長良川鉄道ナガラ3形気動車


















































































































長良川鉄道ナガラ3形気動車

ナガラ305 2007年7月
ナガラ305
2007年7月

基本情報
運用者
長良川鉄道
製造所
富士重工業[1][2][3][4]
製造初年
1998年[1]
製造数
7両[5]
運用開始
1998年11月4日[6]
主要諸元
軌間
1,067[7] mm
設計最高速度
80[9] km/h
車両定員
102名
(クロスシート車:座席47名
ロングシート車:座席40名)[10]
自重
26.8 t [8]
全長
16,500[7] mm
車体長
16,000[7] mm
全幅
3,090[7] mm
車体幅
2,700[7] mm
全高
4,070[7] mm
車体高
3,690[7] mm
車体
普通鋼[7]
台車
枕ばね:上枕空気ばね
軸箱支持:軸ばね式
FU34KD/KT[11][8]
車輪径
762 mm[7]
固定軸距
1,800 mm[7]
台車中心間距離
11,000 mm[7]
機関
日産ディーゼル製PF6HT03ディーゼルエンジン[8]
機関出力
217 kW (295 PS) / 2,100 rpm[8][5]
変速機
液体式(TACN-22-1604)[8]
変速段
変速1速、直結2速[7]
制動装置
SME[8]
保安装置
ATS-ST[7]
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長良川鉄道ナガラ3形気動車 (ながらがわてつどうながら3がたきどうしゃ)は、開業時から使用されているナガラ1形を置き換えるため、1998年(平成10年)から2001年(平成13年)にかけて7両が製造された長良川鉄道の気動車である[6]ナガラ300形と表記されることもある[10]。2016年(平成28年)に2両が観光用車両に改造された[12]




目次






  • 1 概要


  • 2 車体


  • 3 走行装置


  • 4 空調装置


  • 5 観光列車への改造


  • 6 車歴


  • 7 運用


  • 8 出典


  • 9 参考文献


    • 9.1 書籍


    • 9.2 雑誌記事


    • 9.3 Web資料







概要


1986年(昭和61年)12月に国鉄越美南線を第三セクター鉄道に転換して開業した長良川鉄道では、配置13両、使用12両の体制で運用を続けてきた[13][14]が、開業時に導入したナガラ1形が12年を経過して老朽化が進行した[14]ことから、更新のため1998年(平成10年)から2001年(平成13年)にかけて両運転台、前面貫通式、トイレなし、16 m車体のナガラ3形7両が製造された[15][16][17][18][19]。1両を除いて車内はセミクロスシートとなった[10]。経営難のため7両で製造は終了し[6]、2007年(平成19年)以降の新造はナガラ500形に移行した[10]。2016年(平成28年)には2両が観光列車「ながら」用に改造されている[12]



車体





関駅に隣接する車両基地に停車するナガラ304


明知鉄道アケチ10形にはじまる、第三セクター鉄道等協議会が制定した標準型車両だが、車体長はアケチ10形より1 m長い16,000 mmとなった[15]。乗務員室は左隅で、乗務員室がある部分のみ乗務員扉が設けられた[7]。客用扉の900 mm幅引き戸が片側2か所、両車端に設けられた[7]。扉間に上段固定、下段上昇の1,200 mm幅の窓5組と、運転席がない側の扉側に670 mm幅の窓が設置されたが、戸袋部には窓がない[7]。車体外部はエンジ色で、扉部のみ緑色となった[20]


車内は1両を除きセミクロスシートでトイレは設置されなかった[10][7]。4人掛けボックスシートが通路を挟んで左右に各3組が設けられたが、右と左では1ボックスずれて配置されているほか、全体が1ボックス分美濃太田寄りになっており、北濃寄りのロングシート部が長くなっている[7]。扉脇に2箇所車椅子スペースも設置された[7]。ナガラ306の座席はイベント対応のためロングシートとなった[10]



走行装置




FU34系台車
写真は信楽高原鐵道SKR310形のFU34KD


エンジンは、電子ガバナの日産ディーゼル製PF6HT03ディーゼルエンジン(定格出力217 kW / 2,100 rpm)を1基搭載、動力は変速2速、直結1速の新潟コンバーター製TACN-22-1604液体変速機を介して台車に伝達される[7]。変速1速から2速へは約40 km/hで自動変速される[7]。抑速用として機関ブレーキ、排気ブレーキを備える[20]。前位側台車は2軸駆動の動台車FU34KD、後位側は付随台車FU34KT[7]で、いずれも枕ばねが上枕式の空気ばね、軸箱支持は軸ばね式である[11]。制動装置はSME三管式直通ブレーキが採用された[8]



