ウズラ
ウズラ | ||||||||||||||||||||||||
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ウズラ Coturnix japonica | ||||||||||||||||||||||||
保全状況評価[1] | ||||||||||||||||||||||||
NEAR THREATENED (IUCN Red List Ver.3.1 (2001)) | ||||||||||||||||||||||||
分類 | ||||||||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||||||||
Coturnix japonica Temminck & Schlegel, 1849[1][2] | ||||||||||||||||||||||||
和名 | ||||||||||||||||||||||||
ウズラ[2][3][4][5] | ||||||||||||||||||||||||
英名 | ||||||||||||||||||||||||
Japanese quail[1][2][4][5] |
ウズラ(鶉[6]、Coturnix japonica)は、鳥綱キジ目キジ科ウズラ属に分類される鳥類。
目次
1 分布
2 形態
3 分類
4 生態
5 人間との関係
6 特記事項
7 出典
8 注釈
9 関連項目
分布
インド北東部、タイ王国、大韓民国、中華人民共和国、朝鮮民主主義人民共和国、日本、ブータン、ベトナム、ミャンマー、モンゴル国、ラオス、ロシア東部[1]
日本(主に本州中部以北)、モンゴル、朝鮮半島、シベリア南部、中華人民共和国北東部などで繁殖し、冬季になると日本(本州中部以南)、中華人民共和国南部、東南アジアなどへ南下し越冬する[7]。日本国内の標識調査の例では北海道・青森県で繁殖した個体は主に関東地方・東海地方・紀伊半島・四国などの太平洋岸で越冬し、九州で越冬する個体は主に朝鮮半島で繁殖した個体とされる(朝鮮半島で繁殖して四国・山陽地方・東海地方へ飛来する個体もいる)[3]。
形態
全長20センチメートル[2][4]。翼長9.1-10.4センチメートル[7]。上面の羽衣は淡褐色[7]。
繁殖期のオスは顔や喉[2]、体側面の羽衣が赤褐色[7]。希に全体が白色羽毛で散在的に野性型羽毛をもつ個体が生じるが、劣性遺伝により発現するとされている[8]。
分類
以前は旧ウズラCoturnix coturnix(現ヨーロッパウズラ)の亜種とされていたが、独立種として分割された[3][7]。
生態
低地にある草原・農耕地などに生息する[2]。秋季から冬季にかけて5 - 50羽の小規模から中規模の群れを形成することもある[3]。和名は「蹲る(うずくまる)」「埋る(うずる)」のウズに接尾語「ら」を付け加えたものとする説がある[6]。
種子、昆虫などを食べる[3]。
繁殖様式は卵生。配偶様式は一夫一妻だが[3]、一夫多妻の例もある[4]。繁殖期は5 - 9月[2][3]。植物の根元や地面の窪みに枯れ草を敷いた巣を作る[3][4]。7 - 12個の卵を産むが[2][4]、18個の卵を産んだ例もある[3]。抱卵期間は16 - 21日で[2]、メスのみが抱卵する[3][4]。雛は孵化してから20日で飛翔できるようになり、1 - 2か月で独立する[4]。生後1年以内に成熟する[4]。
孵化後6週令で産卵を開始する[9]。卵には通常黒い斑点があるが、希に白色の卵も産む。
- 雌の平均寿命は2年に満たない586日から694日、最高寿命1690日[10]。
- 産卵率 280日齢で80-90%、
- 生涯産卵数 342 - 384個
ウズラの卵殼表面には褐色のまだら模様があるが、これは卵を外敵から守るカモフラージュの効果がある。模様は卵を作る器官に由来し、個体差があるものの個体ごとに決まった模様がつくため1羽のメスが産む卵は同じ様な模様をしている[11][12][13]。この模様の元となる色素は産卵開始時刻の約3時間前から分泌が始まり、子宮壁の伸縮、卵の回転に伴い卵殼表面に拡がり斑紋を形成するとする研究がある[14]。稀に模様のない白い卵を産むこともある。
人間との関係
古くから歌に詠まれ、古事記・万葉集・千載和歌集などにも本種のことを詠んだ歌がある[3]。
食用とされることもある。日本では平安時代に本種の調理法について記した書物がある[3]。明治時代中期から採卵用の飼養が本格的に進められるようになり、1941年には飼養数は約2,000,000羽に達した[3][5]。当時は本種の卵が肺病や心臓病の薬になると信じられ珍重されたが、販売経路が限られることや原価が高いことから下火となった[3]。第二次世界大戦により本種の飼養は壊滅的な状況に陥ったものの[3]、1965年に飼養数が再び約2,000,000羽まで増加した[5]。1970年代以降は主に愛知県(日本の飼養数のうち約65 %を占める)なかでも豊橋市を中心に養殖がおこなわれている[3][5]。1984年に約8,500,000羽とピークを迎えたが、2009年に豊橋市で鳥インフルエンザが確認されたことにより約1,600,000羽が殺処分された[5]。調理法として水炊き、焼き鳥、肉団子などがあり、雑煮の出汁に用いられることもある[3]。生後60日ほどで成熟し、オスは精肉用、メスは採卵用となる。
