サイドスロー






サイドスロー投手、スコット・フェルドマン


サイドスローとは、野球における投手の投法のひとつ。投手がボールをリリースする際に、ボールを持つ腕がグラウンドの水平面と平行になる投法を指す。サイドハンド、サイドアーム、横手投げ等とも呼ばれる。サイドスローという呼称は和製英語で、英語ではsidearmという。また、サイドスローで投げる投手はsidewinderと呼ばれる。


ただし、サイドスローと呼ばれる投手の中でも、安仁屋宗八・鹿取義隆・林昌勇のような純然たるサイドスローは比較的少なく、角盈男・館山昌平・藤岡好明のようにスリークォーター気味であったり、杉浦忠・工藤幹夫・川尻哲郎のようにアンダースロー気味であることの方が多い。




目次






  • 1 概要


  • 2 主なサイドスロー投手


    • 2.1 現役選手


      • 2.1.1 アメリカ


      • 2.1.2 日本


      • 2.1.3 台湾


      • 2.1.4 韓国




    • 2.2 引退選手


      • 2.2.1 アメリカ


      • 2.2.2 日本






  • 3 脚注


  • 4 関連項目





概要




サイドスローで投球するカルロス・マーモル




サイドスローで投球する小林正人


腕が横から出てくるため左右の角度を付けやすく、利き腕の方向へ横変化するシンカー・スクリューボール・シュート、これらと逆方向へ横変化するカーブやスライダーといった、主に横変化系の変化球を投げる投手が多い。


前者の例として、1992年の日本シリーズにおいて西武のリリーフエースでシンカーを決め球としていた潮崎哲也に抑えられたヤクルトの野村克也監督は中継ぎだった高津臣吾にシンカーの習得を命じ、後に高津は緩急2種類のシンカーを投げるクローザーとなった。


後者の場合、右投げのサイドスローから投げられるカーブやスライダーは右打者から見て外角へ逃げていく球筋に更に同じ方向への横変化が加わるため、「背中からボールが来る」等とも表現され決め球として有効に使える。角盈男や永射保がカーブを決め球として投げていた。


フォークボールを習得するサイドスロー投手は少ないが、これは投球動作の違いから同じ落ちる変化球でもシンカーの方が習得が容易なためとされている。一方で、横から投げる事によりオーバースローのフォークとは違った微妙な横変化が加わる事を利用して、左右に落ちる2種類のフォークを投げ分ける木田優夫のような投手も存在する。


サイドスローのサウスポー投手は貴重な戦力とされ、プロ野球では対左打者用のワンポイントリリーフとして左のサイドスロー投手をベンチ入りさせることが多い。角は抑えで頭角を現し、永射や清川栄治などは「左殺し」のワンポイントリリーフとして活躍した。近年では星野智樹や小林正人などが挙げられる。


日本プロ野球において、かつては杉浦忠、小林繁、斎藤雅樹のようなサイドスローでエース級の先発投手は珍しい存在ではなかったが、右サイドスローに対してボールの握りや軌道が見えやすい左打者が増加した事もあり減少傾向にある。今日のメジャーリーグでもサイド気味のスリークォーターの投手は多いが、純然たるサイドスローは先発投手ではほとんど見られないといってよい。


メジャーではカール・ハッペル、デビッド・コーン、ジェレッド・ウィーバー等、日本では長谷川良平、三上朋也らのようにサイドスローと他の投法を投げ分ける投手もいる。


サイドスローは上体を倒したり腕の角度を変える事で、肩より上で投球するスリークォーターや肩より下で投球するアンダースローへとフォームを変化させることが可能であるが、これらの投法はオーバースローの腕の高さをより緩い角度に修正したスリークォーターや、上体を大きく屈曲させて地面スレスレから投球するアンダースローと区別するために、肩と同じ高さで投球する純粋なサイドスローと混同して区分されていることも多い。また、サイドスローは肩を軸に縦方向に回転する軌道を取るオーバースローと異なり、肩や腕の力よりも腰の回転の大きさが重視されるフォームであり、背骨を軸に横方向に回転する事から、腕が長い体格の方が遠心力がより大きくボールに掛けられる分、腕が短い体格より有利であるとされる。サイドスローからアンダースローへと転向して成功を収めたケント・テカルヴは、サイドスローのこれらの特徴を踏まえたうえで、純粋なサイドスローとするか腕の角度を下げてアンダースローとするかは、投手個々人の体格や適性を多角的に検討した上で決定されることが望ましいとしている[1]。



