神 (神道)
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神道における神(かみ)とは、自然現象などの信仰や畏怖の対象である。「八百万の神」(やおよろずのかみ)と言う場合の「八百万」(やおよろず)は、数が多いことの例えである。
目次
1 側面
2 神名
2.1 「アメ」ノ(神の属性)
2.2 「ウズメ」ノ(神の名前)
2.3 「ミコト」(神号)
3 「神」という言葉
3.1 他言語との関係
3.2 語源
3.3 八百万の神
3.4 神と霊
4 出典
5 参考文献
6 関連項目
側面
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神道の神々は人と同じような姿や人格を有する記紀神話に見られるような「人格神」であり、現世の人間に恩恵を与える「守護神」であるが、祟る性格も持っている。祟るからこそ、神は畏れられたのである。神道の神は、この祟りと密接な関係にある。
神々は、いろいろな種類があり、発展の段階もさまざまなものが並んで存在している[1]。
神名
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神道の神の名前である神名は、大きく3つの部分に分けられる。例えばアメノウズメノミコトの場合
- 「アメ」ノ
- 「ウズメ」ノ
- 「ミコト」
となる。
この他に、その神の神得を賛える様々な文言が付けられることがある。例えば、通常「ニニギ」と呼ばれる神の正式な神名は「アメニギシクニニギシアマツヒコヒコホノニニギノミコト」である。
神名は、1.の部分を省略して呼ぶことがある。また、民俗学・神話学など学術的な場面では神号(3.の部分)を略すことが多い。
「アメ」ノ(神の属性)
1.はその神の属性を示すものであるとの説がある。[誰によって?]最も多い「アメ」「アマ」(天)は天津神であること、または天・高天原に関係のあることを示すとの説もある[誰によって?]が、「天之冬衣神」、「天日腹大科度美神」など明らかに国津神であるにもかかわらず「アメノ〜」と冠される神名もあるので成立しない説である。例えば「天之都度閇知泥神」の「天」は水源を考慮してつけられたものと考えられる[2]。「クニ」(国)は国津神を表すこともあるが、多くは天を表す「アメ」のつく神と対になって地面もしくは国に関係のあることを示す。「ヨモツ〜」(黄泉)は黄泉の国の神であることを示す。「ホ」(穂)は稲穂に関係のあることを示すとの説もある。[誰によって?]この部分が神名にない神も多い。
「ウズメ」ノ(神の名前)
2.はその神の名前に当たる。これもよく見ると、末尾が同じ音である神が多くいることが分かる。例えば「チ」「ミ」「ヒ」「ムス」「ムツ」「ムチ」「ヌシ」「ウシ」「ヲ」「メ」「ヒコ」「ヒメ」などである。 これらは、神神習合が起こる前の各部族での「カミ」あるいはマナを指す呼び名であったとも考えられる。[要出典]「チ」「ミ」「ヒ」(霊)は自然神によく付けられ、精霊を表す(カグツチ、オオヤマツミなど。ツは「の」の意味)。「チ」より「ミ」の方が神格が高いとされている。[要出典]「ウシ」(大人)、「ヌシ」(主。一説では「〜の大人」の略称とも)、「ムチ」(貴)等は位の高い神につけられる(オオヒルメノムチ(アマテラスの別名)、オオクニヌシなど)。ムジナ、ミチ等動物と関連する可能性がある[要出典]「ムス」(産)「ムツ」(親)は何かを産み出した祖神を表す。「キ」「ヲ」(男)「コ」(子)「ヒコ」(彦・比古・毘古)は男神、「ミ」「メ」(女)「ヒメ」(媛・姫・比売・毘売)は女神に付けられるものである。 「コ」は国造(ミヤツコ)小野妹子など、元は男性を表したが、藤原氏が女性名として独占し、近世までは皇后など一部の身分の高い女性しか名乗れなかった事から、現代では女性名として定着した。
「ミコト」(神号)
3.は神号と呼ばれる。いわば尊称である。代表的なのは「カミ」(神)と「ミコト」(命・尊)である。 「ミコト」の語源は「御事」とする説と「御言」とする説とがある。後者は命令のことで、何かの命令を受けた神につけられるものである。例えばイザナギ・イザナミは、現れた時の神号は「神」である。別天津神より「国を固めよ」との命令を受けてから「命」に神号が変わっている。その他、『古事記』では特定の神格についてはそれぞれ神(かみ)なのか命(みこと)なのか決まっている場合がほとんどで、きっちり使い分けされているが、『日本書紀』では全て「ミコト」で統一した上で、特に貴い神に「尊」、それ以外の神に「命」の字を用いている。
特に貴い神には大神(おおかみ)・大御神(おおみかみ)の神号がつけられる。また、後の時代には明神(みょうじん)、権現(ごんげん)などの神号も表れた。
