阪急8000系電車










































































































































阪急8000系電車

前期型の8008F シングルアームパンタグラフ搭載車
前期型の8008F
シングルアームパンタグラフ搭載車


基本情報
運用者
阪急電鉄
製造所
アルナ車両
製造年
1988年 - 1997年
製造数
98両
運用開始
1989年1月1日
投入先
(阪急電鉄)神戸本線・神戸高速線・今津線・宝塚本線・箕面線
(能勢電鉄)妙見線・日生線
主要諸元
編成
2両 (1M1T)
8両 (4M4T)
※かつては6両も存在
軌間
1,435 mm
電気方式
直流1500V
(架空電車線方式)
最高運転速度
宝塚線:100 km/h
神戸線:115 km/h
設計最高速度
120 km/h
起動加速度
2.6 km/h/s
減速度(常用)
3.7 km/h/s
減速度(非常)
4.2 km/h/s
編成定員
【全ロングシート車】
2両:264(座席96・立席168)
8両:1,116(座席420・立席696)
【セミクロスシート車あり】
8両:1,105(座席410・立席695)
車両定員
【ロングシート先頭車】
132(座席48・立席84)
【ロングシート中間車】
142(座席54・立席88)
【セミクロスシート先頭車】
126(座席44・立席82)
【セミクロスシート中間車】
137(座席48・立席89)
編成重量
【2両編成】
8030F - 8033F:64.2 t
8034F,8035F:63.4 t
8040F - 8042F:63.5 t
【8両編成】
8000F,8003F,8006F - 8008F:240.1 t
8001F:233.8 t
8002F,8004F,8005F:234.1 t
8020F:242.1 t
全長
19,000 mm
全幅
2,750 mm
全高
4,095 mm
車体
アルミニウム合金
台車
S形ミンデンドイツ式
ダイレクトマウント空気ばね台車
M車:FS-369A・T車:FS-069A
モノリンク式ボルスタレス台車(8040形)
Mc車:SS-139A・Tc車:SS-039A
主電動機
かご形三相交流誘導電動機
形式:SEA317
形式:SEA350(8040形)
永久磁石同期電動機
形式:SEA538(8001Fの8001号のみ)
形式:SEA538A(8001Fの8601・8501・8101号,8002F,8004F,8005F)
主電動機出力
170 kW × 4
200 kW × 3(8040形)
190 kW × 4(機器更新車)
駆動方式
WNドライブ
歯車比
5.31
6.13(8040形)
編成出力
【2両編成】
680kW
【8040形・2両編成】
600kW
【8両編成】
2,720kW
3,040kW(機器更新車)
制御方式
GTOサイリスタ素子VVVFインバータ制御
IGBT素子VVVFインバータ制御
制御装置
INV032-A0(1C4M)
SVF018-A0(1C1M×3・ベクトル制御、8040形)
SVF098-A0(1C4M, 8001Fの8001号のみ)
SVF098-D0(1C4M, 8001Fの8601・8501・8101号,8002F,8004F,8005F)
制動装置
回生ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキ (HRDA-1)
直通予備空気ブレーキ
保安装置
AF軌道回路方式ATS
パターン式ATS(神戸線所属車)
デッドマン装置
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阪急8000系電車(はんきゅう8000けいでんしゃ)は、阪急電鉄が1988年(昭和63年)に導入した、神戸線・宝塚線(総称神宝線)向けの通勤形電車である。


1989年(昭和64年)1月1日の梅田駅9時42分発宝塚線初詣臨時特急で営業運転を開始した[1][2]


本項では、解説の便宜上、梅田方先頭車+F(Formation=編成の略)を編成名として記述(例:8000以下8両編成=8000F、8035以下2両編成=8035F)する。




目次






  • 1 概要


  • 2 車体


  • 3 主要機器


  • 4 形式


  • 5 製造


  • 6 製造途中の変化


  • 7 塗装の変遷・改造


  • 8 PMSM試験と機器更新


  • 9 運用


    • 9.1 変遷


    • 9.2 現況




  • 10 編成


  • 11 その他


  • 12 参考文献・出典


  • 13 脚注





概要


1987年に阪急電鉄の創立80周年を迎え、1990年には営業開始80周年を迎えるのを機に、7000系の後継として登場した新形式が8000系である[3]


