エリン (戦艦)





















































































HMS Erin in Moray Firth 1915 IWM SP 531.jpg
艦歴
発注:
ヴィッカース社ベロー造船所
起工:

1911年8月1日
進水:

1913年9月3日
就役:

1914年8月
退役:

1922年5月
その後:

1923年解体完了
除籍:

1922年12月19日
性能諸元

排水量:
常備:22,780トン
満載:30,250トン
全長:
170.5m
全幅:
27.9m
吃水:
8.7m
機関:

バブコック・アンド・ウィルコックス式石炭・重油混焼水管缶15基
パーソンズ式直結タービン(高速・低速)2組4軸推進
最大出力:
26,500 hp
最大速力:
21.0ノット
航続性能:
10ノット/5,300海里
燃料:
石炭:2,120トン
重油:710トン
乗員:
1,070名
兵装:
Mark VI 34.3cm(45口径)連装砲5基
Mark XVI 15.2cm(50口径)単装速射砲16基
7.62cm(45口径)単装高角砲2基
5.7ccm(50口径)単装速射砲6基
53.3cm水中魚雷発射管単装4基
装甲:
舷側:305mm(水線最厚部)、102mm(艦首・艦尾部)
甲板:75mm
砲塔:283mm(前盾)
バーベット:254mm(甲板上部)、76mm(甲板下部)
司令塔:305mm(側盾)、-mm(天蓋)

エリン (HMS Erin) は、イギリス海軍の超弩級戦艦である。同型艦はない。


艦名のエリン( Erin) はゲール語に由来するアイルランド島の古名で、原語に忠実な発音は日本語のカタカナ表記では「イリン」、もしくは「イアリン」が近い。




目次






  • 1 概要


  • 2 艦形


  • 3 武装


    • 3.1 主砲


    • 3.2 副砲、その他の備砲・雷装




  • 4 防御


  • 5 機関


  • 6 金剛型戦艦との関係


  • 7 関連項目


  • 8 外部リンク





概要


元来はオスマン帝国海軍がロシア帝国海軍の弩級戦艦に対抗すべくヴィッカーズ社に発注した超弩級戦艦で、当初は「レシャド5世Reshad V:トルコ語: Reşad V(beş)」と命名される予定であったが、後に「レシャディエ (Reshaddieh:Reşadiye)」に改名された。


しかし、本艦は完成間近に第一次世界大戦が勃発したため、1914年8月1日の竣工直後、イギリスの海軍相であったウィンストン・チャーチルの指示により英国政府によって接収され、同年8月3日付で英国海軍に編入された。この行為はオスマン帝国の不堪を買ったばかりか、トルコ国民の反感をかい、同国の反英感情を盛り上げて、オスマン帝国が同盟側(ドイツ側)に立って参戦する遠因を作った。


イギリス海軍戦艦として「エリン」と改名された本艦は1914年9月に就役し、竣工後に三脚マストの頂部に新型の射撃方位盤を設置すると共に射撃指揮所の拡大、2番煙突後部に探照灯台の新設といった改装を行った。1915年5月31日から6月1日にかけて第2戦艦戦隊第1戦艦隊所属でユトランド沖海戦に参加しているが、ドイツ艦隊に対しては主砲を発砲する機会がないままに終わっている。1917年に後部艦橋の改正と7.62cm高射砲2基の設置等を含む改装を行い、1918年に2番・3番砲塔の上部に陸上機の滑走台を設けた。


第1次大戦後、1919年10月にはノア管区所属の練習艦となり、同年12月よりチャタム工廠で戦艦の砲塔操作の練習用として用いられている。


エリンは1920年の7~8月にはデヴォンポート海軍基地で大規模修理に入った。これは、当時開催準備が進められていたワシントン海軍軍縮条約において「練習戦艦」として保有枠の制限から外すことを意図していたものだが、最終的には練習戦艦としての保有枠にはオライオン級戦艦のサンダラー(HMS Thunderer)が選ばれたため、エリンは1922年5月をもって退役、スクラップとしてコックス・アンド・ダンクス社(Cox & Danks Shipbreaking Co)に売却され、同年12月19日に除籍となり、クイーンズバラ(en:Queenborough)で1923年に解体された。



艦形


本艦のタイプシップは「キング・ジョージ5世級戦艦 (初代)」に採ったが、原型ではオスマン帝国最大の大きさを誇るドックを持ってしても全長が収まらず、整備が出来ないために全長を12m縮め、幅を0.8m広くする改設計を行った。全長が短くなったために艦内容積が不足するのをカバーするために船体形状は短船首楼型船体から船首楼を4番砲塔基部まで伸ばす長船首楼型船体に改めた為、本艦は当時のイギリス戦艦の中で最上の凌波性を持つ艦となった。更に、その船首楼側面を副砲ケースメイトのスペースに充てたために本艦の副砲は極めて広い射界を持っていた。主砲搭載様式はキング・ジョージ5世級と変わらないが、船首楼甲板が延びたために3番主砲塔が甲板一段分上がって波浪の影響を受けにくくなった。


