埼京線
埼京線 | |||
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主力車両E233系7000番台 (2013年7月5日 与野本町駅) | |||
基本情報 | |||
国 | 日本 | ||
所在地 | 東京都、埼玉県 | ||
起点 | 大崎駅 | ||
終点 | 大宮駅 | ||
駅数 | 19駅 | ||
経由路線 | 山手貨物線、赤羽線、東北本線 | ||
路線記号 | JA | ||
開業 | 1985年9月30日 | ||
所有者 | 東日本旅客鉄道(JR東日本) | ||
運営者 | 東日本旅客鉄道(JR東日本) | ||
車両基地 | 川越車両センター、東臨運輸区 | ||
路線諸元 | |||
路線距離 | 36.9 km | ||
軌間 | 1,067 mm | ||
線路数 | 複線 | ||
電化方式 | 直流1,500 V 架空電車線方式 | ||
閉塞方式 | 自動閉塞式(大崎駅 - 池袋駅間) 移動閉塞式(池袋駅 - 大宮駅間) | ||
保安装置 | ATS-P(大崎駅 - 池袋駅間) ATACS(池袋駅 - 大宮駅間) | ||
最高速度 | 100 km/h | ||
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埼京線(さいきょうせん)は、東京都品川区の大崎駅から新宿区の新宿駅、豊島区の池袋駅、北区の赤羽駅、埼玉県さいたま市南区の武蔵浦和駅を経由し、同市大宮区の大宮駅までを直通運転する、東日本旅客鉄道(JR東日本)の運転系統の通称である。大崎駅 - 新宿駅 - 池袋駅間は山手線(山手貨物線)、池袋駅 - 赤羽駅間は赤羽線、赤羽駅 - 武蔵浦和駅 - 大宮駅間は東北本線支線(別線)を走行する。駅ナンバリングで使われる路線記号はJA。
目次
1 概要
2 歴史
2.1 通勤新線建設計画
2.2 通勤新線の構想と実際の施設
2.3 埼京線開業後
2.4 年表
3 運行形態
3.1 列車種別
3.2 運行ダイヤ
3.2.1 日中の運転パターン
4 使用車両
4.1 現在の使用車両
4.2 過去の使用車両
5 沿線概況
5.1 赤羽駅 - 武蔵浦和駅間
5.2 武蔵浦和駅 - 大宮駅間
6 データ
6.1 路線データ
6.2 混雑率の推移
6.3 駅一覧
7 運賃計算上の特例
8 エピソード
8.1 「埼京線」の命名
8.2 当時の沿線住民の反対運動
8.3 板橋駅・十条駅に通勤快速が停車する根拠
9 埼京線開業後のトラブルや諸問題
9.1 開業初日のトラブル
9.2 騒音問題
9.3 痴漢の多発及び対策
10 今後の予定
10.1 終電の繰り下げ
10.2 連続立体交差事業
10.3 相模鉄道・JR線直通運転事業
11 脚注
11.1 注釈
11.2 出典
12 参考文献
13 関連項目
14 外部リンク
概要
埼京線は東京地区の電車特定区間内の運転系統の一つであり、渋谷・新宿・池袋など都心の山手線西側の各地、埼玉県南部の都市とを結んでいる。昭和後期に埼玉県南部の人口密集地に東北新幹線高架を建設するのに伴い、これに並設する形で「通勤新線」または「通勤別線」という通称の在来新線を同時に建設し、この新線と既存の赤羽線を接続して、埼玉県南部と赤羽駅・板橋駅を経由して池袋駅とを結ぶ新路線として設置されたものである。その後山手貨物線への乗り入れ開始により新宿駅、恵比寿駅と徐々に区間が延伸され、2002年(平成14年)からは大崎駅を介して東京臨海高速鉄道りんかい線と相互直通運転も行われている。また大宮以北では川越線川越駅まで直通運転を行っている。
「埼京線」とは、複数の鉄道路線にまたがって直通運行される本路線の案内上付与された運転系統名であり、「埼京線」という線路名称が正式には存在していない。埼京線を構成する鉄道路線の正式名称は、大崎駅から池袋駅までが山手線(山手貨物線)、池袋駅から赤羽駅までが赤羽線、赤羽駅から大宮駅までが東北本線の支線(別線)である。JR東日本は、自社ウェブサイト上で池袋駅 - 赤羽駅間を「赤羽線」としても案内し、赤羽線の4駅の所属路線に赤羽線と埼京線の両方を含めている[1]。また、『JR時刻表』の埼京線の項目においても、新木場駅 - 大崎駅間は東京臨海高速鉄道りんかい線、大崎駅 - 池袋駅間は山手線、池袋駅 - 赤羽駅間は赤羽線、赤羽駅 - 大宮駅間は東北本線、大宮駅 - 川越駅間は川越線と正式路線名に従って案内されている。『JTB時刻表』の「東京近郊区間(埼京線・川越線)」の頁においては、新木場駅 - 大崎駅間は新木場駅と天王洲アイル駅のみ記載[* 1]、大崎駅 - 大宮駅間は埼京線、大宮駅 - 川越駅間は川越線として案内されている。
路線案内に用いられるラインカラーは緑(■)が使用されている。2016年10月より導入された駅ナンバリングは、りんかい線からの続き番号となっており、起点の大崎駅はJA08(りんかい線はR08)が付与され、以降恵比寿駅はJA09、渋谷駅はJA10…と続く[2]。
歴史
本節では、埼京線が計画された当時からの歴史を「通勤新線建設計画」「通勤新線の構想と実際の施設」「埼京線開業後」の小節に分けて記述する。なお、埼京線開業以前の赤羽線区間については、赤羽線#歴史を参照。(本節全体の出典…[3][4][5][6])
通勤新線建設計画
1970年代当時の国鉄は、東京周辺の人口増加に対し輸送力が追いつかず、〝通勤地獄〟とも呼ばれラッシュ時の混雑緩和が急務となっていた。そこで、国鉄は通勤五方面作戦と総称される混雑緩和策を講じて、線路増や編成長増大などを行い、その一環として東北本線の赤羽駅 - 大宮駅間における客貨分離運転を行い、列車増発などで対応していった。しかし、その後の人口の外延化に伴い東北・高崎線の輸送量は増大し、さらなる輸送力の増強が求められた。一方で、東北・上越新幹線の建設工事は、運輸省(当時→現・国土交通省)から認可が下りた1971年(昭和46年)10月1日から建設工事に着手することになった。当初、東北・上越新幹線の建設計画では赤羽 - 大宮間のうち埼玉県内を地下化とする予定であった。しかし1973年(昭和48年)3月10日、地下化によるトンネル建設案は地盤の問題を理由に難しいとされ、「通勤新線」[* 2]を併設した形での高架化案が運輸省を通じて埼玉県知事などに示された。この提案は、地元が高架化案を受け入れた場合の「見返り」としての提案でもあった。だが、高架橋による新幹線の建設案は、当時東海道・山陽新幹線沿線での騒音問題が生じていたこともあり、既に起きていた沿線住民(戸田・浦和・与野3市と東京都北区)による強力な反対運動の更なる活発化を招き、埼玉県は高架化の提案を拒否した(詳細は後述)。その後の国鉄と地域との間の交渉の中で、国鉄側が東北・上越新幹線の騒音問題に対する措置をとることや、通勤新線の建設を正式に表明したことを受け、沿線の自治体がラッシュ緩和や通勤時の交通利便性の向上と「通勤新線」の快速の停車を国鉄に要望、住民側からも新線の期待が次第に高まったことから、沿線自治体も新線併設を条件に新幹線建設賛成に舵を切り、それらの要望などの具現化を盛り込んだ建設計画がようやく合意され、国鉄は東北新幹線大宮駅 - 東京駅間の建設開始とともに「通勤新線」赤羽駅 - 武蔵浦和駅 - 大宮駅 - 宮原駅間 (22.0km) の建設認可を1978年(昭和53年)11月に申請、同年12月に認可されて建設工事が開始された。
通勤新線の構想と実際の施設
当初、通勤新線は赤羽駅 - 宮原駅間を建設し、高崎線に乗り入れて新宿駅へ直通させる構想で、1985年の運輸政策審議会答申第7号でも宮原延伸が計画されていた。当時の地図付録の路線図などにも予定線が大宮から宮原に延びて記されている。新たに建設される赤羽駅 - 大宮駅間は、赤羽台トンネルと地下の大宮駅付近を除き、全面高架で新幹線と一体となった構造で、中間には10駅を設置、当初から快速電車の運転を考慮して、2駅(戸田公園駅と南与野駅)の外側に通過線を設けた1面4線とした。また、武蔵野線と接続駅となる武蔵浦和駅は、緩急接続ができるように2面4線の構造とした[* 3]。しかし、埼京線の車両基地用地として候補に挙がっていた戸田駅付近の用地買収が難航し、宮原駅周辺でも用地買収の面から反対運動が起こったため、将来用地の拡大が容易な南古谷駅付近に車両基地(川越電車区→現・川越車両センター)を建設することになり、同時に沿線人口が伸び続け、通勤路線として活発化が期待できるとして、当時非電化だった川越線を電化することになった。よって、こちらの工事を優先する必要性に迫られ、大宮駅 - 宮原駅間の建設は中止となったが、大宮駅 - 日進駅間の高崎・川越線並走区間で川越線側にトンネル用地や合流用地がある。さらに、高崎線の大宮駅 - 宮原駅間も立ち退きがほぼ完了し、複々線化用地がほぼ確保されていた。なお、当初の構想であった高崎線の池袋・新宿直通は、JR発足後に東北・山手貨物線を利用して実現し、のちの湘南新宿ラインへと発展している。これを受けて2000年の運輸政策審議会答申第18号からも計画が削除され、高崎線の複々線化用地も住居や駐車場などへの転用が始まっている[* 4]。なお、埼京線開業前に同地域に存在した鉄道建設計画については都営地下鉄三田線#建設経緯を参照。