本系列落成後、2000年代前半までは、それまでの阪急の看板車両であった6300系に入れ替わる形で同社の広報誌や時刻表などの表紙を飾るなど、自社発行の数々の広報誌に看板車両としてこの8000系が掲載されていた。



車体


車体は7000系をベースとしたアルミ製である。車体外板幅は7000系アルミ車と同じ2,730mm[3]、車体長は連結面間を変更せず100mm伸ばし、中間車が18,400mm、先頭車で18,480mmとした[3]。当初は京都線7300系で確立した車体寸法統一の採用を検討したが[3]、中津駅で神戸線上り線と宝塚線下り線の線路間隔が確保できず[3]、拡張も困難なことから断念された。



正面のデザインは大幅に変更された。ワシントンメトロとソウル地下鉄に影響を受けた[4]縁が一段飛び出した「額縁スタイル」と呼ばれるものとなり[3]、窓は上方に拡大して行先表示幕を取り込み、貫通扉と仕切り扉は下方に拡大して、背の低い子供でも展望が容易になった[5]。灯具は角型のものが採用され、全体的に角張った印象となった。初期の車両の前面窓下には飾り帯が設置されたが、短期間で撤去されている[6]












8000系の正面デザインに影響を与えたワシントンメトロ(1000系)とソウル地下鉄・3000系


8000系の正面デザインに影響を与えたワシントンメトロ(1000系)とソウル地下鉄・3000系

8000系の正面デザインに影響を与えたワシントンメトロ(1000系)とソウル地下鉄・3000系




側窓は上下に50mmずつ拡大され[6]、それまでの手動からドアに隣接するものは圧縮空気によるボタン式へ変更、その他は固定窓となっている。また、車体上の雨樋位置がわずかに高い、乗務員扉の窓も客室窓と同じくサッシュ式、乗務員扉横の手すりが無塗装ステンレスであるなど7000系とは微妙に仕様が異なる。


外部塗装は、それまで6300系のみに採用されていた「屋根肩部分のアイボリー色塗り分け」が採用され、屋根肩の塗り分けはのちに7000系以前の系列にも波及したが、前面飾り板は採用されず、のちに本系列のものも撤去された(8005F以前の車両にのみ付けられ、8006F以降は新造時から取り付けられていない)。



主要機器


主回路制御は、2200系で実用試験が続けられていたGTOサイリスタ素子(4500V/2500A)による東芝(府中工場)製VVVFインバータ制御が本格採用された。


将来の速度向上にも対応できるように主電動機定格出力は7000系の150kWから170kWに向上され、定格回転数は1,800rpm、最大回転数は5,000rpmであり、2000系以来装備されていなかった定速制御装置を装備している(ただし、阪急部内では8000系以降はこの装置を「惰行制御装置」と呼んでいる)。なお、起動加速度は7000系の2.8km/h/sより少し落とされて2.6km/h/sとなった。


8両編成で4M4Tを基本としているが、3M5Tでも落成当時のダイヤで運行が可能な性能としていた[7]


神宝線の車両としては、東芝製マスコンを装備して製造された最後の形式である[8]



形式


2017年9月に形式呼称が変更された[9]。左が旧形式、右が新形式。

  • 8000形/Mc8000形(制御装置更新車はMc8000-2形)


梅田方の先頭に連結される制御電動車。パンタグラフとVVVFインバータを搭載している。8001Fは東芝製PMSM新型インバータ試験車。下記編成表ではMc1と表記。投入途中に制御機器、前面、パンダグラフが変更および前面の改造、さらには新機構の搭載など、本形式は様々なバリエーションがある。詳細は製造途中の変化および改造の節を参照。

  • 8100形(クロスシート車両は8102形)/Mc8100形(制御装置更新車はMc8100-1形)


新開地・宝塚方の先頭に連結される制御電動車。VVVFインバータを搭載している。クロスシート車両では8102形と称す。下記編成表ではMc2と表記。

  • 8500形(クロスシート車両は8502形)/M8500形(制御装置更新車はM8500-1形)

