連絡線
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連絡線(れんらくせん)とは、鉄道において他の路線同士を接続するための線路に対する俗称である。遠回りすることなく路線同士を結ぶためのものは短絡線(たんらくせん)とも呼ばれる。駅構内の渡り線のような小規模なものから、デルタ線の一辺となっているもの、独立した路線となっているものまで、形態や規模はさまざまである。
目次
1 概要
2 日本の連絡線
2.1 現存する連絡線
2.1.1 札幌市交通局
2.1.2 JR東日本
2.1.3 JR東日本、東武鉄道
2.1.4 JR東日本、西武鉄道
2.1.5 西武鉄道、秩父鉄道
2.1.6 東京メトロ
2.1.7 東京都交通局
2.1.8 小田急電鉄、JR東海
2.1.9 名古屋鉄道
2.1.10 名古屋市交通局
2.1.11 JR西日本
2.1.12 南海電気鉄道、JR西日本
2.1.13 近畿日本鉄道
2.1.14 大阪市高速電気軌道
2.1.15 阪急電鉄
2.1.16 阪神電気鉄道
2.1.17 JR九州
2.2 建設中の連絡線
2.2.1 相模鉄道、JR東日本
2.2.2 相模鉄道、東京急行電鉄
2.3 構想および計画中の連絡線
2.3.1 JR東日本
2.4 廃止された連絡線
2.4.1 北総開発鉄道、新京成電鉄
2.4.2 小田急電鉄、京王帝都電鉄
2.4.3 日本国有鉄道、京浜急行電鉄
2.4.4 日本国有鉄道、小田急電鉄
2.4.5 日本国有鉄道、東京急行電鉄
2.4.6 JR西日本、富山地方鉄道
2.4.7 日本国有鉄道
2.4.8 名古屋鉄道
2.4.9 名古屋鉄道、近畿日本鉄道
2.4.10 名古屋鉄道、JR東海
2.4.11 京阪電気鉄道、近畿日本鉄道
2.4.12 阪神電気鉄道、京阪神急行電鉄
2.4.13 JR西日本
3 世界の連絡線
3.1 ニューヨーク市地下鉄
3.2 バンコク・スカイトレイン
4 脚注
5 関連項目
概要
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連絡線には明確な定義づけは存在しないが、以下にあげるようなものがそのように呼ばれる場合が多い。
- 物理的に離れた路線同士を接続しているもの。
- その線路を介した運行が限定的と考えられるもの(特定の営業列車のみ[1]、あるいは営業列車では使用しない[2])。
- 各々の路線の本来の運行系統とは別の経路のために設置されたと考えられるもの。
規格が大きく異なる路線同士を接続しているもの(路面電車と普通鉄道など)。
これらの条件が当てはまれば必ずしも連絡線と呼ばれるわけではないことに注意が必要である。たとえば、地方の私鉄と国鉄 (JR) 路線との接続駅では双方をつなぐ渡り線や分岐器が設置されるケースが過去には多く見られたが、これらについては「連絡線」と呼ばれることは多くなかった(上記の通り、明確な定義づけがないため、「なかった」とは言い切れない)。
また異なる事業者の路線同士を接続する場合でも、乗り入れなどで実質的に両者が一体的に運営されている接続駅の線路は「連絡線」とは呼ばれない場合が多い。
条件を満たしていても独立した線路名称を持っている場合は「連絡線」とは呼ばれない場合が多い。
一方、もともと連絡線として建設されたが、その後の運行系統の変化などによって「連絡線」とは呼ばれなくなるケースもある。南海電気鉄道の岸里玉出駅における南海本線と高野線の間の線路(当初は「東連絡線」という通称があった)はその典型である。
なお、上飯田連絡線は、「名古屋の都心から名鉄小牧線のターミナルである上飯田駅にアクセスするための路線」という意味で付けられた名称であり、本項で記載する「連絡線」とは意味合いが異なる。三岐鉄道の近鉄連絡線も三岐線列車が近鉄富田駅にアクセスするための路線という意味で同様である。阪急電鉄が計画している阪急新大阪連絡線や西梅田・十三連絡線も同様である。
