去勢
去勢(きょせい)とは、人間の男女、または動物の雄雌の生殖に必要な部位を切除し、種として生殖不能な状態とすること。
目次
1 概説
2 動物に関するもの
3 ヒトに対するもの
3.1 化学的去勢
4 脚注
5 関連項目
概説
手術による去勢は「去勢術」と呼ばれ、男性(動物なら雄)においては睾丸の摘出(場合によっては陰茎の切断を伴う)、女性(動物なら雌)においては卵巣の摘出(場合によっては子宮と一緒に摘出)をいう。
人間の男性の生殖器全体を切除した場合は特に「全除精術」という。
第二性徴以前の個体の去勢する場合を幼去勢、それ以降の個体に去勢する場合を熟去勢と呼んで区別する場合も多い。
去勢された者は閹人(えんじん)と呼ばれる場合がある。
動物に関するもの
現在は家畜・ペット・競走馬などに施されることが多く、雌が不用意に子を産み増やすのを防止したり、特に雄の攻撃的な性質などを喪失させる目的で行われたりすることが多い。また、食肉用家畜の雄は去勢することによって肉質がよくなる。雄に対しての去勢は俗に玉抜きと呼ぶ場合もある。去勢すると生殖機能が失われるため、子孫を残すことは出来なくなる。競走馬においては去勢された馬は騸馬と呼ばれる。牡馬(雄の馬)に対して行われるのが一般的で、牝馬(雌の馬)を去勢することは滅多に無い。気性の悪さが原因で良い成績を出せない馬に行われることが多いが、去勢されることによって気性が良化し、良い成績を出す馬もいる。
ヒトに対するもの
ヒトにおいては古代や中世には刑罰として行われることも少なくなかったが、その後廃止された。また、古代中国などでの宦官や近代以前のヨーロッパでのカストラートなど目的や必要条件に応じて、意図的に多くのヒトに対して行われたケースもあった。
また、男に対する通過儀礼として睾丸の片方を切除する部族もあり、半去勢と呼ばれる。
なお、いわゆる性同一性障害をもつヒトの中には自ら去勢する者が存在するが、性同一性障害をもつヒトのすべてではない。
化学的去勢
2015年現在で化学的去勢を実施している国と地域は米国の8つの州およびカナダ、ドイツ、オランダ、ポーランド、スイス、デンマーク、スウェーデン、フィンランド、ノルウェー、モルドバ、大韓民国である[1]。
化学的去勢は刑事罰というよりも異常な性的衝動を持つ性的倒錯者に対する治療という建前となっており、身体刑とは扱われない。
脚注
^ 韓国における性犯罪者に対する化学的去勢―性暴力犯罪者の性衝動薬物治療に関する法律の概観― (PDF) - 姜 暻來、中央大学、2015年7月13日閲覧
関連項目
- 不妊手術
性器切断/完全去勢/半去勢/割礼/女性器切除
宦官/宮刑/自宮/羅切
キュベレー/スコプツィ
せん馬/豚の雄臭
- カストラート
- ヴァギナ・デンタタ
BDSM/射精管理/貞操帯
- 去勢鉗子