狩猟の対象とされることもある[3]。
日本では1975年から鳥獣保護法における狩猟鳥獣だったが、1975年から2004年現在までは1日あたり1人5羽までの狩猟制限があった[3]。1989年に石川県と岩手県、2002年に京都府で本種の狩猟が禁止された[3]。生息数が減少したため2007年から2012年までは全国で一時的な捕獲禁止措置が実施され、後にこの捕獲禁止措置は2017年まで延長された[15]。2013年に狩猟鳥獣(同時に狩猟鳥獣としての一時的捕獲禁止措置も解除)から除外されたことにより、日本で本種を狩猟することは違法となった[15]。
日本では草地開発や河川敷の樹林化・レクリーエション利用などにより生息数は減少している[2]。
絶滅危惧II類 (VU)(環境省レッドリスト)[2]
ペットとして飼育されることもある。日本では室町時代には籠を用いて本種を飼育されていたとされ[5]、言継卿記に記述がある[3]。江戸時代には武士の間で鳴き声を競い合う「鶉合わせ」が行われ、慶長から寛永をピークに大正時代まで行われた[3]。一方で鳴き声を日本語に置き換えた表現(聞きなし)として「御吉兆」などがあり、珍重されることもあった[3]。小型で飼育スペースを取らないこと、世代交代が早い事から実験動物として用いられることもある[3][5]。
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なお、雛が「シマドリ」「姫うずら」等と称され、露店で売られる光景も見られたが、種名としてのヒメウズラ(King quail)は全く別種の鳥を指すので注意が必要である[注釈 1]。
飼育場で飼育されるのはメスだけだが、たまに選別漏れでオスが混じる場合がある。そのため、市販されているウズラの卵には数%の確率で有精卵が混じっており、孵卵器に入れればヒナが孵化する場合がある[16]。
特記事項
- 近親交配による退行が発現しやすく、3世代で系統の維持が困難になり、5世代を経ると次の世代の作出が困難になったとする研究がある[17]。
出典
- ^ abcdBirdLife International. 2016. Coturnix japonica. The IUCN Red List of Threatened Species 2016: e.T22678949A95209097. doi:10.2305/IUCN.UK.2016-3.RLTS.T22678949A95209097.en. Downloaded on 18 June 2018.
- ^ abcdefghijk藤巻裕蔵 「ウズラ」『レッドデータブック2014 -日本の絶滅のおそれのある野生動物-2 鳥類』環境省自然環境局野生生物課希少種保全推進室編、株式会社ぎょうせい、2014年、160-161頁。
- ^ abcdefghijklmnopqrstuvwx奥山正樹 「狩猟鳥ウズラ Coturnix japonica の現状」『山階鳥類学雑誌』第35巻 2号、山階鳥類研究所、2004年、189-202頁。
- ^ abcdefghi竹下信雄 「ウズラ」『動物大百科 7 鳥類I』黒田長久監修 C.M.ペリンズ、A.L.A.ミドルトン編、平凡社、1986年、184頁。
- ^ abcdefgh都筑政起 「生物材料インデックス ウズラ(Japanese quail, Coturnix japonica)」『生物工学』第91巻 2号、日本生物工学会、2013年、110-113頁。
- ^ ab安部直哉 『山溪名前図鑑 野鳥の名前』、山と溪谷社、2008年、52頁。
- ^ abcde黒田長久・小宮輝之 「キジ亜科の分類」『世界の動物 分類と飼育10-I (キジ目)』黒田長久、森岡弘之監修、東京動物園協会、1987年、66-126頁。
^ 水谷誠ほか、ニホンウズラの新しい羽装パンダ (panda) についての遺伝子分析 実験動物 Vol.23 (1974) No.2 P59-61
^ 鳥類の遺伝的多様性の調査研究、ならびに有用遺伝資源の発掘とその応用 名古屋大学 動物遺伝制御学研究室
^ うずらの生態及び飼養等に関する情報について 農林水産省 (PDF)
^ “うずらの卵”. 東海有機株式会社. 2015年8月24日閲覧。
^ “東海農政局/卵肉用鶉”. 農林水産省. 2015年8月24日閲覧。[リンク切れ]
^ “ウズラは、自分の卵の模様に合わせて産卵場所を選ぶ”. Nature. 2015年8月24日閲覧。[リンク切れ]
^ 田中耕作、今井 達夫、古賀脩、日本うずらの卵殼表面における色素沈着過程について 日本家禽学会誌 Vol.14 (1977) No.5 P229-231
- ^ ab狩猟鳥獣を定めること及び対象狩猟鳥獣の捕獲等の禁止又は 制限を定めることについて・ウズラに係る狩猟鳥獣の指定の解除について(環境庁・2017年12月30日に利用)
^ スーパーのうずら卵からひな鳥ピヨピヨ! - 孵化実験のレポート記事、デイリーポータルZ、2009年2月19日
^ 佐藤勝紀ほか、近親交配が日本ウズラの体重、性成熟日齢、卵重に及ぼす影響 岡山大学農学部学術報告 61, 25-32, 1983-0
注釈
^ ウズラが特徴的な体毛をしているために姫ウズラとは孵化直後より容易に識別可能