主なサイドスロー投手







現役選手



アメリカ



  • ルイス・コールマン

  • マイケル・ギブンズ

  • トレバー・ヒルデンバーガー

  • ピーター・モイラン

  • スティーブ・シシェック


左投げ


  • アレックス・クラウディオ

  • ザック・デューク

  • ドニー・ハート

  • ティム・ヒル

  • アーロン・ループ


両投げ

  • パット・ベンディット


日本




  • 館山昌平

  • 十亀剣

  • 比嘉幹貴

  • 藤岡好明

  • 益田直也

  • 三上朋也

  • 又吉克樹

  • 田島慎二

  • 三ツ間卓也

  • 田原誠次

  • 水野滉也

  • 秋吉亮

  • 平井克典

  • 石崎剛

  • 進藤拓也



左投げ


  • 佐藤祥万

  • 小石博孝

  • 宮西尚生

  • 松永昂大

  • 森福允彦

  • 中後悠平

  • 小川龍也

  • 高梨雄平

  • 嘉弥真新也



台湾


  • 鄭凱文


韓国


  • 林昌勇

左投げ

  • 李恵践


引退選手



アメリカ



  • ウォルター・ジョンソン

  • ドン・ドライスデール

  • デニス・エカーズリー

  • バート・ブライレブン

  • ディジー・ディーン

  • マーク・アイクホーン


左投げ


  • ランディ・チョート

  • ブライアン・フエンテス

  • ランディ・ジョンソン

  • ハビアー・ロペス



日本




  • 糸数敬作

  • 大友工

  • 堀本律雄

  • 高橋善正

  • 森安敏明

  • 柳田豊

  • 杉浦忠

  • 小林繁

  • 石井茂雄

  • 安仁屋宗八

  • 鹿取義隆

  • 工藤幹夫

  • 小川博

  • 斎藤雅樹

  • 友利結

  • 伊藤敦規

  • 葛西稔

  • 川尻哲郎

  • 酒井勉

  • 岡本晃

  • 潮崎哲也

  • 鈴木平

  • 小林誠二

  • 池内豊

  • 山崎健

  • 小林敦司

  • 星野順治

  • 小山田保裕

  • 木塚敦志

  • 青木勇人

  • 戸部浩

  • 加藤武治

  • 林昌樹

  • 高津臣吾

  • マイケル中村

  • 吉川昌宏

  • 鈴木義広

  • 野間口貴彦

  • 江尻慎太郎

  • 建山義紀

  • 梅津智弘

  • 加賀繁

  • 長谷川潤



左投げ



  • 安田猛

  • 梶間健一

  • 村田辰美

  • 角盈男

  • 清川栄治

  • 遠山奬志

  • 田村勤

  • 広池浩司

  • 佐藤賢

  • 永射保

  • 河原隆一

  • 吉野誠

  • 星野智樹

  • 小林正人

  • 青木高広




脚注


[ヘルプ]




  1. ^ Former Submarine Pitcher Kent Tekulve Explains Mechanics - baseballnews.com、2011年11月1日。