浮力確保のため水面下に膨らみを持つ艦首から艦首甲板上に新設計の34.3cm砲を収めた連装式の主砲塔が背負い式配置で2基、2番主砲塔の基部から菱形状の上部構造物が始まり、その上に司令塔を組み込んだ操舵艦橋が設けられ、それを基部として頂上部と中段部に見張り所を持つ三脚型の前部マストが立つ。その背後には2本煙突が立ち、その間隔は狭かった。その周囲は艦載艇置き場となっており、前部マストの基部に付いたクレーン1基により運用された。中央部甲板上に3番主砲塔が後ろ向きに1基配置された背後に後部上部構造物が設けられ、後部見張り所を基部として簡素な後部マストが立った。船首楼甲板は4番主砲塔の基部で終了し、4番・5番主砲塔が後ろ向きの背負い式で2基が配置された。副砲の15.2cm速射砲は単装砲架で船首楼の側面に片舷8基の計16基が配置されていた。



武装



主砲


本艦の主砲は、砲身サイズは34.3cmのままであったが砲塔を新設計とした「Mark VI 34.3cm(45口径)ライフル砲」を採用している。その性能は砲口初速745m/s、635kgの砲弾を最大仰角20度で21,130mまで到達し、射程9,140mで舷側装甲318mmを貫通する能力を持っていた。この砲を新型のD型砲塔へ更新された。動作性能は仰角20度・俯角3度で旋回角度は単体首尾線方向を0度として1番・2番・4番・5番砲塔は左右150度であったが、3番砲塔は150度の旋回角のうち後部艦橋を避けるため後方0度から左右15度の間が死角となっていた。発射速度は毎分1.5発程度、熟練の砲手により短時間ならば毎分2発が可能であった。



副砲、その他の備砲・雷装


副砲は新設計の「Mark XVI 15.2cm(50口径)砲」を採用した。その性能は45.3kgの砲弾を最大仰角15度で13,385mまで到達する能力を持っていた。発射速度は毎分5~7発程度であった。これを単装砲架で仰角15度・俯角7度、左右80度の射界を持っていた。他に「7.62cm(45口径)高角砲」を単装砲架で2基、57mm(50口径)単装速射砲を6基、対艦攻撃用として53.3cm魚雷発射管を単装で1番・5番主砲塔の側面に1基ずつ片舷2基で計4基配置していた。



防御


防御方式は当時の主流として全体防御方式を採用しており、艦首甲板半ばから艦尾甲板中部までの舷側全体を覆っていた。1番主砲塔から5番主砲塔にかけての水線部の装甲厚は305mmで艦首と艦尾の末端部は102mmであった。甲板部の水平防御については、主防御甲板の装甲厚は75mmである。



機関


本艦の機関はバブコック・アンド・ウィルコックス式石炭・重油混焼水管缶15基にパーソンズ式直結タービン4基4軸推進で最大出力26,500馬力で速力21.0ノットを発揮した。石炭2,120トンと重油710トンを搭載しており、石炭のみの航続距離は10ノットで3,400海里で重油を併用すれば10ノットで5,300海里を航行できる計算であった。



金剛型戦艦との関係




浮きドックで整備を受けるエリン
(1918年頃の撮影)


エリンは日本の金剛型戦艦のタイプシップである。両艦の設計者はヴィッカーズ社のジョージ・E・サーストン卿であり、主砲塔および副砲の配置・船体・甲板数・防御様式などに類似点がある。サーストン卿自身が「金剛はレシャド五世(エリン)」を基にした」と発言している。よって金剛型がライオン級巡洋戦艦を基にしたとする説は誤りである。ただし金剛型が先行するライオン級の設計も参考にしている可能性はある。


高速化するために、戦艦であるエリンから4番砲塔と後部艦橋構造物を撤去し、もしくは3番砲塔を撤去し4番砲塔と後部艦橋構造物を前方にずらすことで確保した空間に、汽缶を増設し(3番砲塔の前に集中配置)、機械室を増強し(3番砲塔と4番砲塔の間に集中配置)、装甲を薄くして軽量化し、船体を延長することで、巡洋戦艦化したものが金剛型戦艦であるといえよう。



関連項目







  • イギリス海軍艦艇一覧

  • オスマン帝国海軍艦艇一覧

  • 戦艦一覧

  • 金剛型戦艦



外部リンク



  • 'Erin' (1911)本艦のスペックと写真があるページ。(英語)







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