オラクル (企業)




座標: 北緯37度31分51秒 西経122度15分50秒 / 北緯37.530812度 西経122.263820度 / 37.530812; -122.263820









































































オラクル
Oracle Corporation

ロゴ

Oracle Headquarters Redwood Shores.jpg
種類
株式会社
市場情報

NASDAQ ORCL

本社所在地
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
カリフォルニア州 Redwood Shores
設立
1977年(昭和52年)6月16日
業種
情報・通信業
事業内容
コンピュータ用ソフトウェアの開発、製造、販売、保守
代表者
ラリー・エリソン共同創業者兼CTO兼会長
サフラ・キャッツCEO兼CFO
マーク・ハードCEO
資本金
44,648 Million US$(2013年5月31日時点)[1]
売上高
37,180 Million US$(2013年5月期)[2]
営業利益
14,684 Million US$(2013年5月期)[3]
純利益
10,925 Million US$(2013年5月期)[4]
総資産
81,812 Million US$(2013年5月31日時点)[5]
従業員数
120,000人(2013年5月31日時点)[6]
決算期
5月31日
主要子会社
日本の旗 日本オラクル
外部リンク
www.oracle.com
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オラクルOracle Corporation)は、アメリカ合衆国カリフォルニア州に本拠を置く、民間法人や公的機関を対象とするビジネス用途に特化したソフトウェア会社である。


日本法人は日本オラクル。




目次






  • 1 概要


  • 2 歴史


    • 2.1 沿革


    • 2.2 企業買収




  • 3 製品とサービス


    • 3.1 テクノロジー製品


    • 3.2 アプリケーション製品


    • 3.3 サービス




  • 4 マーケティング


    • 4.1 過去の営業慣行上の問題


    • 4.2 競合


      • 4.2.1 Oracle と SAP




    • 4.3 メディア




  • 5 論争


    • 5.1 トラッシュゲート事件


    • 5.2 "Can't break it, can't break in"


    • 5.3 ジョン・アシュクロフトとの関係




  • 6 本社


  • 7 人々


  • 8 脚注・出典


  • 9 関連項目


  • 10 外部リンク





概要


オラクル社は、データベース管理システム(DBMS)を中心とした企業向けソフトウェアの開発、販売を行っている。また多数の買収によりソフトウェア市場でのシェアを高めており、2007年にはマイクロソフトとIBMに次ぐ世界で第3位のソフトウェア会社となり[7] 、更に2008年にはBEAシステムズの買収によりIBMを抜いて世界で第2位となった。


オラクルは、主力のデータベース管理ソフトウェア製品であるOracle Databaseに加え、データベース開発ツール、ERP、CRM、SCMなどの製品を持っている。


認定資格としてオラクルマスターがある。



歴史


オラクル社は、1977年にラリー・エリソンにより設立された。


1979年には、Oracle Databaseの最初のバージョンがミニコンピュータのPDP-11用に出荷され、商用として世界で最初のリレーショナルデータベース管理システム(RDBMS)となった。


1994年には、DECのRDB部門を買収した。2005年には、JD Edwardsを買収した直後のピープルソフトを敵対買収し、ERPなどに進出した。2006年にはCRM大手のシーベル、2007年には業績管理ソフトウェアの最右翼であったHyperion Solutionsを買収し、同分野に進出するBIベンダーの買収合戦に先鞭をつけ、続く2008年にはアプリケーションサーバのBEA WebLogicを持つBEAシステムズを買収し、Oracle WebLogic Serverとした。


2009年4月にはサン・マイクロシステムズの買収合意を発表した。オラクル社によるハードウェア事業を含む本格的な買収は、これが最初とされる。



オラクル社の歴史はラリー・エリソンも参照。


沿革



  • 1977年6月16日 - カリフォルニア州 Redwood Shores に Software Development Laboratories (SDL) として創業[8]。創業者はラリー・エリソン、en:Bob Miner、en:Ed Oates。

