水洗式便所






快適な最新の水洗トイレ(TOTOウォシュレット一体型便器)


水洗式便所(すいせんしきべんじょ)は便所の形態の一つ。または便所の洗浄方式を指す。水勢により、汚物(悪臭を放ち周辺の環境を汚損するおそれのある汚物。主に糞尿・吐瀉物)を洗浄して衛生的に処分するための機能を持っている。




目次






  • 1 歴史


    • 1.1 日本


    • 1.2 世界




  • 2 洗浄方式


    • 2.1 小便器


      • 2.1.1 種類


      • 2.1.2 構造




    • 2.2 洋式


      • 2.2.1 洗い落とし式


      • 2.2.2 セミサイホン式(TOTO)、ネオボルテックス式(主にINAX)


      • 2.2.3 ワイドボルテックス式(INAXのみ)


      • 2.2.4 サイホン式


      • 2.2.5 サイホンゼット式


      • 2.2.6 ブローアウト式


      • 2.2.7 サイホンボルテックス式


      • 2.2.8 トルネード式、ツイントルネード式(TOTO)


      • 2.2.9 水道直圧式


        • 2.2.9.1 シーケンシャルバルブ式(TOTO)、ダイレクトバルブ式/エアドライブ式(INAX)


        • 2.2.9.2 ターントラップ式(パナソニック)


        • 2.2.9.3 ハイブリッドエコロジーシステム(TOTO)






    • 2.3 和式(和風便器)


      • 2.3.1 洗い出し式


      • 2.3.2 洗い落とし式


      • 2.3.3 サイホンゼット式


      • 2.3.4 ブローアウト式


      • 2.3.5 半トラップ式






  • 3 給水の形態


    • 3.1 フラッシュバルブ式


    • 3.2 タンク式


      • 3.2.1 ハイタンク式


      • 3.2.2 ロータンク式


      • 3.2.3 シスタンバルブ式


      • 3.2.4 フラッシュタンク式






  • 4 水洗便器用薬液供給装置


    • 4.1 構造


    • 4.2 作動原理と機能




  • 5 注意事項


  • 6 その他の水洗便所


  • 7 水洗便所内に設置される付帯設備


  • 8 水洗便所とトイレットペーパー


  • 9 脚注


  • 10 関連項目





歴史



日本




  • 奈良県の纒向(まきむく)集落では、勢いよく水が流れる溝を作り水洗トイレにしたとされている。


  • 藤原京の遺構からも水洗トイレの跡が見つかっている。


  • 戦国時代では、武田信玄が水洗トイレを使っていたとされる。信玄が用を足した後、鈴を鳴らすと家臣が水を流す方法であった。



世界




  • ローマ時代の遺跡からは、かなり広範囲にわたって水洗トイレの遺構が発見されている。


  • インカ帝国の空中都市と呼ばれるマチュピチュからも遺構が発見されている。



洗浄方式




床置(ストール)、トラップ脱着型フラッシュバルブ式小便器 TOTO U307C





小便器




薬剤供給装置サニタイザーが連結された自動フラッシュバルブ内蔵低リップ型小便器 TOTO UFS800系


小便器は、主に男性用で、座らずに用を足す形になっている製品がほとんどである。



種類



  • 床置(ストール)型小便器- 縦長の床置型小便器で大型、中型、小型に分類される、公衆便所に並んで設置される場合、ささやかな仕切り板が付けられることがある。以前の製品ではトラップがなく、別に地中に埋め込まれた鉛管のトラップと組み合わせて設置される方式であったが、現在の製品は大方が施工が容易な便器作り付けのトラップであり、尿石付着時の清掃を容易にするためにトラップが脱着式になった製品がほとんどである。また、トラップがない製品は汲み取り便所で使用される場合もある。

  • 壁掛け型小便器 - 戦前からあり、俗に朝顔と呼ばれる楕円形の普及品であったが、最近は、大型、中型の様々な形状の製品が存在する。成人男性の股間の高さに設置されていることが多く、このタイプは子供には使いにくい。このため、低めの高さに設置されたり、踏み台を設けたり、床置(ストール)型小便器と併設されたりすることもある。

  • 低リップ型小便器 - 壁掛け型と床置(ストール)型の折衷型の小便器。壁掛け型ながら床置(ストール)型同様の縦長の小便器で、子供から大人まで楽に使える形状である。床清掃も容易で、最近新設・改修されるトイレの主力タイプになっている。

  • 筒型小便器 - 竹筒のような形状の便器で和風の飲食店のトイレで使われることが多く、はね返りと臭気防止のため氷を投入してある(尿素のアンモニアへの酸化分解による臭気発生を低温にすることで防ぐ)場合もある。

  • 省スペース型小便器 - 一般住宅でも取り付けが可能な細身のデザインとなっている。TOTOでは「スリムU」の愛称がある(ただし、2005年6月に生産終了した。現在では発売されていない)。




女性用小便器の一例


  • 女性用小便器(サニスタンド)- アメリカで1930年代に当時は高級品のナイロンストッキングが普及した際、腰掛式では座った際に伝線などのおそれがあったが、中腰ならそれを防げるとして発売された女性の立ち小便用の便器。日本では1951年に東洋陶器(現:TOTO)が製造・販売を開始したが、まだ和服が多く、女性が座らず小用をするとは奇妙な製品だと一般に受け取られ、その結果普及せず、1971年に製造中止となった。なお、1964年東京オリンピックの際には、女子選手用として国立霞ヶ丘陸上競技場内に設置された[1]



手洗い付小便器


  • 手洗い付小便器 - 西日本高速道路会社とTOTOの共同開発。低リップストール型小便器の天板に、底に六つの穴があいた手洗い器があり、蛇口に手をかざすと赤外線センサーにより水が出て、手を洗った水が穴を通り下の便器まで洗う。手洗いに使った分だけ便器に流れる水量が減る仕組みで、手洗い水を便器の洗浄に再利用する節水機能が評価されエコプロダクツ大賞エコサービス部門の優秀賞を受賞した。


  • 幼児用小便器 - ストール型小便器を幼児(男児)が使いやすいようにサイズを小さくしたもの(通常のストール型を幼児用として設置する場合もある)。幼稚園・保育所及び公共施設(近年(百貨店ではかなり前から)、母親と共に訪れた幼い男児向けに、このタイプの小便器が女子トイレや多目的トイレに設置されていることが多い)で用いられる。INAX(現:LIXIL)製のものはミニチュア版ストール型小便器といった形だが、TOTO製のものは丸型の独特の形をしている。

  • 壁式小便器 - 公園などの公衆便所や鉄道駅の構内などの小便器の場合、古い施設では混雑時に複数人同時に並んで用が足せるように個別の便器がなく、タイル張りやコンクリートの壁、あるいはFRP製の壁のような便器がある。その場合人の立つ場所が一段高くなっていて向かい側の溝に流す形で、水洗式の場合でも、その壁に水を流す管が付いているだけのトイレが多用されていた。しかしこのタイプは、水洗式であっても尿の跳ね返りや尿石からの悪臭に加え蛆などの衛生害虫が発生しやすいなど、利用者から臭くて不潔な印象としてかなり不評であり、最近は個別に小便器を設置したトイレに改修された場所も多く、急速に減少している。



構造


上部を起点に:上水道管、洗浄用のフラッシュバルブ(センサーやハイタンクによる自動洗浄の場合は水道管のみ)、洗浄水の吐水口、中心部、リム部(排泄時にちょうど尿が当たる部分)、排水口、陶器製のトラップ、配水管、排水管の途中に設けた排水トラップの順番となっている。