8100形の隣に連結される電動車。8000形から運転台を取り除いた構造をしている。クロスシート車両では8502形と称す。下記編成表ではM1と表記。また、M1とM2の形式と連結位置が7000系以前と逆になっている。[10]

  • 8600形/M8600形(制御装置更新車はM8600-1形)

8000形の隣に連結される電動車。8100形から運転台を取り除いた構造をしている。下記編成表ではM2と表記。

  • 8550形/T8550形


圧縮機、静止型インバータ (SIV) を搭載する付随車。下記編成表ではT1と表記。

  • 8750形/T8750形

付随車。特別な機器は搭載していない。下記編成表ではT2と表記。

  • 8150形/Tc8150-1形(C#8154・8155はTc8150形)

増結編成の新開地、宝塚方の先頭に連結される制御車。8550形に運転台を取り付けた構造をしている。下記編成表ではTcと表記。

  • 8040形/Mc8000-1形


1995年に追加製造された8200系と同一の機器を搭載した制御電動車。梅田方の先頭に連結される。パンタグラフとVVVFインバータを搭載している。下記編成表ではMc1と表記。

  • 8190形/Tc8150-2形

8040形と編成を組む、専用の制御車。宝塚方の先頭に連結される。圧縮機、SIVを搭載している。下記編成表ではTcと表記。


製造


8002Fから8007Fまでは神戸・宝塚方2両がクロスシート車として新造[6]。8001Fは6両編成で登場したが後に中間車2両を追加製造し8連化された。





































































































































← 大阪

神戸・宝塚 →

竣工
Mc1 8000
M2 8600
T1 8550
T2 8750
T2 8750
T1 8550
M1 8500
Mc2 8100
8000 8600 8550 8750 8780 8650 8500 8100 1988年12月[3]
8001 ---- 8551 8751 ---- 8651 8501 8101 1989年2月[3]
---- 8601 ---- ---- 8781 ---- ---- ---- 1989年5月[3]
8002 8602 8552 8752 8782 8652 8502 8102 1989年12月[5]
8003 8603 8553 8753 8783 8653 8503 8103 1990年2月[5]
8004 8604 8554 8754 8784 8654 8504 8104 1990年9月[5]
8005 8605 8555 8755 8785 8655 8505 8105 1990年11月[5]
8006 8606 8556 8756 8786 8656 8506 8106 1991年9月[5]
8007 8607 8557 8757 8787 8657 8507 8107 1992年1月[5]
8008 8608 8558 8758 8788 8658 8508 8108 1992年3月[5]

8020Fも6両編成で登場したが阪神・淡路大震災後の1996年に中間車2両を追加製造し8連化された。













































← 大阪

神戸・宝塚 →

竣工
Mc1 8000
M2 8600
T1 8550
T2 8750
T1 8550
T2 8750
M1 8500
Mc2 8100
8020 ---- 8570 8770 8670 ---- 8520 8120 1992年7月[5]
---- 8620 ---- ---- ---- 8790 ---- ---- 1996年3月[5]

1992年には増結用の2両編成が登場した。8033F以降は後期車となり前面が「く」の字に傾斜したスタイルになった[6]。8033F-8035Fは、2次車[11]と呼ばれている。















































← 大阪

神戸・宝塚 →

竣工
Mc1 8000
Tc 8150
8030 8150 1992年10月[6]
8031 8151 1992年10月[6]
8032 8152 1992年12月[6]
8033 8153 1993年9月[6]
8034 8154 1993年11月[6]
8035 8155 1993年11月[6]

1997年登場の増結車は、8200系に準じた仕様となり、8040形と呼ばれる(3次車[12]と呼ばれる場合もある)。






























← 大阪

神戸・宝塚 →

竣工
Mc1 8040
Tc 8190
8040 8190 1997年3月[13]
8041 8191
8042 8192


製造途中の変化


1989年から1992年に製造の8002F-8007Fは編成の西(新開地・宝塚)寄り2両の座席がセミクロスシート構造で製造された。扉間が2人掛け×4脚×2列で、中央2列が転換式クロスシートとなった、なおクロスシート部分は座席の数に対して窓が3つのままであるため窓割りと合っていない。1991年製造の8006Fから前面の飾り帯が廃止された(後に既存編成も撤去)。


