アシュヴィン双神










アシュヴィン双神および彼らと瓜二つになったチヤヴァナの3人の中から夫チヤヴァナを言い当てるスカニヤー


アシュヴィン双神(アシュヴィンそうしん、Aśvinau、梵: अश्विन)は、インド神話における医術の神で、美しい、うりふたつの双子の神とされる。名は「馬(aśva)を持つ者(御者)」の意で[1]、それぞれナーサティヤ(Nāsatya)[2]とダスラ(Dasra)という名を持ち[要出典]、ナーサティヤは二神の別名としても用いられる[3]




目次






  • 1 解説


  • 2 ゾロアスター教


  • 3 脚注


  • 4 参考文献





解説


彼らは奇跡的な治療を行い、結婚、人間や家畜の生殖を司るとされ、特に馬との関係が深く、太陽神や女神サラスヴァティーと関連を持つ。ふつうアシュヴィン双神は区別のつかない双子の兄弟の神だが、両親が異なるとも言われ、例えば『リグ・ヴェーダ』の一部の詩篇では一方は天の子で、一方はスマカという人間の子であるとされる。これに対し、プラーナ文献では太陽神スーリヤ(あるいはヴィヴァスヴァット)の妻が馬の姿で生んだ子としている。


元来は何らかの自然現象(明星か)[要出典]に由来すると考えられているが、その関連性は早くに失われたらしい。起源的にはインド・イラン共同時代にさかのぼる古い神格の1つで、紀元前14世紀のヒッタイトとミタンニとの間で締結された条約文の中にミトラ、ヴァルナ、インドラとともに「ナーサティヤ」として名前が挙げられている[3]。これはアシュヴィン双神がアーリヤ人が崇拝した2つの神々の集団、アスラとデーヴァを代表する神であったことを示しているという(A・クリステンセン)。


『リグ・ヴェーダ』では独立讃歌は50篇以上あり、これはインドラ、アグニ、ソーマに次いで多い[3]。アシュヴィン双神は寿命を延ばすことや、安産などのほかにも、人々の苦難を取り除くことが祈願され、そこではアシュヴィン双神が助けた神話的人物の断片的な神話が述べられており、若返りで知られるチヤヴァナの名も登場している。アシュヴィン双神は蜂蜜とも結びつけられ、蜜のしたたる鞭をふるって人々に滋養をもたらすとされる。また、アシュヴィン双神は優れた御者とされ、鷲(あるいは馬)の牽く3座、3輪の車に駕し、太陽の娘スーリヤーはその車に同乗するという。


いくつかの文献では、アシュヴィン双神は人間を癒すため、天界よりも人間界に長く留まっていたので、他の神々からはより低級な神と見なされ、神々の仲間に入れてもらえなかったという話がしばしば述べられている。『マハーバーラタ』ではアシュヴィン双神がチヤヴァナを若返らせる話とともに述べられているが、『シャタパタ・ブラーフマナ』や『タイッティリーヤ・アーラニヤカ』では、神々がクルクシェートラで行った大供犠祭に結びつけられており、後者では供犠が不完全であることを知った神々がアシュヴィン双神に助けを求め、彼らはソーマを得ることを条件に神々を助けたとされる。


後世、アシュヴィン双神の重要性は薄れるが、『マハーバーラタ』ではパーンダヴァのナクラ、サハデーヴァや、『ラーマーヤナ』でラーマ王子に味方したヴァナラのマインドラ、ディヴィクの双子たちはアシュヴィン双神の子供とされる。


ギリシア神話に登場する双子ディオスクーロイとアシュヴィン双神はしばしば対比される[1][4]



ゾロアスター教


ナーサティヤ(アシュヴィン双神)は、『アヴェスター』においてはダエーワ(悪魔)とされ[5][6]ノーンハスヤ[6])、新たにハルワタート=アムルタートとして刷新された。[要出典]



脚注


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  1. ^ ab沖田 2013, p. 33.


  2. ^ 菅沼 1985, p. 242.(ナーサティヤ)

  3. ^ abc菅沼 1985, p. 14.(アシュヴィン双神)


  4. ^ 菅沼 1985, p. 15.(アシュヴィン双神)


  5. ^ 菅沼 1985, pp. 14-15.(アシュヴィン双神)

  6. ^ ab伊藤義教訳 「アヴェスター」『ヴェーダ アヴェスター』 訳者代表 辻直四郎、筑摩書房〈世界古典文学全集 第3巻〉、1967年1月、p. 379.(「大魔の誘惑ほか(ウィーデーウダート第19章)」第43節の注釈6)。全国書誌番号:55004966、NCID BN01895536。




参考文献



  • 沖田瑞穂 「アシュヴィン双神」『神の文化史事典』 松村一男他編、白水社、2013年2月、pp. 32-33。ISBN 978-4-560-08265-2。


  • 『インド神話伝説辞典』 菅沼晃編、東京堂出版、1985年3月。ISBN 978-4-490-10191-1。 ※特に注記がなければページ番号は本文以降









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