豊浦郡
豊浦郡(とようらぐん、とよらのこおり)は、山口県(長門国)にあった郡。
目次
1 郡域
2 歴史
2.1 近世以降の沿革
2.2 町村制以降の沿革
2.3 変遷表
3 行政
4 脚注
5 参考文献
6 関連項目
郡域
1879年(明治12年)に行政区画として発足した当時の郡域は、下記の区域にあたる。
下関市の大部分(白崎、王喜宇津井、王喜本町、吉田、吉田地方以東[1]を除く)
美祢市の一部(豊田前町各町)
歴史
和名類聚抄に「止与良」とあるように、当初は「とよら」と読まれていた。
鎌倉時代から寛文4年(1664年)までは豊東郡・豊西郡・豊田郡に分かれていた(いずれも私郡)。
近世以降の沿革
- 「旧高旧領取調帳」に記載されている明治初年時点での支配は以下の通り。(1町123村2浦)
知行 | 村数 | 村名 | |
---|---|---|---|
藩領 | 周防山口藩 | 4村 | 殿居村、阿川村、滝部村、神田上村 |
長門府中藩 | 1町 100村 1浦 | 赤間関[2]、今浦御開作[3]、高畑村、藤ヶ谷村、楠乃村、秋根村、勝谷村、熊野村、垢田村、稗田村、有富村、石原村、延行村、伊倉村、蒲生野村、富任村、綾羅木村、安岡村、横野村、福江村、吉見上村、吉見下村、永田郷村[4]、吉母村、蓋井島[5]、厚母郷村[6]、室津上村、室津下村、黒井村[7]、吉永村、涌田後地、宇賀村[8]、城戸村、長野村、手洗村、江良村、中村、矢田村、鷹ノ子村、阿座上村、庭田村、八道村、稲光村、日野村、高山村、東長野村、川棚村[9]、小串村、萩原村、今山村、古烏帽子村、保々村、樅ノ木村、嶽村、麻生上村、麻生下村、金道村、稲見村、楢原村、宇内村、今出村、伊藤田村、大河内村、一ノ俣村、佐野村、荒木村、浮石村、奈留村、岩滑村、杢路子村、田耕村[10]、粟野村[11]、角島、矢玉浦[12]、松小田村、彦島[13]、大坪村、幡生村、後田村、武久村、長崎村、関後地村、椋野村、前田村、才川村、宇部村、員光村、山田村、神田村、東中山村、西中山村、田部村、七見村、小野村、井田村、形山村、内日上村、内日下村、植田村、六連島、長府村[14]、田倉村 | |
長門清末藩 | 14村 1浦 | 清末村、阿内村、上大野村、下大野村、上保木村、下保木村、轡井村、道市村、上岡枝村、下岡枝村、貴飯村、楢崎村、吉賀村、伊崎村[15]、竹崎浦 | |
山口藩・府中藩 | 3村 | 殿敷村[16]、地吉村[17]、神田下村[18] | |
府中藩・清末藩 | 2村 | 小月村、久野村 |
- 明治2年8月7日(1869年9月12日) - 任知藩事にともない府中藩が改称して豊浦藩となる。
- 明治4年
7月14日(1871年8月29日) - 廃藩置県により、山口県、豊浦県、清末県の管轄となる。
11月15日(1871年12月26日) - 第1次府県統合により、全域が山口県の管轄となる。
- 明治初年(3町119村1浦)
- 矢田村の一部が分立して西市町となる。
- 田部村の一部が分立して上田部村となる。
- 長府村が分割し、一部(府中)が豊浦町、残部(長府後地)が豊浦村となる。
- 長野村が改称して西長野村となる。
- 伊藤田村が今出村に、奈留村・岩滑村が浮石村にそれぞれ合併。
- 今浦御開作・伊崎村・竹崎浦が赤間関に合併[19]。
- 明治12年(1879年)1月6日 - 郡区町村編制法の山口県での施行により、下記の変更が行われる。(2町116村1浦)
- 赤間関22町[20]・関後地村・彦島・六連島の区域をもって赤間関区が発足し、郡より離脱。
- 残部に行政区画としての豊浦郡が発足。郡役所が長府村に設置。
町村制以降の沿革
明治22年(1889年)4月1日 - 町村制の施行により、下記の各村が発足。特記以外は全域が現・下関市。(31村)