関連項目



  • オーバースロー

  • スリー・クォーター

  • アンダースロー

  • トルネード投法








-

Popular posts from this blog

サソリ

Image
この記事は検証可能な参考文献や出典が全く示されていないか、不十分です。 出典を追加して記事の信頼性向上にご協力ください。 （ 2019年1月 ） 「 サソリ 」のその他の用法については「サソリ (曖昧さ回避)」をご覧ください。 「 スコーピオン 」と「 スコルピオン 」はこの項目へ転送されています。その他の用法については「スコーピオン」をご覧ください。 サソリ目 生息年代: 430–0 Ma PreЄ Є O S D C P T J K Pg N シルル紀前期-現世 ダイオウサソリ（ Pandinus Imperator ） 分類 界 : 動物界 Animalia 門 : 節足動物門 Arthropoda 亜門 : 鋏角亜門 Chelicerata 綱 : クモガタ綱 Arachnida 目 : サソリ目 Scorpiones 学名 Scorpiones C. L. Koch, 1837 英名 Scorpion 上科 Pseudochactoidea キョクトウサソリ上科 Buthoidea Chaeriloidea Chactoidea Iuroidea Scorpionoidea サソリ （ サソリ類 、 蠍 、 蝎 、 scorpion ）は、鋏角亜門・クモガタ綱の サソリ目 （ Scorpiones ）に属する節足動物の総称である。体の前端に鋏型の触肢、後端に毒針を有する捕食者である。 1700種以上を含め、最古の化石記録は4億3千万年前のシルル紀まで遡る。有毒生物として広く知られるが、人間の命にかかわる毒を持つものはごく一部の種類に過ぎない。 目次 1 形態 1.1 前体 1.2 後体 1.2.1 中体 1.2.2 終体 2 雌雄 3 生態 3.1 天敵 3.2 生殖 4 分布 5 毒 6 蛍光現象 7 分類
Read more

広島県道265号伴広島線

Image
一般県道 広島県道265号伴広島線 路線延長 km 起点 広島県広島市安佐南区伴東7丁目 終点 広島県広島市中区榎町 接続する 主な道路 （記法） 広島県道38号広島豊平線 広島県道71号広島湯来線 山陽自動車道五日市IC 国道183号（ 国道261号重複） ■テンプレート（■ノート ■使い方） ■PJ道路 広島県道265号伴広島線 （ひろしまけんどう265ごう ともひろしません）は広島県広島市安佐南区から広島県広島市中区を結ぶ一般県道である。 目次 1 路線データ 2 通過する自治体 3 見どころ 4 接続道路 4.1 本線 4.2 旧道 5 別名 6 関連項目 路線データ 本線 起点：広島市安佐南区伴東7丁目・大原下橋南詰交差点（広島県道38号広島豊平線（本線・旧道）交点） 終点：広島市中区榎町・十日市交差点（国道183号（国道261号重用）交点） 総延長： 旧道 起点：広島市安佐南区伴東4丁目・新細坂交差点（広島県道38号広島豊平線交点） 終点：広島市安佐南区伴中央4丁目・寺組橋(南)交差点（広島県道265号伴広島線（本線）交点） 総延長： 通過する自治体 広島県 広島市（安佐南区、佐伯区、西区、中区） 見どころ 広島高速交通広島新交通1号線（アストラムライン） 広島広域公園 広島広域公園陸上競技場（広島ビッグアーチ） 己斐峠 己斐橋（太田川放水路） 天満橋（天満川） 接続道路 本線 広島県道38号広島豊平線（本線・旧道）（広島市安佐南区伴東7丁目・大原下橋南詰交差点〔起点〕） 広島県道71号広島湯来線（本線）（広島市安佐南区伴中央2丁目・伴交番入口交差点 - 広島市安佐南区伴中央4丁目・寺組橋(南)交差点間で重用） 広島県道71号広島湯来線（旧道）（広島県道265号伴広島線（旧道）重用）（広島市安佐南区伴中央4丁目・寺組橋(南)交差点） 広島県道71号広島湯来線（広島市安佐南区伴中央4丁目・寺組橋(南)交差点 - 広島市佐伯区五日市町石内・五月が丘(南)交差点間で重用）
Read more

Setup Asymptote in Texstudio

Image
0 Good time of the day! I am trying to compile the following file: documentclass[12pt]{article} usepackage[inline]{asymptote} begin{document} Here is a venn diagram produced with Asymptote, drawn to width 4cm: defA{A} defB{V{B}} begin{figure} begin{center} begin{asy} size(4cm,0); pen colour1=red; pen colour2=green; pair z0=(0,0); pair z1=(-1,0); pair z2=(1,0); real r=1.5; path c1=circle(z1,r); path c2=circle(z2,r); fill(c1,colour1); fill(c2,colour2); picture intersection=new picture; fill(intersection,c1,colour1+colour2); clip(intersection,c2); add(intersection); draw(c1); draw(c2); //draw("$A$",box,z1)
Read more