国鉄DE10形ディーゼル機関車
注意:車両の動きについては変動があっても、明確な出典を示した上で編集を行ってください(Wikipedia:出典を明記する)。明確でない場合は、差し戻されることがあります。また、独断でWikipedia:検証可能性に反する個人の目撃報告や外部の私設サイトなどを典拠とする情報も記載しないでください。 |
この記事には参考文献や外部リンクの一覧が含まれていますが、脚注による参照が不十分であるため、情報源が依然不明確です。適切な位置に脚注を追加して、記事の信頼性向上にご協力ください。(2017年1月) |
国鉄DE10形ディーゼル機関車 | |
---|---|
DE10 1765 (2015年9月1日青森駅) | |
基本情報 | |
運用者 | 日本国有鉄道 北海道旅客鉄道 東日本旅客鉄道 東海旅客鉄道 西日本旅客鉄道 四国旅客鉄道 九州旅客鉄道 日本貨物鉄道 |
製造所 | 日本車輌製造・汽車製造・日立製作所・川崎重工業 |
製造年 | 1966年 - 1978年 |
製造数 | 708両 |
主要諸元 | |
軸配置 | AAA-B |
軌間 | 1,067 mm |
全長 | 14,150 mm |
全幅 | 2,950 mm |
全高 | 3,965 mm |
機関車重量 | 65.0 t |
台車 | DT131 (2軸) DT132 または DT141 (3軸) |
動力伝達方式 | 液体式 |
機関 | V型12気筒ディーゼル機関 61070cc DML61ZA DML61ZB (1000番台以降) |
変速機 | DW6 |
最高運転速度 | 85 km/h (高速段) 45 km/h (低速段) |
定格出力 | 1250PS / 1500rpm 1350PS / 1550rpm (1000番台以降) |
最大引張力 | 19500 kgf |
DE10形ディーゼル機関車(DE10がたディーゼルきかんしゃ)は、日本国有鉄道(国鉄)が開発・設計した中型ディーゼル機関車である。
目次
1 概要
2 構造
3 番台区分
3.1 基本番台
3.2 500番台
3.3 900番台
3.4 1000番台
3.5 1500番台
3.6 3000・3500番台
4 仕様区分
5 運用の変遷・現況
5.1 国鉄時代
5.2 JR北海道
5.3 JR東日本
5.4 JR東海
5.5 JR西日本
5.6 JR四国
5.7 JR九州
5.8 JR貨物
5.9 譲渡車・同形車
6 保存機
6.1 展示・保存後に解体された車両
7 派生形式
8 脚注
8.1 注釈
8.2 出典
9 参考文献
10 関連項目
概要
ローカル線の貨客列車牽引や入換用途を主目的として開発された。1966年(昭和41年)から1978年(昭和53年)までに合計708両が製作され、日本各地のローカル線で蒸気機関車を置き換え、動力近代化を促進した。
ロード・スイッチャー(支線用貨客列車の牽引と入換を兼用する機関車)としては、1957年(昭和32年)からDD13形が使用されていた。同形式は軸重14tで線路等級の低い支線区への入線が難しく、暖房用蒸気発生装置 (SG) 非搭載で旅客列車への使用に制約がある(このために暖房車が用意されることもあった)、軸数が少なく重入換の用途では制動力に不足[注 1]があるなどの短所を内包しており、支線区や入換用途でディーゼル機関車を汎用的に使用するための設計手法が模索されていた。
1962年(昭和37年)に本線用ディーゼル機関車DD51形でDML61系1,000PS級V型12気筒ディーゼル機関の実用化がなされると、同系統の機関を1基搭載とした中型機の構想が具体化した。エンジンや変速機を1系統とするなど、部品点数の削減で保守性の向上と軽量化を図り、支線区でも広汎に使用できる機関車を目標としたもので、これは1963年(昭和38年)と1965年(昭和40年)の2回に分けてDD20形として試作されたが、軸重過大や粘着性能不足に起因する空転多発などの問題点が顕在化し、量産化は断念された。
DD20形の試用結果を受け、軸重・牽引性能と汎用性の両立を実現するため開発されたのが本形式である。動軸を5軸として13t級の軽軸重を実現し、3軸+2軸の台車配置・前後非対称の車体構造など、広汎に使用可能とするための設計が随所に盛り込まれた。
入換作業はもとより、臨時列車や貨物列車の牽引までをこなす高い汎用性から、国鉄の一形式単独としては唯一JR7社すべてに継承され使用されてきたが、近年では客車列車や貨物列車を牽引する機会が減少しており、東海旅客鉄道(JR東海)では全車が廃車されている。
また、日本貨物鉄道(JR貨物)では当該機関車の置き換えとして電気式ディーゼル機関車「DD200形」が開発されており、試作機1両の新製を進めていると発表された[1][2]。
