マクドナルド




















































































McDonald's
企業形態
株式会社
取引所
NYSE: MCD
業種
飲食店
事業分野
ファストフード
設立
McDonald's
1940年5月15日
McDonald's Corporation
1955年4月15日
創業者
McDonald's
リチャード・マクドナルド
モーリス・マクドナルド
McDonald's Corporation
レイ・クロック
本社
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 イリノイ州オークブルック
拠点数
36,899店舗[1] (2016)
事業地域
全世界
主要人物
アンドリュー・J・マッケナ (会長)
スティーブ・イースターブルック (社長兼CEO)
売上高
  • 減少 US$ 24.622 billion (2016)[1]

営業利益
  • 増加 US$ 7.745 billion (2016)[1]

純利益

  • 増加 US$ 4.686 billion (2016)[1]

資産総額
  • 減少 US$ 31.024 billion (2016)[1]

純資産額
  • 減少 US$ 2.2043 billion (2016)[1]

従業員数
375,000人 (2016)[1]
スローガン
I'm Lovin' It
ウェブサイト
mcdonalds.com
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マクドナルド(英: McDonald's)は、アメリカ合衆国に本社を置く世界最大のファストフードチェーンストア[2]。その登録商標である。


世界的に展開するファストフードチェーンであり、日本における店舗および運営会社は日本マクドナルドである。




目次






  • 1 概要


    • 1.1 i'm lovin' it




  • 2 歴史


    • 2.1 開業


    • 2.2 レイ・クロック


    • 2.3 ロナルド・マクドナルド


    • 2.4 経営権委譲


    • 2.5 拡張


    • 2.6 競争激化


    • 2.7 初の撤退




  • 3 名称・略称・通称・愛称


    • 3.1 英語圏


    • 3.2 日本


    • 3.3 中華民国・台湾


    • 3.4 中華人民共和国・シンガポール


    • 3.5 大韓民国


    • 3.6 フィリピン


    • 3.7 タイ王国


    • 3.8 ロシア


    • 3.9 フランス語圏


    • 3.10 スペイン




  • 4 システム


    • 4.1 調理


    • 4.2 原料


    • 4.3 ドライブスルー


    • 4.4 店内の接客


    • 4.5 店舗の運営


      • 4.5.1 日本




    • 4.6 店舗イメージの変化


      • 4.6.1 日本




    • 4.7 店舗の形態


    • 4.8 ハンバーガー大学


      • 4.8.1 アメリカ本校


        • 4.8.1.1 概要




      • 4.8.2 日本校






  • 5 イメージキャラクター


    • 5.1 ロナルド・マクドナルド


      • 5.1.1 ドナルド・マクドナルド




    • 5.2 ビッグマックポリス


    • 5.3 ハンバーグラー


    • 5.4 グリマス


    • 5.5 バーディ


    • 5.6 フライキッズ


    • 5.7 その他(キャラクター)




  • 6 問題


    • 6.1 アメリカ資本主義の象徴


    • 6.2 不健康


      • 6.2.1 対応


      • 6.2.2 栄養の改善を要請


      • 6.2.3 カリフォルニア州での例


      • 6.2.4 集団食中毒の発生




    • 6.3 訴訟多発


    • 6.4 労働条件訴訟


    • 6.5 フランチャイズとの対立


    • 6.6 イスラエルとの関係




  • 7 各地域における特徴ある事柄


  • 8 スポーツ大会の関係


    • 8.1 担当した主な大会




  • 9 脚注


  • 10 文献


  • 11 関連項目


  • 12 外部リンク





概要




国別の初出店年度


ハンバーガーを主力商品として、世界規模で展開するファーストフードチェーン店である。年間15億食に及び[3]、世界の店舗総数は3万5429店(2013年末時点)。店舗数の分類別順位において、ファーストフードを含む外食産業で世界第2位[4]、チェーンストアではコンビニエンスストア最大手のセブン-イレブンに次ぐ世界第2位[5]である。アメリカ合衆国本国では、「マクドナルドコーポレーション」が運営している。アメリカでは2000年代後半において、ドライブスルー店舗が売上の65%を占めるほど自動車で購入する者が重要な顧客層となっており[6]、低価格を武器に展開している部分もあるためそれを好む者や低所得者も重要な顧客層となっているが[7]、それ以外にもスターバックスを好むような層で構成された上流の市場を狙い、それに見合った内容を提供する展開も行っている[6]。日本では1990年代から2000年代前半まで価格破壊・低価格路線を主軸に展開していたが行き詰ったため方針転換し、価格重視の商品、キャンペーン商品、味重視の商品、ボリューム重視の商品、高価格帯の商品など、「価格帯の拡大」と「商品バリエーションの拡大」を行ってメイン顧客層である家族連れ・子供や、その周辺ターゲットを囲うことで顧客層の幅を広げるなど幅広い客層を取り込む戦略に転換し、2000年代後半以降好調を維持している[8]


当初は、スコットランド系のマクドナルド兄弟が開いた店舗はハンバーガー店ではなかった。ハンバーガーもマクドナルド兄弟の発明品ではなく、それ以前から米国全土にあった料理だった。にもかかわらず、その後の世界展開により広く認知されるようになったことから、マクドナルドはしばしばハンバーガーの代名詞ともされる。


主力製品である「ビッグマック」を国際購買力平均価格の指標として用いるビッグマック指数が提唱されるほど、マクドナルドはよく知られている。その一方、ケンタッキーフライドチキンと伴に『アメリカニゼーションの代表』として、欧米・アジア圏で「マクドナルドの店舗が襲撃される」という事件も起こっている。


現在は、ハンバーガーチェーンだけではなくアロマカフェ(Aroma Cafe)、ボストン市場(Boston Market)、Chipotle Mexican Grill、ドナトスピザ(Donatos Pizza)、Pret A Manger などのチェーン店も展開している。2001年の年間売り上げは148億7000万米ドル、純利益16億4000万ドルだった。名称であるMcDonald'sの「Mc(マク)」は、古ケルト語で息子という意味である。


マクドナルドにおいて正式には「ハンバーガー」と呼ばず「サンドイッチ (Sandwich)」と称しており、株主優待券にもサンドイッチと表示している。しかし以前はテレビCMなどでも「ハンバーガー」と呼んでおり、店舗看板も長らく「マクドナルド ハンバーガー」の表記が使用されていた。




「マクドナルド ハンバーガー」表記の店舗看板(中田ヤマザワ店)


「ハンバーガー大学」という名称の訓練施設も存在する(後述)。



i'm lovin' it


マクドナルドが2003年から全世界でスタートした広告では「i'm lovin' it」(「私のお気に入り」という意味)という統一された標語を使用している。




歴史



開業




初期のマクドナルドのキャラクターのSpeedee




初期のマクドナルドの店舗


最初のマクドナルドはアメリカ合衆国・カリフォルニア州サンバーナーディノでマクドナルド兄弟が1940年に始めたものである。「スピード・サービス・システム」のキャッチフレーズと、工場式のハンバーガー製造方法、そしてセルフサービスの仕組みにより、第二次世界大戦後の1948年以降、特に有名になった。