1992年製造の8020Fは、他が8両編成で投入されたのに対し、6両編成で投入されたことから、阪急の流儀で各車の車両番号下2桁09 - 19を飛ばして8020 - と付番されている。このうち阪神・淡路大震災後に組み込まれた8620および8790は室内の風洞形状や扉脇の握り棒の取り付け部が他の本系列と異なり、同時期に製造されていた8200系に近いものとなっている。一方で、8200系及び8315Fで採用されていた車内案内情報装置の設置や日よけのカーテン化は行われていない。また、この2両は伊丹駅で被災廃車となった3100系3109と2071系2087の代替製造という名目で製造された。


1992年から1993年にかけて、宝塚線の朝ラッシュ時の10両編成増発のために増結用の2両編成が6本製造された。電動車率の調整と連結されなくなった8550形が搭載していた機器搭載のため、新開地・宝塚方の先頭車はモーターを積んでいない新形式「8150形」が起こされた。また、8000形の車両番号はやはり阪急の流儀で下2桁21 - 29を飛ばして8030 - となっている。台車は当時廃車が進んでいた5200系の廃車発生品が流用されている(3300系 - 5000系の台車、FS369に類似。ただし、8155のみ台車は新造)。


1993年度製造の8033F以降は前面デザインが「額縁」に代わって中央部が「くの字」に膨らんだ形状に変更され、車番の位置が前面貫通扉下部から右窓下に変更された。また、この車両から前面の表示幕が大型化されている。当時、8000系列が従来車に比べて走行時の列車風が高いことや、先頭車が汚れやすいことが問題視されており、額縁形状が原因であるとされた[14]。これらを解決するために、前面デザインを変更することとなった。乗務員室の設計変更量を抑えるために傾斜角はわずか[15]となったものの、阪急電鉄が製造した車両としては初めて[16]の流線型となった[17]


1997年2月には、さらに増結用編成が宝塚線用に2両編成3本製造された。電動機は200kW×3基/両、台車はモノリンク式ボルスタレス台車、集電装置はシングルアームパンタグラフと8200系と同仕様の機器を搭載していることから、車両番号はさらに下2桁36 - 39が飛んで8040 - となった。このグループは機器が大きく異なることから、狭義には「8040形」と別形式に区分されている。また、前面は8033Fを基調に、窓ガラスが下方に拡大され車番がガラス内に取り込まれた電照式となった。また、扉上部にLED式の車内案内表示装置が追加され、日除けもアルミ製のよろい戸から巻き上げ式カーテンに変更された。また、表示幕の和文フォントが太くなり(英文は、8200系で採用の大文字・小文字併用タイプ)、文字位置もやや中央寄りとなった(2文字の場合)。表示幕の仕様変更は以降の新造車や在来車にも波及した。




塗装の変遷・改造


8002Fの新開地方の8102は、空気抵抗に対する実験的要素で前面下部のライト周りを一段高くした形状となっていたが、2012年に左右の額縁を削る形態に変更、同時にライト周りの高さは落成当時と同じレベルに戻された(落成当初は通常形態で、これは後年の改造によるものである。8001Fの8001も同様の改造が行われていたが、こちらも新型VVVFインバータ試験の際に再改造)。


8008Fは阪神・淡路大震災ののちに集電装置が交換され、前面が額縁タイプの8両編成で唯一シングルアームパンタグラフ搭載するという特徴的な編成となった。


8033F-8035Fと8040形は、製造時点では前面のアイボリー塗装は窓部分を避ける形で塗り分けられていたが、1998年以降、全般・重要部検査の際に前面上部を全てアイボリーで塗装するように変更された(塗り分け境界線が前面窓を横切る格好となった)。