  • 1979年6月 - Relational Software Inc. (RSI) に改称し、メンローパークに移転。最初のデータベース製品である Oracle 2 がライト・パターソン空軍基地に購入され、PDP-11上で動作した。最初の製品をバージョン1ではなくバージョン2としたのは、顧客が最初のリリースの購入をためらう可能性があると考えたためである。

  • 1979年10月 - RSIはVAX版 Oracle(VAX上でPDP-11エミュレータモードで動作)を活発に販促。

  • 1981年 - Umang Gupta が同社に入社し、同社初のビジネスプランを書き、副社長兼ゼネラルマネージャを務めた。

  • 1981年2月 - Oracle Database 向けツールとして、Oracle*Forms の前身である Interactive Application Facility (IAF) などを開発。

  • 1983年3月 - 移植性を高めるため Oracle をC言語で書き換え、Oracle バージョン3 をリリース。社名を主力製品名に合わせ Oracle とする。なお Oracle という名称は、創業者らがアンペックスで働いていたときに関わったCIAのプロジェクト名から来ている。

  • 1984年4月 - Sequoia Capital から追加資金を得る。

  • 1984年10月 - Oracle バージョン4 リリース。読み込み整合性 (read consistency) を導入。

  • 1984年11月 - Oracle Database をPC上に移植。メモリ容量512KBのPC(MS-DOS 4.1.4)で動作した。なお、MS-DOS バージョン5 用の Oracle は1986年にリリースされた。Mike Roberts が考案した技法を使い、286マシンのプロテクトモードで動作。

  • 1985年4月 - Oracle バージョン5 をリリース。データベース管理システムとしていち早くクライアントサーバモデルを採用。

  • 1986年 - 分散クエリ機能をサポートした Oracle バージョン5.1 をリリース。クラスタリングについての研究を開始。

  • 1986年3月12日 - 株式上場を果たす。売上高は5500万USD。

  • 1987年8月 - アプリケーション部門を創設。データベースと密に連携する企業向けソフトウェアを開発。

  • 1988年 - Oracle バージョン6 をリリース。低レベルロック機構とホットバックアップ機能をサポート。PL/SQLという手続き型言語の処理系を組み込んだが、プログラム格納方法やデータベースからの手続き起動方法を用意しておらず、本格的に使えるようになったのはバージョン7からである。この段階では、SQL*Plusなどの環境(あるいはホストプログラムにSQL文を埋め込むなど)からサーバにPL/SQLのブロックを送って、即座に実行することが可能だった。オラクルは各種クライアントツール(SQL*Formsなど)にもPL/SQLエンジンを搭載させた。

  • 1989年 - 本社を Redwood Shores に移転。売上高は5億8400万ドルに達した。

  • 1990年 - 第3四半期、オラクルは初の赤字を計上し、数百人の従業員を解雇した。エリソンはCFOとして Jeffrey O. Henley、COOとして Raymond Lane を雇い入れた。

  • 1992年6月 - 性能を強化した Oracle 7 をリリース。他にも、管理ユーティリティ、アプリケーション開発ツール、セキュリティ機能、PL/SQLによるストアドプロシージャおよびデータベーストリガ機能、宣言的参照整合性などを導入。

  • 1993年 - Oracle Forms、Reports、Graphics、Book をまとめた "Cooperative Development Environment" (CDE) をリリース。

  • 1994年 - DECから DEC Rdb(後の Oracle Rdb)を購入。Oracle Rdb はDECの製品だったOpenVMS上で動作する。

  • 1995年6月21日 - 並列クエリ機能を備えた新たなデータウェアハウスファシリティを発表。

  • 1995年11月 - パリのIDC会議で、エリソンがネットワークコンピュータの構想を発表。

  • 1996年 - ウェブブラウザのOracle PowerBrowserをリリース。

  • 1997年4月 - ビジネスインテリジェンス (BI) 用アドホック・クエリツールである Discoverer をリリース。

  • 1997年6月 - SQLオブジェクト技術、インターネット技術、テラバイト級データサポートなどを導入した Oracle 8 をリリース。

  • 1997年9月 - Javaプラットフォームへのコミットメントを発表。Java統合開発環境(後の Oracle JDeveloper)をリリース。

  • 1998年1月 - Oracle Applications 10.7 Network Computing Architecture (NCA) をリリース。全てのビジネスソフトウェアをウェブ上で動作させ、標準のウェブブラウザで使えるようにした。