2016年12月にJR東日本より、SL大樹の補機用として1099号機が秋田で整備の上で譲渡され、2017年8月10日より下今市-鬼怒川温泉間でJR北海道所有の貸出機C11 207号機牽引のSL大樹号の後補機として運用されているほか、C11 207号機の故障時や定期点検中はDL大樹号として列車の先頭にたっている。
構造
※各部機器配置の説明にあたっては、ボンネットの長い側を「1端側」、短い側を「2端側」と記述する。
運転室を中央に、前後に機器類を収納するボンネットを配し、DD13形やDD51形と同様な凸型車体である。本形式は駆動機関が1台であるため、機器配置や重量配分の観点から1端側のボンネットが長い前後非対称の配置で、運転室が中心にない「セミ・センターキャブ」と呼称される形態である[注 2]。
長い側(1端側)のボンネット内にはエンジンなどの駆動系と冷却系の機器を配置し、短い方(2端側)のボンネット内には軽油燃焼式のSGを配置する。運転室のボンネット上面側に設けた煙突は1端側がエンジンの排気用、2端側は暖房用蒸気発生装置(SG)の排気用である。運転台側面下部には通票キャリア受器(タブレットキャッチャー)を設け、受器の前後2箇所に長方形のゴム製保護板を設ける。このため、側面の車両番号標記は受器の直下位置に移されている。外部塗色は車体が朱色4号、車体上部・屋根部がねずみ色1号で、塗装の境界部には白色の帯を車体全周に配する。
室内の運転台は横向きに(出入り口の反対側に、出入り口に向けて)2か所配置される。これは、入換作業や短区間の折返し運転を主目的としたため、運転士が座ったまま首を動かすだけで運転方向の切替が可能な設計である。運転席は人間工学を取り入れた視認性・操作性に配慮した仕様で、操作系は左手側にマスコンハンドル、右手側にブレーキ弁を配置した電車と同じ配置にした。また、ブレーキ弁は新性能電車と同様にハンドル角度に応じてブレーキ力が決まるセルフラップ式を採用している。入換の誘導員から運転士がどちらの運転台に着座しているか即座に判断できるよう、使用中の運転台側が点灯する橙色の知らせ灯が運転席側面に装備される。
線路規格の低い「丙線」での使用を考慮し軸重を13t以下に抑え、かつ、重量のある列車の入換作業にも使用可能な粘着力を得るため軸数を5軸に増加し、すべてを動軸とする。台車は推進軸の関係で無心皿となっており、3軸 + 2軸の構成で、3軸台車は曲線区間での横圧を低減するため各軸箱がリンクで連結され各1軸が独立して左右動できる連接構造である。このため、UIC式などの軸配置表記は3軸台車の各軸を独立軸と見なし「AAA-B」となる。軸受を車輪の内側に配し、台車枠は減速機と一体化したインサイドフレーム方式で、軸箱支持装置は外側からは見えない。
運転整備重量は65.0tで、DD13形(4軸56.0t)より増加しながらも5軸配置のため軸重は14t → 13tに減少し、さらに線路規格の低い簡易線を除いた大部分のローカル線で使用が可能となった[注 3]。また車軸数の増加で得られるブレーキ力が強化され、入換使用時のブレーキ力不足問題も解消された。重連総括制御装置をもち、一般仕様の全車[注 4]が重連運転可能である。DD51形とも総括制御により重連運転が可能だが、最高速度は75km/hに制限される。
エンジンはV型12気筒ディーゼル機関のDML61ZA形 (1,250ps / 1,500rpm) を1基搭載する。これはDD51形用DML61Z形の給気冷却器(インタークーラー)の回路を別系路とし、ピストンを強化して定格出力の引き上げを図った機関で、液体変速機もDD51形同様のフォイト式を基に高低2段の速度切替が可能なDW6形を搭載する。特性の異なる3組のコンバータと2組の速度切替弁を内蔵し、これらを随時切り替えることで走行特性を本線での列車牽引(高速段: 最高85km/h)・入換作業(低速段: 最高45km/h)の双方に最適化する仕様である。冷却系機器は1端側前位に放熱器と送風機を設ける。過熱対策としてSG用の水を放熱器に散布する機構(ウォータースプレー)も備えており、側面の放熱器カバー上部に片側5組の撤水口を設ける。
DE10 1535(真岡鐵道)の
DT132A形三軸台車
(2007年6月23日 / 下館駅)
DE10 1742の
DT141形三軸台車
(2007年10月20日 / 札幌運転所)
DE10 1742の
DT131E形二軸台車
(2007年10月20日 / 札幌運転所)
DE10形の主機関DML61ZB形
1000番台以降に搭載される出力増強形
(2007年5月26日 / 大宮車両所)
番台区分
基本番台
SG付きで、1966年 - 1970年に158両 (1 - 158) が日本車輌製造・汽車製造・川崎重工業(以下、900番台を除き同一)で製作された。