埼京線開業後
1985年(昭和60年)9月30日、ついに埼京線は開業の日を迎え、同時に川越線大宮駅 - 高麗川駅間も電化開業した。運転区間は池袋駅 - 川越駅間で、最短44分(通勤快速)で結び、それまで赤羽駅、大宮駅で乗り換えを含め69分かかっていた同区間の大幅な短縮効果は大きく、開業日のラッシュ時の乗車率は150%を記録した。一方で、混雑の激しかった京浜東北線は、埼京線に乗客が移行したことで、約30%減(浦和駅)[7]となり、埼玉県南部から都内への通勤の足が大きく改善された。開業直後の使用車両は103系で、列車の運行形態は、平日朝夕ラッシュ時のみの通勤快速と平日昼間及び休日は終日の快速、各駅停車の3本立てで、通過運転を行う赤羽駅 - 大宮駅間では、通勤快速が武蔵浦和駅のみ停車、快速が戸田公園駅・武蔵浦和駅・与野本町駅とされた。この形態は、開業から現在まででも変化はない。順調なスタートを切ったと思われる埼京線であるが、開業初日には導入したPRC(自動制御装置)のシステム不具合が生じてダイヤ乱れのトラブルや、赤羽駅 - 大宮駅間を走行する103系電車の騒音問題、後年では、痴漢の多発などの問題が生じた(これらの詳細は後述)。
1986年3月3日には、山手貨物線へ乗り入れ、新宿駅まで運行区間を延伸、新宿駅の貨物発着線にホームを1面(現:1・2番線ホーム)と引上線1線を新設、朝夕ラッシュ時は全列車新宿発着として、山手線の混雑緩和と池袋駅 - 新宿駅間の輸送力増強を図った。この新宿延伸は埼京線開業当時から予定されていたもので、池袋から先の延長を求める声は、開業前の1980年(昭和55年)から新宿区や地元商工団体などが国鉄に通勤新線の延長を求める声は上がっていた。翌1981年(昭和56年)には渋谷区が渋谷駅まで、さらに翌年の1982年(昭和57年)には目黒区が恵比寿駅までの延長を要望した。いずれも山手貨物線を旅客転用して延伸する要望であったが、山手貨物線大崎駅 - 渋谷駅 - 新宿駅 - 池袋駅間旅客転用は1980年(昭和55年)の運輸政策審議会答申第7号にも「昭和75年(2000年)までに整備することが適当」とされる路線に盛り込まれた。1987年(昭和62年)4月1日に国鉄分割民営化により東日本旅客鉄道(JR東日本)に継承され、車両は国鉄時代そのままに103系が使用されていた。しかし、赤羽駅 - 大宮駅間を走行時の騒音問題の解決や他線の老朽置き換えを目的として103系を205系へ置き換えることになり、1989年(平成元年)7月1日から205系の運転を開始、1990年12月1日までに10両編成×23本が新製投入され、これをもって103系の運用が終了した。103系は山手線と同じ黄緑6号だったが、205系の車体帯は深みのあるグリーン(緑15号[* 5])となり、この色はE233系7000番台も踏襲している。また、新製投入時の車両の主電動機は冷却ファンをケース内に収めた「内扇形」[* 6]であり、103系時代より低騒音化が図られた。
新宿駅延伸から約10年後の1996年(平成8年)3月16日に恵比寿駅へ延長され、渋谷駅及び恵比寿駅にホーム1面を新設、これも山手貨物線を旅客転用したもので、延長当初のダイヤでは、朝ラッシュ時1時間あたり9本、日中同3本、夕方ラッシュ時は同6本が恵比寿駅発着とされた。この延長の目的は、新宿から渋谷方面の山手線混雑緩和であったが、その効果は絶大で、それまで240%超を記録していた山手線代々木駅 - 原宿駅間の混雑率が200%程度まで低下、この結果山手線複々線化と同等の効果をもたらし、池袋駅から新宿駅・渋谷駅方面への輸送力が増強された。なお、恵比寿駅に到着した列車は、そのまま折り返すと成田エクスプレスや湘南新宿ラインなどの山手貨物線を走行する列車の運行に支障を来たすため、大崎駅構内まで回送されそこで折り返していた。さらに、2002年(平成14年)12月1日に大崎駅へ延長され、それと同時に天王洲アイル駅 - 大崎駅間を延伸開業した東京臨海高速鉄道りんかい線との相互直通運転を開始、それまで連絡がやや不便であった新宿・渋谷などと臨海副都心の間を乗り換えなしで直結、新宿駅 - 東京テレポート駅間を約23分、渋谷駅 - 同駅間を約17分で結び、臨海部へのアクセスが大幅に向上した。当初の直通列車は平日・土曜・休日共に1日46往復が設定され、りんかい線の70-000形が埼京線内へ姿を現すようになった。この際に、大崎駅はホーム2面が新設され、主に外側(5番線、8番線)を直通列車や湘南新宿ラインが、内側(6・7番線)を大崎始発列車が使用した。その後は、山手線にE231系500番台が導入されることに伴い、最初は導入前の2001年(平成13年)8月6日に6扉車(サハ204-902)を試験的に連結、2002年(平成14年)以降は、既存の10両編成の付随車2両(サハ205形)を抜き取り、代わりに山手線から捻出された6扉車サハ204形2両連結する組替や山手線からの転入編成により、2008年(平成18年)までに、32編成中26編成に6扉車が組み込まれ、最も混雑の激しい2・3号車に連結された。さらに、埼京線ではJR初の女性専用車両や防犯カメラの設置(詳細は後述)、そして2013年(平成25年)6月30日からE233系7000番台の運転開始に伴い、これまで運用されていた205系を置き換えたが、後述のATACS導入に伴う予備編成確保のため、205系は10両編成×1本が残存した。2017年(平成29年)11月4日に池袋駅 - 大宮駅間の保安装置をATC-6型からATACSに置き換え、その装置取付のための予備編成として残っていた205系は2016年(平成28年)10月27日をもって運用を終了した。また、同年8月には駅ナンバリングの導入を開始している。
年表
1971年(昭和46年)10月1日:東北・上越新幹線建設工事認可。それに伴い、沿線住民による東北新幹線建設反対の住民運動組織が結成される。
1973年(昭和48年)3月10日:東北・上越新幹線赤羽 - 大宮間の埼玉県内を地下化を断念。「通勤新線」を併設した形での高架化案を運輸省(当時の運輸政務次官である佐藤文生)が発表。
1978年(昭和53年)
- 11月22日:沿線自治体及び住民側との新幹線及び「通勤新線」建設の合意がなされ、「通勤新線」赤羽駅 - 武蔵浦和駅 - 大宮駅 - 宮原駅間の建設認可申請。
- 12月16日:「通勤新線」赤羽駅 - 武蔵浦和駅 - 大宮駅 - 宮原駅間建設認可。
1985年(昭和60年)
- 7月11日:国鉄は「埼京線」と命名したことを発表[9]。
- 9月30日:東北本線支線赤羽駅 - 武蔵浦和駅 - 大宮駅間 (18.0km) が新規開業。赤羽線と合わせて池袋駅 - 大宮駅間が埼京線として運行開始、同時に川越線川越駅までの直通運転開始。当時は全列車に103系を使用。
1986年(昭和61年)3月3日:山手貨物線に乗り入れ、新宿駅へ延伸開業。
1987年(昭和62年)4月1日:国鉄分割民営化により東日本旅客鉄道(JR東日本)に継承。
1989年(平成元年)7月1日:205系を投入[10] 。
1990年(平成2年)12月1日:103系の運用を終了し、全電車が205系での運行に。
1996年(平成8年)3月16日:恵比寿駅へ延伸開業[11]。渋谷駅と恵比寿駅にホーム新設。
2001年(平成13年)
- 7月2日:新宿発深夜23時以降の下り電車に女性専用車両が設定される。通勤型電車への女性専用車両の導入はJRの路線で初めて。
- 8月6日:6扉車(サハ204-902)を試験的に連結開始(205系第8編成の2号車)。
2002年(平成14年)12月1日:大崎駅へ延伸。同時に東京臨海高速鉄道りんかい線との相互直通運転を開始。
2004年(平成16年)12月:新宿区の鉄道模型メーカー関水金属の広告ラッピング車両「KATO TRAIN」を運行開始[* 7]。
2005年(平成17年)
- 4月4日:女性専用車両を朝のラッシュ時にも設定。朝のラッシュ時の女性専用車両の運行はJR東日本では初めてとなった。
- 7月31日:埼京線内全駅に東京圏輸送管理システム (ATOS) が導入される。