  • 1998年5月 - Oracle Applications 11 をリリース。

  • 1998年4月 - Java仮想マシンを Oracle Database に組み込むことを発表。

  • 1998年9月 - Oracle 8i リリース。

  • 1998年10月 - Linux向けの Oracle 8 と Oracle Application Server 4.0 をリリース。

  • 1999年5月 - JDeveloper 2.0 をリリースし、データベースを使ったアプリケーション構築のための開発ツール/ライブラリ Business Components for Java (BC4J) を導入。

  • 2000年 - 子会社 OracleMobile を創設。Oracle 9i リリース。

  • 2000年5月 - Internet File System (iFS) を発表。後に Oracle Content Management SDK として商品化[9]

  • 2000年6月 - ポータル構築機能をサポートした Oracle9i Application Server をリリース。

  • 2001年 - エリソンは社内で自社製ビジネスアプリケーションを使い、10億ドルを節約したと発表した。

  • 2004年 - Oracle 10g リリース。

  • 2004年12月13日 - ピープルソフトを1株26.50ドルで買収する契約を結んだことを発表(総額103億ドル)。

  • 2005年1月14日 - オラクルは、ピープルソフトの買収で増大したグループ全体の従業員数を約5000人削減し、5万人にすることを発表。ピープルソフトの開発・サポート要員の90%をそのまま保持する計画である。

  • 2005年3月 - 中近東での活動を拡大するため、ヨルダンのアンマンに支社を創設。

  • 2005年9月12日 - 顧客関係管理 (CRM) やビジネスインテリジェンスソフトウェアで知られる Siebel Systems を58億ドルで買収することを発表。

  • 2006年10月25日 - Unbreakable Linux を発表。

  • 2007年 - Oracle 11g リリース。

  • 2007年3月1日 - オラクルは、業務管理ソフトウェア大手のHyperion Solutionを33億ドルで買収することに合意したと発表。

  • 2007年3月22日 - オラクルは SAP AG を違法行為と不正競争で訴えた[10]

  • 2007年10月12日 - オラクルはBEAシステムズを1株あたり17ドルで買収する提案を行ったが、BEA経営陣は同社の価値を軽く見ているとして、これを拒否した。

  • 2007年10月16日 - アプリケーション開発担当の上級副社長 John Wookey が突然オラクルを辞め、今後のアプリケーションのリリース計画に懸念が生じた[11]

  • 2008年1月16日 - BEAシステムズを1株19.375ドル(総額72億ドル)で買収することを発表[12]

  • 2008年9月24日 - オラクルはHPとデータウェアハウス用サーバおよびストレージを共同開発し、HP Oracle Database Machine として発売することを発表[13]

  • 2009年4月20日 - サン・マイクロシステムズを74億ドル(1株あたり9.50ドル)で買収する意図があることを発表[14][15]

  • 2010年1月27日 - サン・マイクロシステムズを買収したことを発表[16]