一方、壁掛け型小便器は便器本体がボルトやネジで壁に固定されており、便器の下部に排水トラップ部が露出している。


衛生面から跳ね返り、尿石の付着を防ぐためにトイレボールと呼ばれる洗浄薬剤を排水口付近に置いたり、水洗式小便器上部の給水管に連結したサニタイザー(薬剤供給装置、Sanitizer dispenser)により薬剤を便器に供給することもある。



洋式




洗い落とし式、ネオボルテックス式の便器構造





TOTOのウォシュレット一体型便器 『ネオレスト』




日本初の国産サイホンゼット便器C38形。東洋陶器(現、TOTO )が製造した。2013年現在、箱根富士屋ホテルで稼働中。


下へ行くほど溜水面が広く、臭いも少ないが、便器の価格は高くなる。



洗い落とし式


水勢のみを利用して汚物を排出する方式。安価で構造も簡単であるが、洗浄時に水はねや、やや大きい洗浄音が発生しやすく溜水面が少ないことから汚物の付着もおこりやすい。洋式便器の登場期には主流であったが、現在は採用例が減ってきている。



セミサイホン式(TOTO)、ネオボルテックス式(主にINAX)


ネオボルテックス式は洗い落とし式の改良版。水勢と渦作用を組み合わせて汚物を排出する方式。洗い落とし式より溜水面が広く、洗浄音も抑えられている。TOTOの床排水便器でのセミサイホン式はサイホン作用を利用する。
また、ネオボルテックス式はTOTOでは「ニューボルテックス式」と呼称し、パブリックトイレ向け便器の一部で使用されている。


なお、上記2方式は主に標準(レギュラー)サイズの便器で用いられている。



ワイドボルテックス式(INAXのみ)


ネオボルテックス式と構造は同じだが、溜水面がサイホン式と同等に大きくなっている。広義のセミサイホン/ネオボルテックス式に含まれる。排水芯が床上155mmのマンション向け取替専用大型便器において、2006年(平成18年)4月から採用された。マンション用の場合、排水芯高さの関係でサイホン式を導入しにくいため、このような方式にならざるを得ない。


なお、TOTOも2006年(平成18年)10月にマンションリフォーム用に新しい洗浄方式を導入している。



サイホン式


排水路を屈曲した形状とすることでサイホン現象を発生させ、その吸引作用で汚物を排出する方式。汚物がすぐ水中に沈むため、臭気が発散しにくい。以前は洗い落とし式に比べ価格が高めで高級機との位置づけだったが、日本人の体格向上により大型便器が好まれるようになったこともあり、現在では水洗トイレの主流となっている。



サイホンゼット式




サイホンゼット式便器(幼児用簡易便座付属)


基本構造はサイホン式に準じるが、排水口近くにあるゼット孔からの水勢を利用し、より強力なサイホン作用を発生させて汚物を排出する方式。溜水面はかなり広く、汚れが付着しにくい。使用水量が多いため(1960年代は20リットル、のちに13リットル)、パブリック用では比較的以前から多く採用されていたが、住宅用では10リットル以下への節水化が進んだ1990年代以降に普及。使用水量はゼット孔からの水が7割を占め、上部からの水は3割程度である。



ブローアウト式


基本構造はサイホンゼット式に準じるが、ゼット穴からの吐水を強めた洗浄方式。素早くサイホン作用を発生させ、洗浄速度が速くなる反面、一定以上の水圧が必要なので、水道直結式であるフラッシュバルブとの組み合わせが必須である。そのため、ビルの高層階等では使用できない場合がある。洗浄音はやや大きい。



サイホンボルテックス式


サイホン式の一種であるが、ゼット穴ではなく排水口横に設けた穴から溜水面内に、渦を巻くように静かに水流を起こすことにより、サイホン作用と渦作用を組み合わせて汚物を排出する方式。タンク一体型のワンピース便器で採用されている。サイホン作用中もタンクから排水口に水が流れることから空気の巻き込む音がほとんどなく、洗浄音はきわめて静かである。溜水面をきわめて広く取れることから便器内への汚れの付着もほとんどない。しかしながらその構造上洗浄水量が多く、節水便器としにくい面もあることから、最近ではサイホン式/サイホンゼット式を採用したワンピース便器に取って代わられる傾向にある。



トルネード式、ツイントルネード式(TOTO)


便器のリム面からボウル面全体を水平方向に洗浄するトルネード水流と孔の位置を従来の封水部の屈曲部方向から左サイドに置き、孔から封水部縦方向に水流を発生させて汚物を排出するTOTOで新規に開発した洗浄方式。ツイントルネード式ではトルネード式を基本とし封水部垂直方向にトルネード水流を発生させて汚物を排出する。従来の13Lよりも6L、4.8L洗浄に成功した。トルネード式は2006年10月2日に発売した壁排水専用便器「ピュアレストMR」、ツイントルネード式は2010年4月1日に発売したウォシュレット一体形便器「GG」でそれぞれ初採用された。 



水道直圧式



シーケンシャルバルブ式(TOTO)、ダイレクトバルブ式/エアドライブ式(INAX)

水の流れを、洗浄→排出→水溜めの3ステップに分けて汚物を排出する方式。水道直結式であるタンクレストイレで採用されている。タンクへの水溜め時間がないため、連続使用が可能。溜水面はサイホンゼット式に近く、洗浄水はゼット口と便器上部から出る点も同じ。ただし、電気的制御のため、停電時などにはハンドルで手動で水を流す必要がある。また、水圧の低い場所では使えない欠点もあり、INAXの「サティス」のSタイプ・Eタイプ、「レジオ」ではそれを補うために「低流動圧対応ユニット」がオプションで用意されている。TOTOの最新モデルは大3.8リットルINAXは大4リットルで洗浄が可能になっている。TOTOの「シーケンシャルバルブ式」は一部カタログの表記では「サイホンゼット式」に含まれることもある。



ターントラップ式(パナソニック)

水の流れを、洗浄→排出→水溜めの3ステップに分けて汚物を排出する方式。トラップを可動式とし、電気式制御を行う。パナソニック(旧:パナソニック電工)の高級機種にて採用されている。このタイプも大6リットルでの洗浄が可能。



ハイブリッドエコロジーシステム(TOTO)

「シーケンシャルバルブ式」をベースに水道直圧式と小型タンクを組み合わせ、水道から直接流れてきた水はボール内の洗浄に、内蔵タンクからの水はポンプで加圧してゼット穴部分から勢いよく噴出させる新洗浄方式[2] 。これにより従来タンクレストイレが使えなかった水圧の低い場所(戸建て2階、マンションの高層階、高台など)でも使用可能になっている。「ネオレストハイブリッドシリーズ」で採用。大4.8L・小4Lでの洗浄が可能である。INAX「サティス」Gタイプもこれに類似する(洗浄方式はパワードライブ式)。



和式(和風便器)


しゃがみこみ式の便器で、便器前部に、俗に金隠しと呼ばれる部分があり、その形状は長らく半円状であったが1990年代頃より台形状にモデルチェンジされたものがほとんどである。




男子小用を兼ねる和風両用便器(フラッシュバルブ給水用)


平面床に埋め込んで施工される一般の和式便器と和式便器を一段(20〜30cmほど)高くした床に設置し、便器後部を段違い部に張り出させて男子小用を兼ねる両用便器(兼用便器、段差式とも呼ばれる)が存在し、後者は小便器の設置空間が取り難い日本の住宅環境もあり、一般住居でも広く採用された。


