第14代総選挙 (大韓民国)
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第14代総選 | |
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国会議事堂庁舎(ソウル特別市汝矣島) | |
各種表記 | |
ハングル: | 제14대 총선 |
漢字: | 第十四代總選 |
発音: | ジェ シプサデ チョンソン |
日本語読み: | だい14だい そうせんきょ |
第14代総選挙(だい14だいそうせんきょ)は大韓民国国会の議員を選出するために1992年3月24日に施行された韓国の選挙である。1948年5月の初代総選挙から数えて14回目、第六共和国時代においては2回目となる。なお韓国では選挙回数を「第○回」ではなく「第○代」と数える。また名称も「総選挙」(총선거)ではなく「総選」(총선)と表記するのが一般的である。
目次
1 概要
2 基礎データ
3 選挙結果
3.1 民自党大敗、民主・国民躍進
3.2 地域感情と選挙結果
3.3 女性当選者
4 脚注
5 参考文献
6 関連項目
概要
国会議員の4年任期満了に伴い実施された選挙で、この年の12月に行われる予定の大統領選挙の動向を占うものとして、注目された。選挙の結果民主自由党(1990年1月22日、當時の与党・民主正義党(総裁:盧泰愚)と野党・統一民主党(総裁:金泳三)と新民主共和党(総裁:金鍾泌)が合同して発足した政党。以下、民自党)が選挙前の議席を大幅に下回る敗北。最大野党である民主党と選挙直前に現代財閥創業者で名誉会長の鄭周永が結成した統一国民党(以下、国民党)が躍進する結果となった。
基礎データ
前年12月に改正された国会議員選挙法に基づいて実施された。改正国会議員選挙法の特徴は、①地域区定数の増員、②全国区における地域区第1党へのボーナス議席の廃止、などである。そのため地域区の選挙結果がそのまま全国区の選挙結果に反映されるようになった。
大統領:盧泰愚(民主自由党)
投票日:1992年3月24日
改選数:299議席
- 地域区(小選挙区制):237議席(前回選挙より13議席増)
- 全国区(比例代表制):62議席(前回選挙より13議席減)[1]。
議員任期:4年
選挙制度:小選挙区比例代表並立制。有権者は地域区の候補者のみ投票する一票制。全国区は地域区で獲得した議席数に応じて各政党に比例配分[2]。重複立候補制度は無し
選挙人数:29,003,828名
立候補者数(地域区):1,052名
主要政党立候補者数
党派
候補者数
民主自由党
239
民主党
223
統一国民党
188
無所属
226
- 出所:中央選挙管理委員会歴代選挙情報システム
選挙結果
投票率:71.9%
- 総投票者数:20,843,482名
- 有効票数:20,583,812票
選挙人数と総投票者数は韓国中央選挙管理委員会の「歴代選挙情報システム」より引用
政党名 | 当選者数 | 得票数 | % | |||
---|---|---|---|---|---|---|
地域区 | 全国区 | 合計 | % | |||
民主自由党 민주자유당 | 116 | 33 | 149 | 49.8 | 7,923,718 | 38.5 |
民主党 민주당 | 75 | 22 | 97 | 32.4 | 6,004,578 | 29.2 |
統一国民党 통일국민당 | 24 | 7 | 31 | 10.4 | 3,574,419 | 17.4 |
新政治改革党 신정치개혁당 | 1 | 0 | 1 | 0.3 | 369,004 | 1.8 |
その他の政党 | 0 | 0 | 0 | 0 | 340,048 | 1.6 |
無所属 무소속 | 21 | ― | 21 | 7.0 | 2,372,005 | 11.5 |
合計 | 237 | 62 | 299 | 100.0 | 20,583,812 | 100.0 |
- 出典:<표 5-11> 제14대 국회의원선거 정당별 당선자수 및 득표상황(表5-11 第14代国会議員選挙政党別當選者数及び得票状況)『大韓民國選擧史 第5輯』395頁。韓国中央選挙管理委員会歴代選挙情報システム。なお議席を獲得出来なかった政党(民衆党及び公明民主党)の得票については「その他の政党」として合算して掲載する。
民自党大敗、民主・国民躍進
選挙の結果、民自党は194から149へ議席数を大幅に減らし、公認だけでは過半数に達することが出来ずに敗北した[3]。一方、金大中と李基澤が共同代表制を採る統合野党・民主党や2月に韓国の大手財閥の現代グループ会長の鄭周永が結成した国民党は改選時より議席を大幅に増やして躍進した。1990年7月に創党された革新系の民衆党も地域区で51名の候補を擁立したが、候補者を擁立した地域区平均で6.5%の得票に留まり当選者を出すことは出来なかった(地域区全体の得票率1.5%)。民自党大敗の要因として、党内の内紛や不動産価格暴騰・物価高・経済の落ち込みなどの経済難、1992年の上半期に予定されていた地方自治団体長選挙が延期されるなど公約が履行されていないという不満、などが指摘される。
地域 | 選挙区 | 党派 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
民自 | 民主 | 国民 | 新政 | 無所 | |||
合計 | 237 | 116 | 75 | 24 | 1 | 22 | |