- 10月2日:大宮駅(埼京線ホーム) - 大崎駅 - 新木場駅 - 南船橋駅 - 大宮駅(宇都宮・高崎線ホーム)の経路で団体臨時列車「埼京線開業20周年記念号」が第32編成で運転される。
2006年(平成18年)3月20日:女性専用車両をりんかい線からの直通下り電車にも設定。
2009年(平成21年)12月28日:205系1編成の1号車に防犯カメラを設置。
2011年(平成23年)3月14日:東京電力が計画停電を実施。これに伴い、川越線・りんかい線との直通運転を終日中止。
2013年(平成25年)6月30日:E233系7000番台を導入開始[13][14]。
2015年(平成27年)3月14日:ダイヤ改正により、日中時間帯の赤羽発着の各駅停車を大宮発着に変更。
2016年(平成28年)
- 8月:駅ナンバリング導入開始。
10月27日:この日で205系の運用を終了。これにより10両編成で運転される205系は消滅。
2017年(平成29年)11月4日:池袋駅 - 大宮駅の保安装置をATC-6型からATACSに置き換え[15]。
運行形態
2018年3月17日ダイヤ改正時点での埼京線の運行形態を以下に示す[16]。
山手貨物線を走行する大崎駅 - 池袋駅間では途中恵比寿駅・渋谷駅・新宿駅にのみ停車し、並行する山手電車線に対して、実質的に快速のような役割を担っている。またこの区間では同一線路上に湘南新宿ラインの列車や、首都圏各地への特急列車・ホームライナーも走行している。
列車種別
埼京線の列車種別は、1985年の開業当時から、各駅停車・快速・通勤快速の3種別の体制となっており[17]、快速と通勤快速は赤羽駅 - 大宮駅間で通過運転を行う。開業以来、現行ダイヤまで通過駅の変更などもなくそのまま継承されている。
埼京線の各種別の特徴は以下のとおり。
- 通勤快速
- 快速よりも停車駅が少ない種別で平日の朝・夕夜のみ運行される。赤羽駅 - 大宮駅間では途中、武蔵浦和駅にのみ停車し、それ以外の区間では各駅に停車する。一部をのぞき、戸田公園駅・武蔵浦和駅・南与野駅のうち1駅 - 3駅で先行する各駅停車を追い越す。
- 全電車が川越線川越駅まで直通し、一部電車はりんかい線へも直通する。大崎発も1本ある。
- 埼京線は通勤快速の運転本数が日本一多い[18]。国鉄・JRを通して、初めて通勤快速が運行された路線でもある。
- 快速
- 通勤快速の設定がない平日の日中と土休日に運行される。赤羽駅 - 大宮駅間は途中、戸田公園駅・武蔵浦和駅・与野本町駅の3駅のみに停車、それ以外の区間では各駅に停車する。一部をのぞき、武蔵浦和駅で各駅停車を追い越す。
- 全電車が川越線川越駅まで直通する。りんかい線へは、日中はほぼすべて新木場駅まで直通するが、朝夕・夜間は新宿駅 - 川越駅間での運行も多い。
- 各駅停車
- 埼京線および直通先の川越線・りんかい線のすべての駅に停車する。
- 新宿駅 - 大宮駅間の運行が中心で、新宿駅 - 赤羽駅間の区間電車も設定されている。早朝・深夜には赤羽方面から大崎駅発着や池袋駅発着、平日ラッシュ時には新宿方面から武蔵浦和駅発着電車がある。そのほかに大崎方面から池袋駅発着電車が設定されており、少ないながら新宿駅 - 池袋駅間のみの区間電車もある。りんかい線・川越線への直通は朝・夜のみで、日中はすべて新宿駅 - 大宮駅間の運転になっている。また、朝夕には川越線指扇発がある。早朝に1本だけ南古谷発もある。
運行ダイヤ
埼京線の運行時間帯は平日・休日とも朝4時30分(池袋発赤羽行き)から深夜1時11分(赤羽発池袋着)までとなっている。ただし、山手線電車と並行する大崎駅 - 池袋駅間では朝は新宿発基準で池袋・赤羽・大宮・川越方面行きが6時台から、大崎・新木場方面が7時台からの運行で、深夜は新宿発23時55分発が最終となる。この区間での運転が行われない時間帯はかつての赤羽線電車と同様の池袋駅 - 赤羽駅間のみの電車も運行される。
平日朝時間帯は6時台に2本、7 - 8時台に毎時4本、9 - 10時台に毎時3本の通勤快速が運行される。上り(大宮から新宿方面)各駅停車は新宿駅7時台着が11本、8時台着が15本、9時台着が9本である。下り(新宿から大宮方面)各駅停車は新宿駅7時台発が9本、8時台発が13本、9時台発が12本となっている。
日中は快速が新木場駅 - 川越駅間で1時間あたり3本・20分間隔で運行され、その合間に各駅停車が2本ずつ、1時間あたり6本運行される[19]。各駅停車は基本的に新宿駅 - 大宮駅間の運行で、武蔵浦和駅で後続の快速に追い抜かれる電車と終点まで先行する電車が20分間隔で交互に運行される(2015年3月のダイヤ改正まで、後者については40分間隔で新宿駅 - 赤羽駅間での運行となっていた)。
種別\駅名 | 川越 | … | 大宮 | … | 武蔵浦和 | … | 池袋 | … | 新宿 | … | 大崎 | … | 新木場 | |||||||||||
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埼京線系統 | 快速 | 3本 | ||||||||||||||||||||||
各駅停車 | 6本 | 4本 | ||||||||||||||||||||||
湘南新宿ライン | 特急 | 1本 | →成田空港 | |||||||||||||||||||||
1本 | ||||||||||||||||||||||||
特別快速 | 高崎← | 1本 | →小田原 | |||||||||||||||||||||
快速 | 籠原← | 1本 | →平塚 | |||||||||||||||||||||
宇都宮← | 1本 | →逗子 | ||||||||||||||||||||||
普通 | 1本 |
平日夕・夜時間帯は17時から21時台まで通勤快速が毎時3本(上り20・21時台は2本ずつ)、その合間に各駅停車が2 - 3本の運行となっている。りんかい線との直通は毎時6本ほど(20時台は上り・下りとも4本)である。22時台以降は通勤快速の本数が減るが、新宿駅23時47分発に下り最終の通勤快速がある。金曜日(祝日の場合は木曜日)の終電直前のみ運行される各駅停車が存在する。2015年度春には、最終金曜日に新宿発赤羽行きと大宮行きが1本ずつ増発された。[20]
休日ダイヤでは通勤快速の運行がなく、快速が6時台から20時台まで、おおむね20分間隔で運行される。日中は平日と同様のダイヤで、各駅停車に関しては、朝・夕夜は日中のダイヤパターンに毎時1 - 2本を加えた運行本数である。
なお、上下線ともに各駅停車のみ運行する時間帯は早朝・深夜の一部だけであり、複々線区間をのぞき、湘南新宿ラインとともにJR東日本の路線では快速運転をする時間帯が比較的長い[* 8]。
種別を問わず新宿駅発着の列車は、池袋駅などで湘南新宿ラインと対面乗り換えできるケースが多く、渋谷駅・恵比寿駅・大崎駅、さらに大崎駅で始発列車に乗り換えればりんかい線方面まで、大崎駅・新木場駅直通列車を待たず先着することも多い。
日中の運転パターン
●:停車 -:通過
種別 | 始発駅 | 大宮駅 発車時刻(分) | 大宮 | 北与野 | 与野本町 | 南与野 | 中浦和 | 武蔵浦和 | 北戸田 | 戸田 | 戸田公園 | 浮間舟渡 | 北赤羽 | 赤羽 | 十条 | 板橋 | 池袋 | 新宿 | 渋谷 | 恵比寿 | 大崎 | 終着駅 |
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■各駅停車 | 大宮 | 01 | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | 新宿 | |||
07 | ||||||||||||||||||||||
■快速 | 川越 | 13 | - | - | - | - | - | - | - | ● | ● | ● | 新木場 | |||||||||
■各駅停車 | 大宮 | 18 | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | 新宿 | ||||||||||||
27 | ||||||||||||||||||||||
■快速 | 川越 | 33 | - | - | - | - | - | - | - | ● | ● | ● | 新木場 | |||||||||
■各駅停車 | 大宮 | 41 | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | 新宿 | ||||||||||||
48 | ||||||||||||||||||||||