給水方式は床上給水式と床下給水式がある。




床上給水和風便器 TOTO C755VU


床上給水式は金隠し前上部にある給水口に、タンクからの給水管やフラッシュバルブを直接、接続する方式で、施工が容易なため、隅付ロータンクと組み合わせた和式便器や、戸建住宅に施工されている和式便器のほとんどがこの床上給水式が採用される。特に木造住宅の場合床下給水式で施工した場合、給水管と根太が干渉し、根太の下から給水管を通すと給水管にトラップが形成され洗浄機能に著しく影響するために、施工の際、根太を欠き取らねばならないという面倒な施工方法を強いられるために、一般的に木造住宅では床上給水和式便器で施工される。しかし床上給水式では、給水管が露出するため目障りであり、さらにフラッシュバルブ給水の場合フラッシュバルブの位置が低い位置となることから、操作レバーペダルを足で踏まれて操作されることが多く、故障や汚損の原因になったり、しゃがみこんだ時に給水管が邪魔になったり、不潔なイメージがあるフラッシュバルブを避けて排便位置が後ろよりになりやすく、便器後部のリム部に汚物が付着することがあり、さらに、清掃時に給水管が邪魔になるなど、床上給水式はフラッシュバルブとの組み合わせには機能面・美観面で不利な面がある。




床下給水和風便器 TOTO C755U


床下給水式は給水口が金隠し部の床下にあり、地中に埋め込まれた給水管と接続されるが、地中に埋め込まれた給水管や壁内に配管された給水管には主に鉛管(便器接続部付近は黄銅管や銅管)を使用するために鉛管を曲げ加工する熟練した職人を要し施工が難しい反面、給水管が露出せずフラッシュバルブを壁や便器から離れた場所、壁内などの自由な場所に設置出来、壁フラッシュバルブの場合、床上給水式とは違い、しゃがんだ時にフラッシュバルブを邪魔にならない位置に設置できることから、排便位置が後ろよりになることも少なく、便器から離れた場所や壁内にフラッシュバルブを設置した場合、和式便器の個室内は便器と壁に取り付けたフラッシュバルブの起動ボタンや起動センサスイッチーのみで給水管が全く露出しないトイレにすることも出来るため、清掃面・悪戯防止・施工後の見た目がスッキリしているなど、機能面・美観面で優れているため、デパート、ホテル、オフィス、駅など非住宅のパブリックな空間で、主にフラッシュバルブとの組み合わせで広く採用されている。




残水穴部から便器内の残水排出中の床下給水和風便器


また床下給水和式便器の場合 給水口が便器の通水部(リムの下部)より低い場所にあるため、便器通水路部の残水を排出する排出用の小穴(冬場の残水凍結による破損防止のため)が設けられている。このためにフラッシュバルブ閉止後かつ便器洗浄終了直後は、便器の金隠しの残水穴から、フラッシュバルブから便器に至る管路および便器内の残水をちょろちょろと排出する姿が見られ、これは床下給水和風便器の特徴となっている。




掃除口付き和風便器




幼児用和風便器 TOTO C103
















○穴の初期水洗和風便器 東洋陶器時代の(現在のTOTO) C63A


C63Aの洗浄時の様子

○穴の初期水洗和風便器 東洋陶器時代の(現在のTOTO) C63A



C63Aの洗浄時の様子




和式便器には詰まりが発生した時に容易に異物を取り除けるように掃除口を設けた和式便器がパブリックのトイレを中心に設置されている事が多い。掃除口付き和式便器は便器後方にステンレスの蓋が付いた掃除口があり、掃除口は便器の排水部分に繋がっており異物を簡単に取り除けるようになっている。一部の掃除口付き和式便器は掃除口が便器のボウル部分にあるものもある。


また和式便器の排水口部は便器の排水部を排水管(下水管)に直接差し込んで接続する一般型と、便器の排水部にフランジがあり、便器のフランジ部と排水管(下水管)のフランジにガスケットを挿み、繋ぎ合わせて接続するフランジ型がある。


その他に、幼稚園、保育園向けにサイズを約80%小さくした幼児用和風便器も存在する。特にTOTOの幼児用和式便器であるC103は金隠しが丸型の一般用旧型和式便器C75(現在は廃番)をミニチュアにした形である。


和式便器とタンクやフラッシュバルブからの給水管(水道管)の接続に使われるスパッドは、床上給水用は、便器の洗浄管(給水管)同様、真鍮にニッケルメッキされた物を使用するが、床下給水和式便器用スパッドは、地中に埋め込まれることから、メッキなしの真鍮の地肌剥き出しの物を使用する。




和風便器埋め込み部に貼られる注意喚起ステッカー


和風便器はコンクリート床に埋め込んで施工されるが、コンクリートの収縮や床のひずみなどによる陶器の破損防止のために陶器とコンクリートが接する埋め戻し部分(リム下部にある通水路部)には緩衝材としてアスファルトが各メーカー出荷時より標準で塗装されている(アスファルト塗装無しは注文生産)。また便器埋め込み部全面をモルタルで埋め込んで施工する場合は便器の埋め込み部全面にアスファルトを塗装する必要がある。和風両用便器等木枠で施工が前提でアスファルト塗装されずに出荷される製品に対してもモルタルで施工する場合等、施工状況によりアスファルト塗装する必要があり、この場合メーカーでは無償でアスファルト塗装に対応している。このためメーカーでは和風便器(両用便器を含む全種の和風便器が対象)の出荷時には埋め込み部にアスファルト塗布を促す注意喚起ステッカーが貼られており和風便器の破損防止を喚起している。


和風水洗便器初期の頃の製品は便器とトラップが別に作り分けられた分離トラップ式であったが、便器のトラップは組み合わせによって「○穴」と「●穴」の場合があり、、「○穴」は陶器製トラップとの組み合わせ、「●穴」はトラップが鉛管・土管・トラップなしの場合であるが、「●穴」の場合の多くは当時排水管は鉛管が多く使われており、その鉛管を職人技で巧みに曲げてトラップを作りこまれ、手作りの鉛管であるので、黒っぽく見えていた。どちらも施工が大変な為、現在はトラップが本体と一体に設けられた物に変わり、これらの初期の和風水洗便器は歴史の古いな建造物の未改修のトイレに僅かに見られる程度となっており、現在は不凍帯にトラップを埋め込む寒冷地仕様の一部や特殊用途以外では生産されなくなった。


和式便器は、床に面一施工した場合、床洗いした清掃時の汚れた水を直接便器に流し込める清掃時の利点もある。



洗い出し式




エロンゲート洗い出し式和風便器


金隠し下にトラップ(排水路の封水)を、便器後ろ側の便鉢部分には浅い水たまりをそれぞれ設け、使用中は汚物をいったん便鉢部分にためてから、水勢のみで汚物を排出する方式。洋式の洗い落とし式に似ているが、汚物が空気に触れるため臭気が発散しやすい。また、洗浄音もかなり大きい。しかし、構造が簡単な上、洗浄水量が少なめで済むことから、和式便器の主流となっている。近年では鉢の長さを伸ばして金隠しの高さを低くしてを少しでも前方にしゃがませて便器後方リム部に汚物の付着を防止させるエロンゲートとよばれるタイプの製品が増えており、トイレ空間の向上が図られている。


和式洗い出し式便器は初期の頃から昭和30年代頃の製品はトラップが別に作り分けられた分離トラップ式が主流であったが昭和40年代以降はトラップが一体に作りこまれた便器が主流になり、現在はトラップが一体に作りこまれた便器のみが生産されている。