1 - 4は試作車で、鋼板溶接構造の台車枠を持つDT132形(3軸)、DT131C形(2軸)を装備する。1端側ボンネットの放熱器カバーは中桟のない一枚形状で、2端側台枠上部の側面機器箱は運転台から車体端部に達する長い形状である。
1967年製の5以降が量産車で、台車は鋳鋼製台車枠のDT132A形(3軸)、DT131E形(2軸)に変更された。放熱器カバーは中桟を2本配した形状に変更され、2端側の側面機器箱は容積を縮小した。
12 - 19は入換専用とするため、蒸気発生装置 (SG) を搭載せず準備工事のみの仕様で製作された。
1987年の国鉄分割民営化に際しては4両のみ四国旅客鉄道(JR四国)に継承されたが、1989年に除籍された。国鉄清算事業団からの購入車などが一部の私鉄で残存している。
500番台
1968年 - 1970年に74両 (501 - 574) が製作された。
基本仕様は基本番台の5以降と同一で、構内入換・貨物列車に用いるためSGを非搭載とした番台区分である。2端側機器室内のSG設置空間にコンクリートの死重、運転席下部の水タンク設置空間に鋼板を積み、基本番台と重量をあわせ牽引力を確保している。
SGの水タンクを装備せず、初期製作の501 - 519では放熱器の撤水機構を装備しない。520以降は専用の水タンク (1000 L) を新たに設置し、基本番台と同様の撤水機構を装備した。
JRへの承継車はないが、国鉄清算事業団からの購入車が一部私鉄で残存している。
900番台
大規模操車場での重入換用試作車として、1967年に1両 (901) が本形式では唯一となる日立製作所で製作された。
SGは非搭載、死重を積み重量を70 tに増やして軸重をDD13形と同じ14 tに引き上げている。運転席2端側は煙突を省略し、中央寄り2枚の正面窓を拡張している。2端側ボンネットは一般車より幅が狭く、前照灯の間隔も近い。入換専用とするため、重連総括制御装置は装備しない。
試用結果を踏まえ、量産車はDE11形として製作された。一時、自動無線操縦装置(SLC = Shanting Locomotive Control System)を取付けて武蔵野操車場で試験を実施した時期もある。長らく吹田操車場で入換作業に従事していたが、廃車となり現存しない。
1000番台
1969年 - 1973年に210両 (1001 - 1210) が製作された。
基本番台の機関の設計を変更し、燃料噴射ポンプや予燃焼室の形状を改良して出力を向上したDML61ZB形 (1350PS / 1550rpm) を搭載した区分で、全車がSGを搭載する。
1972年製の1153以降は3軸台車の揺れ枕支持機構を変更し構造を簡素化したDT141形[注 5]に変更した。1973年製の1188以降は運転室の天井に扇風機を設け、屋根上に扇風機カバーが突出している。
ホッパ車を牽引するDE10 1076(2017年5月18日)
50系客車を牽引するDE10 1127
(1993年11月)
DE10 1209 (小波瀬西工大前駅)
1500番台
1970年 - 1978年に265両 (1501 - 1765) が製作された。
SGを装備しない500番台の機関を1000番台と同一のDML61ZB形に変更した区分で、積載する死重は運転台直下のものもコンクリート製に統一している。
1000番台と同時期に仕様変更が行われ、3軸台車のDT141形装備は1972年製の1550以降、運転室の扇風機設置は1973年製の1569以降になされている。
1000番台の製作終了後も本区分は1978年まで製作され、製作の次期により1端側放熱器カバーの3分割化[注 6]やナンバープレートのブロックプレート化、扇風機カバーの平滑化、2端側正面下部通風口の廃止などの変更がなされている。
3000・3500番台
東日本旅客鉄道(JR東日本)は除雪用としてモーターカーの導入を進めていることから、余剰となったDE15形(機関車部)が、日本貨物鉄道(JR貨物)に売却され、本形式への改造工事を施したものである。ラッセルヘッドの連結が不要となったことから、ラッセルヘッドを連結する密着連結器や電気連結器、空気配管の装備を全て撤去している。また保安装置もJR貨物対応のものとされた。
改造された車両のうちDE15形1000番台を種車とするものはDE10形3000番台に、DE15形1500・2500・2550番台を種車とするものはDE10形3500番台へと改番された。
2009年8月27日に大宮車両所を3511号機(旧DE15 1539)が出場、9月7日には3501号機(旧DE15 1510)が出場した。
仕様区分
本形式は新造時や転属の際に、使用地域の気候条件を考慮した各種装備が付加された。配置された気候条件によって以下の仕様がある。
