天宮 (宇宙ステーション)
この記事にはまだ開始されていない宇宙飛行計画が含まれています。 打ち上げ日程が近づく・詳しい情報の公開などに従って内容が変化するかもしれません。 |
天宮 | |
---|---|
大型ステーション完成予想図 | |
各種表記 | |
繁体字: | 天宮 |
簡体字: | 天宫 |
拼音: | Tiāngōng |
発音: | テェンゴン |
天宮(てんきゅう、Tiangong)は、中華人民共和国が計画している宇宙ステーション。名称の「天宮」は天帝の住む宮殿に由来する。2011年9月に試験機である「天宮1号」(TG-1)の打ち上げに成功したが、本格的な宇宙ステーションとなる天宮の本体(コアモジュール)は2019年以降に打ち上げ予定[1]で、周辺モジュールも含めた完成は2022年以降の予定とされる[2][1]。
目次
1 概要
1.1 計画の背景
2 沿革
2.1 天宮1号
2.2 天宮2号
2.3 天宮3号
2.4 天宮(Tiangong:TG)
3 脚注・出典
4 関連項目
概要
計画の背景
中国は2003年に神舟5号によって有人宇宙飛行を、2008年には神舟7号によって宇宙遊泳を成功させたが、かつてのアメリカのスカイラブ計画、ソ連のサリュート計画と同様に中国独自の宇宙ステーション保有を目指すようになった。これが天宮である。
しかし本格的な宇宙ステーションの実現には技術的な課題が多い。中国は2008年までに有人宇宙船および船外活動技術を実現しているが、加えて大型打ち上げロケットの開発、宇宙船同士のランデブー・ドッキング技術、物質の循環を伴う長期運用可能な生命維持システム、そして物資の補給船といった技術の習得が不可欠である。天宮では小規模の試験機を通じてこれらの技術を1つずつ蓄積していくものと見られている。
沿革
2011年に9月より試験機の打ち上げが始まっており、2022年の完成を目指していた。打ち上げには新規開発の長征5号が使われる予定だが、開発遅延により長征5号の運用は2016年から始まった。試験機である天宮一号の打ち上げには長征2号FT1ロケットが、天宮二号の打ち上げには長征2号FT2が使われた。
天宮1号
2011年9月1日中国報道官により、初の宇宙ステーション実験機「天宮1号」の打ち上げ延期が公になった[3][4]。天宮打ち上げ用ロケットの「長征2号F」と同系統の「長征2号C」が、8月に実践11号04星の打ち上げに失敗し、衛星を予定の軌道に乗せられなかったことから、原因を解明した後に「天宮1号」の新たな打ち上げ日程を決めるとした。同年9月29日に打ち上げに成功した[5][6]。
天宮1号は宇宙実験室のひな形及びドッキング試験宇宙船で、ドッキング技術の習得が目的として上げられた。無人の神舟8号の自動ドッキング、ならびに有人の神舟9号と神舟10号による手動・自動ドッキングが行われ、いずれも成功した。
実験装置室と物資保管室を持っており、宇宙飛行士が搭乗している神舟9号・10号では、実際に宇宙飛行士が「天宮」へと移動し、研究実験も行われた[7]。ただし、宇宙飛行士が滞在できる期間はそれほど長くはなく、重量は8.5トンという、宇宙ステーションとしては小型の試験機であった。
2016年3月16日からは制御不能状態にあり[8]、2018年4月2日に南太平洋に落下した[9]。
天宮2号
2016年9月15日に打ち上げに成功[10]。当初、天宮2号は1号の予備機として作られていた同型機を打ち上げる計画で、長征2Fロケットで2014年に打上げが予定されていた。後に、長征5号ロケットで2016年に打ち上げられることになり、1号より一回り大きい、後述の天宮3号に相当する[11] 22トン級の試験機を打ち上げる計画となった。しかし、最終的に打ち上げには長征2号FT2が使われることになり、2号自体も1号をベースに改良製造された8.6トン級宇宙ステーション試験機となっている。
ドッキング標的機だった天宮1号に対し、こちらは「宇宙実験室」と位置付けられる。サイズこそあまり変わらないものの、天宮1号に比べて様々な実験が行えるように改良されており、輸送・補修用に10mクラスのロボットアームが新たに取り付けられている。滞在も最長1か月程度は可能とされている。2016年10月18日には神舟11号がドッキングし、有人運用が始まった[12]。同年11月16日に神舟11号が切り離され、有人運用を終了した。以降の有人運用の予定は無い[13]。
