企業形態 | LLC |
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業種 | インターネット ソフトウェア ハードウェア |
設立 | 1998年9月4日 (1998-09-04) |
創業者 | ラリー・ペイジ セルゲイ・ブリン |
本社 | アメリカ合衆国 カリフォルニア州 アンフィシアター パークウェイ 1600番 |
座標 | 北緯37度25分20秒 西経122度5分4秒 |
事業地域 | 全世界 |
主要人物 | サンダー・ピチャイ(CEO) ルース・ポラット(CFO) |
所有者 | Alphabet |
子会社 | YouTube |
スローガン | Don’t be evil |
ウェブサイト | Google.com |
Google LLC(グーグル)は、インターネット関連のサービスと製品に特化したアメリカの多国籍テクノロジー企業である。検索エンジン、オンライン広告、クラウドコンピューティング、ソフトウェア、ハードウェア関連の事業がある。
目次
1 概要
2 歴史
2.1 Googleの設立(1998年)
2.2 株式公開(2004年)
2.3 2010年代
3 事業
3.1 沿革
3.1.1 1990年代
3.1.2 2000年代
3.1.3 2010年代
3.2 社風
3.3 社外での活動
3.4 名前の由来
3.5 提供サービス
4 日本法人
4.1 日本市場における展開
4.2 人事
4.3 日本法人が関わった事業
5 騒動・問題点
5.1 プライバシー問題
5.1.1 日本における問題とその対応
5.1.2 米国における問題とその対応
5.1.3 英国における問題
5.2 アクセス制限
5.3 CNET出入り禁止事件
5.4 中国共産党による検閲とハッキングをめぐる動き
5.5 サジェスト機能に関する名誉毀損問題
5.6 キュレーションメディア台頭による検索の質の低下の問題
5.7 グーグルブック検索事件
5.8 独占禁止法違反容疑
5.9 「忘れられる権利」が行使された例
5.10 Googleマップ改竄
5.11 Javaの特許と著作権侵害訴訟
5.12 不適切な場所への広告の掲載
5.13 大規模接続障害
6 その他
6.1 テレビ放送
6.2 広告展開
6.3 派生語
6.3.1 英語
6.3.2 スウェーデン語
6.3.3 日本語
7 脚注
8 参考文献
9 関連項目
10 外部リンク
概要
スタンフォード大学の博士課程に在籍していたラリー・ペイジとセルゲイ・ブリンによって創業され、現在でも2人合わせて16%の株式を保有している。1998年9月4日に非公開の会社として設立され、2004年8月19日に最初の株式公開がされた。「世界中の情報を整理し、世界中の人々がアクセスできて使えるようにすること」を経営理念(ミッション・ステートメント)に掲げている[1]。非公式なスローガン(従業員行動基準)には「邪悪になるな (Don't be evil.)」がある[2]。2006年、本社をカリフォルニア州のマウンテンビューに移した。移転後の本社はGoogleplex(グーグルプレックス)という愛称で呼ばれている。
検索エンジン以外の分野に踏み出す一連の製品、M&A、パートナーシップを開始したときから急激な成長が始まったとされ、プロダクティビティ・ソフトであるEメール (Gmail)、オンライン・オフィススイート(Google ドキュメント)、ソーシャル・ネットワーキング・サービス (Google+)、デスクトップ製品であるウェブブラウザ、写真管理・編集ソフトウェア、インスタントメッセンジャーといったアプリケーションが含まれている。また、モバイルOSのAndroidと、 Chromebookとして知られているネットブック用のブラウザに特化したGoogle Chrome OS[3] の開発をリードしている。
ハードウェアの分野にも進出し、高性能なNexusを生産している電機製品メーカーとパートナーシップを結び、2012年5月にMotorola Mobilityを買収した[4]。2012年にはアメリカ合衆国ミズーリ州カンサスシティでGoogle Fiberと呼ばれるブロードバンドサービスを提供するために、光ファイバー網を敷設した[5]。
100万台以上のサーバを世界中のデータセンターで運用していると見積もられ[6]、1日に10億以上の検索クエリー[7] とユーザーが作成する24ペタバイトのデータ[8][9][10][11] を処理している。
2012年12月にAlexaはgoogle.comを世界で最もビジター数の多いサイトに選んだ。英語以外の言語の多数のサイトと、YouTubeやBloggerなどの保有している複数のウェブサイトがトップ100に選ばれた[12]。市場における支配力は、著作権、検閲、プライバシーといった問題に関するGoogleへの非難を引き起こした[13][14]。
歴史
1996年1月、スタンフォード大学の博士課程に在籍するラリー・ペイジとセルゲイ・ブリンによる研究プロジェクトとしてGoogleの歴史は始まった[15]。
当時の検索エンジンは、検索されたキーワードがそのウェブページに登場する回数によって各ページをランク付けし、検索結果として表示していた。ペイジとブリンは、ウェブサイト同士の関係を分析することで検索結果をランク付けする、改良された検索エンジンの理論を提唱した[16]。ペイジとブリンが理論化した新しい検索エンジンは、検索におけるウェブサイトの適合性を判断するにあたって、そのサイトへのリンクを貼っているウェブページの数と、それらのウェブページの重要度(品質)の2つを評価するものだった。2人はこの新技術を「PageRank(ページランク)」と名づけた[17][18]。
ペイジとブリンによる新しい検索エンジンは、ウェブサイトの重要度を被リンク(バックリンク)の数をチェックすることで評価したため、2人は当初この検索エンジンを「BackRub(バックラブ、背中へのマッサージの意)」というニックネームで呼んでいた[19][20][21]。ペイジらは最終的に、「googol(グーゴル)」という数の単位にちなみ検索エンジンを「Google」と名づけた[22][23]。1グーゴルは1の後に0が100個連なった値であり、それを名の由来としたのは彼らの検索エンジンが莫大な量の情報を提供するものであると示すことにあった[24]。当初のGoogleのドメインは google.stanford.edu[25] および z.stanford.edu[26] であり、スタンフォード大学のウェブサイト下で運営されていた。
Googleの設立(1998年)
1997年9月15日、Googleのためのドメイン名 google.com が登録された[27]。1998年9月4日、Googleは法人格を取得した。会社組織としてのGoogleの拠点は、カリフォルニア州メンローパークの、ペイジらの友人スーザン・ウォシッキーが所有するガレージに置かれた[15]。スタンフォード大学の博士課程で2人の同輩だったクレイグ・シルバースタインがGoogleの最初の従業員として雇われた[15][28][29]。
法人としての設立以前の1998年8月、Googleはサン・マイクロシステムズの共同創業者アンディ・ベクトルシャイムから10万ドルの出資を受けた[30]。1998年には、別の3人のエンジェル投資家(Amazon.com創業者ジェフ・ベゾス、スタンフォード大学計算機科学教授デビッド・チェリトン、起業家ラム・シュリラムの3人)もGoogleへの出資を行った[31]。1998年末から1999年初めにかけ、Googleはいくつかの少額の出資を受けた[31]。1999年3月、Googleは本社をカリフォルニア州パロアルトに移転した[32]。パロアルトには他にもいくつかの著名なシリコンバレーのスタートアップ企業が本拠を置いていた[33]。1999年6月7日、Googleが新たに2500万ドルの資金調達に成功したことが発表された[34]。主な出資者には、ベンチャーキャピタルのクライナー・パーキンス・コーフィールド・アンド・バイヤーズとセコイア・キャピタルが含まれていた[30]。