洗い落とし式


洋式の洗い落とし式と同じ構造。最近では、寒冷地対応品に存在するにとどまっている。



サイホンゼット式


洋式のサイホンゼット式と同じ構造。使用中に汚物が水中に沈むとき、水はねが発生しやすい。洗浄水量が多いため、現在は生産されていない。



ブローアウト式


洋式のブローアウト式と同じ。サイホンゼット式よりも洗浄水量が少なくて済むため、サイホンゼット式に代わって採用されている。水道直結式であるフラッシュバルブとの組み合わせが必須であることから、主に公共施設で使用されている。



半トラップ式


常時不特定の人が多く使う高速道路のサービスエリア・パーキングエリアの和風便器は長らく半トラップ式の特殊な便器(TOTOではC183R型便器)が採用されていた。排水口はJ字状で、排水管とは直接結ぶことはできず、傾斜のあるU字溝に流し落とす方法。排水路が短いため詰まり難い構造だが、便器の排水以後の保守点検が必要だった。便器後部に水溜りがあるために、外見上は洗い落とし式に非常に似ている。現在は通常の掃除口付床下給水和風便器(TOTOではC755CU)が採用されており、改修工事などで半トラップ式の和風便器は急速に減少している。



給水の形態


水洗便器と給水装置の関係については、よく自動車に例えられて説明される。水洗便器がボディーとすれば給水装置はエンジンに相当し、両者一体となって初めて十分な機能を発揮することが出来、給水方式や給水装置機種の違い次第で同じ便器でありながら性能や特性が違ってくる等、便器と給水装置の組み合わせの選択は重要となる。



フラッシュバルブ式




従来のペダル操作の手動フラッシュバルブ給水の和風便器





赤外線人感センサによる自動洗浄、大小流し分け、設備保護機能を搭載したフラッシュバルブと結管された最新の床上給水和風便器 TOTO C755VU




フラッシュバルブのバキュームブレーカ部
















フラッシュバルブ点検で蓋を外した状態


点検で取り出されたピストンバルブの様子

フラッシュバルブ点検で蓋を外した状態



点検で取り出されたピストンバルブの様子






節水型フラッシュバルブのピストンバルブ部




フラッシュバルブ起動後・全開ピーク時(ピストンバルブ最上昇時)の流水状態




フラッシュバルブ閉止直前時(ピストンバルブ降下時)の流水状態




フラッシュバルブ閉止(動作終了)(ピストンバルブ完全下降閉止時)の待機状態




便器洗浄機能以外に擬音装置や通報システムを搭載した電装式の最新のフラッシュバルブ


高圧の水道管に直接取り付けるバルブで、バルブ操作後一定時間(約10秒)水が流れて自動的に止まる機能であり、便器に給水する洗浄水の水圧や流量等の水流の出力を制御するバルブである。


簡便でコンパクト、かつ使用水量も少なく高水圧で便器洗浄が出来、連続使用が可能という利点がある反面、25A以上の給水管径、給水圧力が0.07MPa以上が必要な上、フラッシュバルブ動作時の流水音が大きく、大便器用フラッシュバルブの場合、起動弁のレバーペダル棒が足で踏まれて操作されることが多く故障や衛生面で問題があるという欠点がある。また凍結による破損にも弱いため、流動弁を設けて凍結防止対策をした寒冷地用フラッシュバルブも存在する。


日本ではデパート、ホテル、オフィス、駅などの商業施設や工場、あるいは学校などの連続使用が求められる様々な水洗便所で多用されている。


その反面、一般住宅での採用は少なく、戸建住宅では一般的に給水管径が13A、15A、20Aであり、給水圧力も0.07MPaに満たないために、大便器用フラッシュバルブを使用することが出来ず、屋上などに受水槽からの高置水槽を設置し、25A以上の給水管径と水圧を確保できる集合住宅や、特殊的に25A以上の給水管を導入して、水圧が確保された一部の戸建住宅に僅かに設置されている程度である。


構造は、一般的な手動フラッシュバルブの場合、給水側から順に開閉弁部(ストップバルブ)、本体部、バキュームブレーカ部の順で構成されており、便器への給水圧は開閉弁のスピンドルで調整する。本体部にはピストンバルブが内蔵されており、フラッシュバルブを起動させるレバーペダル棒や押しボタン等の起動弁部が本体側面部に組み込まれており、その内部にピストンバルブを起動させるバネ圧の押し棒部が内蔵されている。本体上部には流量調整ネジが付いており、ピストンバルブの昇降ストローク量により流量が変動し、ネジを開けると吐水量が増え、ネジを閉め込むと吐水量が減る仕組みになっている。


本体に組み込まれているピストンバルブはバルブ上部外周にわん皮パッキンが巻かれ、側面中央部にストレーナー(フィルター)があり、下部には案内羽根が付いており、その中心部にリリーフバルブ先端の起動羽根が突出している。ピストンバルブ上部の中心部には逃し弁の穴が開いており、その中にはリリーフバルブと押えバネが仕込まれている。一次側(給水口側)と二次側(便器に繋がった排水口側)とはわん皮パッキンで仕切られ、わん皮パッキン上部が圧力室部であり、ピストンバルブ上部の圧力室側になる一次側と二次側の間には針先程の小穴が開いておりストレーナーを経て繋がっている。ピストンバルブの底部にはシートパッキンと呼ばれる中央部にストレーナーが付いたパッキンが組み込まれている。


作動原理は、静止時においてはピストンバルブは圧力室の水圧で押し下げられて弁を閉じているが、レバーペダル棒や押しボタン等の起動弁を操作すると、バネ圧の起動用の押し棒が出ることにより、ピストンバルブの起動羽根が押され、リリーフバルブの逃し弁が開き、ピストンバルブ上部の圧力室部に溜まった、高水圧の水が二次側(便器)に抜ける為に、圧力室の圧力がゼロになることから、給水圧力によりピストンバルブが圧力室上壁部まで上昇し案内羽根部を経て吐水(便器への給水)が始まる。便器への吐水開始と同時にピストンバルブのストレーナー(フィルター)から小穴を経て圧力室に水が徐々に入り、溜まってゆくにつれて水圧によりピストンバルブがゆっくり押し下げられながら降下しはじめて、やがて圧力室部が満水になると水圧によりピストンバルブが押し下げられて完全に下降、シートパッキン部に着地することで、自動的に水が止まり便器の1回分の吐水(1サイクルの動作)が終了する。


節水式のフラッシュバルブはピストンバルブの起動羽根がスライド伸縮式の二重構造になっており、一度の操作で1回分の吐水しかしないノンホールディング機能を持ち万一レバーペダル棒や押しボタン等の起動弁を押し続けても二重になった起動羽根が押し棒部上面に乗り上げるのでピストンバルブの降下を妨げることなく下降閉止する機能を持ち、さらに、圧力室に水を流入させる小穴も通常の小穴以外にリリーフバルブ部上面にも存在するバルブからによる二重流入構造になっており、フラッシュバルブ流水ピーク時に至るまでは通常の小穴以外のリリーフバルブ部上面にも存在するバルブの小穴部からも圧力室部に水が流入させる機能を併せ持っており、フラッシュバルブ起動開始直後からはバルブの弁上部の羽根が飛び出た状態で圧力室に水が流入し、フラッシュバルブのピーク時にピストンバルブ最上昇点に至るとリリーフバルブ部上面のバルブの羽根部は押し込まれ閉鎖され、以後は水圧により羽根が飛び出ることなく、通常の小穴のみから圧力室部に水が流入し、ピーク時の時間を短くして吐水を節水制御する機能になっている。


