将棋世界
『将棋世界』(しょうぎせかい)は日本将棋連盟出版部が発行する将棋専門の月刊誌。毎月3日発売。定価800円。
本項では、同編集部が発行する『将棋年鑑』(しょうぎねんかん)についても扱う。
目次
1 概要
2 連載
3 詰将棋サロン
4 将棋年鑑
5 脚注
6 関連項目
7 外部リンク
概要
1937年に当時大手出版社だった博文館発行として創刊され(1937年10月号)、1940年12月号から将棋大成会発行となる。太平洋戦争の影響から1945年1月号で休刊したが、1946年に加藤治郎が編集長に就任し、1946年6月号で復刊[1]。後に日本将棋連盟の発行となる。
将棋専門誌としては『近代将棋』誌(2008年6月号で休刊)と共に最も伝統ある雑誌の一つ。編集長は田名後健吾。
内容はタイトル棋戦の観戦記や解説、将棋の講座、詰将棋、棋士へのインタビュー記事、棋戦の対局結果、将棋界の各種情報等ほぼ全て将棋に関する物。執筆者は編集部員以外に観戦記者や棋士らも多い。将棋連盟の事実上の機関誌で、初段から六段までの免状を授与する紙上検定も行なっている。また毎号、詰将棋などが掲載された小さな付録冊子がつく。主な広告は盤駒販売業者や将棋道場、タイトル戦が開催される旅館など。
編集部員は、かつては連盟出版部の職員で、歴代の編集長には加藤治郎九段、永沢勝雄八段、山川次彦八段、観戦記者の太期喬也、将棋史研究家の清水孝晏、詰将棋作家の野口益雄・角建逸、沼春雄七段、田丸昇九段など将棋関係者が多い。作家の大崎善生も元編集長。
2009年3月31日に、5月2日発売の「2009年6月号」から「編集・発行」は従来どおり日本将棋連盟が、「製作・発売」をマイナビ(旧・毎日コミュニケーションズ)が担当することが発表された。編集部も毎日新聞東京本社の関連企業・団体が所属するパレスサイドビルディング内に移動している[2]。
2010年12月よりiPadで閲覧可能な電子版の配信を開始[3]。iPad版の開発は『柿木将棋』のプログラマである柿木義一が手がけており、雑誌に掲載された盤面上で駒を実際に動かしたり、棋譜をiPad版『柿木将棋』に取り込んで検討することなどもできるようになっていた[4]。ただ電子版は2014年4月よりKindle・Google Play等での販売に移行することになり、それに伴い駒を動かせる機能・『柿木将棋』との連携機能などは非対応となった[5]。
2015年10月にマイナビの出版部門がマイナビ出版として分割されたため、本誌の編集も同社に移管されている。
2017年7月には藤井聡太ブームの影響により、2017年7月号が即完売したことから、8月号は80年の歴史で初となる発売前増刷となった[6]。
連載
(2012年7月号現在)
- 『感想戦後の感想』(高橋呉郎)
- 『月夜の駒音』(内館牧子)
- 『連盟の瀬川さん』(瀬川晶司)
- 『あっという間の3手詰』(森信雄)
- 『実戦に役立つ5手7手詰』(中田章道)
- 4コマ漫画『と金の将ちゃん』(神保あつし)
- 4コマ漫画『月刊バトルロイヤル』(バトルロイヤル風間)
- 『将棋時評』(青野照市)
- 『リレー自戦記』(月代わり、複数名の場合あり)
- 『関西将棋会館棋士室24時』(池田将之)
- 『突き抜ける!現代将棋』(勝又清和)
- プロが聞くプロ対談
- 月替わりのプロ棋士2名による対談。
- 『新・イメージと読みの将棋観』(鈴木宏彦)
森内俊之・渡辺明・久保利明・広瀬章人・郷田真隆・豊島将之の6名[7]の棋士に同一の局面などの質問をし、それぞれの見解を聞く企画。
過去の連載
- 『将棋論考』(真部一男)
- 実力アップ講座 5級から強くなろう!(飯塚祐紀)
- 新・対局日誌(河口俊彦)
- 毎日がオフタイム(片上大輔)
坂東香菜子の私と将棋を指しましょう
岩根忍の将棋って楽しい!- 若手棋士参上!みんなの町へ
- 『千駄ヶ谷市場』(先崎学)
- 『トップ6棋士夢の競演!イメージと読みの将棋観』(鈴木宏彦)
- 当時のメンバーは羽生善治・森内俊之・渡辺明・佐藤康光・谷川浩司・藤井猛の6名。
- 『振り飛車党のバイブル』(藤井猛)
- 『新・飯島流引き角戦法』(飯島栄治)
- 『熱局探訪』(野月浩貴)
- 関西棋界情報コーナー
- 関西将棋レポート(福崎文吾)
- ワンダフル関西(神吉宏充)
- 『関西棋界見てある記』(東和男)
- 『プロ・アマガチンコ10秒将棋』(不定期)
詰将棋サロン
詰将棋サロンは、読者がハガキに17手以内の新作詰将棋を1題記入して投稿する人気企画。投稿された作品は手数毎に、11手以下を初級、13手~15手以下を中級、15手~17手以下が上級と区別され、その中から選題された8題が出題される。入選作者は2千円、優秀作者は3千円分の図書カードが貰える。入選者の氏名の横には各作家の個々の入選回数も書き出され、入選回数が数百回を超える強者も多く、投稿意欲が煽られる。
米長邦雄は自身の著書で「詰将棋サロンが全部解ければ三段は十分にあり、毎号取り組めば四段の力は付くはずである」と評した[8]。
将棋年鑑
1968年(昭和43年)創刊。原則として毎年8月に発売される。前年度の棋戦の結果及び主要な対局の棋譜が収録されるほか、棋士のプロフィールがまとめられた「棋士名鑑」、年度ごとの特集ページなどで構成される。特に八大タイトル戦、竜王戦決勝トーナメント及び1組ランキング戦、A級順位戦、王将リーグについては全対局の棋譜が掲載される[9]。
脚注
^ 加藤治郎『将棋のコマおと』(旺文社文庫)P.149
^ 刊行物を毎日コミュニケーションズに委託日本将棋連盟の刊行物を制作・販売 なお、マイナビ(マイコミ)側の当初の発表は「『将棋世界』及び『将棋年鑑』は「販売のみ」となっていたが、のち「制作・販売を担当」と変わった。
^ 将棋専門月刊誌『将棋世界』 将棋雑誌初の電子書籍アプリを発売 - 毎日コミュニケーションズ・2010年12月8日
^ iPad版「将棋世界」はオレを感動させたのだった (1/2) - 誠 Biz.ID・2011年1月25日
^ 電子版将棋世界に関するお知らせ - マイナビ・2014年2月14日
^ 藤井四段が「将棋世界」表紙 80年で初の発売前増刷 - スポーツ報知
^ 郷田・豊島は2012年7月号より。それ以前は佐藤康光・谷川浩司
^ 逆転のテクニック 米長邦雄 P20
^ 平成30年版 将棋年鑑 2018【棋譜ファイル付き】 - マイナビ出版
関連項目
- 大崎善生
- 将棋マガジン
- 近代将棋
週刊将棋(日本将棋連盟発行・マイナビ出版販売。当雑誌と同様の形態)※2016年3月31日号にて廃刊
外部リンク
将棋世界 - 日本将棋連盟