レイ・クロック


1954年に、ミルクシェイク用ミキサーのセールスマンで、ボヘミアユダヤ系[9][10]の企業家のレイ・クロック(Ray Kroc)が、ミキサーを売りに兄弟の店にやってきたとき、マクドナルドの仕組みについて興味を持った。特に興味を持ったのは客席の回転率が大変高く、相当数の人数の客を次々とさばけることだった[11]。すっかり感心したクロックは、ミキサーのメンテナンスで食堂にやってきたとき、システムをフランチャイズ形式にして、システムそのものを売る商売を始めてはどうかと勧めた。


兄弟は「自分たちのためにこの店をやっているだけで、フランチャイズをするつもりはない」と消極的だったが、クロックが交渉を粘った末に「兄弟はこの店以外干渉しない」「クロックはこの店には干渉しない」「マクドナルドという名とシステムは、クロックが事業に使う」で合意、兄弟が要求した契約金(約3億円)もかなり高かったものの、クロックの野望は第一歩を踏み出す事ができた。


クロックはマクドナルドを売り込むために熱心に働き、近々できるディズニーランドの中にマクドナルドの食堂を入れるよう、ウォルト・ディズニーにも直接会って積極的に売り込んだ。この試みは失敗したが、クロックは、イリノイ州デスプレーンズに最初のフランチャイズ店を出店し、即大成功となる。さらに1955年3月2日、新しい会社"McDonald's Systems Inc."(マクドナルドシステム会社)を作り、同年4月15日にクロックが直営店1号店をシカゴにオープンさせた[12]。1960年には、社名をマクドナルドコーポレーション("McDonald's Corporation")に変更した。



ロナルド・マクドナルド





ロナルド・マクドナルド


クロックのマーケティング戦略のうちの一つは、家族向けの店舗にすること。特に子供を商売の対象とすることだった。1960年代初め、首都ワシントンでマクドナルドのフランチャイズ権をとって営業していたオスカー・ゴールドスティン(Oscar Goldstein)が、ウィラード・スコット(Willard Scott)というクラウン(道化師)が所属するBozo's Circus(荒くれ男のサーカス)という名の出し物のスポンサーについた。この出し物が中止されると、ゴールドスティンはマクドナルドのマスコットキャラクターとしてウィラード・スコットを雇い、そのキャラクターはマクドナルドにちなんで「ロナルド・マクドナルド(Ronald McDonald)」と命名され、ウィラード・スコットはロナルド役で1963年から約2年間コマーシャルに出演した[13]


ロナルドは求められていた役に比べて少々太り気味だったが、このキャラクターが広告に出ることにより、マクドナルドのチェーン店は米国全土に広がった。続いてロナルド以外のキャラクターも開発されていった。


日本では販売戦略上の理由、および日本語話者には発音しづらい事から藤田田によって「ドナルド・マクドナルド」と訳されており、当初より子供向けCMに出演している。



経営権委譲


クロックと兄弟との契約は、兄弟が生産工程について責任を負い、会社の株式による利益を受け取る。そのかわりにクロックが販売拡張の全責任を負うことになっていた。だが1961年までにクロックは拡張に失敗する。兄弟は、兄の引退も理由となって、1961年に270万ドルでマクドナルドの全権利をクロックに売り渡すことで合意した。クロックにとっては高額だが、長い眼で見ればメリットがあると判断、プリンストン大学などを含む多くの投資者からかき集めて兄弟の持つ株式を約3億円(270万ドル)で買い取った。


この契約では兄弟は「マクドナルド」の名称の使用は認められなかったために、やむなく自分たちの店を "The Big M"(ザ・ビッグM)という名称に変えて営業を続けた。しかし、クロックが兄弟の店のすぐ北にマクドナルドの大型店舗を出店し "The Big M"は倒産してしまい、兄弟の店は閉店して現存しない。


経営権委譲に伴う合意事項には、譲渡後もチェーンの売り上げの0.5%を将来的に支払うという「紳士協定」があったが、契約書には組み込まれていなかったために、それが守られることはなかった。もし守られていたら、兄弟は年に1億8000万ドルを手にすることになっていたはずだった[14]



拡張





ビッグマック


以後マクドナルドコーポレーションは、世界の至るところに店を開いた。1990年1月31日にはモスクワで、共産圏初のマクドナルドハンバーガー店が開店した。


マクドナルドのビッグマックの価格は、ビッグマック指数と呼ばれ、通貨間の購買力平均価格の比較手段として使われた。この指標の考案者はイギリスの経済雑誌『エコノミスト』誌(The Economist)である。マクドナルドの標準化は、同時に生活様式や経済活動のグローバリゼーションを意味した。


トーマス・フリードマンは自著の『レクサスとオリーブの木』の中で、“黄金のM型アーチ理論”として「マクドナルドのある国同士は戦争を行わないだろう」と予言したが、1999年にアメリカ合衆国のセルビア爆撃によって破られている。



競争激化


アメリカをはじめとする先進国においては、より高価で高品質なハンバーガーや、より多面的サービスを提供している他のファーストフードレストランチェーンとの競争が激しくなっている。


アメリカの食堂専門雑誌による2002年調査によると、マクドナルドの順位は「バーガーキング」と「ホワイト・キャッスル」より下で、ハンバーガーの食品品質は第15位だった。市場調査会社によればマクドナルドのシェアはここ5年で3%低下し、現在、15.2%である。健康的なイメージで売るサンドイッチチェーンの「サブウェイ」が全米で第1位のシェアを持っている。



初の撤退


2009年10月26日にアイスランドで、マクドナルドとして初めて同国内全3店舗の閉鎖を発表することを明らかにした[15]
撤退理由は折からの金融危機によって、自国生産が難しく輸入に頼っていた原材料費(特に生鮮野菜などの輸入食材)の高騰(バックボーンとしてアイスランド・クローナの価値が同金融危機で失墜し、相対して輸入関税が引き上げられたため)により採算が取れなくなったためとしている。撤退までの過去1年半の間はコストは通常の2倍にまで膨らんでいたこともあり、採算を取れるまで同国の経済状況が回復するのは難しいという判断・同国で事業を展開する上での複雑さから撤退を決めたとしている。


撤退発表以降営業最終日になった10月31日まで大勢の客が詰めかけ、商品の受け取りに20分待ち、ドライブスルー利用のために交通渋滞が発生し、マクドナルド側も臨時従業員の増員で対応するなどの大盛況になった[16]



名称・略称・通称・愛称




2003年まで使用された旧ロゴ(中田ヤマザワ店)



英語圏



英語圏では「McDonald's」と表記され、「マクドナルズ」(IPA [məkˈdɒnldz])や「ミクドナルズ」(IPA [mɪkˈdɒnldz])と発音される[17]


スラング(俗語)では、「金のアーチ」を意味する"The Golden Arches"(ザ・ゴールデン・アーチズ)や、"Mickey D's"(ミッキー・ディーズ)と呼ばれる。"The Golden Arches"という呼称は、看板の M のようにも見える、黄色い2つのアーチに起因する。オーストラリアのスラングでは「Macca's(Macker's とも)」(マッカズ)、イギリスのスラングでは"Mackey-D's"(マッキー・ディーズ)と呼ばれる。