電装式のフラッシュバルブには電磁弁が内蔵され、一次側と二次側の間に電磁弁が組み込まれ、センサーやスイッチでの起動信号が入ると、電磁弁が開き一次側の圧力室部の水が電磁弁のバイパス管部を介して二次側に流れることでピストンバルブが起動する。
また側面には停電や電池切れの時用に手動ボタン弁が付いており、手動ボタン弁で操作した場合は手動フラッシュバルブと同じ原理で作動する。


つまり、1回操作する度に内部のピストンバルブが上下に1往復ピストン運動をして1回分の洗浄水を吐水する。


大便器用フラッシュバルブを設置する際は断水時等給水管の負圧による逆サイフォン現象による汚水の逆流防止のために負圧破壊装置であるバキュームブレーカの取り付けが義務付けられている。




バキュームブレーカ内部。吸気弁(手前側)と給水塞止弁(奥側)


バキュームブレーカには吸気弁と給水塞止弁が内蔵されており、給水管に負圧が発生すると直ちに給水塞止弁が閉まり、吸気弁より外部の空気を吸い込み汚水の逆流を防止する。またフラッシュバルブの吐水時(便器への給水時)以外はフラッシュバルブ〜便器への給水管に吸気弁より空気を取り入れ大気圧状態にする。このためフラッシュバルブ閉止時(便器洗浄終了時)バキュームブレーカの吸気口から空気吸入音が聞こえることがある。また無数に開いた穴の吸気口を持つ旧型バキュームブレーカの場合、フラッシュバルブ起動開始時(便器洗浄開始時)に吸気弁が閉まり、フラッシュバルブ閉止時(便器洗浄終了時)に給排気弁が開く吸気弁の開閉動作が吸気口の無数に開いた吸気穴から垣間見える。




手動フラッシュバルブから自動フラッシュバルブに換装された例


フラッシュバルブの操作方法は長らくレバーペダル棒や押しボタン等の起動弁を手動で操作して起動させる方法が主流であった。


他に、便器から離れた場所に洗浄用のスイッチや弁を設けた、リモコン型フラッシュバルブがある。


大便器洗浄装置であるフラッシュバルブを壁内等便器から離れた場所に設置したトイレの場合、便器付近に押しボタン弁や足踏み弁を設け、この弁からリモコン用の配管を介して水圧によりフラッシュバルブを遠隔操作で起動させるリモコンフラッシュバルブが古くからあった。


近年に新設されるトイレのフラッシュバルブでは大便器用、小便器用共に赤外線人感センサで人体を感知して使用後に自動で起動する自動フラッシュバルブや手かざしセンサーや薄型のタッチスイッチで電磁弁を作動させ起動する電装式のフラッシュバルブが主流になってきており衛生的になっている。特に大便器用の自動フラッシュバルブはセンサーの感知した時間で大、小の流し分け機能も搭載しており節水にも有効である。


自動フラッシュバルブや電磁スイッチタイプの電装式のフラッシュバルブには大便器用、小便器用共に設備保護洗浄機能が搭載され長時間使用(通水)が無い場合、蒸発により内部の水が減少し排水トラップ内の封水の乾きからの破封を防止するために設備保護タイマーにより最後の洗浄から24時間周期で自動的に1回分の洗浄を行う機能を持ち、更に大便器用では、小洗浄が連続する場合、大便器配管つまり防止のため使用状況に応じて大洗浄を行う機能も持っている。


自動フラッシュバルブの一部は水勢を利用して水力発電をして自らの制御電力に使用する機能を搭載した機種も存在する。


近年は小便器用、大便器用共に便器本体にフラッシュバルブを組み込んだ物や壁内にフラッシュバルブを設置されることも多く、フラッシュバルブが直接目に見えない場所に設置されるため、悪戯防止にもなるほかスッキリしていてトイレ空間の向上が図られている。





リモコン型のフラッシュバルブから給水される和風便器


また、最近では、起動弁のレバーペダル棒が足で踏まれて操作されることが多く故障や衛生面で問題であった手動フラッシュバルブであったトイレにおいても後付けの自動フラッシュバルブに換装される場合が多く、新設されるトイレにおいて手動フラッシュバルブの採用は減っている。


便器の洗浄水に海水を使用する船舶関係では、海水の塩分による腐食防止を対策をした耐海水用フラッシュバルブが使用される他、便器の洗浄に雨水、中水道や工業用水道などを使う場合も腐食対策対応の再生水用フラッシュバルブが使用される。


これらの腐食防止対策をしたフラッシュバルブは部材に高耐食性材料が使われ、高耐食めっきがされている。


フラッシュバルブが多く設置されている施設においては、故障を未然に防ぐ為に、あらかじめ新品及び、ストレーナーと小穴を清掃、パッキン類を交換し、リリーフ弁等の可動部をグリスで給脂した点検、メンテナンス済の予備のピストンバルブをストックしておき、定期的にピストンバルブを交換される場合が多い。


交換したピストンバルブはメンテナンスした上で次回の交換時に使用され、ローテーションを繰り返し使用されるが、ピストンバルブは同型品であっても各々が個性的な吐水の仕方をする場合があるので、交換後は便器の吐水状況を確認し、本体上部にある流量調整ネジ等で水の出かたを調整する。


またピストンバルブの下部のシートパッキンの細かな網部に異物が詰まったり、網部が傷つくと止水不良で少量の水が流れっぱなしになるので、ピストンバルブ取り出し時にシートパッキンの網部の点検も必要である。さらに、汚水の逆流防止のための負圧破壊装置であるバキュームブレーカが故障すると負圧が発生した時に汚水が逆流する恐れがある為に、定期的にバキュームブレーカの吸気蓋を取り外した上で、フラッシュバルブを操作し水を流して、吸気弁の開閉動作の作動状況を確認し、吸気時に混じった埃等の吸気弁パッキンへの付着した異物の清掃と吸気弁からの水漏れが無いかを点検する必要がある。


フラッシュバルブはボディや内蔵されたバルブも含めて概ね100以上の部品から構成されている。材質はボディやピストンバルブ部は真鍮、青銅製、ピストンバルブのストレーナー(フィルター)部とシートパッキン中心部は網状のステンレス製、ピストンバルブのワン皮パッキンは牛革をなめし加工した皮革または合成ゴム製、ストップバルブ(止水栓)、バキュームブレーカ、シートパッキンの外枠部などのパッキン類は合成ゴム、天然ゴム、皮革製、ピストンバルブ内部のバルブ部、バキュームブレーカ内枠、レバーハンドルの押し棒部付根はABS樹脂製である。


以前に製造されたフラッシュバルブの配管接続部やバキュームブレーカの一部のパッキンには石綿製のパッキンも使われたがアスベスト問題の法的規制があり現行品のフラッシュバルブには使用されていない。


フラッシュバルブ式の便器に汚れ、除菌、尿石付着防止等の洗浄薬剤を便器の洗浄水に添加する場合、タンク式のように直接薬剤を投入出来ないため、サニタイザーディスペンサー(薬剤供給装置、Sanitizer dispenser)などの薬剤の入った機器をフラッシュバルブの給水管に組込み連結し水をサニタイザーディスペンサーに流入させ溶解した薬剤を大便器、小便器に供給する。この装置は衛生面や快適性を重視する施設を中心に設置されていることが多く、最近では自動フラッシュバルブに前述のサニタイザーディスペンサーを内蔵したフラッシュバルブも大便器用、小便器用共に存在する。