1999年の初め、ブリンとペイジはGoogleをExciteに売り渡すことを希望していた。2人はExciteの最高経営責任者(CEO)ジョージ・ベルを訪問し、Googleを100万ドルで買収するオファーを持ちかけたが、ベルはこのオファーを拒絶した。 Exciteのベンチャーキャピタリストの1人ビノッド・コースラは、Googleを75万ドルで売り渡すようペイジらを説得することに成功したが、それでもベルはGoogle買収を却下した[35]。
当初、ペイジとブリンは「広告収入に頼る検索エンジン」に反対する姿勢を示していたが、2000年にGoogleは検索されたキーワードと関係のある広告を表示するサービスを開始した[36][15]。整然としたページデザインを維持するため、表示されるのはテキストベースの広告のみとされた[37]。
検索キーワードに応じた広告を表示し、広告収入を得るというビジネスモデルを最初に開拓したのは、ビル・T・グロスが設立したGoTo.comだった[38][39]。GoTo.comの後身であるOverture Services社は、同社が保有するペイ・パー・クリック技術ならびに各キーワードごとに広告をオークション形式で販売する技法について、Googleが特許を侵害しているとして訴訟を起こした。その後、Overture Services社はYahoo! によって買収され、「Yahoo! Search Marketing」と改称された。2004年8月9日、両社は和解に至り、Yahoo!がGoogleに問題の特許を無期限でライセンスする見返りとして、GoogleはYahoo!に対して270万株のクラスA普通株を発行することに合意した[40]。
2001年、GoogleのPageRank技術についての特許申請が受理された[41]。PageRankについての特許は公式にスタンフォード大学に帰属するものとされ、ローレンス・ペイジ (ラリー・ペイジの本名)が発明者として記載された。会社の規模が成長し、従来の2つの拠点では不十分となったことで、Googleは2003年、カリフォルニア州マウンテンビューアンフィシアター・パークウェイ1600番に位置するシリコングラフィックス所有のオフィスビルをリースした[42]。このオフィスビルは「Googleplex(グーグルプレックス)」と呼ばれるようになったが、この名称はグーゴルプレックス(googolplex)という数の単位(1グーゴルプレックスは1の後に0が1グーゴル個連なった値)の言葉遊びだった。2006年、Googleはこの物件を3億1900万ドルでシリコングラフィックス社から買い取った[43]。
「Google」という言葉が日常的な語として浸透したことを受け、2006年に『メリアム=ウェブスター大学辞典』ならびに『オックスフォード英語辞典』は「Google」という動詞を収録した[44][45]。大衆文化における動詞「Google」の最初の使用例は、TVドラマシリーズ『バフィー ~恋する十字架~』 の2002年のエピソード内で見られた[46]。
株式公開(2004年)
2004年8月19日、Googleの株式公開(IPO)が行われた。IPOの直前、ラリー・ペイジとセルゲイ・ブリン、エリック・シュミットの3人は、2004年から2024年までの20年間、Googleでともに働くことで合意していた[47]。
GoogleのIPOでは、1960万5052株が1株あたりの価格85ドルで売り出された[48][49]。GoogleのIPOは、引受会社であるモルガン・スタンレーとクレディ・スイスが用意したシステムのもと、オンラインのオークション方式で実施された[50][51]。IPOによりGoogleは約16億7000万ドルの資金を調達し、その株式時価総額は230億ドル以上となった[52]。Googleのライバル企業であるYahoo!もまた、このIPOにより大きな利益を得た。Yahoo!はIPO以前にGoogleの株式を840万株保有していた[53]。
他方、IPOがGoogleの企業文化の変質につながるのではという懸念が存在した。懸念の根拠として、IPOによって従業員の福利厚生の削減を求める株主からのプレッシャーが生じること、多くの会社幹部がIPOと同時に(保有する株式上の)億万長者となることなど、種々の要因が指摘された[54]。こうした懸念への返答として、ブリンとペイジは潜在的な投資家に向けた報告書の中で、IPOがGoogleの企業文化を変えることはないと保証した[55]。
2005年の『ニューヨーク・タイムズ』の記事[56]ならびに他の媒体においては、Googleが、自社利益の優先に反対する「邪悪になるな(Don't be evil)」との企業理念を失っていることが示唆された[57][58][59]。ユニークな社内文化を維持するための努力として、 Googleは「チーフ・カルチャー・オフィサー」という役職を設けた。チーフ・カルチャー・オフィサーは人事部長を兼任し、その役割は企業文化の開発・維持すること、そしてGoogleの核となる価値観(協力的な環境をもつフラットな組織であること)に忠実であるための方法を編み出すこととされた[60]。2005年と2007年には、Googleが性差別・年齢差別を行ったとの申し立てが元従業員によってなされた[61][62]。
2005年、『ワシントン・ポスト』は、Googleの2005年度第3四半期の利益が対前年比で700%増加したことについて報道し、その主な要因として、大企業の広告戦略が新聞や雑誌、TVからインターネットにシフトしていることを指摘した[63]。
2006年以来、Googleは毎年9月27日を同社の創立記念日としている[64]。創立記念日には検索ページトップに専用の「Google Doodle」が表示されるのが通例となっている[65]。過去には9月27日以外の日付がGoogle創立記念日として扱われたケースもあり[66]、2006年以降9月27日が創立記念日と定められている理由はいまだに明らかになっていないが、2005年にライバルの検索エンジン「Yahoo! Search」との間で行われた論争がその由来として示唆されている[67][68]。
IPO後、Googleの株価は順調に上昇し、2007年10月31日には株価が初めて350ドルに達した[69]。株価上昇の主な背景は、インターネット広告市場における好調な売上高・利益だった[70]。Google株の高騰は大手機関投資家やミューチュアル・ファンドではなく、主として個人投資家によって支えられたものだった[70]。NASDAQでGoogleに与えられたティッカーシンボルは”GOOGL”および”GOOG”であった。(フランクフルト証券取引所でのティッカーシンボルは”GGQ1”)当初は1つのティッカーシンボル”GOOG”のもとで扱われていたGoogleの株式は、2014年にクラスC株式(無議決権株)である”GOOG”と、クラスA株式である”GOOGL”へと分割されていた[71]。2015年の第4四半期以来、”GOOGL”および”GOOG”のティッカーシンボルはGoogleの持株会社「Alphabet」を指している[72]。
2008年1月、1日にGoogleのソフトウェアコンポーネント「MapReduce」を通過する全データ量は合計で20ペタバイトだった[73][74][75]。2009年、CNNは「2009年に最も検索された政治的キーワード」についての記事の中で、人々が1日にGoogleで検索する回数は「10億回以上」であると述べた[76]。
2010年代
2011年5月、Googleの月間ユニークユーザー数が初めて10億人を越えた。2010年5月時点の数値(9億3100万人)からは8.4%増加していた[77]。2012年、Googleの年間収益が初めて500億ドルに達した。(2011年の年間収益は380億ドルだった。)
