クローブ


















チョウジノキ (クローブ)

Syzygium aromaticum - Köhler–s Medizinal-Pflanzen-030.jpg

分類












































:

植物界 Plantae


:

被子植物門 Magnoliophyta


:

双子葉植物綱 Magnoliopsida

亜綱
:

バラ亜綱 Rosidae


:

フトモモ目 Myrtales


:

フトモモ科 Myrtaceae


:
フトモモ属 Syzygium


:
チョウジノキ S. aramaticum


学名

Syzygium aromaticum (L.) Merrill & Perry

シノニム

Caryophyllus aromaticus L.




  • Eugenia aromatica (L.) Baill.


  • Eugenia caryophyllata Thunb.


  • Eugenia caryophyllus (Spreng.) Bullock & S. G. Harrison



和名
チョウジノキ
クローブ、チョウジ、チョウコウ
英名
Clove



干したクローブは釘や丁の字に似た形をしている


クローブ(英語: Clove)は、フトモモ科の植物チョウジノキSyzygium aromaticum、syn. Eugenia aromatica)の開花前の花蕾を乾燥させた香辛料の名。


原産地はインドネシアのモルッカ群島[1]。日本では漢名に従って丁子、丁字(ちょうじ)、丁香(ちょうこう)とも呼ばれる。




目次






  • 1 名称


  • 2 栽培


  • 3 利用


  • 4 歴史


  • 5 ギャラリー


  • 6 脚注


  • 7 参考文献





名称



  • クローブの花蕾は釘に似た形をしているため、中国では「釘」と同義の「丁」の字を使って「丁香」、「丁子」の名があてられ、フランス語では釘を意味する Clou と呼ばれ、英語の Clove もこれを語源とする。

  • 非常に強い香気を持っているので、百里香という別名もある。



栽培



  • チョウジノキは熱帯多雨原産の中高木であり常緑樹。種子から発芽し20年ほどで10メートルほどの高さに成長する。作物としてのクローブは7-8年目頃から収穫が可能である。

  • 熱帯多雨の地域が原産であり、温室で十分に管理すれば栽培は可能であるが、露地植えでの商業栽培に適する地域は限られる。

  • 7月から9月と1月から2月つぼみを付け、年2回収穫を行う。花弁は本木の高い場所になるため、かつては高い作業やぐらをたて手摘みしていた。これが商品の価格の高さにも反映している。現在では枝や葉からもクローブオイルが抽出できるため、作業者が直接クローブの木にのぼり枝ごと切り落とし作業する[2]

  • おもにインドネシア、ザンジバル、スリランカ、モーリシャス、マダガスカル、コモロ、ペナン、ドミニカなどで栽培されている。



利用




クローブを挿したハム



  • 香辛料として肉料理によく使われるが、他の香辛料とブレンドしてカレーなどに使用することが多い。また、カルダモン、桂皮、ショウガなどと合わせてチャイの香り付けに使われる。肉塊にそのまま刺し、ローストして臭みを消す料理法にも用いられる。


  • 生薬としての花蕾を丁子(ちょうじ)または丁香(ちょうこう)ということもあり、芳香健胃剤である(日本薬局方にも収録されている)。漢方では女神散、柿蒂湯などに使われる。


  • 含香として、密教で灌頂や勤行前の口内のお清めに乾燥した丁子を刻んだものを口に含み噛んで使用する。ただし花の部分は使わない。

  • 特徴的な香気成分はオイゲノール (Eugenol)。クローブの精油には殺菌・防腐作用がある。また弱い麻酔・鎮痛作用もあり、歯痛の鎮痛剤として使われる。ゴキブリがこの香りを嫌うのでゴキブリ除けとしても使用されることがある。また、クローブの精油(丁子油)は日本刀のさび止めにも用いられた。江戸幕府は享保11年(1726)に幕府医の桂川甫筑(桂川甫周の始祖)に丁字油の製造を命じた[3]


  • インドネシアやインドでは丁子油で香りを付けたタバコもあり、インドネシア語では「rokok kretek(ロコッ・クレテッ)」と称する。タバコブランドとしては「ガラム」が一般的に知られている。

  • 中世ヨーロッパではペストなどから身を守るのにポマンダーという香りのお守りを下げることが有効だと考えられていた。これをオレンジなどの果物をベースに、クローブを一面に刺して乾燥させて作ったものがフルーツポマンダーである。[4]



歴史


インドや中国では紀元前から殺菌・消毒剤に使われていた。シリアでは紀元前1721年内外の陶器の壺の中からクローブが発見されている[5] 。古代中国では臣下が皇帝の前に出るときにはクローブを口に含んだという記録がある。ヨーロッパには中国商人が絹などと共にセイロン島経由でもたらし、6-7世紀頃には貴族の間で珍重されるようになる。古くは原産地でクローブの価値が把握されておらず、そのため中国商人たちが長く原産地を秘匿したまま交易商品として取り扱っていた。大航海時代になるとコショウ、ナツメグとともにスパイス貿易の中心的な商品となり一般にも出回るようになった。西欧がクローブの原産地をようやく「発見」したのは1511年のポルトガル人デ・アブレウ(António de Abreu)とセラウン(Francisco Serrão)のバンダ諸島発見以降である(ブルネイの歴史)。1770年にフランスがモーリシャスとレユニオンでの栽培に成功し、そこからアフリカ東岸のザンジバルとペンバ島に伝わり今日の大農園化へ導いた。


日本にもかなり古く、5 - 6世紀には紹介されていた。 正倉院の宝物のなかにも当時輸入された丁子がある。



ギャラリー




脚注





  1. ^ ツァラ 2014, pp. 13-16.


  2. ^ “ザンジバルのクローブ生産”. 在タンザニア日本国大使館. 2012年8月18日閲覧。


  3. ^ 中北薬品(株)『中北薬品二百五十年史』(1977.11)渋沢社史データベース


  4. ^ 中野智美、幸運をよぶ香りのお守りフルーツポマンダー、All About、2016年5月3日閲覧。


  5. ^ Turner, Jack (2004). Spice: The History of a Temptation. Vintage Books. pp. xv. ISBN 0-375-70705-0. 




参考文献


  • ツァラ, フレッド 『スパイスの歴史』 竹田円訳、原書房、2014年












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