アイヌ語
アイヌ語 | |
---|---|
アイヌ イタㇰ | |
発音 | IPA: [ai̯nu itak̚] |
話される国 | 日本 |
地域 | 北海道 過去には、樺太・千島列島・東北地方北部 |
話者数 | 1996年の調査で15人[1]、2007年の調査で10人[2] |
言語系統 | 孤立した言語
|
言語コード | |
ISO 639-1 | なし |
ISO 639-2 | ain |
ISO 639-3 | ain |
SIL | AIN |
消滅危険度評価 | |
北海道アイヌ語 | 極めて深刻 |
樺太アイヌ語 | 消滅 |
千島アイヌ語 | 消滅 (UNESCO) |
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アイヌ語(アイヌご、アイヌ語ラテン文字表記:Aynu itak、アイヌ語仮名表記:アイヌ・イタㇰ)は、日本列島東北部に居住するアイヌ民族(アイヌ)の言語である。
話者は、アイヌ民族の主たる居住地域である北海道、樺太、千島列島に分布していたが、現在ではアイヌの移住に伴い日本の他の地方(主に首都圏)にも拡散している。言語学では「孤立した言語」である。国際連合教育科学文化機関によって、2009年2月に「極めて深刻[3]」な消滅の危機にあると分類された、危機に瀕する言語である[4][5]。危険な状況にある日本の8言語のうち唯一最悪の「極めて深刻」に分類された[6]。
目次
1 概説
2 現状
2.1 消滅危機言語
2.2 保存活動
2.3 新語の創造
3 アイヌ語の研究
4 文字による記録
5 音韻
5.1 母音
5.2 子音
6 文法
7 方言
7.1 概要
7.2 下位区分
8 文章
8.1 文章化の試み
8.2 文字(カナ表記)
8.3 文字(ローマ字表記)
8.4 文学
9 語彙
10 アイヌ語に起源を持つと推測されている地名
10.1 北海道島の地名
10.2 本州島の地名
10.2.1 青森県
10.2.2 岩手県
10.2.3 秋田県
10.2.4 宮城県
10.2.5 北東北3県、その他各地に点在
11 日本語に溶け込んだアイヌ語
12 雑学
13 脚注
14 参考文献
14.1 入門書
14.2 辞書
14.3 解説書、特定分野の辞典
14.4 読み物
15 関連項目
16 外部リンク
概説
地理的に近い位置で話され、古くから互いに経済的、文化的な交流があったにも関わらず、大和民族の日本語との間には、語彙の借用(例、女 menoko)を除いてそれほど共通点(例、皮 kap 〜 kapa)が見いだせない。アイヌ語の系統や語族に関しては、学術的に確実なことはいえない状況であり、孤立した言語であると考えられている。
北海道以北のアイヌの民には強力な支配者や中央政府が存在しなかったため、いわゆる共通語のようなものは無い(東北地方には sisam 倭人と組織的に戦闘を行った英雄叙事詩が残っている)。地方によって多くの方言がある。
現状
消滅危機言語
現在アイヌ語を継承しているアイヌの数が極めて少ないため、アイヌ語は近いうちに消滅してしまう『消滅危機言語』の一つとなっている。2007年の推定では、約1万5000人のアイヌの中で、アイヌ語を流暢に話せる母語話者は10人しかいなかった[7]。さらに別の推定では、アイヌ語を母語とする人は、千島列島では既に消滅し、樺太でもおそらく消滅していて、残る北海道の母語話者も、平均年齢が既に80歳を越え、母語話者数も10人以下となっている[8]。アイヌ語の消滅危惧のレベルは「おそらく消滅した言語」と「消滅の危機に厳しくさらされる言語」の間の「消滅に近い言語」となっている。2009年(平成21年)、ユネスコにより「危機に瀕する言語」として、最高ランクの「極めて深刻」の区分に分類され、数年後には母語話者の死亡により消滅すると見られている[9]。
保存活動
1980年代以降、萱野茂らアイヌ語を残そうとするアイヌ自身の努力の結果、アイヌ語教室が各地に開設され、1981年には山本多助がアイヌ語小事典を発行した。2007年現在、北海道内14箇所にアイヌ語教室が設置され、多くの人がアイヌ語を学んでいる。また関東地方にも、関東在住のアイヌまたは和人がアイヌ語を学ぶ集まりがいくつか存在する。1987年にはSTVラジオが「アイヌ語講座 イランカラプテ」(現在の「アイヌ語ラジオ講座」)の放送を開始し、2016年現在も放送中である。
1986年には、田村すず子の教え子、北方言語研究会が上智大学学生などと共催で早稲田大学において第一回「アイヌ語祭」を開催し、和人による全編アイヌ語による演劇などがアイヌ民族や元北海道新聞社員でアイヌ語地名研究家などの前で披露された。
アイヌ文化振興財団主催のアイヌ語弁論大会(イタカンロー)には毎年多くの人が参加し、アイヌ語による弁論や、口承文芸の披露が行われている。
また、1990年代から、アイヌではない人の中にもアイヌ語を勉強しようとする人が増えてきている。アイヌ語の辞典も各種出版されている。特に東北地方では、アイヌとの歴史的連続性や地名研究の必要からアイヌ語への関心は伝統的に高い。
