マルグリット・ド・ヴァロワ
マルグリット・ド・ヴァロワ Marguerite de Valois | |
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ナバラ王妃 フランス王妃 | |
出生 | 1553年5月14日 フランス王国、サン=ジェルマン=アン=レー |
死去 | 1615年5月27日 フランス王国、パリ |
配偶者 | フランス王アンリ4世 |
父親 | フランス王アンリ2世 |
母親 | カトリーヌ・ド・メディシス |
マルグリット・ド・ヴァロワ(Marguerite de Valois)またはマルグリット・ド・フランス(Marguerite de France, 1553年5月14日 - 1615年5月27日)は、フランス王アンリ2世と王妃カトリーヌ・ド・メディシスの娘。フランソワ2世、シャルル9世、アンリ3世の3人のフランス王の妹であり、ナバラ王アンリ、後のフランス王アンリ4世の最初の王妃である。マルゴ王妃(La Reine Margot)と呼ばれ、アレクサンドル・デュマ・ペールの歴史小説『王妃マルゴ』のヒロインになった。
目次
1 生い立ち
2 政略結婚とサン・バルテルミの虐殺
3 離婚と晩年
4 私生活
5 マルグリット・ド・ヴァロワを主人公とした作品
6 参考文献
生い立ち
1553年5月14日、パリ郊外のサン=ジェルマン=アン=レーの城で、アンリ2世とカトリーヌ・ド・メディシスの三女として生まれた。ニックネームのマルゴは、後にそれぞれフランソワ2世、シャルル9世、アンリ3世となった3人の兄たちによって名づけられた。幼い頃から際立つ美貌と、教養がありギリシャ語、ラテン語などの語学や哲学などにも造詣が深い彼女は、宮廷の華として誰もが憧れる絶世の美女として成長していった。
政略結婚とサン・バルテルミの虐殺
何不自由なく成長したマルグリットには、大勢の男性が求婚をした。彼女が結婚したいと願ったのは、ギーズ公アンリであった。しかし、彼女の望みは母カトリーヌ・ド・メディシスによって打ち砕かれる。母は、激化するカトリックとユグノーの宗教対立を解消するため、ユグノーの指導者であるナバラ女王ジャンヌ・ダルブレに、ジャンヌの息子アンリ・ド・ブルボンとマルグリットの縁談を持ちかけた。
当初、カトリック教徒と息子との結婚に反対していたジャンヌ・ダルブレも、カトリーヌの宗教対立解消という考えに同調し、縁談はまとまった。しかしジャンヌは婚礼の直前、1572年6月9日に急死する。一説にはカトリーヌ・ド・メディシスによる毒殺ともささやかれる不審な死であったが、婚礼は予定通り同年8月17日にパリで行われた。
しかし婚礼の6日後の8月24日、サン・バルテルミの虐殺が発生する。マルグリットとナバラ王となったアンリ(母の死後に王位を継承)の婚礼のためにパリに集まっていた大勢のユグノー教徒たちは次々に惨殺され、アンリ自身も幽閉されることとなった。1576年、幽閉の身であったナバラ王アンリがパリの宮廷から脱走すると、マルグリットは兄のアンリ3世の許に残された。
その後、マルグリットはナバラ王アンリの許に送り届けられたが、それぞれが公然と幾多の愛人を抱え、夫婦仲は冷え切っていた。マルグリットは病に伏した後、1582年に再びパリの宮廷に戻ったが、兄アンリ3世と仲違いをして宮廷を去った。
離婚と晩年
1589年にアンリ3世が暗殺された後、ナバラ王アンリはアンリ4世としてフランス王位に就いた。マルグリットとの間に子供はなく、仲も疎遠になっていて、1599年に2人は正式に離婚した。その後アンリ4世は、マルグリットの母方の遠縁であるメディチ家のマリー・ド・メディシスと再婚した。
マルグリットは離婚後も、アンリ4世やその一家との関係は、友人として良好だったという。特にアンリ4世とマリー妃との子であるルイ13世を可愛がり、館と領地を遺贈した。1615年5月27日のマルグリットの死で、ヴァロワ家の血統は庶流を除いて完全に絶えた。
私生活
マルグリットは派手な男性遍歴で有名であり、兄弟たちと近親相姦の関係にあったという噂もある。弟フランソワの政界工作のためフランドルに赴いた際、ネーデルラント総督ドン・フアン・デ・アウストリアを魅了し、ドン・フアンは「あれは、男を救うというよりは、破滅させるたぐいの美しさだ」[1]という言葉を残した。
マルグリット・ド・ヴァロワを主人公とした作品
王妃マルゴ - アレクサンドル・デュマ・ペールの小説。2度映画化された。
バルテルミーの大虐殺(1954年、フランス) - ジャンヌ・モロー主演
王妃マルゴ(1994年、フランス) - イザベル・アジャーニ主演
マルゴ 〜王妃にして王女〜 - 2004年荻田浩一作、演出により舞台化。沢樹くるみ主演。
王妃マルゴ - 萩尾望都の漫画。
ユグノー教徒 - ジャコモ・マイアベーアによるオペラ
参考文献
^ アレクサンドル・デュマ 作、鹿島茂 編訳『王妃マルゴ』 文藝春秋、1994年、p. 557 - 558