日本の連絡線
※JR路線同士を結ぶ線路でデルタ線を形成しているものは「デルタ線」の項を参照。
現存する連絡線
札幌市交通局
西11丁目駅とさっぽろ駅
東豊線の車両を西車両基地へ引き込むため。信号上は大通駅構内である。
JR東日本
東北本線松島駅 - 仙石線高城町駅 (仙石線・東北本線接続線)
- 東北本線仙台駅方面と仙石線石巻駅方面を結ぶ直通快速列車(仙石東北ライン)が使用する。2015年5月30日に営業運行を開始。東北本線の無名枝線として営業キロ(0.3km)が設定されている。東北本線(盛岡方面)との分岐点は塩釜駅と松島駅の中間にある(列車運行上は松島駅は通過しない)が、営業(線路名称)上は松島駅を分岐駅としている。
立川駅(青梅短絡線)
南武線上下・中央本線下り - 青梅線を直通する列車が、中央本線との平面交差を避けるため。
尻手駅 - 新鶴見信号場(尻手短絡線)
JR東日本、東武鉄道
栗橋駅
新宿駅 - 東武日光駅または鬼怒川温泉駅間直通特急「(スペーシア)きぬがわ・日光」連絡のため。
JR東日本、西武鉄道
新秋津駅 - 所沢駅
- 貨物輸送用。1996年の西武鉄道の貨物輸送廃止以降は新車搬入および改造委託や西武多摩川線所属車両入出場に伴う甲種輸送時のみ使用されている。
西武鉄道、秩父鉄道
西武秩父駅 - 御花畑駅
- 西武から秩父鉄道への直通運転のため。直通運転は三峰口駅方面と秩父駅方面の両方で行われているが、三峰口駅方面との間はスイッチバックとなる。
東京メトロ
赤坂見附駅(丸ノ内線と銀座線)
- 銀座線の車両を中野車両基地、小石川車両基地へ引き込むため。
霞ケ関駅・桜田門駅(千代田線と有楽町線)
市ケ谷駅(有楽町線と南北線)
- 霞ケ関・桜田門間も市ヶ谷駅も有楽町線・南北線の車両を綾瀬工場へ引き込むための連絡線だが、営業列車(特急「ベイリゾート」や東京湾大華火祭開催時の臨時列車)も通過したことがある。
小竹向原駅 - 千川駅(有楽町線と副都心線)
- 有楽町線と副都心線との同時平面交差を避けるための短絡線。新木場駅方面は2013年2月に供用を開始し、和光市駅方面は2016年2月14日に完成した[3]。
東京都交通局
新橋駅 - 汐留駅付近(浅草線と大江戸線)
- 大江戸線の車両を馬込車両検修場へ引き込むため。
- 大江戸線の車両は、レールの間にリアクションプレートを設置して走行するリニアモーター方式であり、一般的なモーターを搭載していないために、浅草線内で自走できないのでE5000形電気機関車で牽引する。
小田急電鉄、JR東海
新松田駅付近(小田急小田原線渋沢駅 - JR御殿場線松田駅)
特急「ふじさん」の直通運転および御殿場線経由で甲種輸送されてきた新車などの搬入のため。
名古屋鉄道
枇杷島分岐点(名古屋本線名鉄岐阜駅方面 - 犬山線犬山駅方面)
デルタ線の一部。この区間を通過する営業列車はなく、車両の留置が主である。
名古屋市交通局
丸の内駅(鶴舞線と桜通線)
- 桜通線の車両を日進工場へ輸送するためのもの。
JR西日本
天王寺駅構内
大阪環状線 - 阪和線直通列車の運転のため。1989年に開通、2008年には複線化された。それまでも連絡線自体は存在したが、スイッチバックが必要で列車の回送など営業運転以外の用途に限られていた。
南海電気鉄道、JR西日本
和歌山市駅構内(南海本線和歌山市駅 - JR紀勢本線和歌山市駅)
- かつての急行列車「きのくに」の南海なんば駅 - 白浜駅直通運転および紀勢本線経由で甲種輸送されてきた新車などの搬入のため。
和歌山駅構内
和歌山電鐵貴志川線(旧・南海貴志川線)を走行する車両検査で甲種輸送の搬入のため。