アイヌ語は「危機に瀕する言語」と呼ばれる言語の中では、例外的と言って良いほど、大量の録音資料が残されている言語である。オープンリールやカセットテープに記録され、現在まで残っているアイヌ語の音声資料は豊富である。しかし、その音声資料については、内容が不明なものも多く、調査は発展途上であるため、アイヌ語学習に使用できる資料は限られている。今後のアイヌ語学習には、この音声資料の活用が課題となっている[10]
新語の創造
2000年代になり、北海道教育大学旭川校等でアイヌ語を刷新する兆しがある。実際「アイヌ語旭川方言会話辞典」では現代に不足している語彙の補完が試験的に行われており、imeru(神が放つ光。転じて電気の意)からimeru inaw またはimeru pasuy(前者は固定電話で、後者は携帯電話の意。inawはイナウ、pasuyは箸を意味する。アイヌの信仰では、イナウや箸は神と人間との仲立ちをすると考えられていて、ネットの中とリアルを仲立ちする例えから)、imeru kampi(電子メール。kampiは紙、または手紙を意味する。)等の造語を作り、現代生活で不足している語彙を補完し、「現代の言語として」使える様にする努力が行われている。2008年7月4日に開催された「先住民族サミット」アイヌモシリ2008では、「アイヌ語を公用語とし、義務教育でも学べる言語とすること」を日本政府に提言[11]している。
アイヌ語の研究
明治時代になってから、アイヌ語は科学的に研究されるようになったが、最初期には外国からのしかも言語学者ではない人々による研究が先行したのが特徴的である。たとえば東洋学者のアウグスト・プフィッツマイアー、ロシアの医師であったミハイル・ドブロトウォルスキー(Михаил Михайлович Добротворский)、ポーランドの社会運動家で亡命者であったブロニスワフ・ピウスツキ、宣教師であったジョン・バチェラーなどがそれにあたる。
日本の言語学者たちがアイヌ語を研究し始めた頃にはアイヌ語の話者は非常に少なかったが、先にあげた外国の研究者とはほとんど交渉を持たず、活発に研究されてきた。金田一京助とその弟子である久保寺逸彦や、アイヌである知里幸恵・知里真志保姉弟らがまず挙げられる。
上に挙げた研究者のあと、田村すず子、浅井亨、村崎恭子、魚井一由、キーステン・レフシン(デンマーク人)、中川裕、切替英雄、佐藤知己、奥田統己らの研究者がそれぞれ研究を進めてきた。
文字による記録
アイヌ語は漢字が伝わる前の日本語と同様、口承のみによって受け継がれてきた。そのため文字による古い記録は、ヨーロッパ人や和人によって書かれたものが残されている。古くは17世紀初頭に松前を訪れた宣教師アンジェリス(en)のラテン文字による記録が残されている。日本の史料としては平仮名でアイヌ語が記録された『松前ノ言』が最も古く寛永年間頃のものと推定されており、年代の明確なものとしては宝永元年(1704年)に蝦夷地を訪れた禅僧である正光空念の記録が古い。
正徳2年(1712年)に刊行された『和漢三才図会』では、50ほどのアイヌ語の単語とその日本語訳が記されている[12]。蝦夷通詞(アイヌ語通訳)の上原熊次郎は、寛政4年(1792年)に刊行されたアイヌ語の辞書『もしほ草』(書名は蝦夷方言とも)の著者として知られており、自筆稿本である『蝦夷語集』(国立公文書館所蔵)や『蝦夷地名考並里程記』(東京国立博物館所蔵)が伝わっている。
アイヌ自身による記録は、大正時代からラテン文字などを用いて書かれるようになったといわれている。ピウスツキと親交があった千徳太郎治は、キリル文字によってアイヌ語を表記していた。
音韻
アイヌ語の音節はCV(C)(すなわち義務的な声母と義務的ではない韻母)からなり、子音群は少数しかない。
母音
アイヌ語は五つの母音を持つ。樺太方言では開音節で長短を区別する。
前舌 | 中舌 | 後舌 | |
---|---|---|---|
狭 | [i] i | [u] u | |
中央 | [e] e | [o] o | |
広 | [a] a |
子音
子音は 「p」、「t」、「k」、「c」、「n」、「s」、「r」、「m」、「w」、「y」、「h」、「'」の12種が数えられる。無声音と有声音の区別は存在しない。
両唇 | 両唇軟口蓋 | 歯茎 | 硬口蓋 | 軟口蓋 | 声門 | |
---|---|---|---|---|---|---|
破裂 | [p] p | [t] t | [k] k | [ʔ] ' | ||
破擦 | [ts] c | |||||
鼻 | [m] m | [n] n | ||||
摩擦 | [s] s | [h] h | ||||
接近 | [w] w | [j] y | ||||
はじき | [ɾ] r |
日本語にはほとんど現れない閉音節が多く存在し、北海道方言では音節末にはc、h、' を除く任意の子音が立つことができる。いっぽう多来加を除く樺太の方言では音節末に立つ子音は限られ、音節末子音/m/は/n/との区別を失い、/k/, /t/, /p/, および/r/の一部は摩擦音化し/h/(xとも表記された)になる。例えば北海道のsések(「セセク」のように発音。「熱い」の意)は樺太ではsēseh(「セーセヘ」のように発音)となる。