空調装置


暖房装置はエンジン排熱を利用した温風式である[7]。冷房装置は能力27.9 kW(24,000 kcal/h)のBU50が1基搭載された[20]



観光列車への改造




2号車「鮎号」




「もり号」(ナガラ301)車内


1992年(平成4年)のピーク時には長良川鉄道の年間輸送人員は1,800万人余に達していたが、その後沿線人口の減少や平行道路の高規格化などによって利用客が減少、2015年(平成27年)には800万人を割る状態となった[13]。沿線利用客の増加が見込めない状況の中、地域外から観光客を呼び込むため、ナガラ3形2両を改造した観光列車を導入することなった[13]。水戸岡鋭治のデザインにより[21]、やすらぎの空間の創造、ぬくもりのある昭和を感じる空間、乗ること自体が楽しい列車、心のふるさとがコンセプトとした観光列車「ながら」にナガラ301、302が改装された[13][9]。沿線の自然、雪景色、長良川と映えるロイヤルレッドに車体色が変更され、ゴールドのロゴマークが入れられた[13]。ナガラ301は乗車整理券のみで乗車できる「もり号」となり、4人掛テーブル席6組のほか、6人掛、4人掛のソファー席、4人用カウンター席、土産物を販売するカウンターが設けられた[13]。ナガラ302は食事を提供する「あゆ号」となり、2人掛テーブル席5組、4人掛テーブル席2組、3人掛テーブル席、4人用カウンター席各1箇所、食事提供用のミニキッチンが設けられた[13][22]。それぞれの区画はガラスパーティションなどで区切られている[13]。2両とも、窓枠には岐阜県産の檜が使用された[13]。「もり号」(ナガラ301)の定員は82人(座席38人)、「あゆ号」(ナガラ302)の定員は立席なしの27人に、車両質量は2両とも27.5 tとなった[9]。2016年(平成28年)4月27日から営業運転を開始[23]、土日祝日を中心に1日1往復運転され、「あゆ号」は美濃太田駅 - 郡上八幡駅間の運転、「もり号」は美濃太田駅 - 北濃駅間の運転となっている[13][22]




車歴






































































ナガラ3形車歴
形式 車両番号 製造年月 座席配置 観光列車改造 廃車
ナガラ3 301 1998年10月[1]
セミクロス 2016年4月[24]
-
ナガラ3 302 1998年10月[1]
セミクロス 2016年4月[24]
-
ナガラ3 303 1999年8月[2]
セミクロス - -
ナガラ3 304 1999年8月[2]
セミクロス - -
ナガラ3 305 2000年7月[3]
セミクロス - -
ナガラ3 306 2000年7月[3]
ロング - -
ナガラ3 307 2001年9月[4]
セミクロス - -


運用





郡上大和駅に入線するナガラ303


長良川鉄道では、ナガラ1形、ナガラ2形の総数13両に対し、使用12両の体制で運用を行っていたが、老朽化により運用に支障をきたすことがあったナガラ1形の代替用として1998年(平成10年)にナガラ3形が登場した[14]。2001年(平成13年)までに7両が製造されたところで資金難により代替が中断[6]、2007年(平成19年)に再開された代替新造はナガラ500形に移行した[10]。長良川鉄道全線で運用され、2016年(平成28年)には2両が観光列車に改装された[12]


2018年6月3日には、ながら2号において既存観光列車の2両にナガラ502「川風号」が連結されて3両運行された[25]