2013年1月、当時のCEOラリー・ペイジは次のように述べた。「我々は2012年を好調な四半期で終えることができた。 ... 収益は対前年比で36%増加した。前期比では8%の増加だ。さらに、2012年には初めて収益が500億ドルに達した。創業から15年しか経っていない企業としては、悪くない成果だ。」[78]
2013年、Googleを含む複数のシリコンバレー企業に対する集団訴訟(クラスアクション)が起こされ、Googleらは「ノー・コールド・コール協定」(お互いの従業員を電話勧誘で引き抜かないとする協定)によってハイテク人材の採用を制限していると申し立てられた[79]。
2013年9月19日、Googleは新会社「Calico」の設立を発表した。CalicoのCEOには、アップル (企業)の会長アーサー・D・レビンソンが就任した。公式声明の中でペイジは、「健康と幸福」がテーマの企業であるCalicoは、「老化とそれに関連する疾患についての研究」に注力していくと説明した[80]。2013年10月、Googleが参加する、公的・民間の組織による連合体「Alliance for Affordable Internet」(A4AI) の発足が発表された。ティム・バーナーズ=リーが主導するA4AIは、インターネット環境を安価に手に入るものにすることで、31%に過ぎない開発途上国におけるインターネット普及率を向上させることを目的としており、Google以外にもFacebook、インテル、マイクロソフトなどの企業が参加した。 A4AIにおけるGoogleの役割は、国際連合ブロードバンド委員会が設定した、各国の平均月収の5%以下というコストでのブロードバンドインターネット接続を実現するため、インターネット接続のコストダウンに貢献することとされた[81]。
2013年10月中旬の報道によれば、Googleの2013年第3四半期における連結収益は、前期比で12%増加して148億9000万ドルとなった[82]。連結収益のうち、108億ドルはGoogleのインターネット事業による収益であり、ユーザーの広告クリック数にも増加が見られた[83]。2014年1月時点で、Googleの時価総額は3970億ドルとなっていた[84]。
2015年8月10日、Googleは多様化した自社の事業を「Alphabet」と呼ばれるコングロマリットとして再編する計画を発表した。この再編により、Googleは新たに設立されるAlphabetの傘下となり、Alphabetの中心的子会社としてインターネット事業を継続することとなった。再編の完了にともない、GoogleのCEO職はラリー・ペイジからサンダー・ピチャイに引き継がれ、ペイジはAlphabetのCEOに就任した[85][86][87]。
インターブランドが発表した年間ベスト・グローバル・ブランド報告書によれば、 2013年・2014年・2015年・2016年度におけるGoogleのブランド価値はアップルに次いで世界第2位であり、2016年のGoogleブランドの評価額は約1330億ドルとされた[88][89][90][91]。
2016年10月の時点で、Googleは世界40カ国以上で70のオフィスを運営していた[92]。ウェブサイトの通信量(トラフィック)を調査しているアレクサ・インターネットは、2016年11月時点において、Google.comは世界で最も訪問者の多いウェブサイトであり[93]、YouTubeやBloggerといったGoogleの関連サービスも最も訪問者の多い100のウェブサイトに含まれるとしている[94][95]。
2017年9月1日、Googleが株式会社(Google Inc.)からLLC(Google LLC)に変更されること、そしてAlphabetの子会社として新たな持株会社「XXVI Holdings Inc.」が設立され、Google LCCを含むAlphabet傘下各社の株式を保有することが発表された[96]。
事業
CEOはスンダー・ピチャイ[97]。2015年に5万7,100人のフルタイム従業員を持ち[98]、「世界中の情報を整理し、世界中の人々がアクセスできて使えるようにすること」を使命と[99]考えている。
独自のプログラムが、世界中のウェブサイトを巡回して情報を集め、検索用の索引を作り続けている。Wiredによれば、2008年までに100万台のサーバーを持っていた形跡がある[100]。2015年3月の報告によれば、自社ウェブサイト上の広告を通じた収益が全収益の69%以上を占め、3カ月で119億ドル以上に上った[101]。
日本では、Yahoo! JAPANに次いでシェア2位であるが、Yahoo! JAPANはYahoo Search Technologyの開発終了に伴い、Googleの検索エンジンへ徐々に移行しているため、移行が完了すればGoogleの検索結果が日本国内の98%を占めることになる[102]。
沿革
1990年代
1996年(平成8年)1月 - 元々は研究プロジェクトとして始められた原型となる、バックリンクを分析する検索エンジン"BackRub"(バックラブ)が、スタンフォード大学で博士課程に在籍していたラリー・ペイジとセルゲイ・ブリンによって開発された。
1998年(平成10年)9月4日 - アンディ・ベクトルシャイムからの10万ドルの資金援助を受け、カリフォルニア州メンローパークにある友人のアパートで創業。その後短期間のうちに100万ドルの資本を集める。
1999年(平成11年)
- 3月 - パロアルトに移転した。
6月7日 - KPCB、セコイア・キャピタルから2,500万ドルの資金を調達したが、この時点では売上はほとんどなかった。- 6月 - マウンテンビューに移転した。
2000年代
2000年(平成12年)
6月26日 - Yahoo!のサーチエンジンに採用された。- 10月 - Overtureの課金型リスティング広告を参考にアドワーズを開始。
2001年(平成13年)
- 2月 - Usenetのnewsgroupのdejaを初買収し、Googleグループに統合する。
- 8月 - 日本法人のグーグル株式会社を設立した。
2003年(平成15年)
1月8日 - Appleと提携。Appleが開発したSafariに検索ツールバーを設け、標準の検索エンジンとなった[104]。- 2月 - Pyro Networksを買収し、Bloggerを獲得した。
- 10月 - gooと検索エンジンについて提携した。
2004年(平成16年)
2月18日 - Yahoo!のサーチエンジンの契約が終了した。
4月1日 - Gmailのサービスを開始した。- 7月 - 画像管理ソフトを開発しているPicasaを買収した。
8月19日 - NASDAQで株式公開した。ティッカーシンボルは"GOOG"であった。
10月27日 - 人工衛星や航空撮影の画像をデータベース化したソフトを販売しているKeyhole社を買収した。その後、Keyholeの技術を使ったGoogle マップ、Google Earthを公開した。
2005年(平成17年)
- 3月 - Urchinを買収した。その後、Google Analyticsを開始した。
5月11日 - SNSのdodgeball.comを買収した[105]。
2006年(平成18年)
- 3月 - UpstartleのWritelyの開発チームを買収した。
3月6日 - Upstartle社が開発する「Ajaxワープロ」のWritely開発チームを買収した[106]。- 5月 - auブランドを持つKDDI社と提携した[107]。
10月9日 - YouTube社を16億5000万ドル(約1,950億円)で買収すると発表した。また、YouTubeを買収した後もGoogleビデオ、YouTubeの名称を変えないことも発表した。→ウィキニュース
