴)
P2 - フリーメイソンのロッジ(集会所)の一つだが、イタリアの政財界人、マフィアメンバーらが加入。
トゥーレ協会 - ドイツ性のための騎士団、ドイツ。
ゲルマン騎士団 - ドイツ。
地獄の火クラブ - イギリス。
カルボナリ(炭焼党) - イタリア。
黒手組(黒い手、ブラックハンド) - セルビア。
フィリキ・エテリア - ギリシャ。
土地と自由 - ロシアナロードニキ運動の組織。
青年イタリア - イタリア。
チャイコフスキー団 - ロシア。
白蓮教 - 紅巾の乱、白蓮教徒の乱。
義和団 - 義和団の乱。
洪門 - 太平天国の乱、辛亥革命。
天地会 - 対外名称。
三点会、三合会、哥老会
紅幇(ほんぱん)、青幇(ちんぱん)
連合艦隊 - 林彪事件。
サッグ - パンシガル。
山の長老教団 - 中東の伝承。ただし活動内容は後世の西洋人による誇張が多い。
ケニア土地自由軍(マウマウ団) -マウマウ団の乱。
薔薇十字団 - ドイツなどヨーロッパ諸国。- マルティニスト会
- ババリアのイルミナティ - ドイツ。
オデッサ - ドイツ。
東方聖堂騎士団(OTO) - イギリス、アレイスター・クロウリー。- シオン修道会
聖堂騎士団(テンプル騎士団)
九未知会(cf.en:The Nine Unknown)
グレート・ホワイト・ブラザーフッド(白色同胞団)- 血盟団
桜会[1]
バーデン=バーデンの密約組- 神道天行居
陰謀論における「影の政府」「秘密政府」(en:Shadow government (conspiracy) シークレット・ガバメント、シャドウ・ガバメント)
パンテオン・クラブ(fr:Club du Panthéon) - 1789年、フランス革命末期、バブーフ、ブオナロッティによる。- 人権協会
季節協会(fr:Société des Saisons 別訳語: 四季協会、四季の会) - 1830年代半ば、ブランキ、バルベスによる。
正義者同盟(義人同盟)- 共産主義者同盟
- ヴリル協会
- ボヘミアンクラブ
- ゾルタクスゼイアン
プルス・ウルトラ - トーマス・エジソンらが創設した未来構想のための結社
脚注
^ 宇野俊一ほか編 『日本全史(ジャパン・クロニック)』 講談社、1991年、1050頁。ISBN 4-06-203994-X。
参考文献
- 海野弘 『秘密結社の世界史』 平凡社〈平凡社新書〉、2006年。ISBN 4-582-85315-3。
- 秦野啓 『秘密結社』 新紀元社編集部編、新紀元社〈Truth in fantasy〉、2005年。ISBN 4-7753-0269-8。
- ジョン・ローレンス・レイノルズ 『秘密結社を追え! : 封印された、闇の組織の真実』 住友進訳、主婦の友社、2007年。ISBN 978-4-07-253942-2。
関連項目
- フラタニティとソロリティ
- 洪門天地會青蓮堂日本總會
- 地下組織
- 陰謀論
- 結社
- 19世紀後半のロシアの革命組織
- 秘密結社 (装甲騎兵ボトムズ)
- 秘密結社鷹の爪
- 友愛