近畿日本鉄道
新ノ口駅 - 大和八木駅間(新ノ口短絡線、橿原線と大阪線)
京都駅 - 賢島駅間直通特急(京伊特急)および天理駅発着臨時特急のため。
- 大和八木駅付近(大阪線真菅駅 - 橿原線八木西口駅間)
- 回送列車(主に南大阪線区所属車両や奈良線区所属車両の五位堂への入出場回送)や貸切列車のみ使用。上記の短絡線が完成するまでは京伊特急や準急にも使われていた。元来は本線(大阪電気軌道八木線)だった区間である。
川合高岡駅 - 桃園駅間(中川短絡線、大阪線と名古屋線)
大阪難波駅 - 近鉄名古屋駅間直通特急(名阪特急)のため。
田原本駅 - 西田原本駅間(橿原線と田原本線)
- 田原本線車両の入出庫に使用。かつては普通列車も使用していた時期もあったが、現在は臨時列車「やまと花ごよみ号」を除き営業列車の運行はない。
大阪市高速電気軌道
阿波座駅付近(中央線と千日前線)
- 千日前線の車両を森之宮検車場へ引き込むため、および転属回送で使用。
谷町四丁目駅付近(中央線と谷町線)
- 谷町線の車両を森之宮検車場へ引き込むため、および転属回送で使用。
本町駅付近(中央線と四つ橋線)
- 四つ橋線の車両を転属回送で使用。2014年完成、2015年使用開始。
- 森之宮検車場全重部門の廃止(車庫のみ引き続き存続)に併せて緑木検車場へ検車機能を統合し、中央線以外に千日前線・谷町線の各車両も中央線を介して緑木検車場まで引き込んでいる。なお、それまで御堂筋線・四つ橋線と中央線など線路が直接繋がっていなかった路線同士の車両の転属回送は、トレーラーを使用して深夜に陸送を行っていた。
大国町駅(御堂筋線と四つ橋線)
- 御堂筋線車両を緑木検車場へ引き込むため。全重工事は同線の中百舌鳥検車場ではなく緑木検車場併設の緑木車両工場にて行うことから。
鶴見緑地北車庫(長堀鶴見緑地線と今里筋線)
- 今里筋線の車両を鶴見検車場へ引き込むため。
阪急電鉄
西宮北口駅(今津(北)線宝塚駅方面 - 神戸本線梅田駅方面)
- 上り方向のみ。今津(北)線から神戸本線への直通運転(朝ラッシュ時の準急および阪神競馬開催時の臨時列車)と回送列車に使用。かつては三宮駅方面にも存在した。
- 西宮北口駅(今津(南)線今津駅方面 - 神戸本線三宮駅方面)
- 今津(南)線車両の入出庫に使用。営業列車の運行はない。
夙川駅(神戸本線三宮駅方面 - 甲陽線)
- 甲陽線車両の入出庫に使用。営業列車の運行はない。
阪神電気鉄道
鳴尾駅 - 武庫川駅間(本線と武庫川線)
- 本線からの分岐点は厳密には武庫川信号場である。武庫川線車両の入出庫が目的で、営業運行は行われない。また、武庫川線側では スイッチバックする構造である。
JR九州
陣原駅 - 東水巻駅間(鹿児島本線門司港駅方面と筑豊本線直方駅方面)
- 直通運転に使用。愛称名「福北ゆたか線」はこの区間を含む。
建設中の連絡線
相模鉄道、JR東日本
相鉄本線西谷駅 - 東海道貨物線横浜羽沢駅(相鉄・JR直通線)※仮称
- 相鉄本線海老名駅・相鉄いずみ野線湘南台駅からJR東海道貨物線と横須賀線(品鶴線・大崎支線経由)を介して新宿駅まで直通運転のため。上野東京ラインを経由した東京駅→埼玉県方面への乗り入れも計画している。2010年3月に着工し、2015年開業を目標としていたが、その後工事計画の見直しにより開業予定は2018年度に延期された[4]。さらに2016年8月になって、2019年度下期に再延期された[5]。
相模鉄道、東京急行電鉄
東海道貨物線横浜羽沢駅 - 東急東横線日吉駅(相鉄・東急直通線)※仮称