11月1日 - 企業向けウィキシステム、JotSpotを買収した[108]。
2007年(平成19年)
4月13日 - 広告会社のダブルクリック社を31億ドル(約2800億円)で買収した[109][110][111]。- 5月 - 画像共有サイトPanoramioを買収した[112]。
6月1日 - RSSサービスのFeedBurner社を買収した[113]。
10月9日 - モバイルサービス企業のJaikuを買収した[114]。
2008年(平成20年)1月24日 - NTTドコモと提携した[115]。
2009年(平成21年)
1月14日 - Googleは、Googleビデオ、Google Notebook、Google Catalog Search、Jaiku、Dodgeball、Mashup Editorのサービスを終了する事を発表した[116]。
8月5日 - VP8などの動画圧縮技術を保有するOn2 Technologiesを約1億650万ドルで買収した事を発表した[117][118]。
9月16日 - スパム対策などで知られるOCR技術を保有するreCAPTCHA社を買収した[119]。
11月9日 - iPhoneなどの動画広告配信で大きなシェアを広げるモバイル広告企業のAdMobを7億5千万ドルで買収した[120]。
11月12日 - 無料IP電話ソフトで知られるGizmo5社を買収した。買収総額は非公表である[121]。
11月23日 - ディスプレイ広告などで知られる、米Teracentを買収する事で合意した。買収総額などは2009年11月23日時点では非公表であり、買収完了は年内の見込み[122]。
12月4日 - 共同編集エディタEtherPadを開発しているAppJet社がGoogle社に買収された事を発表した。買収金額は未公表[123]。
2010年代
2010年(平成22年)
1月25日 - ダブルクリック株式会社がDART事業を譲渡した事を発表。対価は4,500万ドル[124]。
2月9日 - つぶやきソーシャルネットワークであるGoogle Buzzを発表した、同機能はGmailに統合される[125]。
2月10日 - Google Fiberを発表した。
2月12日 - 元社員が設立したソーシャル検索サービス企業のAardvarkを5,000万ドルで買収した事を発表[126]。
2月17日 - メールアプリを開発するreMailを買収した[127]。
3月1日 - オンライン写真編集サービスのPicnikを買収した[128]。
3月5日 - Officeコラボレーションプラグインを開発するDocVerse社を買収したことを発表した[129]。
4月2日 - オンライン・ビデオ配信プラットフォームを手がけるEpisodicを買収した[130]。
4月12日 - ビジュアル検索のPlinkを買収した[131]。
4月26日 - ガジェット開発企業Labpixiesを買収した[132]。
4月30日 - 3Dデスクトップを開発するBumpTopを買収したことを発表した[133]。- 5月 - 音声/ビデオコーデックのGlobal IP Solutionsを6820万ドルで買収した[134]。
5月20日 - iPhone向けストリーミングアプリを開発するSimplify Media社を買収したことを発表した[135]。Google TVを発表した[136]。
5月21日 - FTCによりAdMobの買収が承認され、買収が完了した[137]。
6月3日 - ディスプレイ広告入札技術の新興会社Invite Mediaを買収した[138]。
7月16日 - Freebaseを開発する米Metaweb Technologiesを買収した[139]。
8月4日 - Java/Eclipse/AJAXの開発企業instantiationsを買収した。Google Web Toolkitへ統合した[140]。
8月5日 - ソーシャルゲームのSlide.comを1億8200万ドルで買収した[141]。
8月30日 - SNSのAngstro社を買収した[142]。
10月9日 - 自動運転カープロジェクト「Google ドライバーレスカー」を発表した[143]。カナダのモバイルペイメント企業Zetawire社を買収し、Androidへ統合した[144]。
2011年(平成23年)
1月25日 - 音声認識のSayNow社を買収し、Googleボイスへ統合した[145]。
1月26日 - 映画評価SNSのfflick社を1000万ドルで買収。YouTubeへ統合した[146]。
4月8日 - カナダのモバイルコンテンツプロバイダーPushLife社を2500万ドルで買収した[147][148]。ライブストリーミングサービスのYouTube Liveを発表した[149]。
5月10日 - クラウド音楽サービスのMusic Beta by Google (Google Music) を発表した[150]。
6月28日 - SNSのGoogle+を発表した[151]。
8月15日 - 125億ドルでモバイルハンドセットメーカーのモトローラ・モビリティを買収[152]。
2012年(平成24年)
3月6日 - Google Playを発表した。
4月4日 - メガネ型プロジェクト「Project Glass (Google Glass)」を発表した。
2013年(平成25年)
6月14日 - 気球式インターネット網プロジェクト「Project Loon」を発表した[153][154]。
9月10日 - edXと提携し、オンライン講義を発表した[155]。また、11月には授業サービス「Helpouts」が開始された[156]。
9月18日 - 老化・病気・ヘルスケアに取り組む「Calico」の設立を発表した[157]。
2014年(平成26年) - 量子コンピュータの開発を発表した[158]。また、人工知能やロボット関連企業を次々に買収している[159][160]。
2015年(平成27年)
8月10日 - 各事業に注力するため、持株会社としてAlphabet Inc.を設立し、組織を再編成する計画を発表した[161]。再編が完了すればGoogleやGoogle傘下のNestやGoogle XなどはAlphabetの子会社になり、スンダー・ピチャイが新CEOに就任する[162]。株式銘柄もAlphabetに変わるが、ティッカーシンボルはGOOGL(Class A)、GOOG(Class C)のまま変わらない[163]。
9月1日 - コーポレイトロゴ刷新。フォントがセリフ体からサンセリフ体に変更された[164]。
10月2日 - 8月に発表された再編が完了し、新体制がスタートした[165]。
2016年
11月14日 - 人工知能開発におけるコンピュータにAMD製のGPUを採用[166]。
2017年
- 12月13日 - 中国の北京に人工知能の研究所を開設すると発表した[167]。
社風
本社社屋は「Googleplex」の愛称で親しまれている。この言葉は、googolplex(グーゴルプレックス)の言葉遊びであり、Googleとcomplexとのかばん語でもある。
社内移動用の電動キックボードやセグウェイ、料理人が各国の料理を提供する無料食堂、フィットネスジムやサウナを完備したキャンパス、定期的に開催されるローラーホッケーのイベントなど充実した福利厚生サービス、猫以外のペットを持ち込み可能なオフィスやおもちゃなど遊び道具を持ち込める仕事部屋、ラバライトやゴムボールがあちらこちらに置かれた独特な企業文化で知られる[168]。また、NASDAQ市場に公開するに先立ち、無料ランチを継続して提供することを宣言した。自由な企業文化と肯定的にとらえる見方がある一方、シリコンバレー企業としての自由奔放さを過剰に演出したものだという批判もある[169]。