2007年9月、神戸線用の8001Fが全般検査出場した際に冷房装置キセ(カバー)が7000系リニューアル車と同じタイプのものに更新された。


2008年3月には、神戸線用の8031Fの梅田方先頭車8031の前面左右の額縁を浅くする改造が行われ、車両番号の位置が前面貫通扉下部から右側の窓下に変更された(新開地方の8151は変化なし)[18]。また、同年10月には8003F、2009年には8020F、2011年には8000F、2012年には8008F,8001F,8002Fの順で、2013年11月[19]には8032F(新開地方の8152は変化なし)が、先頭車両の前面額縁を改造する工事が行われ、神戸線所属の額縁タイプ全編成に施工された(中間封じ込めの車両を除く)。ただし8000F以降に改造された車両は、額縁を削る量が控え目になり、車両番号の表記位置も改造前のままである。初期の改造車である8031F,8003F,8020Fは、2012~2013年にかけて[19]8000F以降と同形状の額縁に再改造された(車番は左側運転席の窓下のまま)。なお、宝塚線所属車と、8300系についてはこの工事は行われていない。


2009年3月には、神戸線用の8008Fが全般検査出場した際にクーラーキセとパンタグラフが交換されている。パンタグラフはシングルアーム式のままであるが、5000系および5100系5128F、9000系、9300系と同様に集電舟2本タイプに変更されている。


2009年1月現在、8000F・8001F・8002F・8003F・8008F・8031Fのワイパーは銀色のものから黒色のものに交換されている。


2015年より前照灯がLEDに交換された編成が発生し、現在は全編成の交換が完了した。


時期は不明であるが、8033F、8041Fは窓ガラスが全て緑色のUVカットガラスに交換されている。




PMSM試験と機器更新


8001は2012年8月から東芝製GTO-VVVFインバータを取り外し、新型の東芝製4in1 VVVFインバータに、主電動機(定格出力は190kW、定格回転数は2,000rpm)を永久磁石同期電動機 (PMSM) に換装し実用試験に供されている[20]。従来の誘導電動機とGTOサイリスタ素子を用いたインバータと比較して、力行の消費電力量約10%削減、回生電力量約85%増加、トータルで約50%の消費電力量削減結果を得られることが実証された[21]


これにより、PMSMが1000系および7000系更新車(2016年度以降)で本採用へと至り、2016年には残りの車両もASSY交換が実施された[22]。その後も8002F,8004F,8005Fも同様の交換がなされている。




運用



変遷


1本目の8000Fは宝塚線に投入された。落成は1988年だが実際に営業運転を開始したのは翌1989年1月1日から。これは、本系列がVVVFインバータ制御車のため制御装置から漏洩する高周波ノイズが、電気回路に与える影響を試運転時に様々な条件下で確認する必要があったためである。また当初は営業運転開始時から1ヶ月間デビュー記念のヘッドマークが取り付けられる予定であったが7日に昭和天皇が崩御したため取り外された[23]


2本目の8001Fは最初6両編成で神戸線に投入され今津北線・山陽乗り入れ運用に充当された。その後、梅田方から2両目と5両目に8601・8781を組み込み8両化。編成調整のため一時宝塚線で運用された時期もあった。


3本目の8002Fから8本目の8007Fまでは神戸・宝塚方の2両をセミクロスシート車とした。8002F・8003F・8006Fが神戸線、それ以外の編成が宝塚線に投入された。神戸線では1959年にロングシート化された810系以来30年ぶり、宝塚線では開業以来初めてのクロスシート車となったが、乗客からの評判は今一つ(特に神戸線)であったと書籍での記述がある[6]


1992年には再び全車ロングシート仕様で8008Fと8020Fが神戸線に投入された。8020Fは編成長が6両に制限される山陽電気鉄道本線須磨浦公園駅までの乗り入れや今津北線の普通運用にも充当された。


1995年1月17日の阪神・淡路大震災で神戸線が被災し、西宮北口駅 - 三宮駅間が不通となった後、夙川以西の部分復旧区間ではモーターのメンテナンスが容易な本系列が集中投入されている[24]


阪神・淡路大震災後の1996年に8020Fの梅田方から2両目と6両目に新造された8620と8790を組み込んで8両化され神戸線専用となった(2018年現在でも今津線には朝ラッシュ時の準急とその送り込みの回送で運用されている)。


1997年に宝塚線より能勢電鉄へ直通する「日生エクスプレス」の運行が開始され[25]、乗り入れ対応改造により無線アンテナが2本(片方は能勢電鉄妙見線・日生線乗り入れ用)となった。それに合わせて、宝塚線の8両編成をクロスシート車で統一する目的で8006Fと8000Fが交換され、8000Fは神戸線用、8006Fは宝塚線用となった[26][27]


