地下放送








地下放送(ちかほうそう)とは、番組放送の送り手側の姿を隠した放送。公式に放送を表明することなくプロパガンダ宣伝放送を行い、放送の送り手側の主張が放送の受け手側では主流でないなどが特徴。
紛争地域などでは、亡命政府や叛乱政府、独立派や民主化グループ、政治結社などその国では社会的少数者の組織や集団からの放送であることも多く、現代ではインターネットを介して行い主張を展開する事例もある。



地下放送の例




  • 日本語


    • 自由日本放送:1230kHzと11900kHz、出力50kWで運用。日本共産党所感派に属する北京機関が北京に設置。運営者は徳田球一、野坂参三、伊藤律などレッドパージを受けた幹部。1952年5月1日(メーデー)放送開始。1955年末、「役目を終えましたので放送を終了します」のアナウンスで停波。


    • オウム真理教放送:オウム真理教がロシア連邦のウラジオストクから放送。1995年3月23日に放送終了。


    • しおかぜ:日本の民間団体「特定失踪者問題調査会」が運営する対北放送の一つ。電波法令上は、放送局による放送ではなく、広報業務用特別業務の局による同報通信[1]である。KDDI八俣送信所の国際放送用送信機により実施されているが、コールサインは「JSR」が指定されている。


    • ふるさとの風:日本政府の拉致問題対策本部が運営する対北放送の一つ。台湾国際放送褒忠送信所から送信。




  • 韓国語・朝鮮語


    • 希望のこだま放送:韓国中央情報部(KCIA)が朝鮮民主主義人民共和国統治地域に向けて放送。韓国放送公社(KBS)の関係者も情報部の関与を認めていた。


    • 救国の声放送:旧統一革命党の声放送。韓国の標準語を使用し、「ソウルからの放送」と名乗っていたが、実際は朝鮮労働党統一戦線部による放送で、送信所は黄海南道海州市にあったことが判明している。中波放送1053kHzは、1MW(1000kW)の大出力で、名古屋市内でも同一周波数で出力50kWの中部日本放送(CBC)に混信を起した。英語放送の時間も存在した。2003年7月停波。(同年8月、同様の送信施設を使用し朝鮮中央放送の送信を開始。)


    • 人民の声:「救国の声放送」に対抗。平壌からの送信、「朝鮮労働者同盟」なる反体制組織による運営を自称しているが、実際は韓国からの放送である。




  • 中国語


    • 毛沢東の死後、ソ連やベトナムから多数の電波が発せられた。鄧小平の路線は、資本主義の道を歩むものだと非難していた。


    • 中国之音:台湾の「中国21世紀財団」が大陸(中華人民共和国)に対抗して放送。




  • 英語


    • 民主ビルマの声:ノルウェーのオスロより送信。運営者はビルマ連邦国民連合政府と考えられる。


    • ラジオ・フリー・ヨーロッパ(自由ヨーロッパ放送):アメリカ合衆国が実質的に運営する東側諸国向け放送。現在はヨーロッパの共産圏消滅に伴い、ラジオ・フリー・イラク(自由イラク放送)、ラジオ・ファルダ(明日放送)、ラジオ・フリー・アフガニスタン(自由アフガニスタン放送)となってコソボや中東向けの放送を行っている。


    • ラジオ・リバティ(解放放送):同上。主としてロシア、チェチェン向け。


    • ラジオ・フリー・アジア(自由アジア放送):アメリカ合衆国連邦政府が実質的に運営するアジア向け放送。 


    • ラジオ・マルティ、テレビ・マルティ:アメリカ合衆国連邦政府が実質的に運営するキューバ向け放送。




  • カンボジア語

    • 民主カンボジアの声:中国に亡命した旧ポル・ポト政権が行っていたといわれている。



  • ロシア語

    • 平和と進歩放送:ソビエト社会主義共和国連邦が存在したころ、ソビエト共産党やソ連国政について全世界向けに行っていた宣伝番組で、ロシアの声(当時はモスクワ放送)の電波を使ってロシア語のほか、英語、中国語など数ヶ国語で放送がなされていた。




脚注




  1. ^ 電波法施行規則第2条第1項第20号 「同報通信方式」とは、特定の二以上の受信設備に対し、同時に同一内容の通報の送信のみを行なう通信方式をいう。(送り仮名は原文ママ)



関連項目



  • 海賊放送

  • 地下銀行

  • 怪文書

  • 情報操作

  • 情報機関

  • 東西冷戦




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