また3Mの15%ルールの様に、勤務時間の20%を自分の気に入ったプロジェクトに割くよう義務付ける「20 percent time」という規則があり、そこからOrkutやGmailなどの実験的サービスが生まれている。
社外での活動
社内で多くのオープンソース・ソフトウェアを使っているため、これの開発エンジニアを雇うなど、オープンソースの支援を積極的に行っている。
2005年には、「Google Summer of Code」というオープンソースの開発に資金を提供するプロジェクトを始めた。指定したプロジェクトに参加する学生に開発費用を提供するというもので、一定期間の補助を受けて開発を行う。また、これを受けて日本でも「夏休みコード道場」というプロジェクトが、フリーソフトウェアイニシアティブ (FSIJ) の主催の元、日本法人の協力で開始された。現在は、ウィキペディアに対しても資金提供をするなど、オープンな文化に対する積極的な支援を行う企業としても名前をあげつつある。また、2005年9月28日にはNASAと提携し、大規模コンピューティングの活用や、データマイニング、ナノ、生物工学での協力などを行うことを発表している。
地元マウンテンビューでは無料のネットワークが張り巡らされている。2007年、サンフランシスコでも無線インターネット接続が発表された。
名前の由来
「googol(グーゴル)」という言葉の綴りまちがいに由来する。1997年にラリー・ペイジたちが新しい検索エンジンの名前を考えてドメイン名として登録した際、googol.comをgoogle.comと綴りまちがえたのがその起源と言われる[170]。
"googol"という言葉は、アメリカ合衆国の数学者、エドワード・カスナーの甥のミルトン・シロッタによって作られたもので、1グーゴルは10100(1のあとに0が100個続く数・10の100乗と読む)である。
提供サービス
検索をはじめとした多くのウェブサービスや、ダウンロードして使えるローカルアプリケーションを提供している。
日本法人
種類 | 合同会社 |
---|---|
本社所在地 | 日本 〒106-6126 東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー |
設立 | 2001年8月1日 |
業種 | 情報・通信業 |
事業内容 | インターネットなどでの情報サービス |
代表者 | ピーター・フィッツジェラルド |
資本金 | 1000万円 |
純利益 | 42億2530万4000円(2015年末) |
純資産 | 151億8985万5000円(2015年末) |
総資産 | 341億9952万7000円(2015年末) |
従業員数 | 1300人(2017年11月時点) |
決算期 | 12月末日 |
主要株主 | Google Inc. 100% |
外部リンク | google.co.jp |
特記事項:法人番号:1010401089234 |
グーグル合同会社(英: Google Japan LLC)は、Googleの日本法人である。2001年8月に、アメリカ国外で初めての現地法人として設立された[171]。設立当時、日本法人の取締役の中にラリー・ペイジ(Google共同創業者、後にGoogle米国本社のCEOも務めた)やセルゲイ・ブリン(同じく共同創業者)が含まれており、2004年に2人が来日した際には、秋葉原の電気街にも立ち寄っていた[171]。また、Google公式ブログでもしばしば日本法人が開発に関わる重要な報告をしている。
なお、現在の東京オフィスは六本木ヒルズ森タワーに置かれている[172]が、2019年(平成31年)に渋谷区渋谷の渋谷ストリームへの移転が予定されている[173][174]。
日本市場における展開
Googleのグローバル化において、携帯電話が発達していた日本市場は重要な存在となっていた[171]。2005年には、Google側の申し入れにより、Googleのエリック・シュミット、村上憲郎とKDDIの小野寺正との面会が実現した[171]。その後、2006年にEZwebの検索エンジンとしてGoogleが採用された[171]。当時のGoogleが通信キャリアとの提携を重視した背景として、日本のYahoo! JAPANの存在があった[171]。また、日本での積極的な展開は、日本法人における人事にも影響していた[171]。
人事
2003年4月、Google米国本社の副社長兼日本法人代表取締役社長として、村上憲郎が起用された[171]。2009年1月、名誉会長に退いた村上に変わって、ソニーに勤めた経験がある辻野晃一郎が代表取締役社長に就任した[171][175]。しかし、辻野が2010年4月に社長を退く前後、会社の風向きが変化したことから、辻野を最後に日本法人の社長職は廃止となった[171]。
その後、2010年4月から2013年12月までの間、日本法人の代表取締役を有馬誠が務め、後継にカリム・サード・テムサマニが7日間だけ代表取締役を務めた後、ロバートソン三保子が代表取締役となった[171]。
日本法人が関わった事業
Googleマップ
- 2011年6月15日 My Places now helps you manage your important locations by Hiroki Asakawa
- 2012年2月14日 An easy way to access directions and locations you care about by Tatsuo Nomura
- 2012年3月31日 Begin your quest with Google Maps 8-bit for NES by Tatsuo Nomura
- 2013年3月31日 Find treasure with Google Maps by Tatsuo Nomura
Google翻訳
- 2013年9月19日 A fresh look for Google Translate on iOS, with more languages and new features by Masakazu Seno
Google 日本語入力
- 2009年12月3日 思いどおりの日本語入力 - Google 日本語入力 by 工藤拓、小松弘幸、及川卓也
- 2009年12月15日 64 ビット対応版 Google 日本語入力リリース by 向井淳、松田靖広、湯川洋平
- 2015年4月3日 Android 版 Google 日本語入力をアップデートしました。(2.17.2072.3) by 矢藤康祐
- 2016年7月27日 Android 版 Google 日本語入力をアップデートしました(2.18.2580.3) by 岡智洋
- 2017年3月16日 Android 版 Google 日本語入力をアップデートしました(2.20.2802.3) by 松崎剛士
Google検索
- 2009年11月5日 Google 検索にスクリーンショット表示機能が登場 by 水野礼崇
- 2009年11月13日 Help Google index your mobile site by Jun Mukai
- 2009年11月18日 Running desktop and mobile versions of your site by Jun Mukai
- 2010年4月1日 Google 音声検索が動物の鳴き声にも対応しました。 by 井上陸、中嶋海介
- 2010年4月14日 レシピ情報も探しやすくなりました by 渡邉悠、鈴木宏輔
- 2011年12月15日 Introducing smartphone Googlebot-Mobile by Yoshikiyo Kato
- 2012年12月18日 Google 検索で、いつでも便利に乗換検索 by 清野達也、並木洋平
- 2013年6月11日 Changes in rankings of smartphone search results by Yoshikiyo Kato