- 一般型(暖地仕様)
- 気候が温暖な地域に配置された標準的な仕様である。スノープラウは省略されることが多い。関東・中京・近畿・九州地区に配置されたものに見られる。
- A寒地仕様
- 気候が極めて寒冷な地域で使用するための装備群で、主な追加装備は耐雪ブレーキ・スノープラウ・旋回窓・ジャンパ栓や砂撒管の凍結防止用加熱装置などである。北海道・東北地区の各線区や高山本線などに配置された。
- B寒地仕様
- 気候が寒冷な地域で使用するための装備群で、主な追加装備はA寒地仕様に準じるが、旋回窓は装備せず、電熱式のデフロスタとワイパーを装備する。耐雪ブレーキも装備しない。山陰を中心とした中国地区・中央本線・磐越東線などに配置された。
運用の変遷・現況
この節の加筆が望まれています。 |
国鉄時代
1966年製の試作車4両は暖地仕様 (1・2) を松山機関区に、B寒地仕様 (3・4) を一ノ関機関区に配置し試験運用を開始した。
主に支線区の旅客列車・貨物列車のほか、各地の車両基地や操車場で入換に重用されたが、中には短区間ながら「あかつき」の早岐 - 佐世保間や「日本海」「つるぎ」の米原 - 田村間で特急仕業にもついた。
1975年の動力近代化完了以降は、旅客列車の電車・気動車化、貨物輸送量の減少による支線区の貨物列車廃止、さらには線区自体の廃止などもあって列車牽引の運用は減少に転じ、1984年の貨物輸送体系転換では操車場の機能見直しから入換用途も減少した。基本番台・500番台を中心に大量に淘汰が開始され、機能停止した操車場に休車の本形式が多数留置されることとなった。
1987年の国鉄分割民営化に際しては、約半数の361両が旅客6社・貨物会社に承継された。
JR北海道
北海道旅客鉄道(JR北海道)には23両が承継された。各地で入換に使用するほか、急行「天北」(名寄 - 稚内)運用や釧網本線の貨物列車運用にも使用された。
2018年4月時点で函館運輸所に3両、旭川運転所に4両、釧路運輸車両所に3両の計10両が配置されている[3]。旭川配置車は主に札幌運転所での入換に使用されるほか、釧路配置車は「ノロッコ号」に使用される。函館運輸所配置車には、青函トンネル区間の非常時救援用としての役割を兼ねるものもある。
JR東日本
東日本旅客鉄道(JR東日本)には68両が承継された。主に各配置区を中心とした入換作業や工事臨時列車、工場への入出場列車の牽引に使用される。
承継された車両の中には1759号機や、後にJR貨物に譲渡された1701号機のようにDD14形と総括制御可能なように改造された車両もあり、この改造を受けた車両は未改造の車両と総括制御ができなくなっていた。DD14形の廃車が進行すると、これらは順次復元改造を受けた。
2018年4月現在では、盛岡車両センターに8両、秋田車両センターに3両、長岡車両センターに2両、高崎車両センター高崎支所に10両、郡山総合車両センターに5両の合計28両が配置されている[3]。このうち高崎車両センター配置の1705号機の塗装はぶどう色2号と白帯になっており、イベントや臨時列車牽引に使用される機会も多いが、近年は本線で運転される機会はなくなり、「SLぐんま みなかみ」などSL列車被牽引客車の入換仕業での運用に留まっている。また、郡山総合車両センター配置で会津若松派出所に常駐する1124号機は、1972年 新潟県弥彦神社参拝に伴う越後線・弥彦線でのお召し列車本務牽引機としての充当経歴を持っている。
2017年3月からは、車両基地の合理化に伴い、宇都宮運転所の車両配置がなくなり、首都圏の本形式はDE11形とともに全て高崎車両センター高崎支所に集中配置するようになった。高崎のほか大宮総合車両センター・田端運転所(田端・尾久地区)・水戸運輸区・木更津派出などの各拠点に常駐する。他地域と同様、車両基地内での入換や工事臨時列車などでの使用が主だが、JR貨物に貸し出されて貨物運用に付く場合がある。総武本線120周年記念号など、総武本線を走行するイベント列車の牽引機にも使用されることがある。
また、首都圏に配置されている車両の全てと、他地域でも一部の車両は保安装置がATS-Pの区間を走行するため、2端側ボンネット内にATS-P機器を搭載している。この機器の設置及び整備のために2端側も1端側と同様の観音扉に改造しており、他社が保有するDE10とは表情が異なっている。
一時期は特急列車の定期運用が存在した。1990年から開始された山形新幹線福島 - 山形間建設工事による迂回措置で、寝台特急「あけぼの」が同年7月より奥羽本線から陸羽東線経由に変更されたために小牛田 - 新庄間を重連で牽引した。1997年3月ダイヤ改正で同列車が上越線・羽越本線経由に変更され、当該運用は終了している。[注 7]