豊東村 ← 樅ノ木村、道市村、轡井村、下保木村、上保木村、東中山村、西中山村、下大野村、上大野村、田部村、上田部村、七見村
岡枝村 ← 上岡枝村、下岡枝村、吉賀村
豊東郷村 ← 貴飯村、久野村、楢崎村
内日村 ← 植田村、内日上村、内日下村
小月村(単独村制)
清末村 ← 清末村、阿内村
豊東前村 ← 神田村、山田村、員光村、宇部村、才川村、松小田村
長府村 ← 豊浦村、豊浦町、高畑村、前田村
豊東上村 ← 田倉村、勝谷村、楠乃村、秋根村、形山村、井田村、小野村
豊東下村 ← 大坪村、武久村、幡生村、後田村、椋野村、藤ヶ谷村
豊西下村 ← 石原村、有富村、延行村、伊倉村、熊野村、稗田村、垢田村、綾羅木村
豊西中村 ← 富任村、蒲生野村、安岡村、横野村、福江村
豊西上村 ← 吉見上村、吉見下村、永田郷村
豊西村 ← 吉母村、室津上村、室津下村、蓋井島
豊西東村 ← 厚母郷村、黒井村、吉永村、涌田後地
川棚村、小串村、宇賀村(それぞれ単独村制)
神玉村 ← 神田上村、矢玉浦
角島村、神田下村、阿川村、粟野村、滝部村、田耕村(それぞれ単独村制)
豊田上村 ← 一ノ俣村、荒木村、佐野村、殿居村、杢路子村
豊田中村 ← 鷹ノ子村、八道村、稲見村、金道村、宇内村、浮石村
豊田奥村 ← 矢田村、西市町、庭田村、今出村、地吉村、大河内村、殿敷村、楢原村
豊田下村 ← 高山村、東長野村、西長野村、城戸村、江良村、手洗村、中村、阿座上村、萩原村、日野村、稲光村
豊田前村 ← 麻生上村、麻生下村、今山村、保々村、古烏帽子村、嶽村(現・美祢市)
彦島村 ← 赤間関区[六連島・彦島]
- 明治29年(1896年)9月1日 - 郡制を施行。
- 明治31年(1898年)9月1日
- 豊西東村が改称して黒井村となる。
- 豊東下村が改称して生野村となる。
- 豊東前村が改称して王司村となる。
- 豊東上村が改称して勝山村となる。
- 明治32年(1899年)4月1日
- 豊田奥村が改称して西市村となる。
- 豊東郷村が改称して楢崎村となる。
- 明治43年(1910年)7月1日 - 豊西中村が改称して安岡村となる。
- 明治44年(1911年)4月1日 - 長府村が町制施行して長府町となる。(1町30村)
- 明治45年(1912年)4月1日 - 豊田上村が改称して殿居村となる。
大正3年(1914年)9月1日 - 豊西下村が改称して川中村となる。- 大正7年(1918年)5月1日 - 神田下村が改称して神田村となる。
- 大正10年(1921年)
1月10日 - 生野村が下関市に編入。(1町29村)
10月1日 - 彦島村が町制施行して彦島町となる。(2町28村)
- 大正11年(1922年)10月1日 - 豊西上村が改称して吉見村となる。
- 大正12年(1923年)4月1日 - 郡会が廃止。郡役所は存続。
- 大正13年(1924年)2月11日 - 西市村が町制施行して西市町となる。(3町27村)
- 大正14年(1925年)
- 2月11日 - 安岡村が町制施行して安岡町となる。(4町26村)
5月1日 - 小串村が町制施行して小串町となる。(5町25村)
- 大正15年(1926年)7月1日 - 郡役所が廃止。以降は地域区分名称となる。
昭和7年(1932年)11月3日 - 小月村が町制施行して小月町となる。(6町24村)- 昭和8年(1933年)3月20日 - 彦島町が下関市に編入。(5町24村)
- 昭和12年(1937年)
3月26日 - 長府町が下関市に編入。(4町24村)
11月15日 - 安岡町・川中村が下関市に編入。(3町23村)
- 昭和14年(1939年)5月17日 - 小月町・清末村・王司村・勝山村・吉見村が下関市に編入。(2町19村)