■快速 | 川越 | 53 | - | - | - | - | - | - | - | ● | ● | ● | 新木場 |
種別 | 始発駅 | 大崎 | 恵比寿 | 渋谷 | 新宿駅 発車時刻(分) | 新宿 | 池袋 | 板橋 | 十条 | 赤羽 | 北赤羽 | 浮間舟渡 | 戸田公園 | 戸田 | 北戸田 | 武蔵浦和 | 中浦和 | 南与野 | 与野本町 | 北与野 | 大宮 | 終着駅 |
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■快速 | 新木場 | ● | ● | ● | 05 | ● | ● | ● | ● | ● | - | - | ● | - | - | ● | - | - | ● | - | ● | 川越 |
■各駅停車 | 新宿 | 11 | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | 大宮 | ||||||||||||
17 | ||||||||||||||||||||||
■快速 | 新木場 | ● | ● | ● | 25 | - | - | - | - | - | - | - | 川越 | |||||||||
■各駅停車 | 新宿 | 31 | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | 大宮 | ||||||||||||
37 | ||||||||||||||||||||||
■快速 | 新木場 | ● | ● | ● | 44 | - | - | - | - | - | - | - | 川越 | |||||||||
■各駅停車 | 新宿 | 51 | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | 大宮 | ||||||||||||
57 |
使用車両
本節では、埼京線に使用されている車両について「現在の使用車両」と「過去の使用車両」の小節に分けて記述する。なお、使用車両の編成などについては、所属基地である川越車両センター#配置車両を参照。
現在の使用車両
2017年現在、E233系とりんかい線から乗り入れる70-000形が使用されており、いずれも4扉ロングシートの通勤形電車である。開業から全列車が全区間10両編成で運転されている。
車体塗装はステンレス車両のE233系、205系は緑15号(■)の帯をまとっているが、開業時に導入された103系電車は車体色に山手線と同じ黄緑6号(■)が使用されていた。103系は当初、埼京線用塗装(カラーリングについては不明)の導入が検討されたが、塗装の試験結果が芳しくなかったことや山手線の205系での統一が決まっていたこと、経費節減の観点もあり、黄緑6号のままで使用された[21]。
E233系7000番台
- 2013年6月30日より運用を開始した[13]。31編成310両が2014年1月までに投入され、後述の205系を順次置き換えた。
東京臨海高速鉄道70-000形[22]
E233系7000番台
東京臨海高速鉄道70-000形
過去の使用車両
103系[23](1985年9月30日 - 1990年11月30日)
205系[24](1989年7月1日 - 2016年10月31日)
205系(6ドア車あり)
205系(6ドア車なし)
沿線概況
本節では、現行の運転区間のうち、通勤新線、すなわち東北本線の別線として開業した赤羽駅 - 大宮駅間を「赤羽駅 - 武蔵浦和駅間」「武蔵浦和駅 - 大宮駅間」の小節に分けて記述する。なお、山手線と平行区間である大崎駅 - 池袋駅間は山手線#沿線概況を、赤羽線区間である池袋駅 - 赤羽駅間は赤羽線#沿線概況を、乗り入れ先の川越線大宮駅 - 川越駅は川越線#沿線概況を参照。(本節全体の出典…[25][26][27][28])
赤羽駅 - 武蔵浦和駅間
赤羽駅の埼京線ホームは、国鉄赤羽線時代の1983年3月2日から使用されており、このホームの完成は埼京線の先取りであり、1面2線で下り大宮方に引上線1線を設けて、この引上線を使用して赤羽着の列車は折り返す。赤羽駅を出ると、上下線の間に引上線を挟みながら、東北貨物線などとしばらく平行し、北西側へカーブすると、東北・上越・北陸新幹線の高架が同じレベルまでに肩を並べたところで、15〜20‰の勾配がある赤羽台トンネルに突入する。このトンネルの真上は、星美学園の敷地で、幼稚園から星美学園小・中・高、短大まである。この学園は、同トンネル建設などに対して最後まで反対していた(詳細は後述、東北・上越新幹線反対運動、赤羽台トンネル#反対運動を参照)。トンネルを抜けると、線路は西へ向き新幹線と平行しながら環八通りをオーバークロスして北赤羽駅へ至る。北赤羽駅は、駅の真ん中に新河岸川が流れており、ホームはそこを跨ぐように設置されている。北赤羽駅を出ると、北側に荒川の土手を見ながら浮間舟渡駅へ至る。浮間舟渡駅は、東京都北区浮間と板橋区舟渡との境にホームが設置されているが、所在地は北区浮間4丁目である。駅は南の新河岸川と北の荒川に挟まれた場所にあり、駅前広場すぐ北側には都立浮間公園がある。園内には浮間ヶ池が存在するが、これは、荒川がこの付近で大きく南に蛇行し、1928年(昭和3年)ころに荒川が直線化された際の名残である。当駅は赤羽方から大きく北側へカーブしているため、ホームもそれに沿ってカーブしている。浮間舟渡駅を出ると再び勾配を上がりながら線路は北を向き、西側から中山道(国道17号)が近づき、並走すると荒川を渡り、荒川を渡り終えると北西側へ勾配を下りながらカーブして、中山道をオーバークロス及び菖蒲川を渡り、西側に戸田漕艇場とその奥の戸田競艇場を見ながら、戸田公園駅へ至る。
戸田公園駅は、埼京線の埼玉県内の一番南側の駅で、外側に通過線を設けた1面4線の構造を持ち、快速が停車する。前述の戸田漕艇場と戸田競艇場の最寄駅で、この駅の南西側に笹目川とオリンピック通りと名付けられた東京都道・埼玉県道68号練馬川口線が通っている。戸田市はこの駅と戸田駅、北戸田駅の3駅が存在する。これは東北新幹線の建設計画とその後の「通勤新線」建設計画の時に、戸田市が国鉄側との協議で市内に3駅設置することと1つを快速停車駅にすることを要望し、それが希望通りになったため、「戸田」と付く駅が3駅連続する。ただし、戸田公園駅には平日朝夕運転の通勤快速は停車しない。戸田公園駅を出ると、戸田駅へ至り北西には戸田市スポーツセンターと戸田市立郷土博物館があり、戸田駅が最寄となっている。戸田駅を出ると、西側へカーブしながらさらに勾配を上がり[* 9]、北戸田駅へ至る。北戸田駅は埼京線の中で一番高いところにある駅で、駅を出てすぐに笹目川を渡った後、東京外環自動車道と平行する国道298号をオーバークロスしたのち、北東側へカーブし下り勾配を下った先からさらに、北東へカーブし内側へ待避線が分岐するポイント付近の西側には、ロッテ浦和工場があり、工場南側にはプロ野球千葉ロッテマリーンズ2軍の練習拠点となっている浦和球場がある。それらを過ぎると武蔵浦和駅へ至る。
この区間の各駅のホームは、基本的には1面2線であるが、戸田公園駅は、外側へ通過線を設けた構造である。また、荒川を渡る頃から埼玉県内に入ると見晴らしが良くなり、西側には富士山や、秩父、奥多摩、丹沢連峰、東側には東京スカイツリーなどが見える。特に、北戸田駅付近が一番高くなるため、それらが一番良く見える。さらに、空気が澄んで乾燥した真冬の晴れの日の朝には、西側には南アルプスが、東側には筑波山が見えることもある。ただし、前者も含め曇りや雨などの日や、晴れていても靄のかかった日などあまり見通しの悪い日であると、それらは当然の如く見られなくなる。
武蔵浦和駅 - 大宮駅間