2015年3月のダイヤ改正で日生エクスプレスの10両運転が廃止され余剰になった8040Fと8041Fは6月10日に両編成併結の4両に組み替えて京都線で試運転を実施し[28]、6月18日には営業運転に向けての試運転を実施し、6月21日から箕面線運用に就いている[29]



現況


8両編成は神戸線・宝塚線ともにすべての種別に充当されている[30]


2両編成はおもに朝ラッシュ時に8両編成と連結しての10両編成組成に使用されるが、神戸線所属の8031F・8032F・8035Fと、宝塚線所属の8030Fは、普段は7000系の6両編成(宝塚線は7000系の4両編成+2両編成)と連結し、本来の用途とは異なる8両固定編成として運用されている。8031F - 8033Fは宝塚線配置であったが、神戸線の8連を増やす際に宝塚線から転属している。


2018年7月現在、98両が在籍している。神戸線用は、8000F - 8003F・8008F・8020Fの8両編成6本48両と8031F - 8033F・8035Fの2両編成4本8両の計56両が西宮車庫に在籍している。宝塚線用は、8004F - 8007Fの8両編成4本32両と8030F・8034F・8040F - 8042Fの2両編成5本10両の計42両が平井車庫に在籍している。



編成

















































































































































































































































































































← 梅田


新開地・宝塚 →

所属
前面改造
前面改造

車番移設


前面形状
クーラーキセ

更新


主電動機

制御装置


更新


備考

Mc8000
(Mc1)

M8600
(M2)

T8550
(T1)

T8750
(T2)

T8750
(T2)

T8550
(T1)

M8500
(M1)

Mc8100
(Mc2)
オールロングシート編成
8000 8600 8550 8750 8780 8650 8500 8100
神戸線


初期型



8001 8601 8551 8751 8781 8651 8501 8101
神戸線


初期型



8008 8608 8558 8758 8788 8658 8508 8108
神戸線


初期型


シングルアームパンタ車

Mc8000
(Mc1)

M8600
(M2)

T8550
(T1)

T8750
(T2)

T8750
(T2)

T8550
(T1)

M8500
(M1)

Mc8100
(Mc2)
セミクロスシート編成
8002 8602 8552 8752 8782 8652 8502 8102
神戸線


初期型



8003 8603 8553 8753 8783 8653 8503 8103
神戸線


初期型



8004 8604 8554 8754 8784 8654 8504 8104
宝塚線


初期型


2アンテナ車
(ラッシュ時間帯の特急「日生エクスプレス」に使用される)
8005 8605 8555 8755 8785 8655 8505 8105
宝塚線


初期型


8006 8606 8556 8756 8786 8656 8506 8106
宝塚線


初期型


8007 8607 8557 8757 8787 8657 8507 8107
宝塚線


初期型



Mc8000
(Mc1)

M8600
(M2)

T8550
(T1)

T8750
(T2)

T8550
(T1)

T8750
(T2)

M8500
(M1)

Mc8100
(Mc2)
オールロングシート編成
8020 8620 8570 8770 8670 8790 8520 8120
神戸線


初期型




Mc8000
(Mc1)

Tc8150
(Tc)

7000
(Mc)

7500
(M')

7550
(T)

7550
(T)

7600
(M)

7100
(M'c)

8031 8151

7001

7501

7561

7571

7601

7101
神戸線


初期型


前面改造(車番移設)は8031号のみ

台車は5200系のものを再用


8032 8152

7017

7517

7667

7677

7617

7117
神戸線


初期型


前面改造は8032号のみ

台車は5200系のものを再用


8035 8155

7023

7523

7763

7773

7623

7123
神戸線


中期型


方向幕更新車

台車は8035号のみ5200系のものを再用



Mc8000
(Mc1)

Tc8150
(Tc)

7000
(Mc)

7550
(T)

7550
(T)

7100
(M'c→)

7000
(←Mc)

7100
(M'c)
 
8030
8150
7024 7654 7684 7124 7026
7126
宝塚線


初期型


台車は5200系のものを再用
























← 石橋

箕面 →

所属
備考

Mc8000-1
(Mc1)