u は、日本語の「ウ」と発音が異なり、日本語を母語とする者には「オ」のようにも聞こえることもある。そういったこともあり、かつてはaynuがアイノ、kamuyがカモイ、inawがイナオと書かれることが多かった。
cはチャ、チなどにあらわれる破擦音で濁って発音されることもある。
sはシやスの摩擦音。方言によってはシャと発音されることもある。また、有声で発音されることはない。
「'」は声門閉鎖音で、たとえばteetaで母音の連続を回避するために、はっきりと区切ってテエタと発音するときテとエの間に入る音である。
音節tiは存在せず、tとiが結びつくと必ずciに変わる (kot + -ihi → kocihi)。
音節wiはごく少数の擬音語・擬態語にしか現れない(siwiwatki風がビュウビュウ吹く。siw-iwは風の音を表す語根の反復)。
音節yi、「wu」を「'i」、「'u」と別の音節として認めるか否かは研究者によって異なる(yairayke/yayirayke、aun/awun、ya(y)inkarpirkare <yay-inkar-pirkare 自分の・見る(こと)・を良くする)。
開音節の「'i」や「'u」は他の母音の後に来たとき、母音の連続を回避するため軽く発音され、y、wとなることがある。表記としてはukoytakのようにy、wになる。閉音節の場合はこの変化は起きない。
母音iやuの後に他の母音が来たときは、母音の連続を回避するため渡り音y、wが挿入されることが多い。このy、wは表記される場合とされない場合がある。例えば、uepekerという語はしばしばuwepekerと書かれる。ただし、uの後にiが来た場合だけは*uwiとはならず、u'iまたはuyとなる。
音節末のt、p、kは朝鮮語の閉音節のp、t、k と同じく内破音であり、日本語のみを使う者にとっては聞き分けが難しい。たとえばpの場合、「アップ」と言った時の「プ」の直前の「ッ」のような感じの音になる。音節末tも同様に「ハット」の「ッ」、kも「メッカ」の「ッ」音である。
音節末sもシの前で詰まる音に近いが場合によりスの前で詰まる音のように聞こえる場合もある。
音節末のmは、日本語と異なりnと区別して発音しなければならない。
音節末のrについては直前の母音の音色が影響することが多く、日本語のラ行子音に近い歯茎はじき音で、且つ舌先が略平らで微妙にしか舌先が上がらない為、
arのrは口の中で発音されたあいまいなラのように、irのrは軽いリのような音となることが多い。樺太方言には音節末のrは無く、hかr+母音のいずれかで発音される。例えば北海道方言のutar(人々、〜たち)は樺太でutahまたはutaraと発音される。
アクセントは、語頭に閉音節があればここに付く。語頭の音節が開音節であれば、原則としてその次の音節に付く。例えばpírka(美しい)は最初の音節pirが閉音節なのでここにアクセントが付く。一方kamúy(神、ヒグマ)は最初の音節kaが開音節なので、次のmuyにアクセントが付く。
なお、アイヌ語では文法上他の母音の後のイ、ウも子音y、wと見なされ閉音節として扱われる。例えばáynu(人間)はイではなくアにアクセントが付く。
ただし例外的に最初の音節が開音節であってもそこにアクセントが付く単語もある。例えばyúkar(ユーカラ)がこれである。
なおアイヌ語のアクセントは高低アクセントで、アクセントのある音節は高く発音される。また、樺太方言で語頭の開音節にアクセントが付いた場合、その母音は長く発音される。例えば先の例のyukarは北海道方言では「ユカラ」に近いが樺太ではyūkara「ユーカラ」に近い。
文法
基本的な文型はSOV(主語・目的語・動詞)の順で、この点では日本語と同じである。しかし、形態論的には抱合語という東シベリアやアメリカ先住民族らの言語(古シベリア諸語、アメリカ先住民諸語など)と共通の特徴を持つ。[要出典]これは、動詞に主語および目的語(授与動詞では間接目的語も)の人称および数を示す接辞が付けられ、さらにその他の意味を加える接辞(動詞の相や態、先行名詞との関係を示す関係詞的なものなど)が付加されて、動詞だけでも文に相当する表現が可能なためである。なお名詞でも、体の部分など、特に個人と切り離せない関係にあるものには、所有者を示す所有接辞が必須的に付加される。
たとえば1つの例として、
- usa-oruspe a-e-yay-ko-tuyma-si-ram-suy-pa
これを直訳すれば
- いろいろ-うわさ 私(主語)-について-自分-で-遠く-自分の-心-揺らす-繰り返し
つまり「いろいろのうわさについて、私は遠く自分の心を揺らし続ける=思いをめぐらす」という意味になる[13]。これは単語としては2つしか含まないが長い文に相当する意味を表している。2番目の動詞は語根suyに主語などを示す接辞、副詞、さらには目的語やそれを限定する接辞がついて1つの長い単語になっている。
方言
アイヌ語の方言は大きく北海道、千島、樺太に分けられる。