- 2014年7月14日 Promoting modern websites for modern devices in Google search results by Keita Oda
- 2015年2月26日 Finding more mobile-friendly search results by Takaki Makino
- 2015年4月21日 Rolling out the mobile-friendly update by Takaki Makino [176]
- 2016年3月15日 Updating the smartphone user-agent of Googlebot by Katsuaki Ikegami
- 2017年2月3日 日本語検索の品質向上にむけて by Shin Natori
騒動・問題点
2016年4月、欧州委員会はAndroidの支配的地位を利用して他社を締め出したとする文書を送った[177]が、同文書の中で、フェアサーチ(FairSearch)が2013年3月に告発した反競争的行為を調査の上で排除するよう命令し、また別件で2011年1月から続けている反競争的行為も根拠に加え巨額の罰金を課す方針を示した。
2017年2月6日、Androidの独占禁止法違反容疑をめぐる一件については、BTグループが擁護する立場を明らかにした[178]。
そして6月27日、欧州委員会は24億2,000万ユーロの制裁金を課した[179][180]。この額は2009年インテルに課せられた10億6千万ユーロの2倍を超えた[181]。
プライバシー問題
平成24年(2012年)3月1日付で、提供している60以上のサービスのプライバシーポリシーが統合された[182]。
これにより、以下に挙げる情報が一括管理されるようになった。
Google検索の記録
YouTubeの閲覧記録
GmailやGoogle+の送信・投稿内容、各アカウントの登録情報
Android装備のスマートフォンの位置情報、および通話相手の情報
一括管理をすることで、サービスの効率アップと伴に、的確な広告表示が可能になる見込みだが、クラッカーに狙われやすくなるとの懸念もあり、欧州連合が実施延期を求めたり[183]、大韓民国政府が改善勧告を出す[184] など波紋を呼び[185][186][187]、同2月29日には日本国政府も、個人情報の慎重な取り扱いを文書で要請した[188]。この点、Google側によれば、「方針や収集情報の種類そのものには変更がなく、わかりやすいように統合しただけであり、従来通り利用者自身が個人情報公開に関するオプションを設定できる」とのことで、もし法廷命令などがあれば、同一データベース内から全ての情報が取り出されることになる[189]。
ブラウザ「Safari」に組み込まれた、追跡クッキーをブロックする機能を回避したとして起訴された。この事件で連邦取引委員会へ2012年は2250万ドル[190]、2013年には1700万ドルの制裁金を支払った[191]。イギリスでは同種の起訴が無効化されることを求めて裁判を起こし棄却された[192]。
日本における問題とその対応
平成20年(2008年)8月5日から、日本でも公開されたが、公開当日から個人のプライバシーを侵害しているとして日本国内より非難が集中し、のちに申告された物だけぼかしを入れたり画像をごっそり削除するなどの対処を行った[193]。ただし、いまだにプライバシーを侵害しているとして非難されている。また、「日本のプライバシーに対する感覚は、アメリカ、イギリスとでは違うのではないか。日本では、…… プライバシーなんて気にしていない。」という発言を行った社員もいる[194]。日本ではストリートビューを停止すべきとの要求も出された。これに対し、平成21年(2009年)6月日本の総務省は、適切な処理が行われている限りでは道路周辺映像提供サービスそのものに違法性はなく、一律の停止ではなく個別に侵害のおそれのある事案に対処していくことが望ましいとの見解をまとめた。一方で「法的な問題を克服できたからといって直ちに受け入れられるサービスといえるわけではない」と指摘しており、一般市民の抱く不安感の解消のための取組をサービス提供者に求めた[195][196][197]。
米国における問題とその対応
米国ペンシルベニア州の住民がストリートビューで自宅内部を勝手に公開されたとして、裁判をおこしたが、「現代では完全なプライバシーなどは存在しない」と反論し[198]、非難を浴びた。これに抗議しての行動か、非営利組織のプライバシー保護団体がGoogle EarthでGoogle取締役の自宅を公開した[199]。
英国における問題
平成19年(2007年)6月、英国に本拠を持つNPO、Privacy Internationalは、Googleのプライバシーへの態度を、「最も露骨に言えば敵対的」と評した[200]。
アクセス制限
一般的には検索国の法律に従って行われるが、アメリカの企業であるため、アメリカ国内の法律によって違法と判断されたサイトについては、全世界で表示されない。例えば、デジタルミレニアム著作権法に抵触すると判断されたサイトについては、日本人向けのコンテンツであっても日本国内から検索できず、米国国外を経由しても同様である[201]。中国においては穀歌を展開して当初は中国政府の検閲に協力していたものの[202]、これはマイクロソフトなど他のIT大手4社とともに「圧政に加担」と2006年2月15日のアメリカ合衆国下院国際関係委員会アジア・太平洋小委員会の公聴会で非難されており[203]、結局、自由な情報アクセスを求める社風と非民主的な中国政府は対立したため、2010年3月22日に検索事業からの撤退を表明した[204]。
2002年10月22日、およそ113のインターネット上のサイトがドイツ語版とフランス語版から除去されているとの調査結果が報告された[205]。このサイト規制は主として白人民族主義(White nationalism)、ナチ、反ユダヤ主義、イスラーム過激派のサイトに影響を与えた。フランスとドイツの法の下では、ヘイトスピーチの否定と、ホロコーストの事実を否定することは違法である。Googleはこれらの法を遵守して、そのような題材を含むサイトを検索結果に含めないようにした。検索がこのような形で影響を受けているかどうか直接確認するすべは無い。
宗教団体サイエントロジーが同団体に批判的なサイトの削除をデジタル・ミレニアム著作権法 (DMCA) を根拠に求めに応じ、削除を実行したところ、この姿勢を批判する市民グループが訴訟の動きを見せたことから元に戻した。
CNET出入り禁止事件
2005年7月、CNETのエリノア・ミルズ記者が執筆したGoogle絡みのプライバシー問題についての記事中、説明の一環として、CEOのエリック・シュミットについてGoogleで検索した結果を公表した。そこには、シュミットのおおよその資産や自宅住所、シュミットがGoogle株の売却を行ったことなどが掲載されていた[206]。Google広報部は、この行為はプライバシー侵害に当たるとして、CNETの全サイトを検索結果から外した。さらに、CNETの記者全員からの取材を1年間拒否するとの声明を出した。その2か月後に両者は和解しCNETのサイトは再び検索結果に表示されるようになった。
中国共産党による検閲とハッキングをめぐる動き
中華人民共和国内における、Googleの事業である「穀歌」は、当初は中国共産党政府による検閲に協力し、中国共産党の主張に相反するウェブサイトは表示されなかったため[203]、アメリカ合衆国議会による公聴会で批判されていた[203]。
その後、中国共産党政府に批判的な政治活動家が所有するGmailのアカウントに対して、同国内からInternet Explorerの脆弱性を利用したサイバー攻撃を受けていたことが判明し、2010年1月13日にグーグルは公式ブログでこの事実を公開した。さらに攻撃したハッカーが中国共産党政府に所属する傘下組織であったことが分かったため、同国からの検索事業の撤退を示唆した[207][208]。