Tc8150-2
(Tc)

Mc8000-1
(Mc1)

Tc8150-2
(Tc)
 
8040 8190 8041 8191
箕面線
前面形状後期型
ボルスタレス台車、シングルアームパンタ車
LED式車内案内表示器、見えるラジオを設置(現在は終了)





































← 梅田

新開地・宝塚 →

所属
備考

Mc8000
(Mc1)

Tc8150
(Tc)
 
8033 8153
神戸線
前面形状中期型

方向幕更新車


台車は5200系のものを再用


8034 8154
宝塚線
前面形状中期型

方向幕更新車


台車は5200系のものを再用



Mc8000-1
(Mc1)

Tc8150-2
(Tc)
 
8042 8192
宝塚線
前面形状後期型
ボルスタレス台車、シングルアームパンタ車
LED式車内案内表示器、見えるラジオを設置(現在は終了)


その他




エコトレイン 未来のゆめ・まち号・神戸線所属の8000F




神戸線ラッピング列車「爽風(かぜ)」



  • 企画段階では、側窓の連続窓化や、車体の下半分を白とグレー(もしくはシルバー)にするなど、大胆なイメージチェンジも検討されていた。ビデオ『阪急電車8000系 最新鋭車両ができるまで』や、レイルロード刊『阪急8000』で、不採用になった案の一部が紹介されている。

  • 8001Fの登場当時車内に貼付された製造年を示すプレートに「昭和64年」と記載されていた。現在は「平成元年」と記載されたプレートに交換されているため見ることができない。


  • 2008年12月1日から2009年7月31日まで、8000Fと8007Fが「エコトレイン 未来のゆめ・まち号」として運行されていた[31]。両編成には先頭車の側面半分まで環境をテーマにしたラッピングが施され、車内も環境をテーマにした広告が掲載されていた。[32]

  • 8032Fは2015年11月から2017年11月まで、ペアを組んでいる7017Fとともに神戸線沿線の観光地をPRする目的のラッピング列車となっていた[33]。2016年3月27日より爽風(かぜ)号と命名されHMの掲出を開始した[34]。2017年7月にはヘッドマークのデザインが変更された[35]

  • 2019年、8000系デビュー30周年を記念して1月19日から4月16日まで8000Fをステッカーにて、前面窓下飾り帯・Hマーク・旧社章を貼り付け、デビュー当時のスタイルに復元し、両先頭車にヘッドマークを掲げた記念列車として運行する。ヘッドマーク掲出は2月28日までで、それ以降は純粋なデビュー当時のスタイルで運行予定[36][37]



参考文献・出典



  • 「HANKYU 8000」 阪急電鉄車両部 1989年[38]、1990年(クロスシート車導入による改訂)配布

  • 『阪急電車8000系 最新鋭車両ができるまで』 阪急クリーンカラー 1989年(VHSビデオ)


  • カラーブックス「日本の私鉄3 阪急」 保育社 1989年

  • 山口益生『阪急電車』JTBパブリッシング、2012年。ISBN 4533086985。

  • 篠原丞「デビューから30年 阪急8000系・8300系の思い出」、『鉄道ピクトリアル』通巻第951号、鉄道図書刊行会、2018年10月、 10 - 39頁。

  • 鉄道ピクトリアル編集部「阪急8000系・8300系形式集」、『鉄道ピクトリアル』通巻第951号、鉄道図書刊行会、2018年10月、 42 - 45頁。

  • 杉山直哉「阪急8000系・8300系 30年のあゆみ」、『鉄道ピクトリアル』通巻第951号、鉄道図書刊行会、2018年10月、 68 - 87頁。

  • 焼田健「阪急電鉄8000系・8300系のラッピング車両」、『鉄道ピクトリアル』通巻第951号、鉄道図書刊行会、2018年10月、 92 - 93頁。



脚注






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  1. ^ 「鉄道ピクトリアル」1998年12月 No.663臨時増刊号、VHSビデオ『阪急電車8000系 最新鋭車両ができるまで』のナレーションより。