日本




日本・東京の店舗




日本・京都の店舗。看板等が赤ではなくエビ茶色である


日本では藤田田が決めた「マクドナルド」が用いられている。東洋経済新報社の会社四季報での略称は「マクド」(マクドHD)[18]である。日本マクドナルドによる公式な略称は設定しておらず、「マック」と「マクド」について、「どちらが正しいというものではない」「正解はない」と同社では説明している[19][20]。客による呼称は地域差があり[21]、近畿地方と周辺では「マクド」呼称が多く海外での呼び方に近い。東日本などでは「マック」呼称の傾向である[22][19][23]




中華民国・台湾


中華民国(台湾)では「麥當勞」(マイダンラオ)と呼ばれている。台湾の人々は、ファーストフードのような食べ物について、カロリーの高さなどが原因で不健康なイメージを持っていることから、「垃圾食品」(ゴミのような食べ物、ジャンクフードの意)という言い方もある。



中華人民共和国・シンガポール




パリの中国人地区の店舗


もともと広東語の当て字「麥當勞」(繁体字。発音はマクドンロウ、粵拼:Mak6 dong1 lou4)が中華人民共和国でもそのまま用いられ、中国語で「麦当劳」(簡体字)と書いてマイダンラオ(拼音: Màidāngláo)と読む。シンガポールでも、この表示(簡体字)が使われている。



大韓民国




韓国・ソウルの店舗


大韓民国では、McDonald's のハングル表記である「맥도날드」(メクドナルドゥ)と韓国語で発音されている。



フィリピン


フィリピンでは、マクドーと略され、店頭にも タガログ語: Burger Macdo(通常のハンバーガーとの違いは、トマトケチャップではなくバナナケチャップであること)といったハンバーガーや、ケンタッキーフライドチキンで販売されているような骨付きのフライドチキンが売られている。ただし、フィリピンではジョリビーに負けている。



タイ王国




タイ・バンコクの店舗


タイ王国では、タイ語で「แมคโดนัลด์」(メークドーナン)と呼ぶ。



ロシア




ロシアの店舗


ロシアにおいては、ロシア語で「Макдоналдс」(マックドーナルス)。ドライブスルーは「МакавтоМак-АвтоАвтоはオート、自動車の意を含む)」(マックァフトー)と呼ばれる。



フランス語圏


フランスではマクド(MacDo もしくは McDo)と略される。また、カナダケベック州ではメクド(MecDo)と発音される。フランス語で「マック」(mac, maquereau の略語)は、女衒やポン引きを意味する俗語であるため、マックの略称が用いられることは全く無い。



スペイン


スペインでは「マクドナル(ス)」とスペイン語で呼ばれる。



システム


マクドナルドコーポレーションのビジネスモデルは、他の多くのファーストフードチェーン店と若干異なる。通常のチェーンでも請求される特許料金、供給品、および販売のパーセンテージに加えて、マクドナルドはまた賃貸料を徴収する。


フランチャイズ契約の条件として、ほとんどのマクドナルド店舗は、店舗の不動産をマクドナルドコーポレーションが所有する。フランチャイズ会社は売り上げの一部を賃貸料としてマクドナルドコーポレーションに支払う。マクドナルド創立者の1人 Harry.J.Sonneborne は「われわれの商売は不動産業である。われわれがハンバーガーを売る唯一の理由は、フランチャイズ会社がハンバーガーを売ったときの利益が、最も多くの賃貸料をわれわれにもたらすからだ」と言った。



マクドナルドでは定期的な調査のため「ミステリーショッパー」と称される人物が、一般客に紛れ1セット注文する。店舗の質を向上させるため、採点項目にはスピード、清潔さ、商品の品質、サービスなどがある。
日本では2003年、昼のピーク時間帯(12:00〜13:00)において商品の受注から、注文の多少に関わらずレジ入力後1分以内に提供する「チャレンジ!60秒サービスキャンペーン」が展開された[24][25]。時間内に提供できなければ、ポテトかコーラの引換券を添付した[26]。商品の注文点数にかかわらず時間は1分間一律だったため、セットメニューなどを注文すると1分以内に用意できない事例も発生した。一部の店舗ではレジ入力途中で厨房に注文内容を伝え用意できてからレジ入力を終了することで実質1分を超えたとしても1分以内とした。全般的に店員の応対時間短縮の成果が出たり、客と店員のコミュニケーションが生まれるなどの相乗効果で概ね好評価を得た[24]



調理





フィレオフィッシュ
金曜日に肉を食べないカトリック教徒向けに1963年に発売開始された。


マクドナルドのハンバーグや芋(ポテト)はセントラルキッチンと称する集中調理工場施設より成型済みで搬入され、厨房では焼いたり揚げたりするだけで細かい調理の必要がない。


焼く鉄板や揚げ油の温度、時間も定められている。若干の訓練を受ければ誰が作っても同じ大きさ、同じ形、同じ味の商品が提供できる。調理工程も簡略化され、付け合せなども極力簡略化し、高速で調理できるようになっている。


商品提供システムとして「英語: Made For YouMFYまたはM4U、メイド-フォー-ユー)」と称する、受注してから迅速に調理し、商品を完成させる新方式が導入された(全店導入時期 アメリカ合衆国:1999年、日本:2005年)[27]


その他「ダイレクトオペレーション」(ストック方式)と称する、商品を作り置いて温蔵棚などに貯蔵し、受注後そこから取り出して販売する方式がある。作り置きはその時間帯の売り上げや客足などの予想を元に行うため、大半の場合は客を待たせず商品提供できる利点があった。その反面、味の劣化や、ハンバーガーを調理後10分で破棄する社内規定により、予測誤りによる食品廃棄などの問題が発生し[27]、環境問題などで批判される原因になった。Made For Youシステムでは、全ての顧客に出来立てを提供できるという利点もあり、売れ残りや食材の貯蔵をなくし、ハンバーガーを作るコストを下げた。当然ながら、このシステムでも受注分より多く作ってしまうことによる廃棄はあるが、総じて廃棄量は激減した[27]


消費者情報誌「コンシューマー・レポート」が、定期購読者のうち3万2405人の回答などを基に発表したところによると、マクドナルドのハンバーガーの味は、アメリカ合衆国の大手ハンバーガーチェーン全体の中で『最も不味い』という結果が出た[28]



原料


ハンバーガーのビーフパティは牛肉を使用している[29]


地域によっては宗教上の観点から特定あるいは一切の肉類を食せない顧客向けに、鶏肉を使った「チキンマハラジャマック(Chicken Maharaja Mac)」「チキンマックカレーパン(Chicken McCurry Pan)」(インド、後述)、肉を一切使わないベジタリアン用のメニュー(Veg menu、後述)[30]、ホキという深海魚やスケトウダラを使った「フィレオフィッシュ(FishMac)」(各国)など、食のタブーに配慮したメニューが用意されている。


