とろろ
とろろとは、生のヤマノイモまたはナガイモをすり下ろしたもの。麦とろご飯などとして食べる。汁物は「とろろ汁」[1]、吸物は「とろろ吸物」[2]と呼ぶ。類似の料理に「山かけ」があり、これは刺身や蕎麦、うどん、豆腐などにとろろをかけたもの[1][3]。とろろにはビタミンB1、ビタミンC、カルシウム、カリウムなどのビタミンやミネラルが豊富に含まれる[4]。
とろろにして食べる芋をとろろ芋(薯蕷藷、薯蕷芋)と呼ぶ[1]。ヤマノイモとナガイモは全くの別種であるがともにヤマノイモ属であり、区別せず広義でヤマノイモ(山芋)と呼ぶこともある。
目次
1 粘り
2 生食
3 痒み
4 出典
5 関連項目
粘り
とろろ芋はすり下ろすと特有の粘りを示すが、これはとろろ芋中の粘質物が磨砕によって細胞外へ溶出し、水和することによって発現すると言われる。とろろ芋の粘質物については、マンナンとタンパク質からなると提唱されているが[5][6][7]、その粘質物の構造や性状は十分に解明されていない。[8]
生食
生で食べられる芋(デンプン性食品)は多くないが、とろろ芋に含まれる消化酵素であるアミラーゼの作用でデンプンの一部が分解され、とろろは生で食べても胃にもたれないとされる[9]。しかし、生食できる理由をデンプンの消化性に求めることは誤りだとする研究もある[10]。
とろろを加熱調理すると、とろみのある食感がふわふわモチモチになり、風味が上がる。その柔らかな食感によりグラタンや落とし揚げ、また軽さが出るためお好み焼きのつなぎとしても用いられる。[11]
痒み
とろろ芋に含まれるシュウ酸カルシウムは長さ100μmほどの針状の結晶で、これが痒みを起こす原因になっている[12]。
出典
- ^ abc広辞苑第5版
^ 『四季日本の料理 秋』講談社 ISBN 4-06-267453-X
^ 『旬の食材 秋・冬の野菜』講談社 ISBN 4-06-270136-7
^ 文部科学省 「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」
^ 佐藤利夫; 水口純; 鈴木周一; 戸倉正利 (1967). “イチョウイモ粘質物の精製および性質”. 日本化学会誌 (日本化学会) 88 (2): 106.
^ 佐藤利夫 (1967). “イチョウイモ粘質物の組成と構造(とくにマンナンの性状)”. 日本化学会誌 (日本化学会) 88 (9): 84.
^ 佐藤利夫 (1967). “イチョウイモ粘質物に対する各種酵素の作用”. 日本化学会誌 (日本化学会) 88 (9): 91.
^ 津久井学 (2003-07). “ヤマイモ粘質物の性状と構造の解析” (pdf). 日本食品保蔵科学会誌 (日本食品保蔵科学会) 29 (4): 229-236. ISSN 13441213. http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/2010680217.pdf.
^ 根本芳郎 (2008), 日本食品大事典, 医歯薬出版株式会社, p. 51, ISBN 9784263705544
^ 団野源一 (2009-03). “ヤマノイモを生で食することができる理由は生でんぷんの消化性によるものではない” (pdf). 大阪青山大学紀要 (大阪青山大学) 2: 29-31. https://osaka-aoyama.repo.nii.ac.jp/index.php?action=pages_view_main&active_action=repository_action_common_download&item_id=21&item_no=1&attribute_id=22&file_no=1&page_id=13&block_id=17.
^ “山芋と長芋、栄養や違いを知っておいしく食す”. カゴメ. 2018年5月29日閲覧。
^ “ヤマイモはなぜかゆいの?”. 朝日新聞社. 2018年5月29日閲覧。
関連項目
- とろろ昆布