- 昭和26年(1951年)4月1日 - 楢崎村・岡枝村が合併して菊川村が発足。(2町18村)
- 昭和28年(1953年)6月1日 - 豊田前村が町制施行して豊田前町となる。(3町17村)
- 昭和29年(1954年)
3月31日 - 豊田前町が美祢郡大嶺町・伊佐町・於福村・東厚保村・西厚保村と合併して美祢市が発足し、郡より離脱。(2町17村)
8月1日 - 豊西村の一部(吉母・蓋井島および室津上の一部)を下関市に編入。- 10月1日 - 殿居村・豊田中村・西市町・豊田下村が合併して豊田町が発足。(2町14村)
- 昭和30年(1955年)
- 4月1日(4町3村)
- 豊西村・黒井村・川棚村および宇賀村の一部(宇賀)が合併して豊浦町が発足。
- 神玉村・角島村・神田村・阿川村・粟野村・滝部村・田耕村および宇賀村の残部(北宇賀)が合併して豊北町が発足。
4月10日 - 菊川村・豊東村および内日村の一部(日新)が合併して菊川町が発足。(5町1村)
11月1日 - 内日村が下関市に編入。(5町)
- 4月1日(4町3村)
- 昭和31年(1956年)7月1日 - 小串町が豊浦町に編入。(4町)
平成17年(2005年)2月13日 - 菊川町・豊田町・豊浦町・豊北町が下関市と合併し、改めて下関市が発足。同日豊浦郡消滅。
変遷表
自治体の変遷
明治22年4月1日 | 明治22年 - 明治45年 | 大正1年 - 大正15年 | 昭和1年 - 昭和20年 | 昭和21年 - 昭和29年 | 昭和30年 - 昭和64年 | 平成1年 - 現在 | 現在 | ||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
赤間関市 | 明治35年6月1日 改称 下関市 | 下関市 | 下関市 | 下関市 | 下関市 | 下関市 | 平成17年2月13日 下関市 | 下関市 | |
豊東下村 | 明治31年9月1日 改称 生野村 | 大正10年1月10日 下関市に編入 | |||||||
彦島村 | 彦島村 | 大正10年10月1日 町制 | 昭和8年3月20日 下関市に編入 | ||||||
長府村 | 明治44年4月1日 町制 | 長府町 | 昭和12年3月26日 下関市に編入 | ||||||
豊西中村 | 明治43年7月1日 安岡村 | 大正14年2月11日 町制 | 昭和12年11月15日 下関市に編入 | ||||||
豊西下村 | 豊西下村 | 大正3年9月1日 改称 川中村 | |||||||
小月村 | 小月村 | 小月村 | 昭和7年11月3日 町制 | 昭和14年5月17日 下関市に編入 | |||||
清末村 | 清末村 | 清末村 | 清末村 | ||||||
豊東前村 | 明治31年9月1日 改称 王司村 | 王司村 | 王司村 | ||||||
豊東上村 | 明治31年9月1日 改称 勝山村 | 勝山村 | 勝山村 | ||||||
豊西上村 | 豊西上村 | 大正11年10月1日 改称 吉見村 | 吉見村 | ||||||
内日村 | 内日村 | 内日村 | 内日村 | 内日村 | 昭和30年11月1日 下関市に編入 | ||||
昭和30年4月10日 菊川町の一部(大字日新) | |||||||||
豊東郷村 | 明治32年4月1日 改称 楢崎村 | 楢崎村 | 楢崎村 | 昭和26年4月1日 菊川村 | 昭和30年4月10日 菊川町 | ||||
岡枝村 | 岡枝村 | 岡枝村 | 岡枝村 | ||||||
豊東村 | 豊東村 | 豊東村 | 豊東村 | 豊東村 | |||||
豊田奥村 | 明治32年4月1日 改称 西市村 | 大正13年2月11日 町制 | 西市町 | 昭和29年10月1日 豊田町 | 豊田町 | ||||