2013年2月4日、高崎車両センター配置のDE10 1698が、定期検査のため秋田総合車両センターへEF81 141牽引による回送中、上越線 津久田駅 - 岩本駅間を走行中に床下より出火し、約1時間半後に消し止められた。
「ノスタルジックビュートレイン」用の
DE10 1204
1992年
JR東海
東海旅客鉄道(JR東海)には13両が承継された。静岡運転所に配置され、名古屋車両区の構内や静岡県下の各駅で入換に使用された。
同社所属の本形式は、台車など床下の各機器を灰色に塗装していた。
2008年度内に美濃太田車両区配置の1521が廃車されたことにより、JR東海所属の本形式は消滅した。
JR西日本
西日本旅客鉄道(JR西日本)には49両が承継された。2018年4月時点で18両が在籍。金沢総合車両所富山支所に4両、梅小路運転区に2両、網干総合車両所宮原支所に3両、福知山電車区豊岡支所に1両、岡山電車区に2両、後藤総合車両所に3両、下関総合車両所に3両を配置[3]。
後藤総合車両所の1161は奥出雲おろち号塗装となり、2010年4月より専用機として使用されている。梅小路運転区の1156は、嵯峨野観光鉄道の予備機として専用塗装となっている。かつて宮原総合運転所の1152はきのくにシーサイド用として専用塗装となっていたが、同列車の廃止により原色に戻されている。
「きのくにシーサイド」用の
DE10 1152
2007年8月5日 / 和歌山駅
梅小路運転区のDE10 1156号機(2016年5月撮影)
JR四国
四国旅客鉄道(JR四国)には基本番台機4両を含む37両が承継された。「アイランドエクスプレス四国」牽引用の専用塗装機も存在した。
発足当初に多数存在した50系客車主体の客車列車は、直後より気動車に置き換えられ、基本番台機を含む多数が淘汰された。以後も残存機が貨物列車や団体専用列車の牽引に使用されたが、石灰石専用列車の廃止や予讃線観音寺 - 伊予市間の電化延伸に伴う貨物列車運用のJR貨物への移管、団体専用列車の減少により稼動車は減少している。
2018年4月時点で臨時列車・工事列車などの不定期列車牽引用として、高松運転所の2両のみ(1095, 1139)が在籍する[3]。
DE10 1036
アイランドエクスプレス専用塗装機
DE10 1139とDE10 1095
2009年5月23日
予讃線 端岡 - 国分
JR九州
九州旅客鉄道(JR九州)には19両が承継された。2018年4月時点で熊本車両センターに7両(1195, 1206, 1207, 1209, 1638, 1753, 1756)、鹿児島車両センターに1両(1755)の計8両が在籍する[3]。一時は同社のジョイフルトレイン「パノラマライナーサザンクロス」の専用機として塗装変更された車両も存在した。
特異な運用として、非電化区間で電車を牽引する運用が存在した。485系電車で運転されていた特急「有明」について、1987年から毎日運転の臨時普通列車として豊肥本線(熊本 - 水前寺)に乗入れが開始され、専用機として1755が使用された。サービス電源供給用電源車として、当初はスハフ12形、後に電源搭載改造を施したヨ8000形28000番台を連結して牽引・推進運転が行われた。同機は、後に485系電車に合わせたクリーム4号+赤2号の「国鉄特急色」に変更されている。
1988年に783系電車(ハイパーサルーン)が「有明」での使用を開始すると1756が専用機として追加され、同機はハイパーサルーンの配色に合わせたライトグレー+赤帯、1端側先頭部に「ハイパーサルーン」ロゴを配した塗装に変更された。ただ運行形態が特殊だったため、1994年6月30日をもって「有明」水前寺乗り入れは廃止された(肥後大津駅まで電化は1999年10月で、電化による充当解消ではなく豊肥線乗り入れ有明は5年ブランクがある)。
久大本線では普通客車列車の牽引に使用されていたが、1999年に客車列車の全面気動車化により消滅した。また豊肥本線で運行されていた「あそBOY」の補助機関車あるいは代替機としても使用された。
2010年8月、NHKがデジタル放送普及のために企画した鉄道による九州一周プロジェクト「BSデジタル号がゆく!〜ブルートレイン 九州一周の旅〜」(9月3日 - 5日)で運行される臨時列車「BSデジタル号」の牽引に熊本車両センター配置の1753が起用されることになり、塗装を黒基調のオリジナル塗装へ変更した[4]。当形式での「BSデジタル号」の牽引は、全行程のうち人吉駅 - 鹿児島中央駅 - 門司港駅間(肥薩線・日豊本線・鹿児島本線・日豊本線・久大本線・日田彦山線・日豊本線・鹿児島本線経由)で行われた。また2012年11月には同じく熊本車両センター配置の1638が1753と同じ色に塗り替えられた[5]。これらの塗り替えられた機関車は臨時列車などのほか、クルーズトレイン「ななつ星in九州」の回送時にも使用される[注 8]。現在では全車両が黒塗りで、手摺が黄色に変更されている。