最新の電装式フラッシュバルブには人感センサによる便器洗浄機能以外に、擬音装置や、一定時間以上同一人物が入室したままの場合、盗撮などの防犯や中で人が倒れている恐れもあるので安全のために通報する機能や、フラッシュバルブが悪戯をされた時や故障時など、機器の異常を通報する機能を併せ持っているものもあり、盗撮や不審者が疑われる長時間入室の退室後や、悪戯が疑われる機器の異常を感知した場合、トイレ入口部の防犯カメラと連動し、中には警備会社の警備システムと連動しているものあり、警備会社に自動的に通報が行われる機能を併せ持っている機器もある。



タンク式




タンクの構造





ボールタップによる給水の様子


専用のタンクにあらかじめ注水しておき、バルブ操作によって洗浄水を放出する方式である。タンクに一定量の水を貯える方法はいくつかあるが、主にボールタップによりタンクに水を貯め、タンクから便器への排水はフロートバルブを使用する方法が一般的でフロートバルブにはボールタップ故障時のタンクからの水の溢れを逃す為のオーバーフロー逃し管(溢水管)が繋がっている。タンクの形状や配置によっていくつか種類がある。タンク式の場合満水になるまで(約60秒以上)次の洗浄が出来ない欠点があるため、公共施設などの利用者が多いトイレではフラッシュバルブが採用されることが多い。


戸建住宅では一般的に給水管径、水圧も不足するために、大便器用フラッシュバルブを使用することが出来ず、タンク式がほとんどを占めている。


タンク式では給水圧や給水管径を問わられずに様々な環境で水洗便所を設置出来る長所がある反面、占有する面積が大きく、タンクが満水になるまで次の洗浄が出来ない為に連続洗浄が出来ない、便器の洗浄にフラッシュバルブのような高水圧が得られなく便器の機種によってはタンク式には組み合わせ出来ない機種もある等の短所があり、最近ではこれらの問題を解決しタンク式の長所とフラッシュバルブ式の長所を取り合わせたフラッシュタンク式が新たにラインナップされている。



ハイタンク式




大便器、小便器共にハイタンク洗浄のトイレ


天井に近い位置にタンクを置き、水を貯めて、鎖紐を引き下げ操作して、サイホン作用を起こすことで排水が起動し、給水管を経て床面の便器へ給水する方式。8時だョ!全員集合のコントシーンを連想させることから、俗にドリフ式とも呼ばれる[要出典]。かつては落差が大きい方が洗浄力で有利とされていたことから、戦前期から昭和50年代中ごろまで圧倒的多数を占めていた。しかし、メンテナンス性の悪さ、設置時の制限、イニシャルコストが高い、現代の一般的なロータンク式と比べると節水性が劣ることが多い、などの欠点があったため、以降は急速にロータンク式へと置き換えられた。現在は既存の旧い建物でわずかに見られる。また、水道圧が確保できない際に、押しボタンで遠隔操作するバルブを使用して見かけだけ直圧式にした隠しハイタンクが若干だが存在する。陶器の他に、日本での水洗便所普及初期や、戦時中などに木製のタンクが製造されていた。木製のタンクは内壁に銅板が張り詰められ防水されていた。


なお、INAX(のちのLIXIL)では、2010年までにハイタンク(本体、部品とも)の製造および発売を終了しており、TOTOも2012年3月をもって、ハイタンク(本体、部品とも)の製造および発売を終了した。アサヒ衛陶、ジャニス工業もそれに前後して製造を終了している。


日本の法人では、折原製作所とカクダイの2社だけが現在も生産・発売を継続している[3][4]。同社は“トイレざます ここでもう一度ハイタンクという選択肢”というコピーで新規設置向けハイタンクトイレセットを販売している。


どうしても給水機構による占有面積が生じるワンピース式トイレに比べて、垂直方向を利用して給水機構をオフセットできることから、水平面では他の方式より占有面積が少なくて住むこと、便器周囲に余計な付属物が生じないため手すりなどの補助具が取り付けやすいことなど、再評価すべき点もあげられる。



ロータンク式




ロータンク給水の和風便器


便器のすぐ上、人間の腰元程度の高さにタンクを置き、直下の便器へ給水する方式。タンク上部を洗面器にしておき、給水される水を手洗いに使用することもできる。かつては便所の室内のコーナーに壁かけ、ハイタンク式同様給水管で便器と接続する隅付ロータンクが主流だったが、ハイタンク式が新たに作られなくなり互換性の必要がなくなったこと、ステンレスまたは真鍮のパイプが露出することに対する美観の問題、占有する面積が大きくなることなどから、便器の真上にタンクを載せた密結形が主流となった。その後、昭和60年代から近年まで戸建住宅水洗便所のほとんどを占めた。これらのロータンク式ではタンクの上部にはタンクの蓋の代わりに手洗い器を兼ねている水盆を置き、タンクの給水の一部の水が水盆上の手洗い部に出て来て、手を洗った水を便器の洗浄用に再利用するようにした仕組みである。この場合、節水効果が得られるだけではなく、トイレ内に個別に手洗い器を設けることを省略でき、しかも工事代も安く抑えることができるためにトイレを広く使用することができることから住宅や限られたスペースの狭い空間のトイレで広く採用されており、この形態は日本特有の方式である。便器の汚れ防止、除菌、便器〜配管の尿石防止付着のための薬剤を便器に供給するために薬剤をタンク内に投入したり、タンク上部手洗い用水盆部に薬剤を置いて薬剤を溶解させ便器洗浄水に薬剤を添加する場合が多い。これらは青色や緑色で着色されている薬剤も多く、洗浄をすると便器に青色や緑色の水が流れる。またこれらの洗浄薬剤は芳香剤も含んでいることも多く芳香剤代わりに薬剤を投入することも多い。



シスタンバルブ式


ハイタンク式と同様に天井に近い位置にタンクを置き、給水管を伸ばして床面の便器へ給水する方式あるが下部の給水管にフラッシュバルブ同様のバルブを組み合わせたものをシスタンバルブといい、主に公衆便所のトイレで多用された他、過去には一部の古い戸建住宅でも採用された。フラッシュバルブと同じ構造、操作方法でありながらタンク式であるために満水になるまで次の洗浄が出来ない欠点がある。バルブ本体の形状、吐水、作動原理は低圧型フラッシュバルブと同様の構造となっている。最近は採用例が減っている。なお、TOTOはハイタンクと同じく、シスタンバルブ式(ハイタンクなどの)の部品も2012年4月に廃盤。これに伴い、TOTOはシスタンバルブ式ハイタンクの製造の幕を閉じた。



フラッシュタンク式




フラッシュタンク式


TOTOが開発したフラッシュタンク式は、タンク式と同じ口径(呼び径※215A)の給水管からの水流をタンク内で増幅し、約4倍の水流にして便器洗浄を行い、タンクの貯水時間を大幅に短縮し、フラッシュバルブ式と同等の連続洗浄が可能であり、電源不要の新しい洗浄システム。


パブリックトイレでは一般的なフラッシュバルブ式に比べて、省施工化が図れるだけでなく、給水設備(配管とポンプ)のサイズダウンが可能で、建物の省資材化も図れ、次の洗浄まで約60秒かかるタンク式と比べて、約20秒で次の洗浄が可能なので、飲食店などのトイレの混雑緩和につながる他。さらに、一般的なタンク式大便器より奥行が約60mmコンパクトであり、トイレ空間が広く使え、事務所、店舗、学校、病院、高齢者施設などフラッシュバルブが使えなかった現場でも連続洗浄が可能で、さらにフラッシュバルブのように施工時にバラバラな部品をミリ単位で施工精度も必要とせずワンタッチで施工が出来、便器は新しい「トルネード洗浄」が採用され、4.8Lと超節水化が可能な最新のシステムで最近施工された施設から普及されはじめている。