出典




  1. ^ abcd『新車年鑑1999年版』p177

  2. ^ abc『新車年鑑2000年版』p189

  3. ^ abc『新車年鑑2001年版』p177

  4. ^ ab『鉄道車両年鑑2002年版』p195

  5. ^ ab『私鉄気動車30年』p169

  6. ^ abcd『レイルマガジン』通巻250号p29

  7. ^ abcdefghijklmnopqrstuvw『新車年鑑1999年版』p122

  8. ^ abcdefg『新車年鑑1999年版』p174

  9. ^ abc『鉄道車両年鑑2016年版』p197

  10. ^ abcdefg『車両のご紹介』

  11. ^ ab『鉄道ピクトリアル』通巻515号p15

  12. ^ abc『鉄道車両年鑑2016年版』p111

  13. ^ abcdefghij『鉄道車両年鑑2016年版』p170

  14. ^ abc『新車年鑑1999年版』p121

  15. ^ ab『私鉄気動車30年』p103


  16. ^ 『新車年鑑1999年版』p94


  17. ^ 『新車年鑑2000年版』p109


  18. ^ 『新車年鑑2001年版』p100


  19. ^ 『鉄道車両年鑑2002年版』p114

  20. ^ abc『レイルマガジン』通巻230号付録p17


  21. ^ 『長良川鉄道、観光列車「ながら」を導入』

  22. ^ ab『鉄道車両年鑑2016年版』p171


  23. ^ 『長良川鉄道の観光列車「ながら」が営業運転を開始』

  24. ^ ab『私鉄車両編成表 2017』p109


  25. ^ “長良川鉄道で観光列車「ながら」車両による3両運転”. railf.jp(鉄道ニュース). 交友社 (2018年6月4日). 2018年6月5日閲覧。




参考文献



書籍


  • 寺田 祐一 『私鉄気動車30年』 JTBパブリッシング、2006年。ISBN 4-533-06532-5。


雑誌記事


  • 『鉄道ピクトリアル』通巻515号「<特集> 台車」(1989年8月・電気車研究会)
    • 吉川文夫「日本の鉄道車両 台車の歴史過程」 pp. 10-15


  • 『鉄道ピクトリアル』通巻582号「新車年鑑1999年版」(1999年10月・電気車研究会)

    • 藤井信夫、大幡哲海、岸上明彦「各社別車両情勢」 pp. 91-107

    • 長良川鉄道(株)検修区 坂井 忠義「長良川鉄道 ナガラ3形」 pp. 121-122

    • 「車両諸元表」 pp. 174-175

    • 「1998年度車両動向」 pp. 176-185



  • 『鉄道ピクトリアル』通巻692号「新車年鑑2000年版」(2000年10月・電気車研究会)

    • 藤井 信夫、大幡 哲海、岸上 明彦「各社別車両情勢」 pp. 101-119

    • 「1999年度 車両動向」 pp. 187-201



  • 『鉄道ピクトリアル』通巻708号「新車年鑑2001年版」(2001年10月・電気車研究会)

    • 藤井 信夫、大幡 哲海、岸上 明彦「各社別車両情勢」 pp. 93-109

    • 「2000年度 車両動向」 pp. 175-183



  • 『鉄道ピクトリアル』通巻723号「鉄道車両年鑑2002年版」(2002年10月・電気車研究会)

    • 「2001年度 民鉄車両動向」 pp. 104-120

    • 「2001年度車両動向」 pp. 190-200



  • 『レイルマガジン』通巻230号付録(2002年11月・ネコ・パブリッシング)
    • 岡田誠一「民鉄・第三セクター鉄道 現有気動車ガイドブック2002」 pp. 1-32


  • 『レイルマガジン』通巻250号(2004年7月・ネコ・パブリッシング)
    • 寺田 祐一「私鉄・三セク気動車 141形式・585輌の今!」 pp. 4-50


  • 『鉄道ピクトリアル』通巻923号「鉄道車両年鑑2016年版」(2016年10月・電気車研究会)

    • 岸上 明彦「2015年度民鉄車両動向」 pp. 93-123

    • 長良川鉄道(株)取締役運輸部長 佐々木 綱行「長良川鉄道 ナガラ301・302観光列車「ながら」」 pp. 193-198

    • 「民鉄車両諸元表」 pp. 193-198



  • 『私鉄車両編成表 2017』(2017年7月・交通新聞社)
    • 「長良川鉄道」 pp. 109



Web資料



  • “長良川鉄道、観光列車「ながら」を導入”. railf.jp (2015年11月27日). 2017年10月20日閲覧。

  • “長良川鉄道の観光列車「ながら」が営業運転を開始”. railf.jp (2016年4月28日). 2017年10月20日閲覧。

  • “車両のご紹介”. 長良川鉄道. 2017年10月15日閲覧。









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