これについて、中華人民共和国外交部報道局は「国内の法律に従うしかない」と述べたが、当時のヒラリー・クリントン国務長官は「サイバー攻撃に対して中国共産党政府からの説明を求める」とした[209]。なお、Internet Explorerはこの攻撃に使われた脆弱性が問題となり、オーストラリアの政府機関が同攻撃に対する脆弱性が無い、他のインターネットブラウザへの推奨を進めるといった異例の事態に発展し、Googleは中華人民共和国内のインターネットユーザーに使用者が多い、Internet Explorer 6に対してのサポートを同年3月で打ち切った[208]。
なお、2010年12月4日の「ニューヨーク・タイムズ」紙によると、「ウィキリークス」が公開をしたアメリカ合衆国国務省の外交公電により、一連のGoogleへのサイバー攻撃は、中国共産党政府が主導したもので、中国共産党中央政治局常務委員の李長春と周永康による指示で行われていたことが判明したと伝えられた[210]。
この事態を受けて、Googleは中国共産党政府と交渉を重ねたが折り合いが付かず[211]、2010年3月23日には同国内からの検索事業を撤退し、この日以降は同国内の検索サイト(http://www.google.cn )にアクセスすると、元はイギリスの植民地であり、現在も表現の自由や報道の自由が保障されている特別行政区で、検閲がない香港のGoogle検索サイト(http://www.google.com.hk )にリダイレクトする様になった。ソビエト連邦出身でもある共同創業者ブリンは中国はソ連と同じ「全体主義」と批判した[212]。
ただし、中華人民共和国国内から香港の当該サイトにアクセスし、中国共産党政府が金盾で規制している特定の語句を検索すると、接続が出来なくなるなど「香港においても、中国共産党政府当局による規制が行われている」と一部のメディアで報道された[211][213]。
ただし、撤退させたのは検索事業のみであり、その後も北京市や上海市、広州市にオフィスを残存させている[214][215]。また、2017年には同国市場への復帰を企図してAlphaGo対柯潔を中国共産党政府と共催し[216][217]、同年12月にスタンフォード人工知能研究所所長でもあるフェイフェイ・リーを所長とするアジア初の人工知能研究センターを北京市に開設した[218][219]。
2018年8月、グーグルが中国の検閲を受け入れた検索サービス「ドラゴンフライ」を開発してることが暴露された際はグーグルの社員1400人が署名で抗議する事態となった[220]。同年10月にCEOのピチャイは計画を認めて「中国市場の重要性や利用者の多さを考えれば、探求することは重要だ」と正当化した[212]。
サジェスト機能に関する名誉毀損問題
実名で検索する際、途中から予測文字や補足情報を表示する「サジェスト機能」により日本人男性がプライバシーを侵害されたとして、本社に表示差し止めを求める仮処分を申請し、東京地裁は2012年3月19日付けで申請を認めたが[221]、これに対し、「日本の法律には従わない」とコメント。2013年4月15日、小林久起裁判長は、サジェストについて「違法な投稿記事のコピーを容易に閲覧しやすい状況を作り出している」と指摘し、日本人男性の訴えを認め、本社に表示差し止めと男性への慰謝料30万円の支払いを命じた[222]が、その一方で、2013年5月30日、同じ東京地裁が別の男性の、ほぼ同様のケースで本社を訴えた訴訟に対して、請求棄却の判断を出したため、同じ裁判所内で似通ったケースで別々の判断を出すという異例の事態が発生した[223]。
キュレーションメディア台頭による検索の質の低下の問題
2016年、DeNAのヘルスケア情報キュレーションサイト(まとめサイト)「WELQ」(ウェルク)において、不正確な内容や著作権侵害のおそれのある医療記事が大量に存在するという問題に端を発し、DeNAの他のキュレーションサイトでも無断転用・リライトの懸念もある大量のコンテンツを外注することで、低品質で内容に問題のあるコンテンツがGoogle検索の上位を占めているという問題が明らかになった。リクルートホールディングス、サイバーエージェントなども同様の問題があり、自社のまとめサイトの一部の記事の公開を停止した[224]。
一連の騒動で、キュレーションメディアによってGoogle検索の結果の質が低下させられており、「悪貨が良貨を駆逐する」という状態になっていることが衆目に明らかになり、Google検索の信頼性は大きく低下し失望を買った[225]。SEMリサーチの渡辺隆広は、Googleの検索はDeNAがキュレーションサイトで行ったような、クラウドソーシングを活用して記事を乱造するというスパム的手法にひどく弱いと指摘している[226]。2017年2月3日、ウェブマスター向け公式ブログで「日本語検索のアルゴリズムを変更した」と発表。日本語検索で表示される「検索結果のより上位に自ページを表示させることに主眼を置く、品質の低いサイト」の検索エンジン最適化への対策を意図しているという[227]。2017年12月6日には、医療や健康に関する検索結果の改善を意図してページの評価方法をアップデートした[228]。Googleは医療・健康に関連する検索のおよそ 60% に影響すると述べており、SEO専門家の辻正浩は、WELQ後に実施された健康・医療分野の改善としては最大で、健康関連の検索に限れば検索順位の変動として前代未聞の規模であると評価している[229]。WELQ的な手法で運営されていたサイト、「いしゃまち」「ヘルスケア大学」などの記事を大量生産する手法で運営されていたメディアやNAVERまとめやYahoo!知恵袋などのCGMサイトが順位を落とした[229]。
グーグルブック検索事件
独占禁止法違反容疑
- 欧州委員会による調査
- 2010年11月30日、欧州委員会は、欧州競争法 (=Competition Law) 違反の疑いで正式に調査すると発表した[230]。
- 米連邦取引委員会による調査
- 2011年6月24日、米連邦取引委員会(FTC)が調査を開始した[231]。
「忘れられる権利」が行使された例
2014年5月13日、欧州司法裁判所が、過度な個人情報を削除するよう命じ、インターネット上で過去に報道された自分の記事が、検索結果に表示されるのは不当だとして、スペイン人の男性の訴えが認められた[232]ことを受け、「忘れられる権利申請フォーム」を公開した[233]。
Googleマップ改竄
2015年4月20日、日本国内を対象としたGoogle マップのサービスで、一部の表記が何者かによって不正にいたずらと思われる書き込みに差し替えられていたことが分かった[234]。
Javaの特許と著作権侵害訴訟
Googleが開発したAndroidが、オラクルのプログラミング言語Javaの特許と著作権を侵害しているのではないかとして、2012年4月にオラクルより93億円の損害賠償を求める訴訟を起こされた。最終的にはフェアユースが認められる形で2016年5月に全面勝訴となった[235]。
不適切な場所への広告の掲載
2017年3月、一部の広告が、傘下の動画共有サイトユーチューブでテロや反ユダヤ主義をあおる動画とともに掲載されていると、英紙タイムズが報道。これをきっかけに批判が起こり、イギリス政府や英紙ガーディアンがユーチューブの広告を取り下げ、フランスのHavas(広告・マーケティング代理店、世界6位)は、Googleのディスプレイネットワークとユーチューブから同社のイギリスの顧客の広告を撤退、 セインズベリーズ、トヨタ自動車、フォルクスワーゲン、 グラクソ・スミスクライン、BBC、Guardian、通信大手AT&T、VerizonとGoogleの広告ボイコットは拡大した。タイムズによると、250を超える企業・組織がイギリス向けユーチューブへの広告を停止した。[236][237][238]
