コリアンダー
コリアンダー | ||||||||||||||||||||||||||||||
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コリアンダー | ||||||||||||||||||||||||||||||
分類(APG III) | ||||||||||||||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
Coriandrum sativum L. | ||||||||||||||||||||||||||||||
和名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
コエンドロ | ||||||||||||||||||||||||||||||
英名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
Coriander |
コリアンダー(coriander、学名:Coriandrum sativum L.)はセリ科の一年草である。
目次
1 名称
2 特徴
3 歴史
4 用途
4.1 食用
4.1.1 葉
4.1.2 根
4.1.3 果実
4.2 薬用
5 人気
6 脚注
6.1 注釈
6.2 出典
7 関連項目
8 参考文献
9 外部リンク
名称
属名はラテン語から(下記参照)。種小名sativumはラテン語で「栽培種の」といった意味である。
和名「コエンドロ」は現在ではほとんど使われないものの、鎖国前の時代にポルトガル語 (coentro) から入った古い言葉である。「コスイ」胡荽、「コニシ」はコエンドロが用いられる以前の呼称である。延喜式、和名抄などに朝廷料理で生魚を食べる際に必ず用いる薬味として記載がある。また、カメムシとよく似た独特の香の為、別名「カメムシソウ」と呼ばれる事もある[1][2]。なお、カメムシは日本では食材としてはなじみが薄いものの食材としての昆虫の中では一般的である。
一般には、英語に従って、果実や葉を乾燥したものを香辛料として「コリアンダー」(英語: coriander)と呼ぶほか、1990年代頃からいわゆるエスニック料理の店が増えるとともに、生食する葉を指して「パクチー」(タイ語: ผักชี)と呼ぶことが多くなった。
また、中華料理に使う中国語由来で生菜を「シャンツァイ」(中国語: 香菜; 拼音: )と呼ぶこともある。中華料理にも使われることから、俗に「中国パセリ」(英語: Chinese parsley)とも呼ばれることがあるが、パセリとは別の植物である。中国へは張騫が西域から持ち帰ったとされ[注 1]、李時珍の『本草綱目』には「胡荽」(こすい)の名で記載がある。
英名 coriander は属名にもなっているラテン語 coriandrum に由来し、さらに古代ギリシア語 κορίαννον (koriannon) へ遡る。後者の原語を指して「ギリシア語でカメムシを意味する[3]」などと紹介されることが非常に多いが、これは誤りで、κορίαννον もまた「コリアンダー」を指す言葉である。
κορίαννον 自体の語源については、キャラウェイまたはクミン[注 2]を意味する καρώ/κάρον (karō/karon) の関連語だとする[4]考察がある一方、「匂いがカメムシに似ている[5]」として、近縁で類似の臭気をもつトコジラミ(南京虫)を意味する κόρις (koris) に関連づけられることも多い。
そのほか、各国語の名称については#葉も参照のこと。
特徴
地中海東部原産で、各地で古くから食用とされてきた。高さ25 cm程度。葉や茎に独特の芳香がある。また、熟した果実にはレモンにも似た香りがある。
俗にノコギリコリアンダーと呼ばれる、東南アジアや中南米でコリアンダーと同様に香味野菜として用いられているオオバコエンドロ(Eryngium foetidum、タイ語: ผักชีฝรั่ง パクチー・ファラン、スペイン語: culantro クラントロ)は、セリ科ヒゴタイサイ属に属する熱帯アメリカ原産の別の植物である。オオバコエンドロにもコリアンダーと同じような香りがある。
歴史
プリニウスの『博物誌』には、最も良い品質のコリアンダーはエジプト産という記述がある。古代エジプトでは、調理や医療に用いられていた。記録としては、紀元前1552年のテーベの医薬書 (Medical Papyrus of Thebes) にその名が見られる。古代ギリシャや古代ローマでも、特によく用いられた薬草のひとつであり、ヒポクラテスも推奨していた。またエジプトでは、紀元前1000年ごろからコリアンダーと亡骸をいっしょに墓に葬る習慣があった[6]。
イギリスへはローマ人からもたらされ、アメリカへはイギリスからの最初の移住者が伝えたとされる[6]。
用途
食用
中華料理、タイ料理、インド料理、ベトナム料理、メキシコ料理、ポルトガル料理などに広く用いられる。日本料理に用いられる食材ではないため、日本国内ではスーパーマーケットやデパートの地下食品売り場や大型食材店でも入手は困難であった。しかし1990年代頃からいわゆるエスニック料理の店が増えるにつれて生のコリアンダーの需要が増加し、栽培が増えて入手しやすくなっている。また、家庭のプランターなどで栽培するのもさほど難しくはない。
葉をハーブあるいは葉菜として、果実をスパイスとして用いる。また、煮込み料理などでは茎や根も使用されることがある。
なお、タイ・ラオス料理に、パクチーのみのサラダや大量に使用するようなパクチー料理というものは存在しない。あくまで薬味として扱う事が基本である[7]。
葉