豊田上村 | 明治45年4月1日 改称 殿居村 | 殿居村 | 殿居村 | ||||||
豊田中村 | 豊田中村 | 豊田中村 | 豊田中村 | ||||||
豊田下村 | 豊田下村 | 豊田下村 | 豊田下村 | ||||||
小串村 | 小串村 | 大正14年5月1日 町制 | 小串町 | 小串町 | 昭和31年7月1日 豊浦町に編入 | ||||
川棚村 | 川棚村 | 川棚村 | 川棚村 | 川棚村 | 昭和30年4月1日 豊浦町 | ||||
豊西村 | 豊西村 | 豊西村 | 豊西村 | 豊西村 | |||||
豊西東村 | 明治31年9月1日 改称 黒井村 | 黒井村 | 黒井村 | 黒井村 | |||||
宇賀村 | 宇賀村 | 宇賀村 | 宇賀村 | 宇賀村 | 昭和30年4月1日 豊浦町の一部(大字宇賀) | ||||
昭和30年4月1日 豊北町の一部(大字北宇賀) | |||||||||
滝部村 | 滝部村 | 滝部村 | 滝部村 | 滝部村 | 昭和30年4月1日 豊北町 | ||||
田耕村 | 田耕村 | 田耕村 | 田耕村 | 田耕村 | |||||
神玉村 | 神玉村 | 神玉村 | 神玉村 | 神玉村 | |||||
神田下村 | 神田下村 | 大正7年5月1日 改称 神田村 | 神田村 | 神田村 | |||||
阿川村 | 阿川村 | 阿川村 | 阿川村 | 阿川村 | |||||
粟野村 | 粟野村 | 粟野村 | 粟野村 | 粟野村 | |||||
角島村 | 角島村 | 角島村 | 角島村 | 角島村 | |||||
豊田前村 | 豊田前村 | 豊田前村 | 豊田前村 | 昭和28年6月1日 町制 | 昭和29年3月31日 美祢市の一部 | 美祢市 | 平成20年3月21日 美祢市の一部 | 美祢市 |
行政
- 歴代郡長
代 | 氏名 | 就任年月日 | 退任年月日 | 備考 |
---|---|---|---|---|
1 | 明治12年(1879年)1月6日 | |||
大正15年(1926年)6月30日 | 郡役所廃止により、廃官 |
脚注
^ 吉田地区、王喜地区。
^ 赤間関12町および周辺10町の総称。無高のため「旧高旧領取調帳」には記載なし。
^ 記載は伊崎新地。
^ 記載は永田正吉村。
^ 記載は蓋井村。
^ 記載は厚母村。
^ 黒井上村・黒井下村に分かれて記載。
^ 大河内村・上畑村・下畑村・湯玉村・今倉村・掛地村・寺畑村・二見後地に分かれて記載。
^ 高野村・湯谷後地・川棚下村・川棚北村・江良村・小野村に分かれて記載。
^ 原村・部上村・小野村・朝生村・上太田村・杣地村・下太田村・中河内村・市庭村・大庭村に分かれて記載。
^ 粟野上村・粟野下村に分かれて記載。
^ 記載は矢玉後地。
^ 彦島・田ノ首島に分かれて記載。
^ 豊浦後地として村分のみ記載。
^ 記載は伊崎浦。
^ 殿敷村(山口藩領)・本郷(府中藩領)に分かれて記載。
^ 地吉村(山口藩領)・郷ノ原(府中藩領)に分かれて記載。
^ 神田下村(山口藩領)・島戸後地(府中藩領)に分かれて記載。
^ それぞれ新地町・伊崎町・竹崎町となる。
^ 阿弥陀寺町、中之町、西之端町、赤間町、外浜町、稲荷町、裏町、西南部町、東南部町、西細江町、東細江町(明治15年観音崎町と岬之町に分割)、豊前田町、壇ノ浦町、奥小路町、田中町、竹崎町、長崎町、入江町、茶山町、今浦町、新地町、伊崎町。
参考文献
角川日本地名大辞典 35 山口県- 旧高旧領取調帳データベース
関連項目
- 消滅した郡の一覧
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