原油
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原油(げんゆ)は油田から採掘したままの状態で、精製されていない石油をいう。
埋蔵状態としては、油田(地下)、オイルシェール(地下の頁岩に含まれる。)、タールサンド、レークアスファルト等がある。
特に2000年代になってタイトオイル (一般にシェールオイルと呼ばれる) を水圧破砕法で取り出す技術がアメリカで開発され、「シェール革命」と言われるほどの産出量になっている。
目次
1 概要
2 歴史
3 公害・環境問題
4 埋蔵量
4.1 2014年
5 生産量
6 貿易
7 消費量
8 単位
9 用語
10 原油先物市場
11 2002年からの価格動向
12 出典
13 関連項目
14 外部リンク
概要
採掘後、ガス、水分、異物などを大まかに除去したものが原油である。黒くて粘り気のある液体であり、様々な分子量の炭化水素の混合物が主成分である。他に硫黄、酸素、窒素を含む化合物を少量含む。組成は炭素が83-87%、水素が11-14%、硫黄が5%以下、その他の元素は2%以下である。比重は0.8-0.98。
原油は鉄鉱石や石炭と並んで主要な鉱物資源である。スウィート・オイル(甘い原油)は軽質(API比重30.42度)で、かつ低硫黄だが、世界的に極めて種類が少ない[1]。サワー・オイルは硫化水素が 0.04モル%以上含まれており悪臭があるとされ、ほとんどの中東産とウェストテキサス、ニューメキシコ、カンザスから産出される原油はこれに該当する。
2001年時点で全輸出量の約5割を占めるOPEC加盟国だけでも、輸出によって2,100億ドル以上を得ている。以下に、埋蔵量、産出量、貿易、消費についてまとめた。統計資料には石油開発資料2003とEnergy Statistics Yearbook 2001を用いた。
歴史
原油は古くから日常生活に利用されてきた。例えば紀元前3000年ごろのエジプトのミイラには防腐剤として天然のアスファルトが用いられている[2]。このほか、薬剤、建築物の詰め物のほか、一時的な灯火としても利用された。いずれも地表に染み出してきた原油、アスファルトを採取して利用していた。
中世において最も大規模に原油を利用していたのはアゼルバイジャンのバクーである。地表だけでなく、35mの深さまで掘り下げられた油井から原油を採取していた。
原油が資源として大量利用されるようになったきっかけは19世紀半ばに鯨油に代わって灯油がランプ油として利用されるようになってからである。また1858年にはルノアール・エンジンも発明され、需要が伸びるにつれ採掘の必要性が高まり、アメリカ合衆国のドレーク(en:Edwin Drake)は、ペンシルベニア州に初の油井を建造、1859年8月に原油の採取に成功した。
日米貿易は1853年の日米和親条約に始まるが、1879年には、アメリカ人で商船J. A.トムソンの船長チャールズ・ロジャースが、知人に頼まれ日本の物産を購入する際に、新たな市場としての日本へ貨物として、精製した石油を届けている[3]。
公害・環境問題
埋蔵量
現在の技術で、経済的に採取できる埋蔵量を確認埋蔵量と呼ぶ。技術の進歩や石油価格の上昇などによる損益分岐点の変動が起こると、確認埋蔵量が増える。したがって、確認埋蔵量は新しい油田の発見がなくても変化する。ある時点における確認埋蔵量をその時点における年間消費量で割った値を可採年数と呼ぶ。2003年時点での確認埋蔵量は全世界で190 GL。地域分布は偏っており、アジア州、特に中東地域が56.5%を占める。ついで北アメリカ州の17.9%、ヨーロッパ州と南アメリカ州の8.0%である。埋蔵量と産出量を比較すると、カナダ、イラク、アラブ首長国連邦など埋蔵量が上位10位に入りながら、産出量が比較的低い国が確認できる。
2014年
BPによる[4][5]。単位は億バレル(かっこ内は世界シェア)
- 1位 ベネズエラ 2983.5(17.5%)
- 2位 サウジアラビア2670.0(15.7%)
- 3位 カナダ 1729.2(10.2%)
- 4位 イラン 1578.0(9.3%)
- 5位 イラク 1500.0(8.8%)
- 6位 ロシア 1031.6(6.1%)
- 7位 クウェート 1015.0(6.0%)
- 8位 UAE 978.0(5.8%)
- 9位 アメリカ 484.5(2.9%)
- 10位 リビア 483.6(2.8%)
- 11位 ナイジェリア 370.7(2.2%)
- 12位 カザフスタン 300.0(1.8%)
- 13位 カタール 257.1(1.5%)
