クレオパトラ (1963年の映画)
クレオパトラ | |
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Cleopatra | |
監督 | ジョーゼフ・L・マンキーウィッツ |
脚本 | ジョーゼフ・L・マンキーウィッツ シドニー・バックマン ラナルド・マクドゥガル |
製作 | ウォルター・ウェンジャー |
出演者 | エリザベス・テイラー レックス・ハリソン リチャード・バートン |
音楽 | アレックス・ノース |
撮影 | レオン・シャムロイ |
編集 | ドロシー・スペンサー |
配給 | 20世紀フォックス |
公開 | 1963年6月12日 1963年11月26日 |
上映時間 | 244分 192分(劇場公開版) |
製作国 | アメリカ合衆国 |
言語 | 英語 |
製作費 | $4400万 |
興行収入 | $4800万 $6200万 |
配給収入 | 6億829万円[1] |
『クレオパトラ』(Cleopatra)は、1963年のアメリカ映画。歴史映画。
目次
1 概要
2 ストーリー
3 キャスト
4 各賞
5 エピソード
6 脚注
7 外部リンク
概要
ハリウッドの黄金時代を象徴する、豪華絢爛なスペクタクル史劇。
ハリウッドきっての知性派といわれたジョーゼフ・L・マンキーウィッツが監督と脚本を兼務。製作開始は1960年。撮影ははじめロンドンで、後にローマ近郊のチネチッタで撮影された。
製作にあたっては、100万ドルという破格の報酬で契約した主役のエリザベス・テイラーの度重なる病気、初期のロケ地選択の失敗によるセットの造り直しで撮影が遅れに遅れ、さらに当初監督だったルーベン・マムーリアンをはじめとして、重要な配役が変更になる(当初シーザー役はピーター・フィンチ、アントニー役はスティーヴン・ボイドで撮影開始)という不手際にも見舞われ、その度にシーンの撮り直しを強いられた。また共演のテイラーとリチャード・バートンの不倫も取りざたされ大スキャンダルとなった。
最終的には製作費は4400万ドル(現貨換算で3億ドル以上)という空前の巨額にまで膨れ上がり、製作会社の20世紀フォックスの経営を危機的状況にまで陥れた。経営危機に際して会社の実権を握ったダリル・F・ザナックは、『シーザーとクレオパトラ』と『アントニーとクレオパトラ』の前編後編2本立てで計6時間という当初構想が、作品としては長過ぎて興行の妨げになること、また当時一大スキャンダルとなっていたテイラーとバートンの登場する『アントニーとクレオパトラ』の部分が後出しになることは時機を逸するという考えから、マンキーウィッツに映画を1本にまとめるよう指示した。これにより映画は1本立て5時間20分となったがザナックは満足せず、さらなる大々的なカットが行われた。
映画は製作開始から4年を経た1963年6月にようやくプレミア上映にこぎつけた。この際の上映時間は4時間5分だったが、一般公開版はさらに3時間14分に短縮された。そのため場面の繋がりが不明瞭な箇所や重要人物の死を描いた箇所が丸ごと欠落するなどといった、編集上の問題にも見舞われることになった。
『クレオパトラ』は同年の北米興行収益でトップを記録する4800万ドルのヒットとなったものの、20世紀フォックスの取り分は製作費4400万ドルの半分強2600万ドルに過ぎず、事業的には社運を傾けるほどの大失敗作となった。マスコミや映画批評家らにはゴシップ先行の作品とそっぽを向かれる結果となり「映画史上空前の失敗作」などと皮肉られさえもした。20世紀フォックスは2年後に公開された『サウンド・オブ・ミュージック』が当初の予想を遥かに上回る歴史的大ヒットとなったため奇跡的にこの財務危機を乗り切っている。
ビデオの普及によりクラシック作品に再度価値が見出された現在では、プレミア上映時の4時間5分のフィルムが発掘されており、DVDなどで鑑賞することができる。また当初の前後編2本立て6時間の構想の実現のため、失われた素材の捜索なども試みられている。製作公開時に悪評が定着したこともあって、今もって評価の分かれる作品であるが、豪奢な衣装やセット、銀幕を代表するスターに二十数万人のエキストラ、格調高い音楽や台詞回しなど、ハリウッドの黄金時代をしのぶにふさわしい超大作であることは間違いない。
ストーリー
紀元前48年、ローマ帝国の執政シーザーはポンペイウスを追ってエジプトのアレクサンドリアに入城するが、そこで女王クレオパトラに出会い、彼女の知性と美貌の虜になってしまう。
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キャスト
役名 | 俳優 | 日本テレビ版 | TBS版 |
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クレオパトラ | エリザベス・テイラー | 小川眞由美 | 新橋耐子 |
マーク・アントニー | リチャード・バートン | 石田太郎 | 江守徹 |
