刑事ドラマ
刑事ドラマ(けいじドラマ)は、主に刑事(もしくは警察官)を主人公とするテレビドラマのジャンルの一つ。警察ドラマ(けいさつドラマ)とも呼ばれ、主に犯罪事件を捜査して犯人を逮捕ないし制圧する物語が展開されるドラマである。
目次
1 誕生から定番ジャンルへ
2 現実の捜査活動との相違
3 脚注
4 関連項目
誕生から定番ジャンルへ
警察を舞台とする日本の映像作品としては、1950年代からシリーズで製作された映画『にっぽんGメン』や『警視庁物語』があり、製作した東映はこれを刑事ドラマの原点として紹介している[1][2]。これを受け、日本テレビが日本で初の刑事ドラマとして1957年9月より『ダイヤル110番』、NET(現在のテレビ朝日)が日本初の1時間連続ドラマとして1961年10月より『特別機動捜査隊』の放送を開始した[3]。『特別機動捜査隊』は、少数(5人)チームの刑事たちが現場に急行して事件を解決に当たるという迅速な展開が、人気を集めた。刑事ドラマのスタイルに大きな影響を与えたという点で、制作者である東映自身は「日本の刑事ドラマのルーツと言える作品」であるとしている[3]。なお、それまでのドラマにおける警察は私立探偵が解決する推理ドラマの脇役もしくは明治・大正~戦前、戦中の言論弾圧に駆り出された影響で、反体制・反骨精神による犯罪を犯す者に対しての権力・圧政の象徴としての「敵役」、終戦直後の混乱期における警察力の低下による「やられ役」が多く、扱いは決して良いものではなかった。
視聴率30%を越える人気を博した『特別機動捜査隊』は、その後も多くの刑事ドラマ作品が製作される起点となっており[2][3]、現在では刑事ドラマの無いクールは無いとも言われる定番のジャンルである[4]。作品によってはシリーズ化される等、長期にわたって制作・放送されるものも多い。
人気の理由について、事件や警察という題材が視聴者にとってあまり身近ではないことで、いくらか現実離れした設定や物語であってもリアルさを感じられることや、基本的に1話完結(=事件解決)するスタイルにより、物語を1話見逃しても視聴を続けやすいという安心感などが挙げられている[5]。また、『太陽にほえろ!』がヒットして以降は、出演者が番組を降板する際殉職(=犯罪捜査中に死亡)することが定番であったが、1990年代以降の作品ではそうした事例は少なくなっている。
民放の全国ネットで放送されている連続ドラマには警視庁ないし同管内を舞台にしている作品が多く、次いで神奈川県警察ないし同管内(特に横浜市内)[6]、京都府警察ないし同管内(特に京都市内)[7]と続く。関西ローカルではあるが大阪府警察を舞台にした『部長刑事』シリーズ(朝日放送)では、一部のシリーズを除いて大阪府警が「応援」という形で制作に関わっているケースもあった。1970年代から1980年代にかけてのレギュラー作品では、特別版として地方や日本国外を舞台とした作品がたびたび放送されていた[8]。
現実の捜査活動との相違
現実に存在する警察組織をモチーフにしている刑事ドラマでは、基本的には実際の捜査活動に近い手法で事件を解決する様子が描かれる[9]。その一方、ストーリーの展開の都合や視聴者へのわかりやすさなどのため、現実とは異なる捜査・警察が描写されることも多い。例えば、刑事たちが捜査状況を整理しようとホワイトボードに被害者の写真を貼ったり情報を書き込んだりする場面が多く登場するが、実際にはホワイトボードなどを使わずに口頭で連絡しているという[4]。また、ドラマでは覆面パトカーを使用して捜査活動(追跡、張り込みなど)をすることが多く見られるが、実際にパトカーを使った捜査はごく少数に限られるという[10]。
さらに、殺人事件などの重大事件については警察本部の捜査第一課が指揮する捜査本部が必ず設置され、所轄警察署の刑事課単独で捜査することは絶対にない。また、1970年代から1980年代にかけての刑事ドラマにおいては、犯人を逮捕する過程で相手を殴ったり銃を発砲したりする描写が盛り込まれた作品が多かったが、実際にそのような状況が生じることは少ない[11]。
なお、架空の捜査部署・警察署が舞台となる場合も多いが、前述の『特別機動捜査隊』放送開始後には警視庁に「機動捜査隊」が設置されたり[3]、新設される警察署の名称が『踊る大捜査線』の「湾岸署」と類似する「東京湾岸警察署」となるなど(詳細は東京湾岸警察署#名称および東京湾岸警察署#架空の作品との関わりについてのエピソードを参照)、現実の警察組織に刑事ドラマが間接的に影響を与えた例もある。
脚注
^ 刑事ドラマの原点とは - 東映マイスター Vol.7 刑事ドラママイスター・桑原秀郎プロデューサー「刑事ドラマの原点を語る!」
