近似値




近似値(きんじち)とは、必要とされる誤差の範囲内で、ある数を表していると思って構わない数値のこと。あるいはある数の情報を一部削って得られる値、すなわちある数値に対して端数処理を施した値(数値を「丸め」たもの)である。




目次






  • 1 代表例


    • 1.1 円周率


    • 1.2 平方根




  • 2 数値計算における近似値の必要性


  • 3 異なるN進法での互換


  • 4 関連項目





代表例



円周率


学校教育などで円周率 π の値として用いられる十進数「3.14」が、近似値の最も代表的な例である。円周率は広く知られている代表的な無理数であり、整数の商として表されることは決してない。すなわち、その小数表示は有限桁で途切れたり循環したりすることはなく、


π=3.1415926535897932384626433832795⋯{displaystyle pi =3.1415926535897932384626433832795cdots }pi =3.1415926535897932384626433832795cdots

のようになる。


円周率の近似値として「3.14」または「3」がしばしば用いられるが、このような「きれいな数字」で書かれるものばかりが近似値ではない。例えば、アルキメデスが正九十六角形を用いて円周率の詳しい値を計算したという話は有名であるが、それにより円周率の近似値 22/7, 223/71 が得られる。さらに精度の高い近似値として 355/113 が用いられる。他にも √10 や √2 + √3 などの無理数を円周率の近似値として用いることもある。(平方根は代数的数なので、超越数である円周率よりはまだ計算に向いているため、このような近似も意味があるわけである。)


円周率は無理数なので、十進数以外でも無限小数であり、例えば六進数だと


π=3.050330051415124105234414053125⋯{displaystyle pi =3.050330051415124105234414053125cdots }{displaystyle pi =3.050330051415124105234414053125cdots }

となり、縮めて「3.05」となる。よって、素因数が2と5であれば「3と(14/100)10」の小数(3.14(10)、3.2G(20))、素因数が2と3であれば「3と(5/36)10」の小数(3.05(6)、3.18(12))が近似値となる。



平方根


平方数でない整数の平方根も無理数であり、現実的な計算に用いるときにはしばしば近似値が用いられる。2の平方根、厳密に2 の正の平方根 √ 2 の場合ではその小数展開が


2=1.4142135623730950488016887242097⋯{displaystyle {sqrt {2}}=1.4142135623730950488016887242097cdots }{sqrt  {2}}=1.4142135623730950488016887242097cdots

となるため、一般的に十進法では「1.414」などが近似値として用いられる。別のN進法に換算すると、六進法だと「1.225250…」を「1.2253」(十進法換算で537/1296)、十二進法だと「1.4B7917…」を「1.4B8」(十進法換算で716/1728)、二十進法だと「1.85DE37…」を「1.85E」(十進法換算で3314/8000)が2の平方根の近似値となる。となる。同様に、十進法では √3 は「1.732」、√5 は「2.236」などが近似値として使われる。



数値計算における近似値の必要性


上記に挙げた例のように、有限の資源で表示できない値では正確な計算ができない、または即時に結果が出ないということが起きる。例えばコンピュータで計算する場合は、桁あふれが発生し全体の処理に影響を及ぼすことがある。


この問題を解消するためにある程度まで情報を削除し、計算を簡略させるために近似値を用いる。


当然、得られた結果は正確なものではなく、本来の数値からは誤差を生ずる。したがって、同時に誤差の評価もきちんと行うことが要求される。



異なるN進法での互換






異なるN進法に置き換えた場合でも、近似値は発生する。特に、十進法では割り切れない「1/3」や「1/9」を、六進法や十二進法など「1/3」や「1/9」が割り切れるN進法に換算すると、近似値が以下のようになる。併わせて、六進法では割り切れない「1/5」を、十進法や二十進法など「1/5」が割り切れるN進法に換算した近似値も掲載する。この他、「三の倍数」進法と「五の倍数」進法で近似値を出す場合には、十二進法⇔二十進法よりも、六進法⇔十進法で換算した方が循環節が短く、倍数の判別も易しい。


十分の一(一割)

(10)10-1 = 9 = 32 なので、「三分の一」が割り切れるN進法では、「十分の一」の近似値は「九分の一」になる。



  • 十分の一

    • 十進法:1÷10 = 0.1

    • 六進法:1÷(14)6 = 0.03333

    • 二十進法:1÷A = 0.2

    • 十二進法:1÷A = 0.12497



  • 九分の一

    • 十進法:1÷9 = 0.1111

    • 六進法:1÷(13)6 = 0.04

    • 二十進法:1÷9 = 0.248 HFB

    • 十二進法:1÷9 = 0.14




三割

「三分の一」が割り切れるN進法では、十進法「十分の三」の近似値は、「二十七分の八」(= 23/33) または「三分の一」を意味する小数になるが、「二十七分の八」の方が近い。



  • 十分の三 = 二十分の六

    • 十進法:3÷10 = 0.3

    • 六進法:3÷(14)6 = 0.14444

    • 二十進法:3÷A = 0.6

    • 十二進法:3÷A = 0.37249



  • 二十七分の八(23÷33

    • 十進法:8÷27 = 0.296

    • 六進法:(12)6÷(43)6 = 0.144

    • 二十進法:8÷(17)20 = 0.5IA 782 J53 E19 CBH 0EG

    • 十二進法:8÷(23)12 = 0.368



  • 三分の一

    • 十進法:1÷3 = 0.3333

    • 六進法:1÷3 = 0.2

    • 二十進法:1÷3 = 0.6D6D

    • 十二進法:1÷3 = 0.4




3パーセント

3パーセント(十進法の0.03)を十進法の単位分数にすると 1/33.333… になるため、1/3が割り切れるN進法では、3パーセントの近似値は 1/36 の小数になる。十進法の100÷36 = 2.777…である「2と77/100」を「2と77/99」に丸めると、約分した値が「2と7/9」になる。



  • 100÷36

    • 十進法:100÷36 = 2.777

    • 六進法:(244)6÷(100)6 = 2.44

    • 二十進法:(50)20÷(1G)20 =2.FB2 48H

    • 十二進法:(84)12÷(30)12 = 2.94



  • 1/36

    • 十進法:1÷36 = 0.02777

    • 六進法:1÷(100)6 = 0.01

    • 二十進法:1÷(1G)20 = 0.0B24 8HF

    • 十二進法:1÷(30)12 = 0.04




56パーセント

4パーセントは十進法で1/25になるので、4の倍数ではm/25となる。このため、十進法の「56/100」、これを約分した「14/25」の近似値は、五桁で311(10)の倍数で「4354/7776」を意味する小数になり、四桁に縮めると52(10)の倍数で「728/1296」を意味する小数になる。1/3が割り切れるN進法では、「九分の五」または「十二分の七」が割り切れる近似値となるが、「九分の五」の方がより近い小数になる。



  • 二十五分の十四

    • 十進法:14÷25 = 0.56

    • 六進法:(22)6÷(41)6 = 0.32054

    • 二十進法:(E)20÷(15)20 = 0.B4

    • 十二進法:(12)12÷(21)12 = 0.68781 B0591 5343A 0B62A



  • 九分の五

    • 十進法:5÷9 = 0.555

    • 六進法:5÷(13)6 = 0.32

    • 二十進法:5÷9 = 0.B24 8HF

    • 十二進法:5÷9 = 0.68



  • 十二分の七

    • 十進法:7÷12 = 0.58333

    • 六進法:(11)6÷(20)6 = 0.33

    • 二十進法:7÷(C)20 = 0.BD6D6

    • 十二進法:7÷(10)12 = 0.7





関連項目


  • 端数処理



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