- 14位 中国 184.8(1.1%)
- 15位 ブラジル 161.5(1.0%)
- 16位 アンゴラ 127
- 17位 アルジェリア 122
- 18位 メキシコ 111
- 19位 エクアドル 80
- 20位 アゼルバイジャン 70
- 21位 ノルウェー 65
- 22位 インド 57
生産量
2009年時点の1日あたり生産量の上位10カ国を以下に挙げる[6]。なお、日本産の原油については、石油#日本の石油事情を参照のこと。
- ロシア 1003万バレル
- サウジアラビア 971万バレル
- アメリカ合衆国 720万バレル
- イラン 422万バレル
中華人民共和国 379万バレル- カナダ 321万バレル
メキシコ 298万バレル- アラブ首長国連邦 260万バレル
- イラク・クウェート 248万バレル
2014年[7]。単位は「万バレル/日」
- アメリカ 1397.3(主要7地域からのタイトオイル生産量約400万バレル)
- サウジアラビア 1162.4
- ロシア1085.3
- 中国 452.6
- カナダ 438.3
- UAE 347.1
- イラン 338.0
- イラク 337.1
- ブラジル 295.0
- メキシコ 281.2
貿易
2004年時点の全世界の輸入量は、産出量の60%に相当する21億5000万トンである。
アメリカ合衆国 5億4,000万トン、25.1%
日本 2億トン、 9.3%
中華人民共和国1億2,300万トン、5.7%
大韓民国 1億1,300万トン、5.2%
ドイツ 1億1,000万トン、5.1%
インド 9,500万トン、4.4%
イタリア 8,700万トン、4.0%
フランス 8,500万トン、3.9%
スペイン 5,900万トン、2.7%
イギリス 5,600万トン、2.6%
2004年時点の全世界の輸出量は、20億9,400万トンである。
- サウジアラビア 3億6,500万トン、17.4%
- ロシア 2億5,800万トン、12.3%
- ノルウェー 1億3,200万トン、6.3%
- イラン 1億2,200万トン、5.8%
- ナイジェリア 1億1,800万トン、5.6%
- アラブ首長国連邦 1億0,800万トン、5.2%
- メキシコ 1億0,500万トン、5.0%
ベネズエラ 9,400万トン、4.5%- イラク 7,500万トン、3.6%
- クウェート 7,400万トン、3.5%
2015年の全世界の輸出入量は19億7,700万トン (3971万バレル/日)である。
輸入 (単位:バレル)
- 日本 322万/日 (2018年4月)
- 米国 735万/日
- カナダ 66万/日
- メキシコ 0万/日
- ロシア 6万/日
- 中国 674万/日
- 中東 16万/日
- 欧州 980万/日
- アフリカ30万/日
輸出 (単位:バレル)
- 米国 49万/日
- カナダ20万/日
- メキシコ120万/日
- ロシア 512万/日
- 中国 6万/日
- 中東
- 欧州 20万/日
- アフリカ573万/日
消費量
- 2009年時点の1日あたり石油消費量の上位10カ国を挙げる[8]。
- アメリカ合衆国 1869万バレル
- 中国 863万バレル
- 日本 440万バレル
- インド 318万バレル
- ロシア 270万バレル
- サウジアラビア 261万バレル
- ドイツ 242万バレル
- ブラジル 241万バレル
- 韓国 233万バレル
- カナダ 220万バレル
- 2013年時点の1日あたり石油消費量の上位10カ国を挙げる[9]。
- アメリカ合衆国 1889万バレル
- 中国 1076万バレル
- 日本 455万バレル
- インド 373万バレル
- ロシア 331万バレル
- サウジアラビア 308万バレル
- ブラジル 297万バレル
- 韓国 246万バレル
- カナダ 239万バレル
- ドイツ 238万バレル
単位
世界の原油取引の単位は通常、バレル(barrel)が使用されている。英語のバレルは樽の意味で、ドラム缶普及以前は樽に入れて運ばれていた名残である。バレルにはいくつか異なる尺度が存在するが、石油用の1バレルは約159リットルの体積を表す。原油の量を表す単位としてキロリットルやトンも使われる。
用語
- 原油換算
- 異なるエネルギー量を共通の尺度で比較するため、原油の量に換算したもの。1,000万kJを原油0.258kLと換算している。
原油先物市場