相鉄本線海老名駅・相鉄いずみ野線湘南台駅から、前述した「相鉄・JR直通線」を経由し、東急東横線・東急目黒線方面への直通運転のため。計画発表時には2009年度着工、2019年開業を目標としていた。実際には2012年10月に国土交通省より工事施工認可が出され、東急電鉄ウェブサイトでは「2014年1月から日吉駅付近の工事に着手」と記載されている[6]。着工当時、運行開始は2019年4月予定で当初と変更はなかったが、2016年8月になって2022年度下期(2022年10月 - 2023年3月)に延期となることが発表された[5]。なお、東急目黒線と相互直通運転をしている東京メトロ南北線・埼玉高速鉄道線・都営三田線、東急東横線が2013年3月から相互直通運転を開始した東京メトロ副都心線や東武東上線、西武有楽町線・池袋線への直通運転を行うかは未定である。
構想および計画中の連絡線
JR東日本
横須賀線西大井駅付近(旧・蛇窪信号場付近) - 山手線大崎駅付近
2004年10月16日、湘南新宿ラインの大増発(32往復 → 64往復)に伴い、旧蛇窪信号場付近において東京方面へ向かう列車(横須賀線・成田エクスプレスなど)と新宿方面へ向かう列車(湘南新宿ラインなど)との平面交差が運行ダイヤ上のネックとなっている。そのため、この平面交差解消を目的とした上り線旅客列車専用の短絡線建設構想が存在する[7]。ただし、2016年現在、具体的な建設計画などは公表されていない。
廃止された連絡線
※両方の路線が接続地点において現存するものに限定して記載する。事業者名は撤去時点の名称。
北総開発鉄道、新京成電鉄
- 北総・公団線(現在の北総鉄道北総線)新鎌ヶ谷駅 - 新京成電鉄新京成線北初富駅
- 北総線の都心側が開通していない状態で、新京成線につないで千葉ニュータウンからのアクセスを暫定的に確保するため。1991年に北総線が京成高砂駅まで開通し、またその翌年には新京成線にも新鎌ヶ谷駅が設置され、同線との乗り換えも可能となったため廃止。高架橋は現在撤去されている。
小田急電鉄、京王帝都電鉄
小田急小田原線世田谷代田駅 - 京王井の頭線新代田駅(代田連絡線)
- 戦時中、1945年5月の空襲で井の頭線永福町車庫が被災した後、他路線からの借入車や新車の搬入、被災車両の搬出、借入車の返却を行うため、強制収用した土地に建設された[8]。建設当時は、両線がいずれも東京急行電鉄(いわゆる大東急。1948年6月に小田急電鉄・京王帝都電鉄が分離発足)だったため実現した。京王帝都電鉄(現在の京王電鉄)が承継した後、地主からの返還請求により1952年に使用を停止し、翌年撤去された[8]。その跡地は世田谷代田駅にわずかに残っていたが、小田急線の複々線化事業の進捗により完全に消滅した[8]。
日本国有鉄道、京浜急行電鉄
東海道本線蒲田駅 - 京急穴守線(現在の空港線)京急蒲田駅(蒲蒲連絡線)
- 太平洋戦争後の1945年9月、羽田飛行場を接収した米軍への物資輸送用として建設。建設時点では穴守線は東京急行電鉄(いわゆる大東急)に所属していた(1948年6月に京浜急行電鉄として再分離)。京急穴守線は上り線を1067mmに改軌の上、国鉄の運行による貨物輸送が1952年11月まで実施されていた。現在は線路は撤去され、跡地は道路等に転用されている[9]。なお2014年現在、大田区が東急多摩川線矢口渡駅 - 京急空港線大鳥居駅間に新線を敷設する蒲蒲線(仮称)の計画を検討中であるが、上述の蒲蒲連絡線とは無関係である。
日本国有鉄道、小田急電鉄
南武線宿河原駅 - 小田急小田原線向ヶ丘遊園駅(登戸連絡線、南武連絡線)
- 南武線が国有化される前の1937年に設置された[8]。当時は連絡線を通じた貨物輸送(砂利運搬)[8]や、電車の貸し借りが行われていた。また、戦争中には東海道本線が戦争で被災した場合の迂回路に想定されたこともある。主な輸送対象だった河川の砂利採取が禁止されたことで1967年3月に廃止[8]。跡地も区画整理されほぼ現存しない。ただし、南武線宿河原駅 - 登戸駅間の線路際西側に小田急電鉄の用地が僅かながら現存する。