水洗便器用薬液供給装置





サニタイザーが連結され薬剤が供給されている男性用トイレの小便器





 

女性用トイレではサニタイザーが大便器に連結され薬剤が供給される



小便スラッジからなる尿石は尿中に溶けているカルシウムイオンが炭酸などと反応し、カルシウム化合物として、便器および便器のトラップ、便器からの配水管の内部に付着する。尿石には尿中の有機物も含まれており、これが腐敗分解すると、トイレ独特の臭気が発生する。トイレにおける悪臭の主たる原因になっており、尿石が便器〜排水管への付着、蓄積が進むと悪臭がさらにひどくなり、やがて排水管の詰まりが起こる。このため各業者から尿石除去及び防止の薬剤が発売されており、古くからトイレボールと呼ばれる球状の尿石防止薬剤を男性用小便器排水口付近に投入されることが多かったが、最近は洗浄水を電気分解し生成した機能水を流しバクテリアの繁殖を抑制してアンモニアの発生や尿石付着を防止する機能がある小便器が発売されているほか、公共の施設の水洗式トイレでは水洗便器の洗浄水に尿石防止や消毒薬剤を添加する装置であるサニタイザーなどが設置されることが多い。主にデパート、駅、ホテル、劇場、病院などの衛生面や快適性を重視する施設の、男性トイレでは小便器に、女性トイレでは和式大便器・洋式大便器の便器洗浄管(便器への給水管)に組込み連結して設置される。


サニタイザーが設置されている男性トイレでは、概ね小便器のみに設置され、和式大便器・洋式大便器には設置されないことが多いが、同一箇所の女性トイレにはほとんどの和式大便器・洋式大便器にサニタイザーディスペンサーが設置されている。これは同じ大便器でも男性トイレの大便器に比べ女性トイレの便器(大便器)は実質上、小便器の役割も兼ねている為に排尿に供される頻度が極端に高いためである(男性トイレの大便器にもサニタイザーが設置されているトイレも存在する)。



構造


主な構造はフラッシュバルブ等の便器への給水管から枝分かれした構造の連通管(給排水管)を設け、サニタイザー本体と連結、結管される。サニタイザー本体にはフロート付きの弁装置を持つ薬液混合用溶解槽とカートリッジに入った薬剤が仕込まれている。フラッシュバルブ起動毎にサニタイザーに内蔵されているフロート付きの弁装置の作用で一定量ずつの水を取り込み、サニタイザー内に仕込まれた薬剤ボトルの底面にある海綿体の浸出性瓶栓から浸出する薬剤をサニタイザー内の薬液混合用溶解槽に取り込まれた水により希釈して薬剤水溶液とし、フラッシュバルブ閉止間際に給水管内の内圧減少に伴って、この薬剤希釈水溶液を前記フロート付きの弁装置を設けた弁室および連通管を介して再び給水管内に排水して、便器内へと排流するようになっている。



作動原理と機能




大便器のフラッシュバルブに連結されたサニタイザー


サニタイザーの作動原理は、水洗フラッシュバルブを操作して便器に水を流すと、水は水圧により連通管(便器の給水管からサニタイザーに連結した管)を通り、フロート弁を経由してサニタイザー内の薬液混合用溶解槽に流入する。サニタイザー溶解槽内の水量が増えるにつれて、フロートが上動(上昇)していき、やがてフラッシュバルブの流水がピークに達する頃、サニタイザー溶解槽内が満水になると同時にフロートが最上昇点に達し、フロート弁の弁体が弁座に圧接して、水の流入・排出管部が閉塞される。このためにサニタイザー溶解槽内へ流入する水の量(約200ml)は、常に一定となる。サニタイザーに流入した水は、サニタイザー内に仕込まれた薬剤ボトルタンクの底面にある海綿体の浸出性瓶栓から浸出する薬剤と接触して薬剤を溶解する。フラッシュバルブが閉止し便器へ流れる水圧が低下して内圧が減少すると、フロートが降下して弁体が弁座から離れ、フロート弁が開き、水の流入・排出管部が開放され、サニタイザー溶解槽内の薬剤を溶解した薬剤水溶液は連通管を介して再び給水管内に排水され便器に流れ込む。便器に流れ込んだ薬液は便器表面からトラップ、排水管へ流れて便器の表面や管路、排水管は常に除菌消毒される。一回のフラッシュバルブの操作により便器に流れる水の量はほぼ一定であり、水流の強さの時間的変化も一定した状態が繰り返されるので、サニタイザーに水が流れ込み、薬剤を溶解して便器へ流れる過程も一定した状態が繰り返され、常にほぼ一定量の薬剤が溶解して生成され便器に供給される。便器への流水が終了する間際に薬剤を溶解した溶液が便器に供給されるので、薬剤を溶解した溶液はほとんど希釈されることなく、常に安定した薬剤量及び薬剤濃度の溶液(使用水に対し100ppmの濃度の溶液)が便器内に留まり、大腸菌、黄色ブドウ球菌などの菌を消毒して、脱臭、尿石の付着防止、排水管のつまり防止に効果的に作用する。




大便器に滞留するサニタイザーからの薬剤


また便器洗浄後のサニタイザーから便器への管路や便器内の管路に残留した薬剤の溶液は次回の洗浄開始直後に便器から出てきて消毒剤による便器内の消毒と、洗浄剤よる便器内の防汚洗浄がなされ使用前の便器の表面は常に薬剤で防汚コーティングされる。便器洗浄水を流す度にサニタイザーから便器への薬剤溶出の一連の動作が繰り返されることにより、便器の洗浄・脱臭・静菌・排水管のつまり防止がなされて、使用待機状態の便器は常に表面や管路は除菌消毒され、トラップ等の便器内の水溜りには一定量の、濃度の薬剤の溶液(約100 ppmの濃度の溶液)が常時滞留しバクテリア等の細菌の繁殖を抑制されると同時に薬液からのトイレ内の芳香がなされている状態となる。


各メーカーいずれのサニタイザーにもフロート弁が内蔵され、サニタイザーへの水の入排水はフロート弁の昇降動作により一回分の薬剤を便器に供給する他、フロート弁付け根部は六角形になって各々の角部面の中心に入排水口穴が開いており、起動すると六か所の穴から放射線状に水が入水することで溶解槽部に水が均等に安定供給されフロートが上昇し所定量に達するとフロート弁が閉鎖され、一連の動作か終了するとフロートが降下して弁が開放され一定量に溶解された薬液が六か所の口穴から排出され便器に供給される。


サニタイザーはそれぞれメーカーにより維持管理され、一定周期で定期的に薬剤交換、薬剤補充の他、同時にサニタイザーの機能動作等の作動状況の確認と保守点検がなされると共に便器に出てきた薬剤の濃度をpHメーター等で測定し、薬液の生成状況や便器の状態を管理される同時に便器を徹底的に磨き上げられる。



注意事項


長期間便器の使用(通水)がないと蒸発により内部の水が減少し排水トラップ内が乾いたり、自己サイフォン現象や管内の負圧が大きいと破封(トラップ内の水が減少しトラップとしての機能を失う現象)が起こり悪臭や硫化水素などのガス、衛生害虫、ネズミなどが排水管から屋内へ侵入する恐れがあり、場合によっては破封した便器のトラップから下水管からの騒音が聞こえる場合もあり、破封が起こらないように配慮が必要である。