日本における「てりやきマックバーガー」や2007年6月〜7月に発売されていた「メガてりやき」、2007年7月から発売された「マックポーク」に使われているパティは豚肉(ポーク)で、マクドナルドでは豚肉の使用を明記している。


日本における「チキンナゲット」は以前約2割を米国OSIグループの傘下である[31]中国食肉加工会社の「上海福喜食品」から仕入れていたが、使用期限を半月過ぎた鶏肉を使用していたことが発覚し、2014年7月22日に該当商品の販売が停止した[32][33]



ドライブスルー





日本のドライブスルー併設店舗の一例


ドライブスルーは日本国外で「マックドライブ」と呼称される。利用手順は車両をメニューが掲示されたマイク前に移動し注文する。この際店員から支払い金額が請求される。


通常はマイク越しに店内にいるインカムを装着した店員に話し掛けることになるが、一部店舗では休日のピーク時を中心に、移動型のレジを伴った店員に直接話し掛ける状況もある。この場合もレジは有線で店内のシステムに直結しているため店内のMade For Youシステムへも注文が直接伝わる。また、WOT(ワイヤレスオーダーテイカー)と呼ばれる小型のタッチパネル端末で受注することもある。WOTはほとんどの場合コーポレートカラーである赤色の肩掛けケースに入れられている。WOTは注文を無線方式でキッチンへ伝達するため混雑時に店内で用いられることがある。この場合、決済やレシート発行はカウンターのレジで行う。


その後順路に沿って車両を進めると商品受け渡し口がある。ここでまず代金を支払い、その後袋などに入った商品を受け取る。一部の古い店舗で見られる、受け渡し口手前の使用されていない窓口もしくはその跡は、かつて代金の支払いと商品の受け渡しを別々の窓口で行っていた名残である。なお現在でもこの形態をとる店舗も存在する。近年オープンした店でも、この方式が採用されている場合もある。雨が多い地域では商品を濡らさないために配慮されており、日本の店舗では受け渡し口に通常屋根がある。商品を受け取った後に車両を進めると公道へ出る。


購入商品が多いなど受け渡しまでに時間を要する際、ドライブスルー進行レーンから外れた待機場所で待たされる。多くの場合、店員が商品を車両まで運搬する。


ドライブスルーは主に普通乗用車などを対象としているが、オートバイや自転車など二輪車両での利用は、商品受け取り後の走行や自動車による追突など安全上の理由で、店舗によっては断られる場合もある。またトレーラーやトラックの場合車両限界などで利用できない場合もあるが、これらに配慮したドライブスルー設置店舗も幹線道路沿線に見られ、送迎や路線などバスでの利用もある。



店内の接客




ビッグマックを大型にしたメガマック(2007年)


店内で食べる場合でもレジで代金を支払った客がその場で商品を載せたトレイを受け取り、そこから席まで客が自分でトレイを運ぶセルフサービス式である。店内で購入した商品を持ち帰ることも可能である。


片付けはトレイ上の物をゴミ箱に捨てるだけでよく、食器の回収と洗浄の必要がないが、何を買っても必ず廃棄物が出る批判の原因ともなった。現在、ほとんどの商品が紙包装だが、ストローなど多少のプラスチック素材もある。以前は発泡スチロール製容器が多用されたが、今ではほとんど使われない。



店舗の運営


マクドナルドでは店舗を船に見立て店員を「クルー(CREW)」と称する。ほとんどの店員はパートかアルバイトで、これを通常1名以上の「マネージャー(MGR)」と称する社員で統括する。しかし1人の社員が統括する店舗が複数ある場合、不在が多くなるため、店員の出勤時間帯配置などの管理業務をパートやアルバイトの立場で併せて行う「スウィング・マネージャー(SW-MGR)」と称する階級がある。他に店内接客が主業務のお客様係「スター(STAR-STore Activities Representative)」やクルーの教育などを担当する「クルートレーナー(CREW TRAINER)」などがある。通常は年中無休だが、インストア型と称されるショッピングモールなどに入る店舗は休業日を持つものもある。



日本


日本の店舗形態は通常(トラディショナル)店舗とサテライト店舗に分かれる。


サテライトは厨房が狭く以前はメニューも限定だったが、一方では低支出の出店が可能で1990年代に数多く開店した。サテライト店舗は必ずしも母店舗となるトラディショナル店舗を持つことはなく基本的に単独経営である。


親子関係でなくとも近隣店舗間での食品移動(賞味期限、仕入れの過不足などの理由)はもちろん、小銭の両替も銀行手数料が掛る昨今では普通に行われている。


近隣店舗といえど、店長の上職であるOC(オペレーティングコンサルタント)は近隣店を兼務しないので、各店舗の社員個人による異動元ないし同店勤務人の異動先への「お願い」型式で成立するのが普通である。



マクドナルドの看板は赤い背景色に黄色の文字であるが、京都市や栃木県那須郡那須町などの一部店舗は、景観保護条例による規制で、背景色が茶色などである。東京都豊島区の巣鴨店では、英語由来の片仮名語が理解出来ない高齢客が多く、ポテトおいもチキンとりにくドリンクS・M・Lのみもの小・中・大と一部日本語表記がなされている。また、2007年から地域別価格制度が導入されたが、2015年に実質上廃止されている。




店舗イメージの変化




改装された24時間営業実施店





アリゾナ州セドナのマクドナルド店舗。外観をこの地域でよく見られるアドビ(日干しレンガ)調にし、Mのアーチをターコイズブルーにするなど、周囲の環境と調和した店舗にしている。




一般的な店内内装・日本の店舗の一例




日本の店舗外観の一例。2階と3階が客席のフロアになっている。


21世紀になってからマクドナルドの店舗イメージが変化している。旧来型店舗イメージは赤い背景色に黄色い文字の看板がもたらす印象のアメリカンテイストを取り入れたデザインで、内壁はシンプルな白地を用い、小物や内装はところどころに赤や青の原色系を塗り込んだプラスチックとビニールが主材で、ある種のチープインテリアを目指していた。また赤色の内装は落ち着きを失わせ客の回転を早める効果も兼ねていた。



日本


2006年以降営業時間延長が試みられ、24時間営業店舗が増加していたが、採算性やクルーの確保困難等により、再度24時間営業を廃止する店舗が増えた。


客を集めるため、2000年代後半から数社の無線LAN(Wi-Fiスポット)が提供されており、電源サービスコンセントが設けられている店舗もある。



店舗の形態


マクドナルド店舗の形態は大きく分けて次の3種である。



都市型店舗

通常の店舗は座席付きの食堂であり、楽しいひと時を過ごすため、外出時に手軽に迅速に食事を済ませるため、などの機能を持った店でもある。

駅前や繁華街、商業施設内などにあり、敷地の都合上駐車場はない。

イベント会場や学校内店舗では厨房とカウンターのみを設置し、客席は当該施設のものを使用することも多い。

郊外型店舗

郊外型店舗ではドライブスルーを備えている(参照:システム>ドライブスルー)。ここでは店舗内注文も可能で、そのための注文カウンターも備えている。この店舗の多くはハイウェイ沿いで、市街地辺縁か大都市間の小さな町にある。