- 北海道アイヌ語
- 千島アイヌ語
- 樺太アイヌ語
なお東北北部にも18世紀まで本州アイヌが居住していたが、彼らの方言については詳らかでない。また中世以前の蝦夷がアイヌ語を話していたとする説もある(エミシアイヌ語)。
概要
アイヌはコタン毎に生活をしており、コタンは主に川筋か海岸線に沿って分布したため、川筋ごとに方言が少しずつ異なる場合が多く、また海岸部と内陸部でも差異が見られた。
かつて大きくは北海道・千島(北千島)・樺太(南樺太)の三方言があった。北海道方言は、さらに北東部方言と南西部方言の二つに分類したり、もっと細かく分類されることもあるが、方言間の詳細な比較研究が進んでいないため定説はない。千島方言は日本の千島領有以後急速に廃れ、第二次世界大戦後には既に話者が見つからなかったとされる。樺太方言は1994年に最後の話者とされる浅井タケが亡くなった。北海道内でも和人の移住が早くから進んだ渡島地方や石狩川下流域などの方言は記録がほとんど残っていない。
アイヌは独自の国家を形成せず、自らの言葉を文字に記すこともなかったので、アイヌ語には標準語ないしそれに近い中央語が存在しない。アイヌ語を学ぶ場合は沙流方言や千歳方言の資料が比較的手に入りやすい。
下位区分
括弧内は使用地域。話者、教材を後述。
北海道アイヌ語
- 北海道南西部方言
- 八雲方言 (八雲町。旧熊石町域は除く)
- 長万部方言 (長万部町)
- 余市方言 (余市町)
- 幌別方言 (登別市) - 知里幸恵『アイヌ神謡集』、金成マツ『アイヌ叙事詩ユーカラ集』
- 白老方言 (白老町)
- 千歳方言 (千歳市) - 中川裕・中本ムツ子『エクスプレス・アイヌ語』、中川裕『アイヌ語千歳方言辞典』
鵡川方言 (旧鵡川町)- 沙流方言 (沙流川流域) - 田村すず子『アイヌ語沙流方言辞典』、萱野茂『萱野茂のアイヌ語辞典』、他多数。他のどの方言よりも記録の質・量ともに充実している。
- 新冠方言 (新冠町)
- 北海道北東部方言
- 静内方言 (旧静内町) - 奥田統己『アイヌ語静内方言文脈つき語彙集(CD-ROMつき)』
- 浦河方言 (浦河町)
- 様似方言 (様似町)
- 十勝方言 (十勝支庁) - 本別町教育委員会『澤井トメノ十勝本別アイヌ語分類辞典』
- 釧路方言 (釧路支庁) - 『アイヌ語釧路方言語彙』、山本多助、貫塩喜蔵
- 阿寒方言 (阿寒町)
- 根室方言 (根室支庁)
- 北見方言 (網走支庁)
- 石狩方言 (旭川市など) - 砂沢クラ、杉村キナラブック、杉村フサ、石山キツエ
- 天塩方言 (名寄市など)
- 宗谷方言 (稚内市)
- 北海道南西部方言
樺太アイヌ語
- 西海岸方言 - 藤山ハル、浅井タケ、村崎恭子『カラフトアイヌ語』
- 東海岸方言 - 山辺安之助『あいぬ物語』
- タライカ方言 (旧敷香町) - 樺太の他地域のアイヌ語と著しく異なっていた。
千島アイヌ語 (旧新知郡以北の千島列島) - 村山七郎『北千島アイヌ語』 古い時代にはカムチャツカ半島でも話されていた可能性がある。北千島アイヌは明治時代に色丹島へ移住し、後に北海道本島へ再移住した。なお、元々の択捉島以南のアイヌ語は北海道方言の一種とされる。
文章
文章化の試み
20世紀よりも前の時代にアイヌ自身がアイヌ語の文章を記したテキストはみつかっていない。近年はアイヌタイムズを例として、カタカナやラテン文字、キリル文字による文章化の試みが浸透しつつある。
アイヌ語には多くの方言体系の存在が知られている(「アイヌ語方言」を参照)が、伝統的なアイヌ語話者全体あるいはその大部分を統べるような中央集権的支配者、宗教的権威、あるいは文化的中心が歴史上存在しなかったこともあり、他を圧倒する方言(あるいは言語変種)の体系が存在しない[14]。その為、アイヌ語を文字を使って体系的に表現する場合すなわち文章化する際には、規範となりうる共通語あるいは規範的な書記体系(書記言語)や正書法が存在しないという困難がある。
アイヌ語には文章化する際のオーソライズされた形式・体系が存在しないもののそれに準ずるとみなし得る試みがみられ、北海道ウタリ協会が編集したアイヌ語テキスト『アコロ イタク』が出版されて以降は、『アコロ イタク』で範示されている文章表記に基づいた、各方言の文章化が多くなされている。
また、英語などを通じてローマ字表現に慣れ親しんでいる人たちを除いて、カタカナ表記に慣れ親しんでいる日本語母語話者を中心にした日本語を使用する人々には、ローマ字よりカタカナによるアイヌ語表記が好まれる場合が多い。ただし、カタカナ表記は、出版物やワープロやパソコン上で音節末の子音を表現するための小さいカタカナを記す際、わざわざ活字の大きさを小さくしなければならないなど、大きな問題点があった。
文字(カナ表記)
アイヌ語の仮名による統一された正書法が存在するわけではないが、各方式が大きく異なるわけではない。日本語にない音を表記するために、いくつかの専用の文字を使用する。
「ca・cu・ce・co・ye・we・wo」などは日本語と同様に「チャ・チュ・チェ・チョ・イェ・ウェ・ウォ」と表記する。