武蔵浦和駅は武蔵野線との接続駅で、緩急接続や当駅始発列車などを考慮して2面4線の構造とした。武蔵野線では元々この場所には田島信号場が存在していたが、埼京線の開業と同時に武蔵野線にも当駅が設置され、田島信号場は当駅に統合される形で廃止となった。ただし、埼京線とは約150m程離れているため、連絡通路が設けられている。埼京線は当駅の大宮方すぐで、武蔵野線は府中本町方から50m程西浦和駅に寄ったところで立体交差している。なお、武蔵野線はこの場所付近で大宮支線が分岐・合流している。武蔵浦和駅を出ると、内側からの待避線が合流、中浦和駅に至り、中浦和駅の真下には、武蔵野線の貨物支線大宮支線及び西浦和支線の合流地点の別所信号場がある。この駅は旧・浦和市(現・さいたま市浦和区)の中心に近いことから「中浦和」と命名された。中浦和駅からは直線となり、次の南与野駅手前で旧・与野市(現・さいたま市中央区)に入る。ここから次の与野本町駅、北与野駅と「与野」と付く駅が前述の「戸田」と同様に3駅続くが、これも戸田市同様の要望を旧・与野市が出していたためであり、戸田市との違いは、戸田市は快速停車駅を都内寄りの戸田公園駅としたが、旧・与野市は中心部に近い与野本町駅にして、3駅の真ん中の駅を快速停車駅とした[* 10]。南与野駅は、戸田公園駅と同様に外側に通過線をもつ構造であるが、通勤快速と快速は通過する。南与野駅を出ると、与野本町駅に至り、この駅は快速が停車する。また、この駅の所在地が旧・与野市本町(現・さいたま市中央区本町)のため「与野本町」と命名された。この駅の南西には彩の国さいたま芸術劇場[* 11]、がある。与野本町駅を出ると、大きく北東へカーブしながら笹目川を渡り、東側にさいたま市中央区役所(旧・与野市役所)を観ながら、北与野駅へ至る。北与野駅は旧・大宮操駅(現・大宮操車場)の西側にあり、駅北東にはさいたまスーパーアリーナがあり、東側にはさいたま新都心合同庁舎1号館などの旧・大宮操駅跡地を再開発した さいたま新都心のビル群がある。また、駅の真下を中山道(国道17号)がアンダークロスしており、宇都宮線さいたま新都心駅とは高架歩道(北与野デッキ)で結ばれている。北与野駅を出るとすぐに北側へカーブしながら、新幹線の線路が登り勾配で当線の真上に位置すると、東側から来る東北貨物線などの線に寄り、そこから34‰の下り勾配で一気に下り、大宮駅手前で地下トンネルへ突入し、大宮駅発着列車用のタブルクロッシングを通過すると、東側へカーブしてその先の大宮駅地下1階のホームへ入る。大宮駅地下ホームは、2面4線の構造で大宮新幹線駅の地下部分にホームがある。大宮・川越方両方にタブルクロッシングポイントを設けて、両方へ当駅から発着する列車の転線ができるようにしている。
この区間の各駅のホームは、前述の赤羽駅 - 武蔵浦和駅間と同様に1面2線であるが、南与野駅は、外側へ通過線を設けた構造である。前区間では、西側の富士山などの山々や東側の東京スカイツリーなどが見えたが、武蔵浦和駅過ぎたあたりから東側は台地のため、西側は高い建物が多くなり、なおかつ中浦和駅を過ぎると高架が低くなり、特に与野本町駅 - 北与野駅間から周辺の建物が一段と高くなり、それらは見られなくなる。
データ
停車場・施設・接続路線 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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凡例
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特記事項を除き、2013年12月現在のデータを下記に示す[30]
路線データ
- 区間:大崎駅 - 池袋駅 - 赤羽駅 - 武蔵浦和駅 - 大宮駅間 36.9km
- 大崎駅 - 池袋駅間 13.4km(山手線(山手貨物線))
- 池袋駅 - 赤羽駅間 5.5km(赤羽線)
- 赤羽駅 - 武蔵浦和駅 - 大宮駅間 18.0km(東北本線(支線))
- 大崎駅 - 浮間舟渡駅間が東京支社、戸田公園駅 - 大宮駅間が大宮支社の管轄であり、浮間舟渡駅 - 戸田公園駅間に支社境界がある[31]。
- 駅数:19
- 軌間:1067mm
複線区間:全線- 電化区間:全線(直流1500V・架空電車線方式)
- 運転方式
自動閉塞式:大崎駅 - 池袋駅間
移動閉塞式:池袋駅 - 大宮駅間
保安装置
- 大崎駅 - 池袋駅間:ATS-P
- 池袋駅 - 大宮駅間:ATACS※2017年11月4日より[15]
- 大崎駅 - 池袋駅間:ATS-P
最高速度
- 大崎駅 - 板橋駅間:95km/h
- 板橋駅 - 赤羽駅間:90km/h
- 赤羽駅 - 大宮駅間:100km/h
運転指令所:東京総合指令室(ATOS) E電方面指令
混雑率の推移
2017年度の最混雑区間(板橋→池袋間)の混雑率は185%である[32]。
2010年度以前は当該区間の混雑率が200%で高止まりしており、首都圏の鉄道路線でも屈指の混雑区間であったが、2011年度に赤羽 - 大宮間の開業以降では初めて200%を下回った。さらに、2013年度は広幅車両を導入したため、若干であるが混雑緩和が見られるようになった。
年度 | 最混雑区間(板橋 → 池袋間)輸送実績[33][34][35][36] | 特記事項 | |||
---|---|---|---|---|---|
運転本数:本 | 輸送力:人 | 輸送量:人 | 混雑率:% | ||
1980年(昭和55年) | 11 | 12,320 | 36,270 | 294 | |
1981年(昭和56年) | 11 | 12,320 | |||
1982年(昭和57年) | 11 | 12,320 | 36,490 | 296 | |
1983年(昭和58年) | 11 | 15,400 | 37,110 | 241 | |
1984年(昭和59年) | 11 | 15,400 | 37,740 | 245 | |
1985年(昭和60年) | 14 | 19,600 | 43,940 | 224 | 赤羽 - 大宮間開業年度 |
1986年(昭和61年) | 16 | 22,400 | 47,940 | 214 | |
1987年(昭和62年) | 16 | 22,400 | 57,060 | 255 | |
1988年(昭和63年) | 16 | 22,400 | 47,100 | 210 | |
1989年(平成元年) | 17 | 23,800 | 47,900 | 201 | |
1990年(平成02年) | 17 | 23,800 | 51,871 | 218 | |
1991年(平成03年) | 18 | 25,200 | 58,210 | 231 | 最混雑区間を池袋→新宿間に変更 |
1992年(平成04年) | 18 | 25,200 | 58,650 | 233 | |
1993年(平成05年) | 18 | 25,200 | |||
1994年(平成06年) | 18 | 25,200 | 59,400 | 236 | |
1995年(平成07年) | 18 | 25,200 | 59,500 | 236 | |
1996年(平成08年) | 19 | 26,600 | 63,300 | 238 | |
1997年(平成09年) | 20 | 28,000 | 64,230 | 229 | |
1998年(平成10年) | 20 | 28,000 | 59,300 | 212 | |
1999年(平成11年) | 20 | 28,000 | 58,520 | 209 | |
2000年(平成12年) | 20 | 28,000 | 58,940 | 211 | |
2001年(平成13年) | 20 | 28,000 | 58,980 | 211 | 湘南新宿ライン開業年度 |
2002年(平成14年) | 20 | 28,000 | 58,250 | 208 | |
2003年(平成15年) | 20 | 28,000 | 59,200 | 211 | |
2004年(平成16年) | 20 | 28,000 | 56,734 | 203 | 最混雑区間を板橋→池袋間に変更 |
2005年(平成17年) | 20 | 28,000 | 55,980 | 200 | |
2006年(平成18年) | 20 | 28,000 | 55,890 | 200 | |
2007年(平成19年) | 20 | 28,000 | 55,870 | 200 | |
2008年(平成20年) | 20 | 28,000 | 55,970 | 200 | |
2009年(平成21年) | 20 | 28,000 | 55,980 | 200 | |
2010年(平成22年) | 20 | 28,000 | 56,120 | 200 | |
2011年(平成23年) | 20 | 28,000 | 55,510 | 198 | |
2012年(平成24年) | 20 | 28,000 | 55,180 | 197 | |
2013年(平成25年) | 19 | 27,720 | 52,620 | 190 | 広幅車両導入年度 |
2014年(平成26年) | 19 | 27,880 | 52,400 | 188 | |
2015年(平成27年) | 19 | 27,960 | 51,120 | 183 | |
2016年(平成28年) | 19 | 27,960 | 50,430 | 180 | |
2017年(平成29年) | 19 | 27,960 | 51,680 | 185 |
駅一覧
この節では色を扱っています。閲覧環境によっては、色が適切に表示されていない場合があります。 |