また、約6トンの物資と約2トンの燃料の補給能力も持つ無人補給船「天舟」(Tianzhou)が2017年4月20日に打上げられ、2日後の22日にドッキング試験が無人で行われた[14]。この補給船「天舟1号」は天宮1号をベースに開発された準同型機である。
天宮3号
2016年以降に、新型ロケットで拡大型宇宙ステーション試験機を打ち上げる計画。一時、そのコンセプトは天宮2号に繰り上げて実現される見通しになったが、天宮2号の打ち上げには、信頼性を高めた従来の長征2号FT2が使われ、拡大型の採用は以降の機体に先送りされることになった。
天宮(Tiangong:TG)
2022年までに打ち上げ予定の宇宙ステーション。試験機ではなく、旧ソ連のミールに匹敵するサイズの完成した宇宙ステーションと位置づけられている。コアモジュール「天和」(Tianhe:TH)、2つの実験モジュール「問天」(Wentian:WT)と「巡天」(Xuntian:XT)、無人補給船「天舟」(Tianzhou:TZ)といった構成要素が公表されている。打ち上げには長征5号が用いられる予定。[15]
脚注・出典
- ^ ab“中国、独自宇宙ステーションの科学利用を国際開放へ”. sorae.jp (2018年5月31日). 2018年6月2日閲覧。
^ “中国、宇宙ステーション「天宮二号」を2016年に打ち上げ 神舟十一号と天舟一号も”. sorae.jp (2014年9月11日). 2018年6月2日閲覧。
^ 「天宮1号」、打ち上げ計画を調整 China Radio International.CRI 2011年9月1日
^ 中国、ドッキング実験延期 衛星の軌道投入失敗で 産経ニュース 2011年9月2日
^ “「天宮一号」打ち上げ 宇宙基地建設へ一歩”. 産経新聞. (2011年9月29日). オリジナルの2011年9月29日時点によるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20110929134552/http://sankei.jp.msn.com/world/news/110929/chn11092919240004-n1.htm 2011年9月29日閲覧。
^ “「天宮1号」を打ち上げ=宇宙基地建設へ実験-中国”. 時事通信. (2011年9月29日). http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2011092900529 2011年9月29日閲覧。 [リンク切れ]
^ 平松茂雄 (2010年). 日本核武装入門. 飛鳥新社. ISBN 978-4870319868.
^ “中国実験モジュール「天宮1号」、3月末〜4月中旬頃に落下予測 被害の可能性は極小”. sorae.jp (2018年3月8日). 2018年3月9日閲覧。
^ “中国モジュール「天宮1号」南太平洋上空で突入 大部分が燃え尽きる”. sorae.jp (2018年4月2日). 2018年4月9日閲覧。
^ “中国、宇宙実験室「天宮2号」打ち上げ 独自ステーションに前進”. AFPBB News (フランス通信社). (2016年9月16日). http://www.afpbb.com/articles/-/3101108 2016年9月16日閲覧。
^ “中国、2016年に宇宙ステーション「天宮二号」と補給船「天舟一号」を打ち上げ”. sorae.jp (2015年3月12日). 2018年6月2日閲覧。
^ 塚本直樹 (2016年10月19日). “中国人の有人宇宙船、宇宙実験室「天宮二号」にドッキング成功 30日の滞在ミッションへ”. sorae.jp. http://sorae.info/030201/2016_10_19_china.html 2018年6月2日閲覧。
^ 塚本直樹 (2016年11月19日). “中国人飛行士、宇宙実験室「天宮二号」より無事帰還 約1ヶ月の滞在ミッションに成功”. sorae.jp. http://sorae.info/030201/2016_11_19_china.html 2018年6月2日閲覧。
^ “無人補給船「天舟一号」ドッキング成功! 中国宇宙実験室「天宮二号」と”. sorae.jp (2017年4月24日). 2018年6月2日閲覧。
^ “中国、有人宇宙計画のロゴと宇宙ステーションの名前を発表”. sorae.jp (2013年11月2日). 2018年6月2日閲覧。
関連項目
- 宇宙ステーション
- 神舟
- 中国の宇宙開発
|
|