ハイウェイ沿いの「McDrive」店舗

ハイウェー上のパーキングエリアのような場所にある純然たるドライブスルー店舗で客席はないことが多く、客は駐車場あるいは運転中に自分の車内で食べる。


この他に特別なテーマをもった店舗が存在する。具体的にはロックンロールマクドナルド、1950年代風食堂など。郊外の新しい店舗にはマクドナルドプレイランドという大きな遊戯施設を持つものが多い。多くは屋内だが屋外のこともある。


黄色の「ゴールデンアーチ」と呼ばれるマクドナルドのマークは、マクドナルド店舗の位置を示すため高いポールの上に設置されることが多い。日本ではこれをサインポールと呼ぶ。このマークに使われている赤と黄色は、広告を活用する多くの会社がよく使う配色でもある。


出前が可能な店舗が一部に存在し、一度に所定金額以上注文の場合に適用される[30]



ハンバーガー大学


マクドナルド従業員の訓練施設として、ハンバーガー大学(英語版)が米国および各国にある。



アメリカ本校


ハンバーガー大学はマクドナルド従業員教育用施設。イリノイ州オークブルックのシカゴ郊外に130,000平方フィート(12,0000m2)の広さであり、米国のマクドナルド社が所有。今まで70,000人以上のマネージャーが「卒業」し30人程度の「教授」が所属する。「大学」は1961年、イリノイ州Elk Grove Villageに設立された。1960年代前半、初期の学生は企業利益向上を目的として「卒業」までに化学、マーケティング、調理などのコースを確実に修了しなければならなかった。彼等"McDegree"にはマクドナルド商品の経済的な品質向上を研究する部門に就く者もいた。現在の規模は1クラス当たり平均200人以上。



概要


  • ハンバーガー大学のキャンパス面積は80エーカー(320,000m2)。

  • 22人の国際的な常勤教授が駐在し、119か国以上の学生を指導。

  • 最先端の施設内に対話的教育用教室17、特別活動用教室5、300席の講堂がある。

  • ハンバーガー大学の翻訳者は27以上の異なる言語を同時通訳可能。

  • 従業員は初月にハンバーガー大学で約32時間学ぶ。

  • 毎年5,800人以上の学生が学ぶ。




日本校


日本マクドナルド本社(新宿アイランドタワー)38階にある。


2005年7月、ハンバーガー大学の Basic Shift Management Course (BSM)と、Advanced Shift Management Course(ASM)の2つのコースが、若年者就職基礎能力修得支援事業(Yes-Program)の認定を受けた。



イメージキャラクター



ロナルド・マクドナルド





タイ王国のマクドナルド。




ロナルドがワイ(合掌)をしている。


マクドナルドランドを舞台に、ロナルド(日本名:ドナルド・マクドナルド)、グリマス、バーディ、ハンバーグラー、フライガイという子供をターゲットにしたマスコットキャラクターがいる。中心となるキャラクターはドナルドである。これらはハッピーセットという子供向けセットに添付される玩具になったりCMに登場したり、過去にはファミコンやメガドライブのゲームソフトとして発売されたこともあった。これらのキャラクターの利用は全世界共通であり、多くの国では店舗前に人形が置かれている。また、「ゴミはゴミ箱へ」と啓発するロナルドを象ったピクトグラムが包装や容器、カップに描かれている。多国の言語を話すことができる設定となっており、日本語(但し、方言は使わない)、オランダ語、タガログ語、ヒンディー語など31ヵ国語がその対象である。また、「ロナルド・マクドナルド」の呼称は国により若干異なる場合がある。



ドナルド・マクドナルド


日本では「ドナルド」と呼ばれており、フルネームは「ドナルド・マクドナルド」で、マクドナルドが姓にあたる。通常は単に「ドナルド」とだけ呼ばれ、ほとんどの場合、姓の部分は省略される。名称が類似する、ディズニーのドナルドダックや、きかんしゃトーマスのドナルドとは無関係である。


日本では1990年代後半までは、ドナルドがしゃべっているCMが多かったが、2000年ごろからドナルドはしゃべらなくなり、「ドナルド=しゃべらないキャラクター」という印象が一般的となった。2004年に行われたCMでは数年ぶりにドナルドがしゃべったが、このCMは「ドナルドってしゃべるの?」というものであり、「しゃべらないキャラクター」という印象を持っている世代には不思議な感覚を与えるCMとなった。前述の回答で、ドナルド自身は「おしゃべり好き」であったという。




ビッグマックポリス


以前はビッグマックポリスというイメージキャラクターもいたが、現在は全世界で使用が中止されている。警官であるビッグマックポリスがドナルドなどを監視する印象を与えるためという説明がされている。もうひとつ「平和なマクドナルドランドに警察はいらない」という説もある。内部では「子供から怖がられるキャラクター」(実際にイベントのドナルドマクドナルドショー等で泣く子が多かった)という事で排除されたと言う話もある。しかし、2014年1月から行われている「アメリカンヴィンテージ」キャンペーンで、特定の商品を購入すると手に入るLINEの限定スタンプにて、このキャラクターのスタンプが登場している[34]




ハンバーグラー


ハンバーガーが大好きで、他人のハンバーガーを盗んでしまう悪役キャラ。初期の頃はドナルド同様、生身の人間が仮装した姿だった。黒いハット帽子に黒いアイマスク。そして囚人服を思わせる白黒のボーダー上下服。ハンバーガーを盗む(公式には「盗む」ではなく「取る」)度に、警官であるビッグマックポリスに追い回されていた。ハンバーガーを盗み取る魔法も使える。しかしCMのオチでは必ずドナルドが魔法(ドナルドマジック)で彼を懲らしめていた(ビッグマックポリスよりもドナルドに退治されていた)。
平成になってから被り物キャラで一時的に復活していたものの、近年はまた見られなくなったが、マクドナルドの公式サイトのキッズコーナーのぬりえに姿が残っているため、現時点でも姿が確認されている。また2014年1月から行われている「アメリカンヴィンテージ」キャンペーンで、特定の商品を購入すると手に入るLINEの限定スタンプにて、このキャラクターのスタンプが登場している[34]




グリマス


マックシェイクが大好きな紫のキャラクター。
近年[いつ?]ではあまり姿が見られなくなったが、ハンバーグラーと同様、現在もキッズコーナーのぬりえや2014年のLINEスタンプで姿を確認できる[34]




バーディ


朝マックをイメージした鳥のキャラクター。
明るく活発だが少しお転婆な性格。21世紀になってから日本で見かけることは少なかったが、2014年1月から行われている「アメリカンヴィンテージ」キャンペーンで、特定の商品を購入すると手に入るLINEの限定スタンプにて、このキャラクターのスタンプが登場している[34]



フライキッズ


マックフライポテトのイメージキャラクター。男の子を「フライガイ」、女の子を「フライガール」と呼び、「-キッズ」は彼らの総称である。ポンポンに足が生えたような姿をしている。眼鏡をかけた者やポニーテールまたはツインテールをなびかせた者等数体存在する。



その他(キャラクター)


