塗装








塗装(とそう、英語: coat、painting、paintwork)は、材料の表面を塗料の皮膜で覆う表面処理の一つである。




目次






  • 1 概要


  • 2 主な塗装方法


    • 2.1 ハケ塗り、ローラー塗り


    • 2.2 吹付塗装


    • 2.3 エアレススプレー


    • 2.4 ロールコーター


    • 2.5 焼付け塗装


    • 2.6 浸漬塗り


    • 2.7 電着塗装


    • 2.8 静電塗装


    • 2.9 粉体塗装


    • 2.10 紫外線硬化塗装




  • 3 関連項目


  • 4 脚注


  • 5 外部リンク





概要












ペンキを塗る前(左)と後(右)の影野駅駅舎


ペンキを塗る前(左)と後(右)の影野駅駅舎

ペンキを塗る前(左)と後(右)の影野駅駅舎






半分塗装された阪急電車中津駅近くにある鉄橋。塗装されていない側は剥げや錆が目立つ。


塗装は、一般的に物体の装飾や保護、防錆を目的として行われるが、建築物などでは通路とそれ以外のスペースの識別などにも使用されることがある。なお、同様の目的でめっきを施すこともあるが、塗装の多くは表面に皮膜となる塗料を常温・大気下で塗布することができ、より簡便である。ただめっきに比べると塗料の性質上、強固な皮膜とはなりにくい。


金属の多くは大気中の酸素に触れることで酸化し錆を発生させるが、この鉄の場合は表面の錆が内部に向かって浸蝕する性質が強く、多くの鉄製品では塗装が必須である。また単純に見栄えを良くするための装飾の目的でも塗装はしばしば行われる。


塗料にも目的によって様々な性質のものがあり、防錆用に耐候性に優れ厚い皮膜を作るものから、装飾用に耐光性に優れ発色良く光沢ある表面に仕上がるもの、艶消しなど特定の性質を持つものなど様々である(→塗料)。これらには各々得手不得手があり、その目的に添って使い分け、或いは重ね塗りが行われる。また適切に重ね塗りすることで、単一の塗料では得られない強固で見栄えの良い塗装を行うことが出来る。


塗料と皮膜の平均的な厚さが同じ場合は、特に均一に施された塗装ほど長持ちするが、これは一度の塗布では難しい場合がある。このため単一の塗料でも重ね塗りする場合があり、その際には前回と同一の一定方向に向かって帯状に塗布していくのではなく、前回とは直角になる方向に塗布していくことで、塗斑を抑えることが行われる。


なお、塗装においては、塗装をする対象物の塗装面の材質に合った塗料を選ぶ必要があり、場合によっては、塗料の性質に合うように塗装面にシーラーを施すなどの下処理が必要となる。



主な塗装方法



ハケ塗り、ローラー塗り


建築物の外装、床等の塗装に使われる。



吹付塗装


塗料を霧状にして高圧空気(缶スプレー、あるいはスプレーガンとエアコンプレッサーを使用)とともに吹きつける。自動車を補修する場合の部分塗装などに使われる方法である。



エアレススプレー


吹付塗装の一種で、高圧空気を使わず、塗料を高圧にしてその圧力で噴霧する方式[1]。高圧空気中の水分を嫌う塗料などに使われる。建築物などの大型のものに対する塗装として使われる。



ロールコーター


大型のゴムロールに塗料をつけ、これを被塗物に塗布して厚みの一定な塗膜をつくる。主な例として、平板(合板など)にこの塗装法が適している。



焼付け塗装


一般的に120-200℃の温度で30分以上加熱し、塗料を硬化させる塗装をいう。
強制乾燥塗装と似ているが、焼付塗装は焼付硬化型の塗料を使用するに対し、
強制乾燥とは自然乾燥タイプの塗料に熱を加え強制的に速く乾燥させることを言う。
焼付塗装には、メラミン焼付、アクリル焼付、ウレタン焼付、フッ素焼付等がある。