ジュリアス・シーザー | レックス・ハリソン | 内田稔 | 北村和夫 |
ルフィオ | マーティン・ランドー | 仁内建之 | |
オクタヴィアン(アウグストゥス) | ロディ・マクドウォール | 富川澈夫 | |
ブルータス | ケネス・ヘイグ | 木原正二郎 | |
巫女 | パメラ・ブラウン | ||
クレオパトラの侍女 | フランチェスカ・アニス | ||
ソシゲネス | ヒューム・クローニン | 大久保正信 | |
フラウィウス | ジョージ・コール | ||
アポロドーロス | チェザーレ・ダノーヴァ | 樋浦勉 | |
アグリッパ | アンドリュー・キア | 筈見純 | |
ラモス | マーティン・ベンソン | 平林尚三 | |
ポティナス | グレゴワール・アスラン | ||
ゲルマニクス | ロバート・ステファンズ | 青野武 | |
シセロ | マイケル・ホーダーン | 藤本譲 | |
カシウス | ジョン・ホイト | 寺島幹夫 | |
プトレマイオス13世 | リチャード・オサリヴァン | 土師孝也 |
日本テレビ版初放映日:1975年11月26日(前編)、12月3日(後編)『水曜ロードショー』※DVD/BD収録
TBS版初放映日:1972年10月1日、10月8日
各賞
1963年度ゴールデングローブ賞で4部門、同年度アカデミー賞で9部門にノミネートされているが、受賞はアカデミー賞の技術関連4部門にとどまった。
- ゴールデングローブ賞
- ドラマ部門 作品賞
ドラマ映画部門 主演男優賞(レックス・ハリソン)
ドラマ映画部門 助演男優賞(リチャード・バートン)- ドラマ映画部門 監督賞
- アカデミー賞
- 作品賞
主演男優賞(レックス・ハリソン)- 編集賞
- 音響効果賞
- 作曲賞
撮影賞 - 受賞
美術賞 - 受賞
衣裳デザイン賞 - 受賞
視覚効果賞 - 受賞
エピソード
- クレオパトラ役の選定に際し、国内の映画館主にエリザベス・テイラーかオードリー・ヘプバーンのどちらがふさわしいか、という調査が行なわれた。結果はテイラーの圧勝だった。ただし当初監督として起用されたマムーリアンは黒人女優のドロシー・ダンドリッジをクレオパトラ役に強く推していたといわれる。
- エリザベス・テイラーの出演料100万ドルは当時史上最高額として話題になったが、のちにテイラーはなぜ本作への出演を引き受けたのかという問いに対して、「だって100万ドルなんていう馬鹿げた出演料を提示してくるんですもの、それを蹴るような馬鹿げたことをする私ではないわ」と言い放っている。しかも撮影の遅延やテイラーの病気療養などに支払われた保険金、撮影に使用された70mmトッド-AO方式からの権利金の一部(同社を設立したのは飛行機事故で死亡したテイラーの前夫マイケル・トッド)、再使用料など諸々の収入がこれに加算され、テイラーは本作で合計で700万ドル(現貨換算で約4700万ドル)近い巨額を稼いでいる。
- そのテイラーはロンドンでの撮影が始まって間もなくジフテリアを発症、呼吸困難となり気管切開によってかろうじて気道確保するという深刻な状況にまで陥った。作品中クレオパトラが仰々しい首飾りをつけているシーンが多いのはその生々しい切開傷を隠すためのもので、後半のいくつかのシーンでは実際にその傷跡を見て取ることができる。
- 監督のマンキーウィッツは、本作を自身の代表作とするべくシナリオの製作に没頭し、書き上がった順から撮影を行った。これは撮影効率の点からは大きなマイナスであり、未使用のセットや小道具、待機したままの役者を多く生み出すなど膨大な予算超過の一因になった。それだけに撮影後に様々な横槍の入った公開版に対する失望は大きく、後にこの映画について「完全に歪められたもの。私が意図したもののパロディになってしまった」と語っている。
- 本作の失敗で、同社はビバリーヒルズの広大な撮影所の土地を売却することを余儀なくされている。
- オクタヴィアン役のロディ・マクドウォールはアカデミー賞助演男優賞の有力候補と目されたが、20世紀フォックスの事務的なミスが原因でノミネートを逃している。
- 本作は作品中(オープニングタイトル、エンドロール等)に著作権表記が無かったため、公開当時の米国の法律(方式主義)により権利放棄と見なされ、パブリックドメインとなった。このため、ウィキペディアコモンズには高解像度のスクリーンショットの多くが、ウィキクオートには台詞の抜粋が収録されている。
脚注
^ 『キネマ旬報ベスト・テン85回全史 1924-2011』(キネマ旬報社、2012年)211頁
外部リンク
- Box Office Mojo
クレオパトラ - allcinema
クレオパトラ - KINENOTE
Cleopatra - オールムービー(英語)
Cleopatra - インターネット・ムービー・データベース(英語)
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