日本国有鉄道、東京急行電鉄
横浜線および東急東横線の菊名駅構内
甲種輸送などを行うため、東横線渋谷方面と横浜線八王子方面の線路の間に連絡線(いわゆる授受線)が存在した。後にその役割を長津田駅に譲っている。1966年9月に撤去され、痕跡は残っていない。
JR西日本、富山地方鉄道
富山駅・電鉄富山駅構内
- JR西日本の軌道検測車(キヤ141系)を入線させるため。過去には、国鉄時代(1970年 - 1983年)には大阪駅発の急行電車「立山」や名古屋(名鉄名古屋駅)方面からの特急「北アルプス」などが、JRとなってからも(1990年 - 1999年)大阪方面から特急「スーパー雷鳥」や「サンダーバード」などが、国鉄(JR)富山駅から地鉄線に乗り入れる定期運用もあった。富山駅の高架化工事に伴い撤去されている。
日本国有鉄道
- 東海道本線貨物支線(東海道本線熱田駅 - 中央本線千種駅間)
- 熱田駅の東にあった兵器工場(名古屋陸軍造兵廠高蔵・熱田製造所)や車両工場(日本車輌製造)で製造された物資の輸送の便を図るため、1918年(大正7年)9月10日に開設された連絡線である。当時中央本線の、名古屋市内の駅は名古屋駅と千種駅しか存在せず、東海道本線・熱田駅方面と中央本線間の物資輸送は、一旦名古屋駅まで輸送してスイッチバックしなければならず、不便を強いられた。本連絡線はその不便を解消するために設けられたものである。東海道線の分岐点は熱田駅の北0.5km付近(地図)、中央本線の合流地点は古渡信号場(地図)であった。本連絡線は1930年(昭和5年)4月1日に廃止された。線路跡は道路として整備され戦後まで残っていたが、その後は跡地の宅地化が進み、痕跡はほとんど残っていない。
名古屋鉄道
- 知立連絡線(名鉄三河線三河知立駅 - 名鉄名古屋本線知立信号所間)
愛知電気鉄道(名古屋本線東部の前身会社)が三河鉄道(三河線の前身会社)との貨物相互直通運用のため1928年に建設、名古屋本線東部および三河線の貨物営業が廃止された1984年まで貨物線として使用された。このうち1950年から1959年までの間は旅客運用も実施しており、1959年に現・知立駅および現在の配線が完成するまでは知立連絡線を経由して名古屋本線と三河線との直通運転を行っていた。廃止後、三河線よりの路盤は段階的に整理されたが、名古屋本線よりの路盤はレールや架線が残されている。
名古屋鉄道、近畿日本鉄道
名鉄名古屋本線新名古屋駅(現在の名鉄名古屋駅) - 近鉄名古屋線近畿日本名古屋駅(現在の近鉄名古屋駅)
- 近鉄名古屋線が狭軌であった時代、名古屋駅で名鉄と近鉄の線路がつながっており、定期旅客列車の直通はなかったものの、1950年から1952年まで団体列車の乗り入れが行われていた。新名古屋駅の改造・配線変更に伴い1954年に廃止。
名古屋鉄道、JR東海
- 鵜沼連絡線(名鉄犬山線新鵜沼駅 - 高山本線鵜沼駅間)
- 名鉄と高山本線方面との貨車受け渡しのために建設されたもので、戦前から存在した。当初設置されたものは新鵜沼駅から鵜沼駅構内に岐阜駅側に向かって進入する線路であった。1932年には(高山本線内は蒸気機関車に牽引させる形で)この線路を経由した直通旅客列車が運行されている。高山駅方面に向かうために、列車は鵜沼駅で方向を転じていた。戦後は「北アルプス」(当初は準急「たかやま」)の運行にも使用された。1972年には新鵜沼駅から高山駅方面に直通する配線に変更され、「北アルプス」の方向転換は解消された。しかし、同列車が2001年に廃止されたため、分岐器が撤去されて線路が切断された。厳密には連絡線自体はJR鵜沼駅脇に2008年まで名鉄の電留線があったため存続されていた。線路は2010年に完全に撤去され、跡地は道路に転用された。