tuは、「トゥ」、または「ト」に半濁点がついた「ト゚」(ト゜)、あるいは「ツ」に半濁点がついた「ツ゚」(ツ゜)(括弧内は代用表記)で表記される。
音節末のt、k、p、m、nはそれぞれ、「ッ」、「ㇰ」(ク)、「ㇷ゚」(プ)、「ㇺ」(ム)、「ン」(括弧内は代用表記)で表記される。
音節末のsは多くの場合「ㇱ」(シ)と表記するが、発音の状態によって「ㇲ」(ス)と表記される。
音節末のrは直前の母音に則した書き分けをし、それぞれ「ㇻ」(ラ)、「ㇼ」(リ)、「ㇽ」(ル)、「ㇾ」(レ)、「ㇿ」(ロ)(括弧内は代用表記)で表記される。
単語は分かち書きする。人称接辞は中黒「・」で区切って書かれることがある。それ以外の記号は日本語と同じつかい方をする。
2000年1月にJIS規格としてJIS第三水準漢字(記号類を含む)・JIS第四水準漢字が新規に制定され、このうちのJIS第三水準漢字にアイヌ語カナ表記用の拡張カタカナ(日本語の文章に通常使用される範囲外での小文字カタカナや半濁音付きカタカナ)も含まれている。
ISO規格に採り入れられている Unicode では、2002年3月に改定された Unicode 3.2 から JIS X 0213 に追随する形でアイヌ語カナ表記用の拡張カタカナ (Katakana Phonetic Extensions) が追加されており、同規格に対応したソフトウェアでアイヌ語カナ表記が扱える枠組みが整えられた。ただし、一部の文字は合成を用いないと表現できないという Unicode 特有の問題があり、ソフトウェアによってはきれいに表示できないことがある。
- アイヌ語カナ表記用の拡張カタカナ(Unicode 3.2準拠)
- 代用表記に関しては、小文字カタカナは通常サイズのカタカナの縮小表示、半濁音は通常の全角半濁音記号を付与。
文字 | 代用表記 | 文字 | 代用表記 | 文字 | 代用表記 | 文字 | 代用表記 | |||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
ㇰ | ク | ㇵ | ハ | ㇻ | ラ | ㇺ | ム | |||
ㇱ | シ | ㇶ | ヒ | ㇼ | リ | ㇷ゚ | プ | |||
ㇲ | ス | ㇷ | フ | ㇽ | ル | セ゚ | セ゜ | |||
ㇳ | ト | ㇸ | ヘ | ㇾ | レ | ツ゚ | ツ゜ | |||
ㇴ | ヌ | ㇹ | ホ | ㇿ | ロ | ト゚ | ト゜ |
パソコンでアイヌ語カナ表記(Unicode 3.2準拠)を扱う場合、
Macintosh では、2001年の Mac OS X 10.1 Puma 以降でのOS標準フォントはアイヌ語カナ表記用の拡張カタカナにも対応している他、2003年の Mac OS X 10.3 Panther 以降でのOS標準文字入力システムのことえり4からはアイヌ語入力モードも採用された。
Windowsでは、2007年のWindows Vista以降のOS標準フォントはアイヌ語カナ表記用の拡張カタカナにも対応しており、2001年のWindows XPと2003年のWindows Server 2003については標準では対応しないものの対応版フォントを無償でダウンロードできる。(JIS2004対応フォント(KB927489))
- 2008年現在 Windows の標準状態ではアイヌ語カナ表記入力機能を備えていないものの、カナ表記入力を可能にするためのユーティリティなどが有志により作成公開されており[15][16]、アイヌ語カナ表記用の拡張カタカナにも対応する商用フォントやフリーフォントも増えつつある。
- (対応フォント一覧は ainu_exchange[17]の取扱説明書内で記述されている)
- 2008年現在 Windows の標準状態ではアイヌ語カナ表記入力機能を備えていないものの、カナ表記入力を可能にするためのユーティリティなどが有志により作成公開されており[15][16]、アイヌ語カナ表記用の拡張カタカナにも対応する商用フォントやフリーフォントも増えつつある。
文字(ローマ字表記)
「発音」の節を参照。アクセント表記にはアキュート・アクセント付きラテン文字の「á」「í」「ú」「é」「ó」を使用する。
通常アクセントを省略して例外アクセントのみ表記したり、全てのアクセントを省略してアルファベットのみで表記したりすることもある。
文学
アイヌ語で文字使用が試みられる以前のアイヌの文学は全て口承のもので、民話・神話には非常に富んでいる。アイヌ語の叙事詩はユカラまたはユーカラと呼ばれる。ユーカラの内容は、動物の神があらわれて体験を語るものや、人間の世界の恋愛や戦いを歌うものなど多様である。叙事詩のほかに、いわゆる昔話のような散文による伝承文学もある。
語彙
アイヌ語に起源を持つと推測されている地名
北海道島には、アイヌ語由来の日本語地名が多い。大別して、(1) アイヌ語の発音を写し取ってカタカナで表記するものと、(2) それに漢字をあてたものがある。漢字の読みにうまく当てはまらない地名も多く、(3) 漢字にあわせて元の読みを変更してしまったものや、(4) アイヌ語の語義をそのまま日本語名にあてた(意訳)ものもある。