  2. ^ その前運用は平井車庫からの回送列車だった。よって非営業列車を含めるとこの回送列車が8000系の初運用。

  3. ^ abcdefghi山口益生『阪急電車』212頁。


  4. ^ 山口益生 「8000系のデザインについて」『阪急8000』 レイルロード、1990年3月。23頁。

  5. ^ abcdefghij山口益生『阪急電車』213頁。

  6. ^ abcdefghijk山口益生『阪急電車』214頁。


  7. ^ 当時神戸線の最高速度は110km/h、宝塚線の最高速度は90km/hであったため、8000系が3M5T編成であってもこの当時のダイヤでは定時運転が可能であった。なお、後に神戸線は115km/hに、宝塚線では100km/hにそれぞれ最高速度を引き上げたが、最高速度引き上げ後での3M5T編成の場合は宝塚線のみ定時運転が可能である。


  8. ^ 阪急公式Twitterアカウントのツイート(2015年6月20日)


  9. ^ 『阪急8000・8300系形式集』42頁


  10. ^ ただし、パンタグラフの搭載位置はこれまでと同じで、Mc1と神戸方から2両目の中間電動車にパンタグラフを2基搭載。


  11. ^ 鉄道ホビダスが製品化した鉄道模型プラキットの商品名より。


  12. ^ LazyJackが製品化していた鉄道模型用前面パーツの商品名より。


  13. ^ 山口益生『阪急電車』216頁。


  14. ^ 『デビューから30年 阪急電鉄8000系・8300系の思い出』20-21頁


  15. ^ 『デビューから30年 阪急電鉄8000系・8300系の思い出』22頁


  16. ^ 京都線の200形は、新京阪時代の製造。


  17. ^ 実物誌では「くの字」「後退角付き」と呼ばれる場合が多いが、グリーンマックスの鉄道模型カタログや、DVD「阪急電車大全集」(テイチク)では流線型と呼んでる。


  18. ^ 阪急8000系の全面形状に変化 | 鉄道ニュース | 鉄道ファン・railf.jp

  19. ^ ab『デビューから30年 阪急8000系・8300系の思い出』32-33頁


  20. ^ 【阪急】8000系8001F 運用復帰 - ネコ・パブリッシング「鉄道ホビダス」RMニュース 2012年8月24日


  21. ^ 全閉型永久磁石同期電動機システムを鉄道車両に搭載し従来比約50%の省エネを実証 東芝ニュースリリース、2012年10月23日


  22. ^ 阪急8000系8001編成が試運転 - 『鉄道ファン』交友社 railf.jp鉄道ニュース 2016年7月6日


  23. ^ 『デビューから30年 阪急8000系・8300系の思い出』20頁


  24. ^ 『デビューから30年 阪急8000系・8300系の思い出』24-25頁


  25. ^ 山口益生『阪急電車』215頁。


  26. ^ 『鉄道ピクトリアル』2018年10月号より。


  27. ^ ただし8000Fは1995年の阪神・淡路大震災時の臨時ダイヤ(1月18日~6月11日まで実施)で、神戸側の分断区間に8000系を集中投入した際に神戸線に貸し出されている。


  28. ^ 阪急8000系8040編成と8041編成が試運転railf.jp


  29. ^ 阪急8000系8040編成と8041編成が箕面線で運用開始railf.jp


  30. ^ 『阪急8000系・8300系30年のあゆみ』86-87頁


  31. ^ 『阪急電鉄8000系・8300系のラッピング車両』92-93頁


  32. ^ 阪急「エコトレイン未来ゆめ・まち号」運行開始 | 鉄道ニュース | 鉄道ファン・railf.jp


  33. ^ 阪急神戸線・宝塚線でラッピング電車の運転開始railf.jp


  34. ^ 阪急神戸線・宝塚線のラッピング列車の愛称が決定railf.jp


  35. ^ 阪急「爽風」・「宝夢」のヘッドマークデザインが変更されるrailf.jp


  36. ^ “8000系車両誕生30周年記念列車を運行”. 阪急電鉄 (2019年1月11日). 2019年1月11日閲覧。


  37. ^ 阪急8000系に30周年の装飾railf.jp


  38. ^ 1989年版の「HANKYU 8000」は8000系運用開始20周年となった2009年に復刻の上で一般販売された。






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