「神」という言葉
他言語との関係
日本語における「神」という言葉は、元々は神道の神を指すものであった。ただし『日本書紀』にはすでに仏教の尊格を「蕃神」とする記述が見られる。16世紀にキリスト教が日本に入ってきた時、キリスト教で信仰の対象となるものは「デウス」「天主」などと呼ばれ、神道の神とは(仏教の仏とも)別のものとされた。しかし、明治時代になってそれが「神」と訳された。
他言語においては、神道の神を指す場合は "kami" として一般的な神とは区別されることもある。
語源
漢字の「神」は、祭祀を意味する「示」に音符「申」を付した字で、祭祀および祭祀対象である神霊の類を示す。また「神祇」とした場合は、地の神である「祇」に対し、天空にいる雷神の類を意味する。「神」字は、日本においては「カミ」と訓じられ、日本の神霊的存在の総称として定着した[3]。
現代日本語では「神」と同音の言葉に「上」がある。「神」と「上」の関連性は一見する限りでは明らかであり、この2つが同語源だとする説は古くからあった。しかし江戸時代に上代特殊仮名遣が発見されると、「神」はミが乙類 (kamï) 、「上」はミが甲類 (kami) と音が異なっていたことがわかり、昭和50年代に反論がなされるまでは俗説として扱われていた。
ちなみに「身分の高い人間」を意味する「長官」「守」「皇」「卿」「頭」「伯」等(現代語でいう「オカミ」)、「龗」(神の名)、「狼」も、「上」と同じくミが甲類(kami)であり、「髪」「紙」も、「上」と同じくミが甲類(kami)である。
「神 (kamï)」と「上 (kami)」音の類似は確かであり、何らかの母音変化が起こったとする説もある。
神倭伊波礼毘古命(カムヤマトイワレヒコ)、神阿多都比売(カムアタツヒメ)、神屋楯比売命(カムヤタテヒメ)などの複合語で「神」が「カム」となっていることから、「神」は古くは「カム」かそれに近い音だったことが推定される。大野晋や森重敏などは、ï の古い形として *ui と *oi を推定しており、これによれば kamï は古くは *kamui となる。これらから、「神」はアイヌ語の「カムイ (kamui)」と同語源だという説もある。[誰によって?]
「カム」には「交む」「組む」「絡む」「懸かる」「係わる」「案山子」「影」「鍵、鉤」「嗅ぐ」「輝く」「翳す」「首」「株」「黴(かび)」「賀茂、鴨」「醸す」「食む(はむ)」「生む」「這う」「蛇(ハブ、はふむし)」「土生、埴生(はぶ)」「祝(はふる)」「屠る(ほふる)」「放る」などの派生語がある。
現時点では、本居宣長が『古事記伝』のなかで「迦微(かみ)と申す名の義はいまだ思い得ず」といっているように、語源についての明確な定説はない[3]。
八百万の神
自然のもの全てには神が宿っていることが、八百万の神の考え方であり、欧米の辞書にはShintoとして紹介されている。日本では古くから、山の神様、田んぼの神様、トイレの神様(厠神 かわやがみ)、台所の神様など、米粒の中にも神様がいると考えられてきた。自然に存在するものを崇拝する気持ちが、神が宿っていると考えることから八百万の神と言われるようになったと考えられる。八百万とは無限に近い神がいることを表しており、多神教としてはありふれた考え方である。
またこういった性格から、特定能力が著しく秀でた、もしくは特定分野で認められた人物への敬称として「神」が使われることがある。
神と霊
神道において、特に有力な人物や恨みを残して亡くなった人物を『神』として祀り、祟りを避けようとした例は数多い。中でも菅原道真を祀る天満宮は亡くなった人間を神として扱う顕著な例である。
これに対して近代に興った靖国神社は国家のために戦死した不特定多数を神として祀っており、特定単数を神として祀る先述の例と一線を画している。
これらのことから、神社から慰霊碑、(神仏習合における)墓に至るまで規模は違えど本質的に同じものであり、『神』(祀れば恩恵をもたらし、ないがしろにすれば祟るもの)と『霊』(人間が死んだ後に残るとされる霊魂)とは明確に区別されていないといえる。
出典
^ 岡田精司 2011年 10ページ
^ 國學院大学古事記センター
- ^ ab伊藤聡 2012年
参考文献
- 伊藤聡 『神道とは何か』 中央公論新社〈中公新書〉、2012年。ISBN 978-4-12-102158-8。
- 岡田精司 『新編 神社の古代史』 学生社、2011年。ISBN 978-4-311-20302-2。
関連項目
- 日本の神の一覧
- 神像
- ダイモーン
- ゲニウス
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