型 | アイヌ語での地名 | 変化 | 日本語での地名 |
---|---|---|---|
(1) | ニセイ・コ・アン・ペツ | 短縮・省略してカナ文字で表記。 | ニセコ |
(2) | サッ・ポロ・ペッ | 「ペッ」が脱落し、残りの部分に漢字をあてた。 | 札幌(さっぽろ) |
(3) | チキサプ | →ツキサップ→ツキサム | 月寒(つきさむ) |
(4) | タンネトー | 「細長い沼」という意味を日本語訳。 | 長沼(ながぬま) |
(5) | オッカイ・タム・チャラパ | →オカタマ→オカダマ | 丘珠(おかだま) |
日本の本州島以南にも、アイヌ語を起源とする地名が、かつて多数住んでいたアイヌの痕跡として残っているという説がある。本州以南のアイヌ語地名については、山田秀三をはじめ、在野の地名研究家によって研究が進められてきた。山田らによれば仙台付近以北(太平洋側)・秋田県以北(日本海側)には明らかにアイヌ語と解釈できる地名が分布し、この地域については続縄文文化の後北式土器の分布と重なるとの指摘もある[18]。しかし、これより以南については根拠が乏しい。
北海道島の地名
本州島の地名
本州島の地名については、アイヌ語が起源、あるいは(狭義の)アイヌ語と祖先を同じにする(「アイヌ語族」「縄文人の言語」と表現する人もいる)、という説が存在する地名である。また、北海道を含めた東北全域に特有な地名(発音)があり、タㇷ゚コㇷ゚(tap・kop、小高い丘または丸山)はその典型である:
北海道の達古武(たっこぶ、 tapkop)、達布(たっぷ、tapkop)、青森県の田子(たっこ、 tapkop)、岩手県の達谷(たっこく、 tapkop)、達古袋(たっこたい、tapkop)、立根(たっこん、 tapkop)、秋田県の達子森(たっこもり、tapkop)、田子内(たごない、tapkop)、辰子潟(たつこがた、tapkop)、宮城県の達居森(たっこもり、tapkop)、福島県の立子山(たつごやま、tapkop)、竜子山(たつごやま、たっごやま、tapkop)[要出典]。ちなみに、タㇷ゚コㇷ゚は内破音の閉音節をほとんど持たない日本語の話者にとっては「タッコッ」のように聞こえる音である。トィオマ(土のある~、toy・oma):岩手県の豊間根(とよまね)、宮城県の登米(とよま)、福島県の豊間(とよま)。シコッ(大きな窪地、si・kot):北海道の支笏湖(しこつこ、sikot)、岩手県の死骨崎(しこつざき、sikot)。
青森県
相内(あいない)、浅瀬石(あせいし)、赤保内(あかぼない)、荒熊内(あらくまない)、今別(いまべつ)、兎内(うさぎない、とない)、宇鉄(うてつ)、老部(おいっぺ)、大深内(おおふかない)、大別内(おおべつない)、奥内(おくない)、大沢内(おおざわない、おおさわない)、奥戸(おこっぺ)、遅毛内(おそけない)、尾太(おっぷ)、尾別(おっぺつ)、折腰内(おりこしない)、影津内(かげつない)、蟹田(かにた)、木内内(きないない)、木野部(きのっぷ)、切谷内(きりやない)、笹内、佐羽内(さばない)、小比内(さんぴない)、三内(さんない)、獅々内、下風呂(しもふろ)、尻労(しつかり)、車力村(しゃりき)、瀬辺地(せべち、せへじ)、千厩(せんまや)、田子(たっこ-まち、tapkop)、竜飛(龍飛、たっぴ)、田光(たっぴ)、蓼内(たでない、たてない)、丹内、鳥舌内(ちょうしたない)、十腰内(とこしない)、十枝内(としない)、飛内(とびない)、苫米地(とまべち)、豊間内(とよまない)、入内(にゅうない)[19]、野辺地(のべち、のへじ)、野内(のない)、原別(はらべつ)、平内(ひらない-まち)、洞内(ほらない)、三厩(みんまや)、目内(めない)、類家(るいけ)[20]
岩手県
相去(あいさり)、浅内(あさない)、安家(あっか)、安比(あっぴ)、安庭(あにわ)、宇霊羅(うれいら、うれら)、伊保内、江刺(えさし)、江釣子(えづりこ)、越喜来(おきらい)、オショウナイ、女遊部(おなつぺ・おなっぺ、釜石市)、女遊戸(おなつぺ・おなっぺ、宮古市)、釜石 (?)、上米内(かみよない)、金田一(きんだいち)、吉里吉里(きりきり)、久慈 (?)、気仙 (?)、夏油(げとう)、花露辺(けろべ)、佐比内、死骨崎(しこつざき、唐丹町)、タイマグラ、達谷(たっこく, tapkop)、立根(たっこん、tapkop)、束稲山(たばしね[21])、土淵(つちぶち)、唐丹(とうに)、遠野 (とおの)、泊里(とまり)、西根(にしね)、似田貝、似内(にたない)、沼宮内(ぬまくない)、日頃市(ひころいち)、平泉(? ひらいずみ[22])、馬渕(まべち、まぶち)、目屋、綾里(りょうり)、和井内(わいない)
秋田県