また便器のトラップに溜まった水が、ゆらゆらと動くことがあるが、これは下水管の負圧から起きる現象で、これが強くなると破封が起こる原因となる。




連立された大便器群


特に大便器においては、数基の便器を連立して設置された水洗便器や2階以上に水洗便器を設置する場合、便器の排水能力に悪影響を与えたり、排水管の負圧を防止するため大気を取り入れるよう通気管を設置しなければならない。これは、便器からの排水時にサイホン作用でトラップが破封する恐れがあり、特に連立して設置された水洗便器では洗浄排水時に連立され排水管が繋がっている他の水洗便器にまでサイホン作用が発生しトラップの封水に影響があり、場合によっては破封してしまう恐れがある。、他の便器の洗浄中に静止状態の便器のトラップに溜まった水が、ゆらゆらと動くのは排水管に負圧があるからで、多数の便器を連立させる場合は数か所通気管を設けなければならない。また連立した便器の排水管にはY字状のLT継手で接続することが不可欠でT字状のDT継手で接続すると通気管があっても通気不良や排水不良になるのでDT継手で施工しないよう注意が必要である。


タンク給水のトイレにおいて節水効果を上げるため、よくタンク内にペットボトルや煉瓦などを入れ、タンクに貯水できる水量を減らすことが行われているが、タンクを用いるものでは、タンクと便器が一体となって設計されており、タンク満量の水量でどんな糞尿でもきれいに洗い流すことができるようにしている。メーカーでは「これは誤りで、却って故障の原因となる」として、行わないよう求めている。


水洗便所の清掃に塩素系と酸性の洗剤を混ぜると有毒な塩素ガスが発生することと、浄化槽を使用している場合は生物にダメージを与える恐れがあるため、使用量に注意すること。塩素系や酸性の洗剤を用いたり、柄付きたわし以外のもので便器内を磨くときは長袖の衣服、保護眼鏡、ゴム手袋、マスクなど保護具を着用し、換気を十分に行うのが望ましい。




エアコンのドレン排水管がタンクに接続された和風便器の例


水垢や尿石などの頑固な汚れは紙やすり(耐水ペーパー)等で削ると容易に除去できる。ただし、使い方や便器の色、材質によっては傷になるため、後日かえって汚れが付きやすくなってしまう。清掃業では、衛生陶器表面の釉薬層を傷つけ、色沢を損なうので、紙やすり(耐水ペーパー)、クレンザーを使うことはない。温水洗浄便座や暖房便座は洗剤の成分によっては破損する恐れがある。また、故障や感電の原因になる。


エア・コンディショナー等の空調設備のドレン排水の配管や雨樋の配管を取り廻しの関係で便器洗浄のタンクに接続配管される場合があるが、この場合タンクの水を温水洗浄便座に使用する場合は衛生面でバクテリアや雑菌による感染症防止やお尻かぶれを防止するために配管を別系統に分ける必要がある。また和式大便器等の温水洗浄便座を使用しない場合でも空調機器のドレン排水管内や雨樋からの苔、ミズゴケ類等の藻類、や錆、バクテリアによるスライム、場合によってはサカマキガイ等の小型貝類やボウフラがタンク内に流れ込みタンク内やタンクからの便器への管路、便器内の管路に苔や錆が付着する事や便器から出てくる事もあり、場合によってはタンク内や管路内で苔、ミズゴケ類等の藻類やサカマキガイ等の小型貝類やボウフラが繁殖する場合もあり、タンク内の機器の作動不良等の故障や管路の詰まりを未然に防ぐ為に定期的にタンク内部の点検し、付着や繁殖している場合は清掃、除去が必要となる。


浄化槽にミズアブ(アメリカミズアブ)などが発生すると、ミズアブ(アメリカミズアブ)の幼虫(蛆)は浄化槽から配管を伝って便器のトラップに出て来ることがあり、 必要に応じて、駆除が必要となる。



その他の水洗便所


トンネル式便所 - 非水洗便器が使用され、便器の半分又は全体に穴が開いており、一見すると汲み取り式に見えるが、便器の下には横に流れる管が配管され、横に流れる管には常時水が流れており、横に流れる管から下水道に流す方式。一部のトンネル式便所では最上流部の個室のみが普通の洗い出し水洗便器が設置され、その排水力で下流の非水洗便器を使った個室下に落ちた汚物をより強力に流すトンネル式便所も存在する。暗渠式便所、薬研式便所、また俗に水洗ボットンとも呼ばれる。



水洗便所内に設置される付帯設備




サニタリーボックスが常設される女性トイレ内


女性用トイレにおいては汚物入れ(サニタリーボックス)が設置されていることが多く、おりものシートや生理用ナプキン、タンポンなどの使用済みの生理用品をそのまま水洗便器に捨てて流すと配管を塞栓するため(不溶性)、それらを捨てるために設置されている。


また洋式便器の普及に伴い便座に敷く使い捨て式の紙製の便座シートや便座を除菌する除菌スプレーが設置されていることが増えており。
紙製の便座シートは水解紙製でそのまま便器に捨てて流せるタイプで、除菌スプレーは除菌液をトイレットペーパーに滲みこませて便座を拭いて除菌しそのまま便器に流せるようになっている。



水洗便所とトイレットペーパー




水洗便器の水溜りに滞留したトイレットペーパー


水洗便所でトイレットペーパーは洗浄水を流しても水流の関係で、便器のトラップの水溜りでクルクルと回るだけで、流れに乗りにくい状況が発生する事がある。


特に、吸引作用が無く、水勢のみで洗い流す洗い出し式和式便器等の洗浄方式によっては完全に便器内から無くならず、滞留する現象が発生する事がある。


これは大便洗浄の時にはきちんと流れて、小便洗浄時や紙だけ流す時は流れにくいのは、トイレットペーパーの紙の間に空気が入ってしまい、浮力により便器の水溜りでクルクルと回るだけで流れない事があり、この場合紙を丸めるなどして、ある程度固めてから、便器に捨てて、流す事で解消出来る。


トイレットペーパーが便器から流れきれない場合でも少量であれば水解紙製であれば詰まりの原因にはならない。


また、公共のトイレでトイレットペーパーの芯を不心得者によって水洗便器に捨てられ、詰まりが発生することがある。芯紙が無い、芯なしタイプや、水解紙製の芯のトイレットペーパーを使うことで、芯を便器に捨てられても詰まりの発生を防止することができる。



脚注


[ヘルプ]




  1. ^ TOTOきっず:トイレなんでもアラカルト


  2. ^ ハイブリッドエコロジーシステム


  3. ^ 折原製作所では、「マーブルタンク」と銘打って、陶器製ではない素材のハイタンクを製造発売している。


  4. ^ 株式会社カクダイ 商品ページ[リンク切れ]




関連項目







  • ウォシュレット

  • 温水洗浄便座

  • 殺菌

  • サニタイザー

  • サンポール

  • セボン

  • トイレットペーパー

  • 日本の便所

  • フラッシュバルブ

  • ブルーレット

  • 便器

  • 便所

  • ラバーカップ

  • スパッド


トイレ関連メーカー


  • INAX

  • TOTO

  • TOTOの商品

  • アサヒ衛陶

  • ジャニス工業


  • 北陸窯業 - 2003年(平成15年)5月8日付で解散している。

  • パナソニック




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