この他にも独自キャラクターを設定している地域もあり、アメリカではミックとマックという2人の少年もマスコットキャラに指定されている。日本の事例として、2009年8月〜11月に期間限定発売された「NIPPON ALLSTARS」シリーズの宣伝キャラクターとして「Mr.ジェームス」を採用したことがあった[35]



問題




アメリカ資本主義の象徴


マクドナルドはその事業規模と影響力の大きさから、しばしばアメリカの大量消費文化やアメリカ帝国による経済支配(アメリカニゼーション)の象徴と考えられ、各国の民族主義派・保守派や、環境保護活動家、反グローバリズム運動家の攻撃目標になるケースが少なくない。


反米デモ活動では、真っ先にマクドナルドの店舗が襲撃される(これはケンタッキーフライドチキンやザ コカ・コーラ カンパニーも同様である)。特に湾岸戦争やイラク戦争などでアメリカが他国に侵攻する期間、中東の店舗は放火されたり破壊されたりした。またイギリスでは、批判的な活動家がロンドンにある店舗を爆破し、逮捕された。


更にイラク戦争以降、ロンドン、パリ、チューリッヒなどの店舗前で、反米デモが激しく行われており、メキシコシティでは「ハンバーガー1つがアメリカ軍の銃弾1発」という言葉が生まれた。また、大韓民国環境団体の会員らがマクドナルドの大型看板に登って「M」字の下に「AD WAR」と書かれた垂れ幕をかけて「MAD WAR(狂った戦争)」と叫ぶデモ活動をした。


1999年5月7日、コソボ紛争における「アライド・フォース作戦」の際に、アメリカ空軍機が駐ユーゴスラビア中華人民共和国大使館を誤爆したときは、北京市でマクドナルド10店舗が、中国人により襲撃される事態となった。


またファストフードは、その手軽さと高カロリーが故に「肥満の主犯」というイメージが植えつけられることになった。こうした拡大する外国の反感を宥めるため、マクドナルドは飲食の材料をできるだけその国で調達し、メニューもその国の文化を考慮した戦略を取っている。肉類を避けるインド人のためには、ベジタブルバーガーも開発した。



不健康


2004年には、マクドナルドに代表されるファーストフード業界の健康破壊をテーマに「1か月間、3食マクドナルドのハンバーガーだけを食べて過ごしたらどうなるか」監督が自らを人体実験となった、ドキュメンタリー映画『スーパーサイズ・ミー』が公開され、第77回アカデミー賞の長編ドキュメンタリー映画賞にノミネートされた。2011年には、550超の団体が対し、肥満の抑制のためにロナルド・マクドナルドの引退を要請している[36]



アメリカのマクドナルド - 調理油切り替え遅れ和解金9億円支払い

マクドナルドは2002年9月、心臓病疾患の原因になると指摘された「トランス脂肪酸」を減らすため、調理油(ショートニング)を2003年2月までに新しいタイプに替えると発表した。トランス脂肪酸はフライドポテトなど揚げ物に使う油(ショートニング)に多く含まれ、それを健康に配慮した新タイプの調理油に切り替えると発表しながら実施が遅れたことを同社が適切に公表しなかった事に対して訴訟が起こり、和解金など計約850万ドル(約9億円)を支払うと2005年2月に発表した。

ところが実施が遅れたため2003年2月に遅れの事実を公表したが、アメリカの健康問題活動家らは2003年、消費者への告知が不十分だったとして損害賠償などを求め、カリフォルニア州の地裁に提訴した。

日本における調理油切り替え

調理油の切り替えはBSE問題が起きた2004年、調理油に牛脂をブレンドしていたため、一時的に植物油100%に切り替えた。2018年現在、日本マクドナルドの公式HPによればトランス脂肪酸フリーのパーム油に牛脂をブレンドしているとされている。



対応


マクドナルドは、メニューに食材の生産地や食物アレルギー対応[37]を細かく明記している。またシェフでイギリス人としては初めて、かつ歴代最年少でミシュランガイド三ツ星を獲得したマルコ・ピエール・ホワイトは「商品には一貫性があり、価格に対してその品質は優れている。アイルランド産など徹底した品質管理を行なっているにも関わらず、この事実はあまり知られていない。」と意見している[38]



栄養の改善を要請


2011年には、専門家らはマクドナルドに対して、子供を対象とした飲食品に高カロリー、高脂肪、多い砂糖、高塩分のジャンクフードの販売中止、おまけをつける販売の中止、ロナルド・マクドナルドを引退させることを要請している[39]



カリフォルニア州での例


児童肥満対策としてアメリカ・カリフォルニア州は2010年11月、「ハッピーミール」(日本では「ハッピーセット」)など高カロリーでおまけ付き子供用セットメニューの販売を禁じる条例を可決した。この条例はマクドナルドに限らず全てのファーストフードショップに適用される[40]



集団食中毒の発生


マクドナルドの衛生管理については、生産地から店舗までのプロセスごとにHACCPなどの国際規格をベースに厳格な体制が採られている[41]が、2018年、アメリカ・ニューヨーク州などを中心に汚染されたサラダを原因とするサイクロスポーラ症による500人以上の集団食中毒を発生させている[42]



訴訟多発


マクドナルドはそのイメージと著作権、商標に関する訴訟をしばしば起こす。例として100年前からあるような小さな家族経営の店にも、マクドナルドは訴訟を起こしたり、スコットランドにある「マクドナルド」という名称の個人経営のカフェに対する名称使用停止の訴訟がある。


また、マクドナルドは、イギリスの歴史において最も裁判期間の長い民事裁判の記録を持っている。これはしばしば「マクドナルド名誉棄損裁判(英語版)」(McLibel trial) と呼ばれる。これは、ロンドン通りでマクドナルドを中傷するビラを配ったとして、マクドナルドが環境活動家2名を名誉毀損で告訴したもの[43]



労働条件訴訟


2014年3月、アメリカのニューヨーク、カリフォルニア、ミシガンの各州において、無給待機の強制、制服購入費ならびに制服洗濯費などの名目による給与からの天引きによる減額された賃金は、法令で定める最低賃金を下回る違法賃金に当たるとして、従業員から提訴された[44][45]



フランチャイズとの対立


1995年ごろから、マクドナルドのフランチャイズ側は、マクドナルドコーポレーションに不満を抱くようになった。マクドナルドがあまりにもあちこちにフランチャイズ権を与えたので、フランチャイズ店舗同士が競合しあうようになったのである。マクドナルドはこの頃から、フランチャイズ権を与える前に市場への影響調査を行うようになった。



イスラエルとの関係


マクドナルドがイスラエル支援企業だとしてパレスチナ支持派やムスリムにたびたび批判されている。例えば、日本国内のパレスチナ支持派のパレスチナ情報センターは、マクドナルドの元会長兼CEOのジャック・M・グリーンバーグがシカゴのアメリカン・イスラエル商工会議所の名誉会長であることや、マクドナルドがイスラエルを支援する「Jewish United Fund (ユダヤ人基金)」 及び「Jewish Federation (ユダヤ人協会)」の主要な企業パートナーであることを批判している[46]