3月20日、広告ポリシー(広告を掲載する場所に対する企業の発言力強化に向けた変更)を見直しを行う旨の公式コメントを発表したが、これは、広告主の相次ぐ撤退表明により、ピボタル・リサーチ・グループが親会社アルファベットの投資判断を引き下げたことによる[237]。
大規模接続障害
2017年(平成29年)8月25日、日本のインターネットで大規模な接続障害が発生した。同日昼頃、NTTコミュニケーションズは同社が運営する「OCN」が断続的に接続できなくなっていると発表した。障害は昼0時22分ごろ発生し、0時45分ごろに復旧した。KDDIのネット接続サービスでも同様に、昼0時24分ごろ発生し、0時47分ごろに復旧したとしている(KDDIは夕方まで混乱したという情報がある)。他にもさくらインターネットで同様の障害が発生した。大手のネット接続サービスが使えなくなった事で、証券会社(楽天証券、SBI証券、GMOクリック証券)や銀行(りそな、新生、ジャパンネット、自分銀行)、ネットゲーム(LINE、任天堂、ガンホー、ミクシィ)、EC(メルカリ)、交通(JR東日本)が0時半ごろから3時や5時ごろまでサービスを停止した。
原因は米グーグル社が送り出した大量の誤った経路情報だった。
8月25日午後0時22分、米グーグル(AS15169)が65万から70万ほどの誤った経路情報を米ベライゾン(AS701)に送った。
これはフルルート情報(インターネット上の全ての経路情報)を5万件以上(受け手によっては16万件オーバー)上回る数であり、これを処理しようとした複数プロバイダーのルーターがダウンしたり高負荷で通信を捌き切れなくなった。誤った経路情報とは、遠回りになるにもかかわらずグーグルが最短経路だとするものだった。
KDDIはベライゾンを自身より上位の接続相手(トランジット先)としていたため、この誤った経路情報をそのまま受け取り、結果として大きな影響を受けた。
ソフトバンクグループとNTTコムへの影響は比較的軽微だった[239]。
その他
テレビ放送
- 2007年1月21日、初めてテレビ局の長期取材に応えた『グーグル革命の衝撃 〜あなたの人生を“検索”が変える〜』がNHKスペシャルで放送された。
広告展開
2009年より年末から年始にかけてテレビCMで広告展開がされている。また12月30日から1月7日頃までの間は各テレビ局の特別番組などではスポンサーにもなっている。また、2011年10月以後、フジテレビジョンの「すぽると! サタデースペシャル」では筆頭協賛者となり、1分間のコマーシャルを提供するようになった。CMの動画はYouTubeで「Google CM」で検索することにより見ることが出来る。
派生語
英語
- 英語圏では「(広義では他の含めたすべての)検索エンジンで検索する」という意味の動詞として使われることが多くなっている。動詞として英語版ウィキペディアにも収録されている (en:Google (verb))。2003年には、アメリカ方言学会が、この単語が広く使われている動詞であると正式に認めた[240] 。2006年7月6日、Merriam-Websterが発表した辞書の最新版では、動詞としての意味「WWWの情報を得るためにGoogleの検索エンジンを利用する」で掲載された。なお、Google側は商標の普通名称化を招くとしてこの用法に抗議していた[241]が、2015年のロゴ変更時に公開された公式動画では動詞となったGoogleを紹介している[1]。
- Googling
Googling として名詞化された言葉は、もともとの「検索する」という意味合いから派生し、特に「他人の氏名で検索する」場合を指すことが多くなった[242]。
スウェーデン語
- ogooglebar
- 「検索エンジンを使っても目的のものを見つけられない」という意味である[243]。
日本語
ググる(五段活用動詞)
- 基本的には、「googleを使って検索する」という意味で使用されるが、その他検索エンジンを使った検索においても使われる場合がある。Yahoo! JAPANで検索する場合は「ヤフる」を用いる場合があるが、「ヤフーでググって」という言い方もジョークで言われていた。また、「普通にウェブ検索しろという」意味で、一般動詞として使われるようになっているが、これに対しては、上記の英語での派生語の使用と同様『商標の普通名称化の懸念』から、google側は「グーグルとその関連サービスのみに使うべきである」と明言している[244]。
- また、そこから派生した語に2ちゃんねる用語で「ググれカス」がある(子音だけを並べて「ggrks」と略表記されることもある)[245]。元来は電子掲示板の2ちゃんねる上で、つまらない質問に対する返信として書き込まれたものである。
脚注
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^ “Google Code of Conduct”. Google, Inc. (2009年4月8日). 2010年7月5日閲覧。
^ “Chromebook”. Google. 2011年8月17日閲覧。
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^ Kuhn, Eric (2009年12月18日). “CNN Politics – Political Ticker... Google unveils top political searches of 2009”. CNN. http://politicalticker.blogs.cnn.com/2009/12/18/google-unveils-top-political-searches-of-2009/ 2010年2月14日閲覧。
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^ Czajkowski, Grzegorz (2008年11月21日). “Sorting 1PB with MapReduce”. Google, Inc.. 2010年7月5日閲覧。
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参考文献
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- ザ・サーチ グーグルが世界を変えた 2005年11月 ISBN 4-8222-4487-3
- Google誕生 ガレージで生まれたサーチ・モンスター 2006年6月1日 第1刷発行 ISBN 4-87257-644-6
- グーグル Google 既存のビジネスを破壊する(著:佐々木俊尚、文春新書) 2006年4月20日 第1刷発行 ISBN 4-16-660501-1
- グーグルのすごい考え方(著:二村高史、知的生きかた文庫)2006年9月10日 第1刷発行ISBN 4-8379-7583-6
- Google 最強のブランド戦略 邪悪にならないこと 2006年9月 ISBN 4-7973-3003-1
- はじめてのGoogle 2006年11月25日、I/O編集部 (編)
- グーグル ネット覇者の真実 追われる立場から追う立場へ (著:スティーブン・レヴィ、阪急コミュニケーションズ)2011年12月16日 第1刷発行 ISBN 4-4841-1116-0
関連項目
- Alphabet Inc.
- Googleのサービス
- Google Panda
- Google Penguin
- 検索エンジン
- 検索連動型広告
- コンテンツ連動型広告
外部リンク
- Google について | Google
- The Keyword | Google
- Google Japan Blog
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