埼京線大崎駅 - 大宮駅間の設置駅と停車種別・接続路線・所在地などを以下に一覧表として示す。
- 色は、東北本線支線区間の各駅に付けられた色を示す。
特定都区市内の適用範囲の駅 : 山=東京山手線内、区=東京都区内- 営業キロ : 東北本線支線区間である赤羽駅 - 大宮駅間を挟んでの乗車に際しては、埼京線経由よりも0.9km短い東北本線(本線)浦和駅経由の営業キロ数を用いて運賃計算を行う
- 停車駅
- 各駅停車:下表の全駅に停車
- 快速・通勤快速:●印の駅は停車、|印の駅は通過。川越線およびりんかい線内はすべて各駅停車となる
- 接続路線欄 : 東日本旅客鉄道の路線名は運転系統上の名称(正式路線名とは異なる)。駅名が異なる場合は⇒印で駅名を記す。
正式路線名 | 駅番号 | 駅名 | 色 | 駅間 営業キロ | 累計 営業キロ | 快速 | 通勤快速 | 接続路線 | 所在地 | |||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
山 手 線 | JA 08 | 山区 大崎駅 | - | - | 品川 から 2.0 | 大崎 から 0.0 | ● | ● | 東京臨海高速鉄道: りんかい線 (R 08)〈直通運転〉 東日本旅客鉄道: 湘南新宿ライン (JS 17)[* 12]・ 山手線 (JY 24) | 東京都 | 品川区 | |
JA 09 | 山区 恵比寿駅 | - | 3.6 | 5.6 | 3.6 | ● | ● | 東日本旅客鉄道: 山手線 (JY 21) 東京地下鉄: 日比谷線 (H-02) | 渋谷区 | |||
JA 10 | 山区 渋谷駅 | - | 1.6 | 7.2 | 5.2 | ● | ● | 東日本旅客鉄道: 山手線 (JY 20) 東京急行電鉄: 東横線 (TY01)・ 田園都市線 (DT01) 京王電鉄: 井の頭線 (IN01) 東京地下鉄: 銀座線 (G-01)・ 半蔵門線 (Z-01)・ 副都心線 (F-16) | ||||
JA 11 | 山区 新宿駅 | - | 3.4 | 10.6 | 8.6 | ● | ● | 東日本旅客鉄道: 中央線(快速) (JC 05)・ 中央・総武線(各駅停車) (JB 10)・ 山手線 (JY 17) 京王電鉄: 京王線・京王新線 (KO01) 小田急電鉄: 小田原線 (OH01) 東京地下鉄: 丸ノ内線 (M-08) 都営地下鉄: 新宿線 (S-01) 都営地下鉄: 大江戸線 ⇒新宿駅 (E-27)・新宿西口駅 (E-01) 西武鉄道: 新宿線 ⇒西武新宿駅 (SS01) | ||||
新宿区 | ||||||||||||
JA 12 | 山区 池袋駅 | - | 4.8 | 15.4 | 13.4 | ● | ● | 東日本旅客鉄道: 湘南新宿ライン (JS 21)[* 12]・ 山手線 (JY 13) 東武鉄道: 東上線 (TJ-01) 西武鉄道: 池袋線 (SI01) 東京地下鉄: 丸ノ内線 (M-25)・ 有楽町線 (Y-09)・ 副都心線 (F-09) | 豊島区 | |||
赤 羽 線 | 池袋 から 0.0 | |||||||||||
JA 13 | 区 板橋駅 | - | 1.8 | 1.8 | 15.2 | ● | ● | 都営地下鉄: 三田線 ⇒新板橋駅 (I-17)[* 13] | 板橋区 | |||
JA 14 | 区 十条駅 | - | 1.7 | 3.5 | 16.9 | ● | ● | 北区 | ||||
JA 15 | 区 赤羽駅 | - | 2.0 | 5.5 | 18.9 | ● | ● | 東日本旅客鉄道: 京浜東北線 (JK 38)・ 宇都宮線(東北線)(上野東京ライン)・ 高崎線(上野東京ライン) (JU 04)・ 湘南新宿ライン (JS 22) | ||||
東 北 本 線 支 線 | 赤羽 から 0.0 | |||||||||||
JA 16 | 区 北赤羽駅 | | 1.5 | 1.5 | 20.4 | | | | | | ||||
JA 17 | 区 浮間舟渡駅 | | 1.6 | 3.1 | 22.0 | | | | | | ||||
JA 18 | 戸田公園駅 | | 2.4 | 5.5 | 24.4 | ● | | | | 埼玉県 | 戸田市 | ||
JA 19 | 戸田駅 | | 1.3 | 6.8 | 25.7 | | | | | | ||||
JA 20 | 北戸田駅 | | 1.4 | 8.2 | 27.1 | | | | | | ||||
JA 21 | 武蔵浦和駅 | | 2.4 | 10.6 | 29.5 | ● | ● | 東日本旅客鉄道: 武蔵野線 (JM 26) | さいたま市 | 南区 | ||
JA 22 | 中浦和駅 | | 1.2 | 11.8 | 30.7 | | | | | | ||||
JA 23 | 南与野駅 | | 1.7 | 13.5 | 32.4 | | | | | | 中央区 | |||
JA 24 | 与野本町駅 | | 1.6 | 15.1 | 34.0 | ● | | | | ||||
JA 25 | 北与野駅 | | 1.1 | 16.2 | 35.1 | | | | | | ||||
JA 26 | 大宮駅 | - | 1.8 | 18.0 | 36.9 | ● | ● | 東日本旅客鉄道:■川越線〈川越駅まで直通運転〉・ 東北新幹線・山形新幹線・秋田新幹線・北海道新幹線・上越新幹線・北陸新幹線 ・ 京浜東北線 (JK 47)・ 宇都宮線(東北線)(上野東京ライン)・ 高崎線(上野東京ライン) (JU 07)・ 湘南新宿ライン (JS 24) 東武鉄道: 野田線(東武アーバンパークライン) (TD-01) 埼玉新都市交通:■伊奈線(ニューシャトル) | 大宮区 |
埼京線の東北本線支線区間の建設時は、両端の赤羽駅・大宮駅を除く各駅は北赤羽駅を「通勤新線第1駅」のように1から10までの番号で呼ばれていた。これらの北赤羽駅 - 北与野駅間の各駅(全10駅)はすべて新幹線に隣接した高架島式ホームであり似通った構造であるが、駅ごとに色が付けられ、他駅との差別化が図られている。また、これらの駅のホームはすべて小さい番号(武蔵浦和以外では1番線、武蔵浦和では3・4番線)が赤羽方面、大きい番号(武蔵浦和以外では2番線、武蔵浦和では5・6番線)が大宮方面に充てられている。
開業当初は戸田公園、武蔵浦和、与野本町のみにみどりの窓口があり定期券や回数券の集約販売を行っていた(その後、与野本町駅のみどりの窓口は2015年4月10日をもって閉鎖)。その他の駅では近距離(営業キロ100kmまで)の乗車券を自動券売機で販売していた。
2007年8月1日から戸田市内の埼京線3駅(戸田駅・戸田公園駅・北戸田駅)では上り線ホームの発車メロディに戸田市歌「ああわが戸田市」が採用されている。発車メロディに市歌が使われるのはさいたま市(浦和駅・北浦和駅・与野駅・さいたま新都心駅・大宮駅)、深谷市(深谷駅)に次いで埼玉県内で3番目である。
運賃計算上の特例
旅客営業規則第67条の規定では、「旅客運賃・料金は、旅客の実際乗車する経路及び発着の順序によつて計算する。」[37]となっているが、埼京線のうち大崎駅 - 赤羽駅間で乗車する場合、同規則第70条[38]から、また、赤羽駅 - 大宮駅間では同規則第69条[39]の経路特定区間の設定が同区間に適用されており、普通旅客運賃・料金は最も短い営業キロによって計算され、経路の指定は行われない。よって、同区間は宇都宮線・京浜東北線と異なる経路を通っているが、実際には埼京線を通る場合でも、0.9km短い宇都宮線経由で運賃・料金で計算される。さらに、定期券にもこの特例が適用され、赤羽駅 - 大宮駅間では埼京線・京浜東北線どちらの途中駅でも乗降可能となる。
エピソード
本節では、命名などに関するエピソードを記述する。
「埼京線」の命名
当時沿線自治体では「公園都市線」の名称が有力だったが、国鉄側が「東急田園都市線と似ている」と難色を示した[* 14]。当時の国鉄のネーミングの常識は「沿線の中心となる都市名を使う」、「始発と終点から1字取る」、「始発か終点の都市名か駅名を使う」、「沿線の包括的地名を使う」であったため、埼玉県と東京都からそれぞれ1字ずつ取り命名したというエピソードがある[40]。なお、「さいきょう」という読み方は湯桶読みである。
当時の沿線住民の反対運動