また、2008年から2009年に行われたイスラエルのガザ紛争では、インドやマレーシアのムスリムグループによりマクドナルドを含んだ「イスラエル支援企業」に対して不買運動が呼びかけられ、マレーシアのマハティール・ビン・モハマド首相も国内のマクドナルドの社員に辞職を呼びかけた。またフランスのパリでは抗議者がマクドナルド店舗の窓を破壊した[47][48][49]。この事件でも見られるように「イスラエル支援企業」として、コカ・コーラやスターバックス、H&Mなどもマクドナルドと同時に批判される場合が多い。



各地域における特徴ある事柄





ブラジル、サンパウロ市の日本人街、リベルダージ内のマクドナルド。
書体が日本のものと違う。




  • ベルギーやスペインなど、ビールを取り扱っている地域もある[30]。スペインではセットメニューのドリンクにてビールを追加料金なしで選ぶことが出来る。


  • ドイツのマクドナルドは主要駅から降りてすぐ、といったところに組み込まれて設置されていることが多いが、値段が高額なためか、集客率は高くない。これはマクドナルドよりも安価にケバブ屋がいることなど、外食産業の幅が移民の解放後非常に広くなったためである。


  • ハンガリーのブダペスト西駅舎内にあるマクドナルドは高級感にあふれ、一般的に日本人のイメージするマクドナルド店舗のイメージからかけ離れている。そのため、「世界一美しいマクドナルド」などとも形容されることがあるが、値段はハンガリーのレストランと変わらないくらい高額になる場合がある。


  • オランダでは独自のハンバーガーのクロケットバーガーやサテバーガー(サテはピーナッツソース)があり、ポテトはマヨネーズつきで、スイーツはオランダのりんごケーキ、アペルタルトと、オランダの有名コーヒー会社のアラビカ100%のこだわりコーヒーであり、オランダの食文化と旧植民地のインドネシアの食文化が融合していて水準は日本と比べ物にならない。普通にシーザーサラダも注文できるが値段は近辺のレストランと同じくらいかそれ以上になる可能性がある。


  • ソ連崩壊後のロシアでは、マクドナルドがタコベルその他を抑え常に満員である。これは誇張ではなく、実際にサンクトペテルブルクの地下鉄近くのマクドナルドのテーブルに、爆弾が仕掛けられたテロが発生している[50]


  • インドでは、ヒンドゥー教の教義で牛肉、食習慣上の理由で豚肉が一般的に使用出来ない為、鶏肉が主なメニューの材料であり、中でも「チキン・マハラジャ・バーガー」は有名である[30]


  • イスラム国家においては、イスラム教におけるハラール認証を受けている。当然のことながら、豚類の提供やアルコール類を使った調理は一切ないが、代替メニューが充実している。


  • インドネシアではご飯とフライドチキンのセットが存在する。これはハンバーガーセットが高額であるのと、安価な鶏肉が人気であるためである。


  • イスラエルでは、ユダヤ教の教義によりチーズバーガーがカシュルートと認められていないため、同国内ではカシュルートに則った店舗と、そうでない店舗が存在する。

  • 「てりやきマックバーガー」は日本マクドナルドで開発された商品で、本家アメリカ合衆国には無いメニューである。当初期間限定メニューとして販売されたが、人気が出たためレギュラーメニューとなり、さらに香港やタイ王国で「サムライポークバーガー」「将軍バーガー」の名称で販売された[30]


  • 菜食主義者向けに「ベジ・バーガー」が準備されている国もある[30]

  • かつて日本にて、米を使用した中華・洋風メニューの「マックチャオ」「エビチャオ」「ハンバーグチャオ」「カツチャオ」や、「お昼のカツカレー」「ビーフカレー」「チキンカレー」といったカレーメニューが1991年・1992年に発売されたことがあった[51]




韓国のマック・バイク




  • 日本および韓国・タイ王国などでは、バイク(マック・バイク)による宅配サービス(マック・デリバリー)もある。


  • デンマークの従業員の時給は、18歳超で最低21ドル、18歳未満で最低15ドル[52]

  • 「日本のマクドナルドが、世界で最もサービスが良い」と、ウォール・ストリート・ジャーナルが評価している。その理由は「仕事中に、ため息を吐くスタッフはいないし、従業員同士の長々としたおしゃべりもない」と報じている[53]。しかし、このような従業員の極端なマニュアル対応は日本以外ではほぼ存在せず、日本以外のマクドナルドが安価には楽しめない外食と位置付けられているなどの環境の違いからきている。


McDonald's公式サイトにあるリンクから世界各国のマクドナルド公式サイトを辿ることで、様々なサービスの違いが確認できる。



スポーツ大会の関係


マクドナルドは、1976年以降近代オリンピックのスポンサー企業を務め、最高位スポンサーシップである「TOPパートナー」での協賛を続けていた。


また選手村の食堂にも進出し、「世界のどこであろうと同じ物を食べられるのが長所」と称している。札幌オリンピックでは、女子スケートのジャネット・リンがホームシックになり「それならアメリカの味を」と、飛行機でハンバーガーを届けている。


2017年6月、2020年までの契約を3年前倒しTOPから撤退すると発表(2018年の平昌大会は韓国国内のスポンサー契約のみ継続)[54]



担当した主な大会




  • FIFAワールドカップ(オフィシャルレストラン)


  • UEFA EURO(オフィシャルスポンサー)



脚注


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  1. ^ abcdefg“Annual Report”. 2017年3月19日閲覧。


  2. ^ “米マクドナルド、イースターブルックCEOによる5つの変化”. IBTimes. 2015年8月30日閲覧。


  3. ^ 食育の時間McDonald's 2012年8月31日 閲覧。


  4. ^ NewsBrief】サンドイッチのサブウェイ、世界店舗数でマクドナルド抜く-The Wall Street Journal 2011年3月8日


  5. ^ セブンイレブン、マクドナルドを抜いてチェーンストア店舗数世界一に - マイコミジャーナル 2007年7月12日

  6. ^ ab山形浩生 / スタバの未来はどこにある - コーヒー戦争 - 山形浩生 COURRiER Japon 2008年3月号


  7. ^ NEXT LEADER【マネジメント基礎講座】ビジネスリーダー必須のマネジメントスキル Page 3


  8. ^ 【『おもしろい会社』が生き残る vol.2】マクドナルドの過去最高益更新に学ぶ - ハルデザインコンサルティング


  9. ^ 藤田田『ユダヤの商法-世界経済を動かす』(ワニの本 ベストセラーシリーズ、1975年)


  10. ^ 『成功はゴミ箱の中に レイ・クロック自伝-世界一、億万長者を生んだ男 マクドナルド創業者』(レイ・クロック/ロバート・アンダーソン[要曖昧さ回避]共著、野崎稚恵/野地秩嘉翻訳、プレジデント社、2007年)