パノラマライナーサザンクロス色の
DE10 1131
国鉄特急色のDE10 1755
1987年頃 / 熊本駅
「BSデジタル号」塗装のDE10 1753
手摺が黄色のもの DE10 1207
手摺が橙色のもの DE10 1756
JR貨物
日本貨物鉄道(JR貨物)には151両が承継された。2018年5月1日現在の配置は以下のとおりである[6]。
仙台総合鉄道部:12両(1120・1179・1197・1198・1591・1595・1643・1719・3001・3507・3510・3512号機)
東新潟機関区:13両(1539・1575・1676・1687・1728・1729・1730・3501・3505・3506・3508・3511・3513号機)
新鶴見機関区:7両(1189・1576・1662・1664・1666・1749・3509号機)
愛知機関区:9両(1165・1557・1562・1581・1592・1723・1725・1726・1727号機)
岡山機関区:13両(1164・1181・1188・1191・1192・1561・1586・1614・1675・1731・1733・1743・1750号機)
門司機関区:6両(1202・1559・1560・1745・1746・1748号機)
入換仕業がメインであるが、本線区間での貨物列車の牽引も行う。
JR貨物には構内入換専用として「入換動車」扱いとされた車両がある。当該車は各種検査時期の延伸、釣合管・ジャンパ栓の作用停止などの処置が加えられている。一部の車両はえんじ色に黄色の警戒色が入った入換専用色に塗装変更されており、札幌貨物ターミナル駅などで使用されている。
しかし2017年3月現在、この塗装の入れ替え動車は岡山機関区の1731のみとなっている。
本形式に代わる入換用新型機関車の開発[7]も進められており、2010年3月に後継機であるハイブリッド機関車HD300形の試作車が落成した[8]。
2009年に、JR東日本より除籍となったDE15がJR貨物に譲渡され、大宮車両所にてDE10 3000・3500番台として改造された。2012年2月1日時点では、仙台総合鉄道部に3500番台4両、東新潟機関区に3000番台1両・3500番台5両が配置されている。
2013年3月ダイヤ改正では、城端線(高岡 - 二塚)および氷見線・新湊線(高岡 - 能町 - 高岡貨物)での運用がJR西日本から移管された[9]。
2015年3月14日ダイヤ改正では、城端線(高岡 - 二塚)での運用(2往復)が臨時列車化されたが、運行本数は変わっていない[9]。
2017年3月4日のダイヤ改正では、下関駅についてはHD300形を使用出来る規模でないために、「DB500形液体式内燃機関車」を当機関車から入換機関車の置き換えとしての開発・導入を行っており、定期検査・給油についてはJR西日本の下関総合車両所で行う[10]。
2017年5月27日「鉄道のまち大宮 鉄道ふれあいフェスタ」で、1557号機に、「最終全検DE10形式 JR貨物大宮車両所2017.5」のヘッドマークが取り付けられた。
老朽化の進行により、今後はDD200形を開発中であり、当機関車から置き換えられていく予定である[1][2]。
DE10 1598(原色・寒冷地仕様)
2012年12月28日
高岡駅
JRF入換動車色
2007年4月3日
大牟田駅
DE10 1164(JR貨物 新更新車)
2009年9月4日
水島臨海鉄道 水島 - 東水島
DE10 1664(JR貨物A更新車)
2006年5月16日
拝島駅
DE10 1073
2006年6月25日
八王子駅
DE10 1557
2017年5月27日
大宮車両所
譲渡車・同形車
本形式は汎用機として大量に製作されたことから、臨海鉄道や専用線で使用する目的で譲渡された車両や、同一仕様の機関車を自社発注して使用する例が各地で見られる。これはDD13形と同様の傾向であるが、国鉄・JR各社がDD13形を淘汰したのに対し、専用線・臨海鉄道などでは2機関4軸駆動のDD13形タイプを引き続き使用する例は少なくない[注 9]。1機関の本形式は機関故障時の冗長性に劣ることや、各軸独立構造の台車など特殊な仕様の機構を保守できる体制が整っていない事業体が多い[注 10]などの理由が挙げられる。
本形式および同形機を使用するおもな事業体を以下に示す。車両の仕様等、詳細は各リンク先を参照されたい。
秋田臨海鉄道 - JR東日本より十勝鉄道に譲渡、その後当社に購入された1543が在籍[11]。側面ナンバーは十勝鉄道時代にブロック式から切文字貼付式に変更されている。
