均衡集合




線型代数学および関連する数学の分野における均衡集合(きんこうしゅうごう、英: balanced set)、あるいは円集合、または円板とは、絶対値 |.| を備える体 K 上のベクトル空間内の集合 S であって、|α| ≤ 1 を満たすような全てのスカラー α に対して


αS⊆S{displaystyle alpha Ssubseteq S}{displaystyle alpha Ssubseteq S}

が成立するようなもののことである。ここで


αS:={αx∣x∈S}{displaystyle alpha S:={alpha xmid xin S}}{displaystyle alpha S:={alpha xmid xin S}}

である。


集合 S均衡包(balanced hull)あるいは均衡包絡集合(balanced envelope)とは、S を含むような最小の均衡集合のことである。それは S を含むような全ての均衡集合の共通部分として構成される。




目次






  • 1


  • 2 性質


  • 3 関連項目


  • 4 参考文献









  • ノルムベクトル空間内の単位球は、均衡集合である。


  • 実あるいは複素ベクトル空間の任意の部分空間は、均衡集合である。

  • 均衡集合の族の直積(デカルト積)は、同じ体 K 上の対応するベクトル空間の直積(英語版)において、均衡である。

  • 一次元ベクトル空間として、複素数体 C を考える。その空間内の均衡集合は、C それ自身か、空集合、および 0 を中心とする開円板と閉円板(平面上の点として各複素数を可視化した場合)である。一方、二次元ユークリッド空間においてはさらに多くの均衡集合が存在する:(0,0) を中点とする任意の線分が均衡集合となる。結果として、ベクトル空間の構造に関して言えば、CR2 は全く違うものであるということが分かる。


  • p を線型空間 X の半ノルムとしたとき、任意の定数 c > 0 に対して、集合 {x ∈ X | p(x) ≤ c} は均衡となる。



性質



  • 均衡集合の和集合および共通部分は、均衡集合である。

  • 均衡集合の閉包は、均衡集合である。

  • (性質からではなく)定義から、ある集合が絶対凸であることと、それが凸かつ均衡であることは、同値である。



関連項目


  • 星状領域


参考文献




  • Robertson, A.P.; W.J. Robertson (1964). Topological vector spaces. Cambridge Tracts in Mathematics. 53. Cambridge University Press. p. 4. 


  • W. Rudin (1990). Functional Analysis (2nd ed ed.). McGraw-Hill, Inc. ISBN 0-07-054236-8. 


  • H.H. Schaefer (1970). Topological Vector Spaces. GTM. 3. Springer-Verlag. p. 11. ISBN 0-387-05380-8. 




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