  11. ^ 「レイ・クロック 世界を征服した ハンバーガー帝国建国」ダイヤモンド・オンライン


  12. ^ 個人投資家向け会社説明会/日本マクドナルドホールディングス株式会社 (PDF) JASDAQ 2004年4月


  13. ^ 初代ドナルドは現在のドナルドとまったく似ていなかった! ガジェット通信 2009年2月22日


  14. ^ マック、謎のベールに包まれた誕生と繁栄の秘密…実質的創業者を破綻させた「強欲経営」 | ビジネスジャーナル


  15. ^ “米マクドナルドがアイスランドから撤退へ、金融危機で採算取れず”. ロイター. (2009年10月27日). http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-12127220091027 2011年2月14日閲覧。 


  16. ^ “マクドナルド撤退のアイスランド、最後の「マック」に顧客が殺到”. AFP. (2009年11月1日). http://www.afpbb.com/article/economy/2658375/4836934 2011年2月14日閲覧。 
    “アイスランド、マクドナルドの最終営業日前に大行列”. ロイター. (2009年11月1日). http://jp.reuters.com/article/oddlyEnoughNews/idJPJAPAN-12232820091101 2011年2月14日閲覧。 



  17. ^ McDonald's - Weblio英和和英
    参考:各地域のネイティヴスピーカーによるMcDonald'sの発音(forvo)



  18. ^ マクドHDの表記が確認出来る。[1]

  19. ^ ab“「マック」か「マクド」か マクドナルド「略称」論争再燃(2)”. J-CAST. (2010年7月1日). http://www.j-cast.com/2010/07/01070003.html?p=2 2010年7月6日閲覧。 


  20. ^ マック? マクド? 正しい呼び方をマクドナルドに聞いてみた! - ROCKETNEWS24 2010年7月21日


  21. ^ マクドナルド、関西ではなぜ「マクド」? - 日本経済新聞 2012年1月28日


  22. ^ 『新 日本語の現場』方言の今 *1 (読売新聞東京本社、2005年11月9日付)


  23. ^ マクドナルドの呼び方に異変! 関西若年層の間で「マクド」離れ進む - ROCKETNEWS24 2012年1月30日

  24. ^ ab店舗でのサービス 日本マクドナルドHD


  25. ^ 日本マクドナルドホールディングス(2005年) (PDF) JMR生活総合研究所


  26. ^ 「チャレンジ!!60秒サービスキャンペーン」餅が浜店で先行開始 日本マクドナルドHD 2003年7月

  27. ^ abc日本マクドナルド、「厨房革命」で起死回生狙う (アーカイブ)日経BPネット 2002年11月11日


  28. ^ Tomi Kilgore (2014年7月4日). “調査でマックのハンバーガー「一番まずい」―株価にも影響か”. ウォール・ストリート・ジャーナル. http://jp.wsj.com/news/articles/SB10001424052702304174304580008140580963532 2014年7月4日閲覧。 


  29. ^ 品質について - よくあるご質問 日本マクドナルド

  30. ^ abcdefどこまで知ってる?世界のマクドナルド事情 - 1 / 2 / 3 / 4 / 5 All About 2007年1月17日


  31. ^ 上海の期限切れ肉 米国系企業と伝えず報道(2014.7 GoHoo)


  32. ^ チキンナゲットの2割調達=期限切れ肉使用工場から—日本マクドナルド 時事通信社(The Wall Street Journal)


  33. ^ ファミマとマクドナルド、チキンの一部販売停止 中国製、期限切れ疑いで 日本経済新聞

  34. ^ abcdマック×LINE 「アメリカンヴィンテージ」対象商品購入で限定スタンプがもらえる! - えん食べ


  35. ^ 日本マクドナルド「NIPPON ALL STARS」キャンペーンに登場するナゾの米国人「Mr.ジェームス」とは!? J-CAST 2009年8月10日


  36. ^ Julie Jargon マクドナルドに「ジャンクフード販売」中止要請―ロナルドにも引退勧告(ウォール・ストリート・ジャーナル日本版、2011年5月18日)


  37. ^ 外部リンク


  38. ^ “3/1 「下手なレストランより優秀」――元ミシュラン三ツ星シェフが「マクドナルド」を絶賛”. JAPAN JOURNALS LTD.. 2007年3月14日時点のオリジナルよりアーカイブ。2007年3月6日閲覧。


  39. ^ Julie Jargon マクドナルドに「ジャンクフード販売」中止要請―ロナルドにも引退勧告(ウォール・ストリート・ジャーナル日本版、2011年5月18日)


  40. ^ 肥満防止でマックのおまけ禁止 米、条例を可決 共同通信2010年11月10日


  41. ^ “安全・安心への取り組み”. マクドナルド. 2018年9月1日閲覧。


  42. ^ “米で500人以上が食中毒、マクドナルドのサラダに寄生虫”. CNN (2018年8月24日). 2018年9月1日閲覧。


  43. ^ The McLibel TrialMcSPOTLIGHT


  44. ^ “待機時間も給与支払いをと提訴 米マック従業員訴”. 共同通信. 47NEWS. (2014年3月14日). http://www.47news.jp/CN/201403/CN2014031401001503.html 2014年3月14日閲覧。 


  45. ^ “米マック従業員 3州で一斉提訴”. 東京新聞. (2014年3月14日). http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/news/CK2014031402000239.html 2014年3月14日閲覧。 


  46. ^ パレスチナ情報センター


  47. ^ Calls for boycott of Israel at Dublin protest(アイリッシュ・タイムズ、2009年1月17日)


  48. ^ Starbucks, McDonald’s, Coca-Cola Face Boycotts Over Gaza Attacks(BNET FOOD、2009年1月12日))


  49. ^ Fatwa for boycott Israeli goods(ザ・タイムズ・オブ・インディア、2009年1月18日)


  50. ^ 外部リンク


  51. ^ 日本マクドナルド/沿革 (インターネットアーカイブ)


  52. ^ “ブログ:マクドナルドで時給2100円稼げる国”. ロイター (ロイター通信社). (2014年5月16日). http://jp.reuters.com/article/jp_blog/idJPKBN0DW0NR20140516 2014年5月19日閲覧。 


  53. ^ OLIVER STRAND (2014年5月3日). “外国人感銘させる日本の「おもてなし文化」―至れり尽くせりのサービス” (日本語). ウォール・ストリート・ジャーナル. http://jp.wsj.com/articles/SB10001424052702303493804579538982070488444 2016年5月28日閲覧。 


  54. ^ マクドナルドが契約解除。「五輪スポンサー」という名誉と打算 2017年6月17日、日刊工業新聞




文献



  • アンドルー・F・スミス『ハンバーガーの歴史〜世界中でなぜここまで愛されたのか?』(ブルース・インターアクションズ、2011年)ISBN 978-4-86020-417-4

  • モーガン・スパーロック『スーパーサイズ・ミー』(2004年)



関連項目



  • 日本マクドナルド

  • 『スーパーサイズ・ミー』

  • 『ファストフードが世界を食いつくす』

  • 『ファーストフード・ネイション』

  • ビッグマック指数

  • マックジョブ

  • 朝マック

  • マクドナルド・コーヒー事件

  • マクドナルドの都市伝説

  • ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ

  • マック (映画)



外部リンク








  • McDonald's(英語)

  • 日本マクドナルド













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