京阪電気鉄道、近畿日本鉄道
京阪本線丹波橋駅 - 近鉄京都線桃山御陵前駅(駅南側)、伏見駅(駅北側)
- 旧奈良電時代の1945年より、近鉄京都線が堀内駅を廃止した上で丹波橋駅の2番線と4番線に乗り入れる形で相互直通運転を開始。後に近鉄京都線の架線電圧昇圧が決定したことなどを受けて、1968年に近鉄京都線は旧堀内駅跡に近鉄丹波橋駅を設けて独立、同時に相互直通運転も廃止された。ただし両線を結ぶ連絡線は翌1969年まで存続した。
阪神電気鉄道、京阪神急行電鉄
阪神本線および阪急今津線の今津駅構内
- 戦時中の川西航空機関連の軍需輸送のため。戦後、阪急の車両が暴走して阪神線に侵入する事故(詳細)があり線路が分断、その後阪急側の駅移転・両者の高架化があり、痕跡は残っていない。かんべむさしの小説『決戦・日本シリーズ』にはこの連絡線がキーアイテムとして登場する。
JR西日本
阪和連絡線(関西本線八尾駅 - 阪和線杉本町駅間)
- 正式には関西本線の支線であった。和歌山方面への貨物列車運転のために1952年開通した。1965年にはこの区間を経由する特急「あすか」が運転を開始し、それに合わせて旅客営業キロも設定された。「あすか」は利用客の不振から1967年に廃止されたが、営業キロの設定はその後も残り、国鉄民営化後の1988年以降臨時の旅客列車が複数設定されていた。民営化に際してはJR貨物も第2種鉄道事業の免許を保有した。その後2003年にJR貨物の免許は廃止となり、2009年に路線自体も廃止となった。
世界の連絡線
ニューヨーク市地下鉄
ニューヨーク市地下鉄には、異なる路線間をつなぐ"Connection"と呼ばれる線路があり、「連絡線」と訳される。詳細はニューヨーク市地下鉄の路線の一覧を参照。
バンコク・スカイトレイン
バンコク都内を中心に走るバンコク・スカイトレイン(BTS)のターミナル駅であるサイアム駅には、スクムウィット線とシーロム線をつなぐ連絡線が設けられている。この2路線はそれぞれ独立して運行されており通常時はこのサイアム駅で乗り換えとなるが、輸送障害の発生などでダイヤが乱れた際には、突発的にこの連絡線を介して相互に乗り入れを行うこともある[10]。
脚注
^ 旅客列車では所要時間の短縮や、乗り換えをなくすため。貨物列車でも貨物の積み替えを不要とし、貨車を直通させるため。国鉄が貨物輸送を縮小する以前、全国各地の国鉄線と会社線や専用鉄道との間には、貨車をやり取りする連絡線が数多く存在した。
^ 回送、検測、保線、車両輸送など。
^ 有楽町線小竹向原駅~千川駅間連絡設置設工事完成! (PDF) - 東京メトロ(2016年2月12日)
^ 神奈川県で建設中の相鉄・JR直通線、工事の遅れで開業を2018年度内に延期 - マイナビニュース、2013年4月24日。
- ^ ab“相鉄・JR直通線、相鉄・東急直通線ともに開業延期 - 建設費4,000億円以上に”. マイナビニュース. (2016年8月26日). http://news.mynavi.jp/news/2016/08/26/421/ 2016年8月26日閲覧。
^ 快適な鉄道利用環境 - 東急電鉄ウェブサイト(2014年12月23日閲覧)
^ 湘南新宿ラインに関わる平面交差支障の解消について (PDF)
- ^ abcdef『小田急電鉄の世界』〈トラベルMOOK〉交通新聞社、2014年、p.81
^ 蒲蒲短絡線跡 ~蒲蒲線 かつてはあった 未成線~
^ “バンコク高架電車BTS、線路不具合でスクムビット線の一部とシーロム線結合”. newsclip.be. (2016年2月24日). http://www.newsclip.be/article/2016/02/24/28449.html 2018年11月17日閲覧。
関連項目
- 引き込み線
- デルタ線
- 貨物線