世界的な原油価格は商品先物市場での取引価格が1つの指標として採用されており、これを基準に、原油品質や引き渡し地といった個別取引での事情が加味されて価格形成される。また主要産油国の世界の中での相対的国力も原油価格に微妙に影響してくる。基本的に産油国は原油高が継続するよう様々な政治活動をするためである。商品先物取引での価格は、原油の需給バランスや投機資金の流入流出によって形成される将来価格の予測となって現れる。
ただ、先物取引量と現物の量の違いが大きすぎて、先物価格と現物価格が乖離することがある。
- 主要市場例
ニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX): テキサス州産原油(ウェスト・テキサス・インターミディエイト, WTI原油)を代表的な石油商品とする
ロンドン国際石油取引所(ICE): 北海原油(「北海ブレント」)を代表的な石油商品とする
東京商品取引所(TOCOM): ドバイ原油及びオマーン原油の平均価格を指標とする中東産原油を対象とする現金決済先物取引(2015年5月限まで適用)。ドバイ原油の(平均)価格を指標とする中東産原油を対象とする現金決済先物取引(2015年6月限から適用・通称 ドバイ原油)。
2002年からの価格動向
ニューヨーク商業取引所でのWTI原油価格は2002年夏頃まで1バレル(約159リットル)が20ドル前後で低迷していたが、アメリカ合衆国のイラク侵攻の可能性が高まるにつれて上昇に転じた。2003年春の開戦直前に1バレル40ドルを付けた後、下落に転じた。米軍のイラク占領後も原油輸出が回復せず再び上昇に転じた。また中国の石油需要が高まったために原油価格は下げにくくなった。また主要産油国となっているロシアの大手石油会社ユコスに倒産の可能性が高まったことから高値を付け、2004年のアイバン、2005年のカトリーナなどのハリケーンによって米国の精油所が被害を受けたことや産油国ナイジェリアで反乱が拡大したことから2004年9月28日に標準原油価格が1バレル50ドルを突破した。その後、2008年には初めて1バレル100ドルに到達した。2008年7月11日には一時1バレル147.27ドルの最高値をつけたが、9月15日には1バレル100ドルを割るまでに急落した。その後9月22日には1バレル120ドル台にまで急騰したが、リーマン・ショックに端を発する世界的な金融・経済不安を背景に12月18日には1バレル40ドルを割るまでに暴落した。この乱高下には投機マネーが大きく影響していると考えられている。そして、景気指標の改善と共に2011年中頃の110ドル超えまで原油価格は上昇して行った。その後、上下動を繰り返し、中国の成長率鈍化が伝えられ始めた、2014年5月の107ドル付近から急速に下降を始め、2015年1月13日には44ドル付近となっている。(逆オイルショック)
出典
^ http://oilgas-info.jogmec.go.jp/dicsearch.pl?sort=KANA&sortidx=1&target=KEYEQ&freeword=%E3%82%B9%E3%82%A6%E3%82%A3%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%BB%E3%82%AA%E3%82%A4%E3%83%AB
^ アスファルト利用の歴史,日本アスファルト協会
^ 『Charles Jabez Rogers, Captain』、メイン州海事博物館。
^ 世界の国別原油埋蔵量、トップはサウジでは無く…… Yahoo ニュース2015年7月23日
^ Energy economics>Statistical Review > Oil: review by energy type> Oil reserves BP
^ 1日あたりの原油の生産量の多い国 外務省公式サイト
^ International Energy Statistics U.S. Energy Information Administration (EIA)
^ 1日あたりの石油の消費量の多い国 外務省公式サイト
^ BP Statistical Review of World Energy 2014 - Oil:Consumption, 2013(「BP世界エネルギー統計2014」(石油消費(2013年))))外務省公式サイト
関連項目
- 石油
- 天然ガス
- オイルサンド
- オイルシェール
- 油田
- ガス田
- 油井
- 石油プラットフォーム
- オイルマネー
- 重油
- 軽油
- ガソリン
- 灯油
- 石油流出
- 原油価格
外部リンク
- 東京工業品取引所相場表
- Yahoo!ニュース - 原油価格動向