アブラボウズ















アブラボウズ

Erilepis zonifer1.jpg

アブラボウズ(海遊館、2008年5月)
Erilepis zonifer


分類



























































:

動物界 Animalia


:

脊索動物門 Chordata

亜門
:

脊椎動物亜門 Vertebrata


:

条鰭綱 Actinopterygii

亜綱
:

新鰭亜綱 Neopterygii

上目
:

棘鰭上目 Acanthopterygii


:

カサゴ目 Scorpaeniformes

亜目
:

ギンダラ亜目 Anoplopomatoidei


:

ギンダラ科 Anoplopomatidae


:

アブラボウズ属 Erilepis


:

アブラボウズ E. zonifer


学名

Erilepis zonifer
(Lockington, 1880)

和名

アブラボウズ(脂坊主、油坊主)
英名

Skilfish

アブラボウズ(脂坊主、油坊主、英:Skilfish、学名:Erilepis zonifer)は、深海魚でカサゴ目ギンダラ科に属する魚類。ギンダラ科2種のうちの1種であり、アブラボウズ属で唯一の種である。




目次






  • 1 概要


  • 2 クエへの偽装


  • 3 食材・調理法


  • 4 参考文献(英語版)


  • 5 脚注


  • 6 関連項目


  • 7 外部リンク





概要


最大で全長183cm・体重91kgに達し[1]、カサゴ目の魚類の中では最大級の大きさである。北太平洋深海の水深400mの岩場に生息する。若いうちは体表に白い斑点があるが、成熟するにつれて濃い灰色に変わる。


東京都伊豆大島の水深約1000mにも生息するとされ、水中深くに生息する為、体の約40%が脂肪分であるとされている。伊豆大島付近の海溝海域から年に数匹、100kgを超えるアブラボウズが上がり、主に銚子市場で取引されている。


文献資料においては、明治30年代に小田原周辺において主要漁獲種として見られ、「オシツケ」「オッツケ」と呼ばれる地域食として存在していた(『明治小田原町誌』)。考古遺跡からの出土事例では、山梨県南巨摩郡富士川町の鰍沢河岸跡から明治期の大型魚類を含む動物遺体が出土しており、その中にアブラボウズの椎骨1点・尾骨7点の資料が含まれており、2014年時点で遺跡からの出土は初の事例とされている[2]。鰍沢河岸出土のアブラボウズは小田原あるいは駿河湾で漁獲された個体が移出されていた可能性が考えられている[3]


長命な魚でもあり、日本で初めて飼育に成功した室蘭水族館では、30年近くも生きたという記録を立てた。


神奈川県小田原市では特産魚として、知名度向上を図っている。



クエへの偽装


超高級魚とされるクエに外観が似ていることから、特にクエを珍重する西日本地域において偽装表示事件が散見される。2008年3月には大阪府の卸売業者、株式会社矢崎がクエに偽装したとして、JAS法違反で改善指示を受けたほか、福岡県の料理店でも偽装に関連した捜査が行われている。近年、クエの人気が高まり高値になることが珍しくないことから、クエよりも安価なアブラボウズが流用されるものと考えられている。


ただ、超高級魚とされるクエには及ばないものの、アブラボウズも決して安い魚ではなく高級魚の範疇として認知されている。このため、それなりの高級魚を代用しているからと、偽装業者に罪悪感はさほど見られないことが多い。しかし、クエは、アブラボウズの3倍から7倍ほどの価格で取引されることや、顧客はあくまで淡白で味わい深い白身を食す目的としてクエを、脂の乗った甘みのある白身を食べるためにアブラボウズを買い求めるため、この2種に対する顧客ニーズは全く異なっている。


クエとアブラボウズの価格差等の比較は外部リンクを参照のこと。



食材・調理法


銚子漁港に水揚げされたものは最高級品として高値で取引されるほか、神奈川県・静岡県の各漁港では「おしつけ」の愛称で古くから重用されるなど、東日本特に関東・東海地方で珍重されてきた。


大型魚なので、水揚げ後肝臓などを取り除いた後、2・3日寝かせてからが食べ頃となる。
調理法は一般的な白身魚と同様に煮付け、焼物、揚げ物、刺身など。
脂質(グリセリド)分解酵素の乏しい体質の人は、脂を消化しきれず腹をこわして下痢などの腹痛を起こすこともある。一部の地方自治体では、腹身を含む部位を1食につき刺身で60g以上・焼き身で120g以上食さないように、との行政指導を出していた。


同じように食べ過ぎによる下痢や食中毒症状への注意が指摘される深海魚に、スズキ目のクロタチカマス科のアブラソコムツとバラムツがいるが、こちらは食品衛生法上、一切販売が禁止されている。一方でアブラボウズの脂分は前者と違い、人体に有害なワックス分が含まれていないため、流通に関する規制は特にない。



参考文献(英語版)




  • FishBase Erilepis zonifer Ed. Ranier Froese and Daniel Pauly. 10 2005 version. N.p.: FishBase, 2005.


  • Erilepis zonifer, ITIS, http://www.itis.gov/servlet/SingleRpt/SingleRpt?search_topic=TSN&search_value=167125 2006年1月24日閲覧。 



脚注




  1. ^ FishBase_Erilepis zonifer


  2. ^ 植月学「内陸における海産物流通-甲州の魚食文化-」『季刊考古学 第128号』(雄山閣、2014年)、p.43


  3. ^ 植月学「明治期の鰍沢河岸における海産物利用の動物考古学的検討」『山梨県立博物館 研究紀要 第1集』(2007)



関連項目



  • ギンダラ

  • カサゴ目



外部リンク



  • 室蘭水族館にいるアブラボウズの写真

  • アブラボウズの名称表示の適正化について(農林水産省ホームページ)


  • 厚生労働省 | 自然毒のリスクプロファイル | 魚類:異常脂質|概要版・詳細版 - アブラボウズほか異常脂質魚類について、形態的特徴・分布・有毒部位・毒性を説明する。




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