葉は主に薬味として利用される。ピネン、デカナール、ノナナール、リナロール[8]などに由来する独特の風味があるため、人によって好き嫌いが大きく分かれ、その風味を嫌う人にはカメムシのような風味であると評される[9]。ピネンなどのモノテルペン類は蒸散しやすく、乾燥に弱いため、乾燥コリアンダーリーフとして売られている商品には独特の香りはほとんどなく、生葉の代用品にはならない。栄養価の点では、生の葉はL-アスコルビン酸(ビタミンC)を比較的豊富に含み、βカロテンやビタミンB1、B2、Eといった栄養素が豊富である。「体内に蓄積された毒素を排出するデトックス効果がある」とも言われるが、これは科学的に信頼できる資料に裏付けられたものではない[10]。
さまざまな地域で葉の香りを生かした料理に用いられている。
八重山列島の与那国島(沖縄県八重山郡与那国町)ではクシティと呼ばれ、和え物等にして食べる。第二次世界大戦前に出稼ぎなどで台湾にわたった人が持ち帰ったとされ、島野菜として定着している[11]。
中国では中国語: 香菜(シアンツァイ、拼音: )と呼ばれ、スープ、麺類、粥、鍋料理などの風味付けに利用されるほか、東北地方には「老虎菜」(ラオフーツァイ)というキュウリ、青唐辛子(レシピによってはピーマンで代用される)と共にサラダの様に生食する郷土料理もある。北魏時代の斉民要術に密植による軟化栽培の方法が記されている。
タイではパクチー(タイ語: ผักชี)と呼ばれ、トムヤムクンなどのスープやタイスキをはじめとしたさまざまな料理の薬味に用いられる。(あくまでも薬味である[12]。)
ベトナムではザウムイ(ベトナム語: rau mùi、チュノム: 蔞味)と呼ばれ、本場の生春巻きやフォーの添え物には欠かせない食材となっている。
インドではダニヤー(ヒンディー語: धनिया ; dhaniyā)と呼び、カレーにもよく使われるスパイスのひとつである。
中南米ではシラントロ(スペイン語: cilantro)と呼ばれ、スープやサルサなどに広く用いられる。
アメリカ合衆国はメキシコからの移民が多いため、英語のコリアンダーよりもスペイン語のシラントロ の方が一般的な呼称となっている。
ポルトガルではコエントロ(ポルトガル語: coentro)と呼ばれ、魚介類と野菜を主な材料とする鍋料理であるカタプラーナなどの郷土料理によく用いられる。ポルトガル料理の味を特徴づける重要な食材である。
食用以外では、カニやエビを食べた後に手を洗うフィンガーボウルに入れて臭い消しにする例がある。
根
タイ料理などでは、葉だけでなく、根も調味料の一つとして用いられる場合がある。
果実
ヨーロッパやインドでは香辛料として種子(植物学上では果実)の利用も盛んである。乾燥したコリアンダーの果実はコリアンダーシードなどとも呼ばれこれをすりつぶした粉末は柑橘類、特にオレンジのような香りを漂わせカレーなどに用いられる。果実の匂いの主な成分は葉の臭い成分とは異なり、モノテルペン類のd-リナロールC10H18Oである。ミルクや紅茶と共に入れて煮るという利用法もある。ウォッカやジンに漬け込み、果実酒とすることもできる。
薬用
中国医学では全草の乾燥品である「胡荽」の性質を温、辛として生薬のひとつともしており、また、コリアンダーは「炎症を緩和する」、「気分を落ち着ける」、「体内の毒素を排泄する」等と言われているが、ヒトでの有効性について科学的に信頼できるデータはない[10]。
人気
2016年のトレンド鍋(ぐるなび調べ)に「草鍋」が選ばれた[13]。草鍋は、青菜・せり・パクチーを中心とした青野菜をメインとしながらも、野菜がどっさり入った鍋の総称[13]。
脚注
注釈
^ 『慧琳音義』巻70などに引く張華『博物志』にこの説が見える。ただし現行の『博物志』では張騫が胡桃をもたらしたという話はあるが、胡荽に関する記載はない
^ いずれも Cuminum 属で、たがいによく似ている。
出典
^ 「カメムシソウ」とよばれることも パクチーの名前トリビア 女性自身 2015/05/18
^ シャンサイ(香菜)パクチー 農産物百科 JA遠州中央
^ 柴田書店『カレーのすべて』柴田書店、16頁、ISBN 978-4-388-06022-1。
^ Coriander / Gernot Katzer's Spice Pages
^ 稲川俊文編集『花の名前』 婦人生活社、118頁、ISBN 4-574-80336-3。
- ^ ab北野佐久子『基本ハーブの事典』東京堂出版、2005年、p44
^ 京都のタイ料理店「パクチー料理ありません」 店主、異様なブームに「嫌気差した」 J-CAST 2017-04-15
^ 江蘇新医学院編、『中薬大辞典』、上海科学技術出版社、pp1538-1539、1986年、ISBN 7-5323-0842-1
^ “パクチーの味を表現するとカメムシ?好き嫌いの原因はDNA成分反応”. laccord.info. 2018年12月4日閲覧。
- ^ abコリアンダー、コエンドロ、シャンツァイ(香菜)、中国パセリ、パクチー - 「健康食品」の安全性・有効性情報(国立健康・栄養研究所) 更新日2017/04/18、閲覧日2018年9月26日
^ 【新年特集】長命草に次ぐ特産品〝クシティ〟 八重山毎日新聞、2016年1月2日
^ “パクチー”. jbpress.ismedia.jp. 2018年12月4日閲覧。
- ^ ab2016年版トレンド鍋は“草鍋” - PR TIMES(2016年10月19日)
関連項目
ツタンカーメン - マラリアの薬として墓から見つかった。
イタリアンパセリ - 同じセリ科の植物で、見た目が似てる事から、タイ料理以外では代用で使われる事も多い。
参考文献
- 吉田よし子『香辛料の民族学』 中公新書、1988年 ISBN 4121008820
- 佐谷恭『ぱくぱく!パクチー』 情報センター出版局、2008年 ISBN 9784795837836
- 佐谷恭『みんなで作るパクチー料理』 スモール出版、2012年 ISBN 9784905158080
外部リンク
コリアンダー、コエンドロ、シャンツァイ(香菜)、中国パセリ、パクチー - 「健康食品」の安全性・有効性情報(国立健康・栄養研究所)
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