上田電鉄1000系電車
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上田電鉄1000系電車(うえだでんてつ1000けいでんしゃ)は、上田電鉄別所線で使用されている通勤形電車である。
本稿では、中間車からの改造車である6000系電車についても記述する。
目次
1 概要
1.1 外観
1.2 車内
1.3 主要機器
2 車歴
3 関連項目
4 脚注
4.1 注釈
4.2 出典
5 外部リンク
概要
従来車(7200系)を置き換えるため、東京急行電鉄より1000系を譲り受けたものである。2008年(平成20年)3月3日にデハ1001-クハ1101(元東急1015F)が、同月10日にはデハ1002-クハ1102(同1018F)がそれぞれ東急長津田車両工場から中塩田駅まで陸送され[注 1]、その後下之郷の車両基地へ回送されて整備を行ったうえで、同年8月1日より営業運転を開始した。その後2008年(平成20年)12月にデハ1003-クハ1103(同1014F)が、2009年(平成21年)1月にデハ1004-クハ1104(同1016F)が、2015年(平成27年)3月には中間車からの改造車である6000系デハ6001-クハ6101(同1005F)がそれぞれ増備され、本系列は2015年(平成27年)4月現在1000系が4編成8両、6000系が1編成2両在籍する。
なお、譲渡に際しては以下の改造が東急テクノシステム長津田工場にて施工された。
- デハ1000形の運転台寄りにパンタグラフを増設、2基搭載・既設パンタのシングルアーム化
- 客用扉外側に取っ手を追加
- 連結面に転落防止幌を設置
行先表示幕を上田電鉄仕様のものを追加で設置。[注 2]
- 車内暖房の強化
- 運転室への地方型ワンマン運転対応設備の追加
- 運転室背面に液晶ディスプレイ式案内表示器(運賃表示器併用)・運賃箱・整理券発行機を新設
- 種別表示幕に「ワンマン」表示を追加
- クハ1100形に車椅子スペースを新設
優先席付近のつり革をオレンジ色から白色に復元
ATS関連機器の交換
本系列はVVVFインバータ制御、シングルアーム型パンタグラフ、ボルスタレス台車、英字表記併記の電動行先表示幕、車内液晶ディスプレイ、バリアフリー設備など、上田電鉄では初採用となる数々の近代的な設備を備えている。6000系は東横線から転属したため強化ブレーキ搭載。
外観
車体はビード補強付き軽量ステンレス製である。踏切障害物対策として前面には補助排障器(スカート)、バリアフリー対策として連結面に転落防止幌、側面に乗降促進放送が流れる車外スピーカーを装備している。帯色は7200系とは異なり、東急時代の赤帯のままとされ、上田電鉄においても「赤帯」車と通称されている。
その後、1002編成は2008年(平成20年)10月4日より原田泰治デザインのラッピング電車「自然と友だち1号」として運行を開始した[1]。「自然と友だち」をテーマとした同ラッピングは、18種類の昆虫や植動物をモチーフとしたロゴが入り、客用扉も環境をイメージした青、大地をイメージした黄、愛情をイメージした赤の3色に塗り分けられている[注 3]。
同年12月25日より運行を開始した1003編成は、導入に際して原田デザインのラッピング電車「自然と友だち2号」となった。1002編成とは前面のデザインが異なり、1002編成が白を基調としたものであるのに対し1003編成では黒を基調としたものとされている。
なお、2009年(平成21年)1月10日に運行を開始した1004編成は1001編成と同様に東急時代の外観のまま使用されていたが、2015年(平成27年)3月28日より廃車となった7253編成に代わり、「まるまどりーむ号Mimaki」として運行を開始した[2]。長野県東御市にある、業務用大判インクジェットプリンターメーカーのミマキエンジニアリングが特別協賛になり、側面窓下にMimakiのロゴが入っている[3]。
6000系6001編成は2015年(平成27年)3月28日に特別試運転列車による出発式を実施し、3月30日に運転を開始。地元の戦国武将真田幸村の赤備えをイメージした赤基調の塗装に真田家家紋の「六文銭」をあしらった特徴的な外観となっている。この外装フィルムもミマキエンジニアリングが制作した。
なお、中間車からの改造車のため前面の形状は1000系と大幅に異なり、一畑電車1000系に似たデザインとなっている。
2015年(平成27年)6月13日に一般公募により「さなだどりーむ号」という愛称が付けられた[4]。
2016年(平成28年)2月、NHK大河ドラマ『真田丸』放送に合わせ、1001編成に同番組をPRするラッピングを施した[5][6][7][8]。車内にも真田氏に関する年表などを掲示し、放送終了まで運行した。2017年(平成29年)1月、「真田丸」のラッピングは撤去され、赤帯に戻された。