埼京線は今でこそ乗車率が首都圏第4位の路線に成長したが、前述のとおり、当初国鉄は埼京線を具体的な案としていなかった。しかし、1971年10月1日に東北・上越新幹線の建設認可が下りると、戸田市民・浦和市(現・さいたま市)民・与野市(同)民と東京都北区民を中心とした東北新幹線建設反対の運動が起こり、沿線自治体の埼玉県や与野市、浦和市、戸田市、東京都と北区も相次いで建設反対の意思を示した[41]。埼京線の併設を条件とする東北・上越新幹線の高架化案が1973年3月10日に発表されると、高架化すれば騒音問題が起きるなどと反対運動はさらに活発化、与野市・浦和市・戸田市の住民らによる建設反対住民運動組織が結成され、これが3市合同の「新幹線反対県南三市連合会(三市連)」に発展し、さらに、赤羽台トンネルの真上にある星美学園が強硬に反対を唱え、それに呼応するかのように北区の住民による「北区新幹線対策連絡協議会(北新連)」が組織された。そして当時の埼玉県はその提案を拒否する事態となった[6][41][42]。しかし、当時から埼玉県側の沿線自治体や住民にとって、ラッシュ緩和や通勤時の交通利便性の向上が切実な課題であり、市内に国鉄の駅がなかった与野市[* 15]や戸田市、特に、戸田市は既存の鉄道路線から離れており、荒川を挟んで東京都板橋区や北区と接しているにもかかわらず交通アクセスが不便で、都心へ向かう際には京浜東北線の蕨駅・西川口駅・川口駅までバスで移動する必要があったため、両市は市内に駅を設置することと快速電車の停車を設定することを国鉄側へ要望、国鉄側も埼京線の併設を正式に表明したことなどを受け、自治体の反対姿勢も軟化、住民側も反対運動は次第に下火となっていったが、与野・浦和・戸田3市の一部の住民は1985年4月に高架線での認可の取り消しを求める訴訟を、9月には北区の沿線11地区の住民が工事差し止めを求める訴訟をそれぞれ起こした。しかし、最後まで強硬に反対していた星美学園も1982年11月25日には補償問題について和解と合意に達し、最終的には自治体の要望が叶うかたちで埼京線の造設・運営が実現した[41][42][* 16]。なお、上記の更なる詳細については、東北・上越新幹線反対運動、赤羽台トンネル#反対運動を参照。
板橋駅・十条駅に通勤快速が停車する根拠
赤羽線区間の板橋駅と十条駅に通勤快速が停車することに関して、埼京線利用者(特に、埼玉県からの利用者)からは「利用者が少ないこの2駅に停車しなければ、所要時間を短縮できる」という声がある[43]。これは、板橋駅では、都営三田線新板橋駅や東武東上線下板橋駅に近く、新板橋駅と板橋駅相互の乗り換え客が多いこと、十条駅では、東京成徳大学・同短期大学十条台キャンパス、東京家政大学板橋キャンパス、帝京大学、帝京高等学校などの学園施設が多く、それらの利用者のためでもある[44]が、一番の理由は板橋・十条両駅共前後に踏切[* 17]があり、特に十条駅はホーム両端に近接しているため、保安上「通過禁止駅」に指定されているためである。
埼京線開業後のトラブルや諸問題
本節では、開業初日に起こったトラブルやその後の諸問題を記述する。
開業初日のトラブル
1985年9月30日の開業初日、新機構として国電区間に初めて導入したPRC(自動制御装置)のシステム不具合が生じてダイヤ乱れなどの混乱が生じた。この機構は、CTC(列車集中制御装置)を埼京線に導入するにあたり、司令室でコンピューターにあらかじめ列車の運転順序・時刻を記憶させておき、これにより決められた列車の運転を行うもので、自動的に各駅や川越電車区(現・川越車両センター)の到着線・出発線の線路にポイントが切り替わる。また、列車の位置表示や進路表示、各駅の配線略図はCRT(ブラウン管ディスプレイ)に表示され、その中に列車位置・列車番号・信号表示・遅延時分などがカラーで表示されるという、当時としては近代的なシステムの導入をした[45][46]。ところが、開業初日の朝からシステムに不具合が生じてポイントが自動的に切り替わらなくなり、池袋駅での開業記念祝賀行事も開始が遅れるハメとなり、当日のダイヤも乱れて混乱し、さらに、このシステムの不具合対策が完了した1986年1月15日までは、手動での運行管理を強いられた[47]。
騒音問題
東北・上越新幹線の高架化により、騒音や振動の問題が起きることを懸念した建設反対運動の「見返り」として建設された埼京線だが、実際に開業すると、隣を走る東北・上越新幹線の200系が最高速度110km/hで走行するよりも、埼京線の103系が最高速度100km/hで走行する方が10dB程騒音が高いという皮肉な結果になった。これは、103系の車両重量や加速し高速走行すると甲高い音を発する「外扇形」の主電動機を使用していた影響によるもので、「新幹線より騒音が高い」と沿線住民からの苦情を受け、205系新製投入時の車両の主電動機は冷却ファンをケース内に収めた「内扇形」を採用して低騒音化を図り、103系時代よりも走行音は小さくなった。その後の車両の置き換えによる騒音自体の低下と埼京線がもたらす恩恵の大きさから、この問題は収束に向かっていった[48]。
痴漢の多発及び対策
女性専用車・防犯カメラ設置車 | ||||||||||
← 大崎・新木場 大宮・川越 → | ||||||||||
| ||||||||||
|
埼京線は何年間にもわたり痴漢が多発しており、新聞やテレビで取り上げられるほど深刻な事態になっている。一番多いのは1号車で、集団痴漢も発生している[49]。
警視庁によると、2004年の首都圏路線での痴漢件数は2,201件と過去最悪を記録し、そのうち埼京線は217件と最多で、2位の中央線快速(188件)、3位の中央・総武線各駅停車と京王線(121件)、5位の山手線(119件)を大きく引き離していた。その後、痴漢の検挙件数は2005年から減少し、2010年の調査[* 18]では埼京線の痴漢件数は100件となり、中央線快速の117件を下回った[50]。
痴漢への対策として、JR東日本は以下の取り組みを行った。
- 女性専用車の導入
- 当路線には2001年より、JRの通勤電車で初の女性専用車が設定された。設定車両は大崎側の先頭車両である10号車。該当車両には女性専用車であることを示すステッカーが貼られ、ホーム上の乗車位置にも同様の表示が行われている。設定当初は、平日の深夜23時以降に新宿駅を発着する大宮方面行きの電車のみであったが[* 19]、2005年4月4日からは平日朝のラッシュ時である7時30分 - 9時30分に新宿駅に発着する大崎方面行きの全電車にも設定された[51]。
- 防犯カメラの設置
ウィキニュースに関連記事があります。JR東日本、埼京線の一部車両に年内にも防犯カメラを設置へ 痴漢対策として
- 編成中で最も混雑している車両は1号車であり、女性専用車両導入後もなお痴漢多発の状況が続き、一向に改善が見られないため、2009年12月28日より、車内に防犯カメラが設置されることになった。防犯カメラは、試験的に当時32編成あった205系のうち1編成の1号車に2機設置された。2010年1月下旬には、カメラの台数を増やした2編成目も走らせた。
- JR東日本ではこれまで、湘南新宿ラインなどのグリーン車のデッキにカメラを設置していたが、普通車として、および客室を対象としたものとしては当路線が初となった[52][53]。
- 防犯カメラ設置後の2010年1月から2月の痴漢被害が前年同時期に比べ減っており[54](特に、強制わいせつ事件は3分の1に減少[55])、効果が見られたことから同年6月以降、70-000系含む当線で運行されている全ての車両に車内防犯カメラを追加設置した[56][57]。2013年6月から導入されたE233系7000番台にも設置されている。
また、乗客側が対策として行うことが多いのが、痴漢を十条駅で捕まえることである。これは、十条駅が埼京線内で唯一、相対式ホーム2面2線を有する駅で、特に、上り電車は大宮駅と武蔵浦和駅を除き進行方向左側のドアが開かない[* 20]ため、痴漢はよく進行方向左側のドア付近で悪さをすることが多いとのこと。そして、十条駅でそのドアが開くと被害女性がそこで痴漢を降ろして御用となるケースである。また、上り電車の1号車でやった痴漢が逃げようとしても、北口改札は線路の反対側にあり、南口改札は池袋寄りにあるため、逃げ切れずあっさりと御用になるケースが見られる[58]。
今後の予定
終電の繰り下げ
池袋駅を発車する川越行きの終電は平日・土休日問わず24時であり、並行路線と比較しても早めの時間帯に設定されている[* 21]。この時間を遅らせて欲しいという意見は埼玉県議会でも取り上げられており、2014年には議長名でJR東日本に対して要望書も提出されている。しかし、車両基地が遠方の川越線内に設定されている都合上、車両の送り込みや保守の関係から、終電時間の繰り下げは難しいものとされている[59]。
連続立体交差事業