浅見内(あさみない)川、阿仁(あに)、阿仁合(あにあい)、天内(あまない)、板見内(いたみない)、打当内(うっとない)、笑内(おかしない)、小猿部川(おさるべ)、生保内(おぼない)、毛馬内(けまない)、斉内川(さいない)、狙半内川(さるはんない)、鹿内(しかない)、下山内(しも-さんない)、岱野(?, たいの)、田子内(たごない、tapkop)、辰子潟(たつこがた、田沢湖、tapkop)、達子森(たっこもり、tapkop)、土目内(どめね)、十和田(とわだ)、西馬音内(にしもない)、仁別(にべつ)、能代(のしろ、nup・sir)、羽見内(はみない)、比立内(ひたちない)、比内(ひない)、桧木内(ひのきない)、堀見内(ほりみない)、マンタラメ、役内(やくない)、鑓見内(やりみない)、米内(よない)
宮城県
歌津(うたつ)、達居森(たっこもり、tapkop)、登米(とよま)、保呂内
北東北3県、その他各地に点在
長内[23]、折壁(おりかべ)、鬼壁(おにかべ)、折戸 (?)、釜谷、釜屋、蒲谷、鎌谷(かまや)、目名、目名川、~岱、~台(臺)、黒部(くろべ)、砺波(となみ)、~平(たい、tay、「森」)
日本語に溶け込んだアイヌ語
wikt:カテゴリ:日本語 アイヌ語由来も参照。
日本語 | アイヌ語 | 備考 |
---|---|---|
エトピリカ | エトゥピリカ(etu pirka) | 嘴・美しい |
オットセイ | オンネプ(onnep) | 中国語を経由、オットに変化した後、漢方薬としての陰茎の婉曲表現の臍がつきオットセイとなって入ったものであると言われている。 |
ケイマフリ | ケマフレ(kema hure) | 足・赤い(熟語 kema-pase 足・重い→年老いた) |
コマイ | コマイ(komay) カンカイ(kankay) | |
シシャモ | スサム(susam) | 語源はsusu-ham「柳の葉」とされる。 |
トナカイ | トゥナカイ(tunakay) | |
ノンノ | ノンノ(nonno) | 花(ファッション雑誌の名称) |
ハスカップ | ハシカプ(haskap) | 語源は has-ka-o-p で「枝の上にたくさんなるもの」の意。 |
ホッキ貝 | ポク(pok) セイ(sey) | |
ラッコ | ラッコ(rakko) | |
ルイベ | ルイペ(ruype) | 溶ける食べ物の意 |
雑学
2004年から北海道で開催されている世界的モータースポーツイベント、世界ラリー選手権のイベントの一つラリージャパンにおいて、コース(SS、スペシャルステージ)の名前は、キムンカムイ、ヤムワッカなど、原則的にアイヌ語で付けられている。
脚注
^ UNESCO Atlas of the World's Languages in Danger
^ Bradley, D. Languages of Mainland South-East Asia (2007) In O. Miyaoka, O. Sakiyama, and M. E. Krauss (eds.), The vanishing languages of the Pacific Rim, pp. 301–336. Oxford Linguistics. Oxford: Oxford University Press.
^ 英語: critically endangered
^ 消滅の危機にある方言・言語,文化庁
^ “八丈語? 世界2500言語、消滅危機 日本は8語対象、方言も独立言語 ユネスコ”. 朝日新聞 (2009年2月20日). 2014年3月29日閲覧。
^ 他の7言語は与那国語、八重山語が「重大な危険(severely endangered)」、宮古語、沖縄語、国頭語、奄美語、八丈語が「危険(definitely endangered)」に分類されている。
^ Ethnologue.com. “Ethnologue report for Ainu” (英語). 2013年3月29日閲覧。
^ Juha Janhunen; Tapani Salminen. “Endangered languages in Northeast Asia/ report” (英語). 2007年9月29日閲覧。
^ 「八丈語? 世界2500言語 消滅危機——「日本は8言語対象 方言も独立言語」ユネスコ」『朝日新聞』2009年2月20日付夕刊、第3版、第1面。
^ “アイヌ語・アイヌ口承文芸 - アイヌ語の未来と音声資料の重要性”. 二風谷アイヌ文化博物館. 2015年7月4日閲覧。
^ 「先住民族サミット」アイヌモシリ2008「日本政府への提言 Archived 2011年7月18日, at the Wayback Machine.」(2008年7月4日)
^ 寺島良安『倭漢三才圖會』(復刻版)吉川弘文館、1906年(明治39年)、213-214頁
^ 知里真志保による。出典:平凡社世界大百科事典
^ アイヌ語母語話者あるいは習得した話者も含めての各方言別の話者数の比較によって他の方言に優越する方言が存在する可能性はある。また、辞書や研究文献の過多によるアクセスの難易は各方言で差が存在する。
^ “ROM作成物サポートページ - ainu_exchange”. 2007年9月29日閲覧。
^ “アイヌ語入力-試作品その3”. 2007年9月29日閲覧。
^ ROM作成物サポートページ
^ 新谷正隆:西木村のアイヌ語地名、秋田地名研究年報20(2004)19-27.]