- ^ ab『スーパー戦隊 Official Mook 21世紀 Vol.4 特捜戦隊デカレンジャー』 講談社〈講談社シリーズMOOK〉、2017年4月25日、4頁。.mw-parser-output cite.citation{font-style:inherit}.mw-parser-output .citation q{quotes:"""""""'""'"}.mw-parser-output .citation .cs1-lock-free a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/6/65/Lock-green.svg/9px-Lock-green.svg.png")no-repeat;background-position:right .1em center}.mw-parser-output .citation .cs1-lock-limited a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-registration a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/d/d6/Lock-gray-alt-2.svg/9px-Lock-gray-alt-2.svg.png")no-repeat;background-position:right .1em center}.mw-parser-output .citation .cs1-lock-subscription a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/a/aa/Lock-red-alt-2.svg/9px-Lock-red-alt-2.svg.png")no-repeat;background-position:right .1em center}.mw-parser-output .cs1-subscription,.mw-parser-output .cs1-registration{color:#555}.mw-parser-output .cs1-subscription span,.mw-parser-output .cs1-registration span{border-bottom:1px dotted;cursor:help}.mw-parser-output .cs1-ws-icon a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/4/4c/Wikisource-logo.svg/12px-Wikisource-logo.svg.png")no-repeat;background-position:right .1em center}.mw-parser-output code.cs1-code{color:inherit;background:inherit;border:inherit;padding:inherit}.mw-parser-output .cs1-hidden-error{display:none;font-size:100%}.mw-parser-output .cs1-visible-error{font-size:100%}.mw-parser-output .cs1-maint{display:none;color:#33aa33;margin-left:0.3em}.mw-parser-output .cs1-subscription,.mw-parser-output .cs1-registration,.mw-parser-output .cs1-format{font-size:95%}.mw-parser-output .cs1-kern-left,.mw-parser-output .cs1-kern-wl-left{padding-left:0.2em}.mw-parser-output .cs1-kern-right,.mw-parser-output .cs1-kern-wl-right{padding-right:0.2em}
ISBN 978-4-06-509515-7。
- ^ abcd東映刑事ドラマの系譜 - 東映ブランド紹介
^ 『相棒』『刑事吉永誠一』『クロコーチ』…乱立する警察ドラマ その理由とは? - アメーバニュース 2013年11月23日
^ 『あぶない刑事』など。
^ テレビ朝日系『木曜ミステリー』枠など。
^ 『西部警察』の日本全国縦断ロケなど。
^ 『ジャングル』など。
^ 覆面パトカーが張り込みに使われることはない ラジオライフ
^ 刑事ドラマはどこまで本当? - 北海道警察公式サイト 警察Q&A
関連項目
テレビ番組/テレビドラマ/日本のテレビドラマ一覧
- ミステリ
警察24時 - 番組改編期に特番として作られることの多い、外勤警察官の活動を追ったドキュメンタリー。
勧善懲悪 - 「善を勧め、悪を懲しめる」ことを主題とする物語の類型のひとつ。