十条駅周辺にて、連続立体交差事業(鉄道高架化)の事業化を進める計画がある。これは、十条駅を中心として約1.5kmの区間について鉄道を高架化、道路と鉄道を連続的に立体交差化して、同区間の6か所の踏切を除却して、踏切での交通渋滞の解消と、道路と鉄道それぞれの安全性の向上、さらに、鉄道により分断されていた地域が一体化され、都市計画道路などの整備を併せて推進することにより、安全で快適なまちづくりを実現するため、東京都が事業主体となり、道路の整備の一環として施行する都市計画事業である[60]。
しかし、周辺住民の理解が得られていないためか、環境アセスメントが進んでおらず、2014年(平成26年)度と、2016年(平成28年)度のそれぞれの北区環境審議会の議事録[61][62]によると、工期が11年かかることや、土地取得問題などもからみ、工事着手にはいたっていないのが現状である。
相模鉄道・JR線直通運転事業
相模鉄道とJR東日本との直通運転計画がある[63]。相模鉄道との直通運転開始予定は2019年度下期となっている(2018年12月11日現在)。
直通運転区間は、相模鉄道海老名駅・湘南台駅から西谷駅を経て同社相鉄新横浜線に入り、羽沢横浜国大駅からJR東日本の東海道貨物線、鶴見駅構内から横須賀線・湘南新宿ラインの線路(品鶴線や旧蛇窪信号場、大崎支線)を経由して大崎駅から新宿方面との間である。
この直通運転が開始されると、二俣川駅から新宿駅まで44分、二俣川駅から目黒駅まで38分で行けるようになる。
2018年12月11日現在、直通路線名は明確にされておらず、大崎駅から新宿方面間は山手線としか表記されていない。
脚注
注釈
^ その頁における線名の記載はなし。東京臨海高速鉄道りんかい線全駅は、別項の「〔関東地方〕 東京近郊各線」の頁に記載。
^ この通勤新線が現在の埼京線にあたる。
^ 埼京線赤羽駅 - 大宮駅間の各駅は、15両編成に対応できるようにホームの準備工事が済ませてある。
^ 高崎線のいくつかの駅では、通勤新線または埼京線の乗り入れを求める看板が現在も残っている。また、上尾市は以前さいたま市と行っていた合併協議(上尾区、この協議は破綻し、岩槻市〈現・さいたま市岩槻区〉に肩代わり)で、この区間を利用した埼京線か京浜東北線の上尾駅延伸を見返りとして要求していた。
^ この色を採用したのは、緑多い埼玉の自然をイメージした色を採用して欲しいとの埼玉県の要望があったからだという説が有力で、その他古代からあるトキワ(常盤)という樹木の葉の色で、この色が東北と埼玉・東京を繋ぐ色だからという説やJR東日本イメージカラーとなっている「常盤グリーン」に由来する説がある[8]
^ 山手線などに投入された車両は「外扇形」の主電動機を使用していた。これは、加速し高速走行すると甲高い音を発するので、埼京線へ新製投入する時この主電動機は採用しなかった。
^ 鉄道模型の存在を広く知ってもらうことを目的として企画。関水金属の本社が新宿区にあること、また同社のコーポレートカラーであるダークグリーンが、埼京線のラインカラーである緑15号と類似していることから企画された。当時、205系電車のNゲージ完成品模型を発売しているのは同社だけであり、KATO TRAINそのものも同社から「特別企画品」として発売された。ただし、関水金属本社の最寄り駅は都営大江戸線落合南長崎駅、埼玉県内の工場も坂戸市と鶴ヶ島市(ともに東武東上本線沿線)に所在する[12]。
^ ただし湘南新宿ラインとして運行される列車のうち、埼京線の快速系統のように比較的長距離で快速運転を行ない、途中駅で先行の普通列車と接続するのは日中に運転される高崎線 - 東海道線系統の特別快速と宇都宮線内快速となる宇都宮線 - 横須賀線系統の普通のみで、それ以外の列車は高崎線 - 東海道線系統の快速が大崎 - 戸塚間を通過運転することやホームの設置されていない経路上にホームが設置されてない駅を除けば直通先の各線を各駅に停車するものばかりで、なおかつどの列車も途中駅での追い抜きを行なわないため大宮 - 大船間の各駅に先着する。
^ 平行する新幹線は埼京線が上がったあとも、しばらくは上がらず北戸田駅を過ぎてからようやく同じレベルまで上がる。
^ 国鉄側との協議では、両市共3駅を市内に設置と3駅の真ん中を快速停車駅とするとのことだったが、戸田市が真ん中の戸田駅を快速停車駅にしなかったのは、戸田水上公園や戸田漕艇場などの施設が近い戸田公園駅を快速停車駅にして欲しいと要望したため[29]。
^ この劇場は、演出家の故・蜷川幸雄氏が長く芸術監督を務めていた。
- ^ ab湘南新宿ラインは大崎駅 - 池袋駅間で埼京線と線路を共用している。
^ 新板橋駅は定期券のみ連絡運輸をしている。
^ なお、その後「公園都市線」という名称は、1991年に開業した神戸電鉄公園都市線で採用されている。
^ 与野駅は旧与野市の要望で設置されたものの、場所は旧浦和市木崎。
^ 埼京線開通直前、駅の完成を祝って試走内覧会に市民が招待された。これは、完成した新駅のホームを、埼京線と並行して走っている新幹線の線路を走行する作業用車両に乗って見学するという、貴重な事例であった。
^ 板橋駅は駅の両端からは少し離れている。
^ 2010年の調査の上位10路線は中央線快速、埼京線、山手線、京王線、中央・総武線各駅停車、地下鉄東西線、西武池袋線、小田急小田原線、東急田園都市線、西武新宿線。これらの路線のうち、山手線以外はすべて女性専用車両が設定されている。
^ 2001年当時は埼京線が恵比寿駅までの運転で、現在は相互直通運転しているりんかい線もまだ大崎駅まで延伸していなかった頃であった。
^ 両駅ではダイヤによって開くドアが違う。
^ この列車以降にも埼京線の下り列車は運転されているが、すべて赤羽行きである。
出典
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- 専門誌・趣味誌
- 磯崎哲「埼京線の施設と運転計画の概要」、『鉄道ジャーナル 特集●埼京線開業と通勤電車』第19巻12号(通巻226号)、鉄道ジャーナル社、1985年12月、 28 - 31頁。
- 伊集院護「列車追跡シリーズ-230 東京西北の通勤動脈「川越→池袋」三車三様 されど埼京線は最強をめざす」、『鉄道ジャーナル 特集●埼京線開業と通勤電車』第19巻12号(通巻226号)、鉄道ジャーナル社、1985年12月、 39 - 41頁。
- 猪口信「輝く明日への新動脈 9.30 埼京線開業」、『鉄道ファン』第25巻12号(通巻296号)、交友社、1985年12月、 54 - 63頁。
- 佐藤信之「大都市圏での快速運転の発達 -国鉄時代を中心に-」、『鉄道ピクトリアル 【特集】大都市圏JR線区の快速運転』第53巻9号(通巻736号)、電気車研究会、2003年9月、 10 - 24頁。
- 津島誠「JR東日本東京圏の「通勤快速」」、『鉄道ピクトリアル 【特集】大都市圏JR線区の快速運転』第53巻9号(通巻736号)、電気車研究会、2003年9月、 35 - 36頁。
- 青木義雄「JR各社の快速運転状況 JR東日本 東京圏」、『鉄道ピクトリアル 【特集】大都市圏JR線区の快速運転』第53巻9号(通巻736号)、電気車研究会、2003年9月、 46 - 52頁。
- 編集部「JR東日本E233系7000番台 埼京・川越線用」、『鉄道ピクトリアル 【特集】グリーン車「ロ」 』第63巻9号(通巻879号)、電気車研究会、2016年9月、 88頁。
- 小佐野カゲトシ「埼京線その歴史とあらまし」、『鉄道ダイヤ情報 No.378 〔特集〕埼京線と東京メガループの“周辺”に注目』第44巻10号(通巻402号)、交通新聞社、2015年10月、 10 - 17頁。
- 坂正博「埼京線・川越線・八高線・相模線車両の変遷」、『鉄道ダイヤ情報 No.378 〔特集〕埼京線と東京メガループの“周辺”に注目』第44巻10号(通巻402号)、交通新聞社、2015年10月、 18 - 23頁。
- 芳田あきら・前納浩一「101系からE233系まで 埼京線の車両変遷」、『鉄道ピクトリアル 【特集】JR205系電車』第66巻9号(通巻921号)、電気車研究会、2016年9月、 48 - 69頁。
- 時刻表
- 『マイライン 東京時刻表』各年各月号、交通新聞社、東京臨海高速鉄道りんかいせん・埼京線・川越線の時刻頁。
- 『JR時刻表』各年各月号、交通新聞社、東京臨海高速鉄道りんかいせん・埼京線・川越線の時刻頁。
関連項目
- 日本の鉄道路線一覧
- 東北・上越新幹線反対運動
- 国際興業バス戸田営業所
外部リンク
- 検索結果(埼京線の駅):JR東日本
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