首都圏 | ソウル特別市 | 44 | 16 | 25 | 2 | 1 | 0 |
仁川直轄市 | 7 | 5 | 1 | 0 | 0 | 1 | |
京畿道 | 31 | 18 | 8 | 5 | 0 | 0 | |
江原道 | 14 | 8 | 0 | 4 | 0 | 2 | |
忠清道 | 大田直轄市 | 5 | 1 | 2 | 0 | 0 | 2 |
忠清北道 | 9 | 6 | 1 | 2 | 0 | 0 | |
忠清南道 | 14 | 7 | 1 | 4 | 0 | 2 | |
湖南(全羅道) | 光州直轄市 | 6 | 0 | 6 | 0 | 0 | 0 |
全羅北道 | 14 | 2 | 12 | 0 | 0 | 0 | |
全羅南道 | 19 | 0 | 19 | 0 | 0 | 0 | |
嶺南(慶尚道) | 釜山直轄市 | 16 | 15 | 0 | 0 | 0 | 1 |
大邱直轄市 | 11 | 8 | 0 | 2 | 0 | 1 | |
慶尚北道 | 21 | 14 | 0 | 2 | 0 | 5 | |
慶尚南道 | 23 | 16 | 0 | 3 | 0 | 4 | |
済州道 | 3 | 0 | 0 | 0 | 0 | 3 |
- 出典:慎斗範『韓国政治の現在』有斐閣、128-9頁“「表5 地域別に見た選挙結果」”。
- 太字の数字は当該地域で議席数が第一党になったことを示す
地域 | 民自 | 民主 | 国民 | |
---|---|---|---|---|
全体 | 38.5 | 29.2 | 17.4 | |
首都圏 | ソウル特別市 | 34.8 | 37.2 | 19.1 |
仁川広域市 | 34.3 | 30.7 | 20.4 | |
京畿道 | 37.1 | 31.8 | 19.6 | |
忠清道 | 大田広域市 | 27.6 | 25.5 | 21.3 |
忠淸北道 | 44.6 | 23.8 | 21.5 | |
忠清南道 | 43.4 | 20.1 | 16.0 | |
湖南(全羅道) | 光州広域市 | 9.1 | 76.4 | 3.9 |
全羅北道 | 31.8 | 55.0 | 4.8 | |
全羅南道 | 25.2 | 61.6 | 5.0 | |
江原道 | 38.8 | 11.7 | 31.9 | |
嶺南(慶尚道) | 大邱広域市 | 46.9 | 11.8 | 28.6 |
釜山広域市 | 51.8 | 19.4 | 10.2 | |
慶尚北道 | 49.0 | 6.8 | 17.7 | |
慶尚南道 | 45.6 | 8.7 | 20.4 | |
済州道 | 34.1 | 19.9 | 0.0 |
- 出典:大西裕「韓国の場合-地域主義のゆくえ」、表5「民主化以降の国会議員選挙政党別得票率」(198~199頁)、梅津寛ほか編著『新版 比較・選挙政治-21世紀初頭における先進6カ国の選挙』ミネルヴァ書房。尚本表作成にあたり、地域別に区分けし、得票率が多い順に並び替えをした。
地域感情と選挙結果
地域別で見た場合、民自党はソウル特別市と大田直轄市及び全羅道(全羅北道、南道、光州)を除く地域で民主党や国民党を抑え第一党になった。一方、金大中が率いる民主党は、支持基盤の全羅道と、全選挙区44選挙区中25選挙区で勝利したソウル市で第一党になったが、東側地域の江原道と慶尚道(慶尚北道、南道、大邱、釜山)では議席を獲得できず、金泳三と袂をわかって釜山から民主党の公薦で立候補した盧武鉉も落選した。選挙の結果、民自党は釜山で、民主党は光州と全羅南道で議席をほぼ独占するなど依然として、三金を中心とした地域主義に基づく、政治構造が強く現れた結果となった。
女性当選者
- 3人(全国区3人)[4][5]
党派 | 全国区 |
---|---|
民主自由党 | 2 |
民主党 | 1 |
合計 | 3 |
女性候補者は、地域区で19名(前回13名)、全国区で16名が立候補したが、当選者は全国区の3名に留まり、地域区候補者は全て落選した(『大韓民國選擧史 第5輯』342~43頁、399頁より)。
脚注
^ 西平重喜『各国の選挙-変遷と現状』、木鐸社、517頁より
^ 同上
^ その後、無所属當選者を入党させて、国会開会時には156名(1992年6月13日現在)と過半数を確保することが出来た。
^ 数字は〔慎斗範著『韓国政治の現在 民主化へのダイナミクス』(有斐閣)129頁の表5-②「年齢別・性別当選者数」〕から引用。党派別の内訳は、1993年度版『東亜年鑑』東亜日報、147頁の“女性の政治参与低調”(第1編・第3部「社会(女性)」)を参照。
^ なお、総選挙後の補欠選挙や全国区の繰り上げ当選で最終的な女性議員数は全国区7名(民自党(新韓国党)4+民主党2+統一国民党1)と地域区1名(新民党1名)の計8名となった。「大韓民国憲政会ホームページ」の憲政会会員名簿より
参考文献
- 韓国中央選挙管理委員会歴代選挙情報システム
- (韓国)中央選擧管理委員會編『大韓民國選擧史 第5輯』(中央選擧管理委員會)
- 西平重喜『各国の選挙-変遷と現状』木鐸社
- 慎斗範『韓国政治の現在』有斐閣
- 韓国史事典編纂委員会 金容権編著『朝鮮韓国近現代史事典』日本評論社
- 青柳純一『韓国現代史』社会評論社
- 「大韓民国憲政会ホームページ」
関連項目
- 韓国の政党一覧
- 大韓民国の政党
- 韓国の選挙
- 第六共和国 (大韓民国)
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