^ (入内地区について)
^ 田子町プロフィール[リンク切れ]
^ アイヌ語地名考
^ 「ひら-(平、比良)」を平らではなく pira "崖"と解釈する方法。ただし、広(ひろ)、拓/墾(ひら)く、などと同語根であることにも留意
^ 久慈市周辺のアィヌ語系地名 Archived 2011年7月13日, at the Wayback Machine.
参考文献
入門書
- 中川裕・中本ムツ子 『CDエクスプレス アイヌ語』 白水社 ISBN 4560005990 2004年
- 1997年刊の『エクスプレス アイヌ語』にCDが付いた新装版。
- 『アコロ イタク』北海道ウタリ協会 ISBN 4905756219 C0086 1994年
田村すず子 『アイヌ語入門』『アイヌ語基礎語彙』『アイヌ語入門解説』 早稲田大学語学研究所、1983年
- カムイトラノ協会、片山言語文化研究所などがビデオ教材やテキストを作成している。
- 大修館書店1981年刊、講座言語第六巻『世界の言語』413-445pp 田村すゞ子「アイヌ語」
辞書
萱野茂 『萱野茂のアイヌ語辞典』 三省堂 ISBN 4385170509 1996年(初版)・ISBN 4385170525 2002年(増補版)- 『萱野茂のアイヌ語辞典 CD-ROM』三省堂 ISBN 4385613060 1999年。
- 上記(初版)のCD-ROM版。全例文に著者自身の発音による音声が付いている。
田村すず子 『アイヌ語沙流方言辞典』 草風館 ISBN 4883230937 1996年- 中川裕 『アイヌ語千歳方言辞典』 草風館(普及版) ISBN 4883230783・(机上版) ISBN 4883230775 1995年
- 知里高央・横山孝雄 『アイヌ語イラスト辞典』
- 知里高央・横山孝雄 『アイヌ語絵入り辞典』
知里真志保 『分類アイヌ語辞典』
服部四郎 『アイヌ語方言辞典』
ジョン・バチェラー『アイヌ・英・和辞典 第四版』(岩波書店、ISBN 4000800558、1981年)
解説書、特定分野の辞典
- 亀井孝・河野六郎・千野栄一編 『日本列島の言語』 三省堂 ISBN 4385152071
- 『言語学大辞典』(三省堂、1988年)からアイヌ語、日本語、琉球列島の言語の3項目を抜き出して編集。アイヌ語全般に関する詳しい解説を含む。アイヌ語の解説は田村すず子が担当。
知里真志保 『アイヌ語入門 - 特に地名研究者のために』- 知里真志保 『地名アイヌ語小辞典』 北海道出版企画センター ISBN 4832888021
- 原本は1956年に発行された。地名に出てくるアイヌ語の解説書。
読み物
- 『アイヌ神謡集』 知里幸惠編訳、岩波書店〈岩波文庫〉 赤80-1
- 原本は1923年に発行され、アイヌ文学として一般に知られるようになった最初のもの。著者は出版をまたず、19歳3か月で夭折した。
関連項目
- アイヌ用語一覧
- アイヌ語仮名
- アイヌ文化
- アイヌ文化振興法
- 人名#アイヌの名前
- アイヌ語ラジオ講座
- アイヌタイムズ
- 蝦夷
オホーツク文化 - ニヴフ
- 苫小牧駒澤大学
- 危機に瀕する言語
- 北海道の地名・駅名
- 消滅危機言語の一覧
外部リンク
アイヌ語学習者のためのアイヌ語基本文献・音声資料リスト 田村すず子(早稲田大学語学教育研究所)編、奥田統己(札幌学院大学人文学部)増補- 初心者のためのアイヌ語文法解説
- 白老のアイヌ語単語集
- 北海道のアイヌ語地名
アイヌ語ラジオ講座(札幌テレビ放送 STV)- アイヌ文化振興・研究推進機構
- 北海道立アイヌ民族文化研究センター
千葉大学文学部ユーラシア言語文化論講座(アイヌ語やニヴフ語などを含む北方諸民族の言語や文化を研究)
ROM作成物サポートページ(Windows用のアイヌ語カナ表記用拡張カタカナ対応化拡張フォントやアイヌ語カナ表記入力/変換ユーティリティ)- 日本古代史とアイヌ語
- 季刊紙『アイヌタイムズ』のホームページ
- NPO法人「地球ことば村・世界言語博物館」による2010年1月のことばのサロン シリーズ「よみがえることばたち」7「アイヌに生まれて」
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