真岡鐵道 - JR東日本より譲渡された1535が在籍。SL列車の回送や客車列車牽引に使用される。2010年には部品確保用として1014(←関西フレートサービス←JR四国アイランドエクスプレス四国専用機)を購入。
わたらせ渓谷鐵道 - JR東日本より譲渡された1537と1678が在籍しトロッコ列車牽引などに使用される。車籍はないが部品確保用に1682も購入している。
東武鉄道 - SL復活計画の一環として1099が譲渡されることになり[12]、2016年12月に引き渡された[13]。
衣浦臨海鉄道 - DE10形と同型のKE65形が在籍。新製したものと国鉄清算事業団から購入したものとがある。
樽見鉄道 - TDE10形・TDE11形が過去に存在し、衣浦臨海鉄道や西濃鉄道からの譲渡車もあった。1両がジェイアール貨物・北関東ロジスティクス(旧・高崎運輸)に譲渡されたが、それ以外の4両は2007年4月までに廃車されている。
西濃鉄道 - 国鉄清算事業団から購入した148の車番を501に変更した1両が在籍。基本番台車としては唯一、2016年1月現在稼働しているものである。
嵯峨野観光鉄道 - JR西日本より譲渡された1104が在籍。トロッコ列車牽引に使用される。- ジェイアール貨物・北関東ロジスティクス(旧・高崎運輸) - 倉賀野駅及び熊谷貨物ターミナル駅の構内入換用。
- ジェイアール貨物・関西ロジスティクス(旧・関西フレートサービス) - JR貨物より譲渡された1082が在籍。大阪貨物ターミナル駅の構内入換用。
このほか、神岡鉄道がJR四国から1005の譲渡を受け(このほか部品確保用に1010)、KMDE101として貨物列車牽引に使用されたが、2002年に廃車となった。
衣浦臨海鉄道 KE65 2
(元DE10 563)
2006年8月23日
大府駅
わたらせ渓谷鐵道 DE10 1537
2008年6月29日
足尾駅
真岡鐵道DE10 1535
2009年2月1日
折本 - 下館二高前間
西濃鉄道DE10 501
(元 DE10 148)
乙女坂 - 美濃赤坂間
嵯峨野観光鉄道DE10 1104
JR西日本のDE10 1156も同塗装
2003年5月4日
トロッコ嵯峨駅付近
ジェイアール貨物・北関東ロジスティクス DE10 1513
(2017年10月9日)
熊谷貨物ターミナル駅
ジェイアール貨物・関西ロジスティクス DE10 1082
(2018年3月3日)
大阪貨物ターミナル駅
保存機
- DE10 1:四国鉄道文化館南館 [注 11]
- DE10 30:千葉県いすみ市「ポッポの丘」[注 12]
- DE10 88:宮城県角田市中央公園
- DE10 95:真岡鐵道真岡駅構内
- DE10 503:小樽市総合博物館
- DE10 1014:真岡キューロク館
- DE10 1511:中央研修センター
- DE10 1677:佐呂間町交通公園
- DE10 1702:三笠鉄道記念館
DE10 1
DE10 30
DE10 95
DE10 1014
DE10 1702
展示・保存後に解体された車両
- DE10 11:埼玉県鴻巣市立吹上小学校 - JR東日本から引退した際にこちらでの展示が決まった。しかし、屋根もない場所で吹きさらしの状態で、塗り直しもされず2015年に解体される直前には、塗装のほとんどが錆びにより剥がれていた。
- DE10 26:福岡県鞍手郡鞍手町歴史民俗資料館
- 神岡鉄道KMDE101(元・DE10 1005):岐阜県飛騨市旧奥飛騨温泉口駅前広場
派生形式
本形式の基本構造を踏襲した形式は以下のとおりである。
- DE11形
- 重入換用機関車
- DE15形
除雪(ラッセル車)兼用形入換用機関車- DE50形
- 本線用機関車。DD51形の後継機として試作検討され、本形式をスケールアップして大出力機関を搭載。
脚注
注釈
^ 9600形等の蒸気機関車はテンダー台車も含めた6 - 8軸で制動がかけられたのに対し、DD13形は4軸しかないため、貨物扱い量の大きいヤードでは制動力不足が指摘されていた。
^ このレイアウトは本形式試作の前年に試作されたDD20 2で初採用されたものを踏襲している。
^ これによって、8620形やC11形などの丙線で運用される蒸気機関車の完全な置き換えが可能となった。より低規格な簡易線用C56形・C12形の置き換えにはさらに軽量なDD16形を開発する必要があったが、本形式が動力近代化計画の予定どおりの達成に果たした役割は非常に大きい。
^ 重入換専用試作車の901は重連対応ではない。
^ DE50形用3軸台車として開発されたDT140形を基本として、揺れ枕より上の車体との結合部分を本形式に適合させた構造である。