浸漬塗り


浸漬塗り(しんせきぬり)とは塗料中に被塗物を漬け、その後引き上げる。表面に凹凸が有ったり複雑な形体をしたものに適する。俗称どぶ漬け塗装とも。
漬け込み、引き上げとも時間をかけ、塗料中の泡が付着しないように注意を要する。日本ではプラスティーディップ(Plasti Dip)とも言われるが、これはPlasti Dip International社の登録商標である。



電着塗装


電極と被塗物にそれぞれ違う極性の印加電圧を負荷して、その間に塗料を満たした状態で直流電流を流し塗装する方法。一般的にアニオン(陰イオン)電着塗料とカチオン(陽イオン)電着塗料の2種類がある。現在の防食を目的とした電着塗料のほとんどは、カチオン電着塗料に置き換わっているが、アルミサッシや家電製品にはアニオン電着塗料が使用されている。


電気分解の際に被塗物が陽極となるアニオン電着では界面が酸性雰囲気になるため防食に不利であると言う説が定説だが、必ずしもそうではないことは広く知られている。


塗料は極性溶媒中に分散された状態であり、一般に普及しているカチオン/アニオン電着の析出原理は、水を電気分解したときに発生する水酸化物イオンまたはヒドロキシルイオンを利用して中和反応で電気的な安定性を失った塗料粒子が凝着するというものである。
特殊なものでは電解活性型カチオン電着があり、マイケル付加反応を利用した電析で絶縁塗料等に用いられている。


塗料粒子が顔料でサブミクロン(1ミクロンの十分の一)単位,エマルションで数十ナノメートル単位の粒子であるところから、限外濾過膜を利用してろ過し、ろ過水を洗浄水として利用して塗料を回収する回収水洗システムが一般的に普及している。


塗料のタイプは防食用にエポキシ樹脂,耐候性用にアクリル樹脂を用いたものが一般で、そのハイブリッドタイプも実用化している。


カチオンダイブは酸で中和して安定化させており、アニオンタイプはアミンで中和して安定化させているためそれぞれ特有の臭気がある。


焼付型の塗料であり、多くがブロックイソシアネートを硬化剤としている。
触媒として有機スズが用いられてきたが、近年欧州環境規制に適合するため遷移金属等を用いた物に変わろうとしている。


塗膜の膜厚や塗装管理しやすいことから、人件費節約目的で電着塗装を採用するケースが増えてきている。



静電塗装



被塗物を正極(+)、噴霧状にした塗料を負極(-)に帯電させ、電気的に塗料を被塗物に吸着させる方法で、工場における連続塗装法として用いられる。



粉体塗装


粉体焼付け塗装とも。粉末状の樹脂(ポリエステル等)からなる塗料を、静電気により被塗物に付着させた後、加熱溶解して塗膜を形成する。静電塗装や焼付け塗装に似ているが、塗料はあくまでも固体の粉末であり、また塗膜の硬化は冷却によるもので熱硬化反応を用いていない。



紫外線硬化塗装


紫外線硬化樹脂をベースとした塗料を使い、被塗物に付着させた後、紫外線を照射し硬化させるもの。熱硬化や乾燥硬化ではないので、乾燥炉を必要とせず、現場での作業に好適でもある。



関連項目



  • スプレー

  • 表面処理

  • 溶射

  • 蒸着

  • スパッタリング

  • めっき

  • 漆器


  • スウェーデン規格(スウェーデン規格協会、SIS:Swedish Standard Institute)

  • ちりめん塗装


  • 梨地塗装(なしじ塗装)、塗装面が果実の梨に表面に似る仕上げ


  • 縮み塗装(ちぢみ塗装)、塗装面にしわが撚る仕上げ

  • 養生

  • クレージング



脚注





  1. ^ http://www.washin-chemical.co.jp/coatingguide/cguide_03coater.html#02




外部リンク


  • 日本塗装工業会



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