1004編成「まるまどりーむ号Mimaki」(2018年10月)
大河ドラマ「真田丸」のラッピングを施された1001編成(2017年1月)
「うえだみどり大根大収穫祭」の広告ラッピングが施された1001編成(2018年9月)10月下旬まで運用。現在ラッピングは剥がされている。
1002編成「自然と友だち1号」(2019年1月)
1003編成「自然と友だち2号」(2018年12月)
車内
基本的には東急時代と不変であるが、前述のようにワンマン運転とバリアフリーに対応して整理券発行機・運賃箱・車椅子スペース・ドアチャイム・対話式非常通報装置・液晶ディスプレイ(小田原機器製・レシップ製)が装備されている。車椅子スペースの仕上げは東急3000系と同一の形態であり、窓下壁面に設置されている温風ヒーターも同系列と同じ形状である。また、優先席位置の見直しも行われた。
客用扉には、号車番号とドアの位置を知らせる点字ステッカーが貼付されている。ドアチャイムの音色は東急1000系のものではなく、秩父鉄道6000系と同じものが採用された。
その他、本系列の床面高さは7200系より低いことから[注 4]、駅ホームとの段差が縮小されてバリアフリーに寄与している。
車内に設置された運賃表示器と運賃箱
(2008年8月1日)
車内の様子
(2008年8月1日)
1003編成に搭載されたレシップ製の車内ディスプレイ
主要機器
走行機器は東急時代と不変であり、甲信越地方の第三セクターを除く私鉄におけるVVVFインバータ制御・ボルスタレス台車の初採用例となった[注 5]。なお当初は、回生制動は別所線の変電所が回生制動に対応していないため使用を停止しており、空気制動のみを常用していたが、現在は上り列車のみ回生ブレーキを使用している。また、MT比が東急在籍当時の2:1から1:1へ低下したため、起動加速度は2.6km/h/sと変化している[注 6]。
運転台の主幹制御器はT型ワンハンドル式で、前述の通り自動放送装置やドア開閉ボタンやミラーなどのワンマン運転対応設備が追加されている。前面貫通扉付近には、非常用はしごが装備されている。
車歴
- 1000系
車番 | 竣工年月 | 東急時代の旧番 | 製造年月 |
デハ1001-クハ1101 | 2008年(平成20年)8月 | デハ1315, クハ1015 | 1991年(平成3年)9月 |
デハ1002-クハ1102 | 2008年(平成20年)8月 | デハ1318, クハ1018 | 1991年(平成3年)10月 |
デハ1003-クハ1103 | 2008年(平成20年)12月 | デハ1314, クハ1014 | 1991年(平成3年)9月 |
デハ1004-クハ1104 | 2009年(平成21年)2月 | デハ1316, クハ1016 | 1991年(平成3年)10月 |
- 6000系
車番 | 竣工年月 | 東急時代の旧番 | 製造年月 |
デハ6001-クハ6101 | 2015年(平成27年)3月 | デハ1305, デハ1255 | 1989年(平成元年)11月 |
関連項目
他社の東急1000系譲受車
- 伊賀鉄道200系電車
- 一畑電車1000系電車
脚注
注釈
^ 各編成いずれも東急在籍当時は3両編成であったが、中間電動車(デハ1214 - 1216・1218)については譲渡されることなく解体処分された。
^ 側面行先表示幕にも英字表記が追加された点が東急時代と異なる。
^ 細部の変化としては前面の車両番号表記の書体が変更されている。
^ 本系列の方が45mm低い。
^ シングルアーム型パンタグラフについては、新規採用例としては本系列が最初であるが、従来車に換装搭載した例を含めると富士急行1000形が本系列に先んじて採用している。
^ 東急時代の起動加速度は3.5km/h/sであった。
出典
^ 上田電鉄公式サイト「ラッピング電車運行予定」
^ 上田電鉄公式サイト「新型車両6000系&1004編成丸窓ラッピング(Mimaki号)出発式について」
^ ミマキエンジニアリング公式サイト「別所線丸窓電車」
^ 上田電鉄公式サイト「上田電鉄6000系愛称決定について」
^ 信繁ラッピング、上田電鉄・別所線で出発式典信濃毎日新聞 2016年2月22日
^ 長野)「真田丸」ラッピング電車運行 上田電鉄別所線朝日新聞 2016年2月22日
^ 別所線ラッピング電車 運用予定表のお知らせ上田電鉄 お知らせ 2016年2月18日
^ 大河ドラマ「真田丸」ラッピング電車出発式典上田電鉄 お知らせ 2016年2月22日
外部リンク
- UKK上田交通研究所
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