^ 1000番台では1973年製の1210のみが放熱器カバー3分割仕様で製作された。なお、JR四国の1095号機など、後天的にこの3分割仕様に改造された車両がごく少数存在する。
^ ただし、天候不良等に伴う迂回措置では、当形式による奥羽本線・北上線経由の「あけぼの」牽引は、上越線・羽越本線経由への変更後も発生している。
^ そのため熊本車両センター所属車の一部が、竹下駅構内の博多運転区、長崎駅、大分車両センターに留置している。
^ 後継の機関車をDD13形タイプで継続することとしたため、導入前提でサンプル購入したDE10形を解体処分した仙台臨海鉄道・京葉臨海鉄道の例がある。
^ 同系機を新製投入した臨海鉄道各社でも、全般検査時は国鉄・JRの工場に入場するのが常であった。
- 衣浦臨海鉄道(KE65形) - JR西日本後藤総合車両所・JR貨物小倉車両所・大宮車両所に入場
水島臨海鉄道(DE70形) - 国鉄鷹取工場・JR貨物広島車両所に入場- 旧・新潟臨海鉄道(DE65形) - JR東日本土崎工場に入場
^ 以前はJR四国 多度津工場に保管されていた。機関部分にはアクリルがはめられている。
^ 機関は除去されている。現在地に移設以前は、閉館まで船の科学館のフローティングパビリオン羊蹄丸内で保存されていた。
出典
- ^ ab“新型ディーゼル機関車の製作について” (日本語) (PDF) (プレスリリース), 日本貨物鉄道, (2017年6月15日), http://www.jrfreight.co.jp/common/pdf/news/2017-06-15-02.pdf 2017年6月15日閲覧。
- ^ ab“JR貨物,DD200形を導入”. railf.jp(鉄道ニュース). 交友社 (2017年6月15日). 2017年6月15日閲覧。
- ^ abcde「JR旅客各社の車両配置表」『鉄道ファン』2018年7月号、交友社。
^ DE10 1753が黒色塗装に - 鉄道ファン railf.jp 2010年8月29日
^ DE10 1638が黒色塗装に - 鉄道ファン railf.jp 2012年11月30日
^ 『JR貨物時刻表2015』社団法人鉄道貨物協会、pp.220 - 222
^ 日本貨物鉄道 平成20年9月 ニュースリリース 新型入換専用機関車の開発(試作)について (PDF) による。
^ “新型入換専用機関車(試作)の形式名とデザインについて” (日本語) (PDF) (プレスリリース), 日本貨物鉄道, (2010年2月10日), オリジナルの2010年2月15日時点によるアーカイブ。, https://web.archive.org/web/20100215082637/http://www.jrfreight.co.jp/common/pdf/news/201002-02.pdf 2017年7月5日閲覧。
- ^ ab『鉄道ジャーナル』通巻584号、p.97
^ 鉄道ファン編集部・JR貨物、2017、「CAR INFO」、『鉄道ファン』57巻(通巻676号(2017年8月号))、交友社 p. 65
^ 十勝鉄道株式会社から購入した機関車が到着しました。 - 秋田臨海鉄道、2014年3月25日
^ 東武鉄道、SL復活運転へ車両・施設計画発表 - 検修庫新設、下今市駅も改修 - マイナビニュース(2016年4月22日)2016年4月25日閲覧
^ “東武鉄道向け DE10 1099が輸送される”. 鉄道ニュース (鉄道ファン). (2016年12月23日). http://railf.jp/news/2016/12/23/200000.html 2017年2月4日閲覧。
参考文献
- 眼目佳秀「3月ダイヤ改正後の富山・高岡地区のDE10牽引貨物列車」、『鉄道ジャーナル』第584号、鉄道ジャーナル社、2015年6月、 97 - 99頁。
- 鉄道ジャーナル社 『国鉄現役車両1983』 鉄道ジャーナル別冊No.4 1982年
- 電気車研究会 『鉄道ピクトリアル』 2000年12月号 No.694 特集・DE10・11・15形
石井幸孝 『DD51物語 - 国鉄ディーゼル機関車2400両の開発と活躍の足跡』 (JTBパブリッシング、2004年) ISBN 453305661X
- 四国鉄道学園 『新訂 DE10形ディーゼル機関車(量産形) 付DE11形』 (交友社、1967年)
- ネコ・パブリッシング RailMagazine 2009年11月号(No.314)P162
- 沖田祐作 編『機関車表 国鉄編II 電気機関車・内燃機関車の部』(ネコ・パブリッシング RailMagazine 2008年10月号(No.301)付録CD-ROM)
関連項目
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|