企業買収


2005年1月にピープルソフトを買収してから、オラクルは成長戦略として企業買収を行うようになった。























































































































































































































































































































































































企業名 買収日 事業内容 買収価格
百万USD

DECのRDB部門
1994年10月 関係データベース N/A
シンキングマシンズ 1999年6月
データマイニング技術
N/A
TopLink 2002年1月
オブジェクト関係マッピング技術
N/A
NetForce 2002年1月 有害事象報告システム N/A
Steltor 2002年6月 企業向けカレンダー管理システム N/A
Reliaty 2003年6月 企業データ保護 N/A
Phaos 2004年5月 アイデンティティ管理 N/A
Collaxa 2004年6月 ビジネスプロセス管理 N/A
ピープルソフト 2005年1月 企業アプリケーション $10,300
Oblix 2005年3月 アイデンティティ管理 N/A
Retek 2005年4月 小売業向けパッケージ $630
TripleHop 2005年6月 文脈依存型エンタープライズサーチ
N/A
TimesTen 2005年6月 リアルタイム企業ソリューション N/A
ProfitLogic 2005年7月 小売業向けソリューション N/A
Context Media 2005年7月 企業コンテンツ統合 N/A
i-flex (Oracle Financial Services) 2005年8月 金融業向けソリューション $900
G-Log 2005年9月 輸送管理ソリューション N/A
Innobase 2005年10月 オープンソース・データベース N/A
Thor Technologies 2005年11月 企業プロビジョニング・ソリューション N/A
OctetString 2005年11月 仮想ディレクトリ・ソリューション N/A
Temposoft 2005年12月 人事管理アプリケーション N/A
360Commerce 2006年1月 小売業ソリューション N/A
Siebel Systems 2006年1月 CRM $5,850
Sleepycat 2006年2月 組み込み用オープンソースデータベース N/A
HotSip 2006年2月 通信基盤ソリューション N/A
Portal Software 2006年4月 通信業用ソフトウェアスイート $220
Net4Call 2006年4月 通信業サービス配信プラットフォーム N/A
Demantra 2006年6月 要求駆動型計画立案ソリューション N/A
Telephony@Work 2006年6月 IPベースのコンタクトセンター・ソリューション N/A
Sigma Dynamics 2006年8月 リアルタイム予測分析ソフトウェア N/A
Sunopsis 2006年10月 企業統合ソフトウェア N/A
MetaSolv Software 2006年10月 通信サービスプロバイダ・ソリューション $219
Stellent 2006年11月 コンテンツ管理ソリューション $440
SPL WorldGroup 2006年11月3日 売り上げ・営業管理ソフトウェア N/A
Hyperion Solutions 2007年3月1日 業績管理ソフトウェア $3,300

AppForge
(知的資産のみ)
2007年4月 各種携帯機器向けアプリケーション N/A
LODESTAR Corporation 2007年4月24日 ユーティリティソフトウェア N/A
Agile Software Corporation 2007年5月15日 製品ライフサイクル管理 $495
Bharosa 2007年7月18日 アイデンティティ盗難防止 $495
NetSure Telecom Ltd. 2007年9月2日 ネットワーク管理 未公開
Active Reasoning, Inc. 2007年9月2日 IT法令遵守ソフトウェア 未公開
Bridgestream 2007年9月5日 企業ロール管理 N/A
LogicalApps 2007年10月9日 法令遵守ソフトウェア N/A
Moniforce 2007年12月6日 エンドユーザーエクスペリエンス管理ソフトウェア N/A
BEAシステムズ 2008年1月16日 ミドルウェア $8,500
Captovation 2008年1月16日 文書収集ソフトウェア N/A
Empirix (Web) 2008年3月27日 Webアプリケーション評価ソフトウェア N/A
AdminServer 2008年5月13日 保険ポリシー管理ソフトウェア N/A
Skywire Software 2008年6月23日 保険ソフトウェア N/A
Global Knowledge Software 2008年7月31日 技術文書/トレーニング N/A
ClearApp 2008年9月2日 アプリケーション管理 N/A
Primavera Systems 2008年10月9日 プロジェクトポートフォリオ管理 N/A
Advanced Visual Technology 2008年10月9日 小売店舗管理ソフトウェア $4
Haley Limited 2008年10月29日 ポリシーモデリング/オートマトン N/A
mValent 2009年2月4日 アプリケーション設定管理ソフトウェア N/A
Relsys 2009年3月23日 薬の安全管理ソリューション N/A
Virtual Iron Software 2009年5月13日 サーバ仮想化管理ソフトウェア N/A
Conformia Software
(知的資産のみ)
2009年7月17日 製品ライフサイクル管理ソフトウェア N/A
GoldenGate Software (発表のみで買収は未完了) 2009年7月23日 リアルタイムデータ統合・高可用性ソリューション N/A
サン・マイクロシステムズ 2009年8月20日 コンピュータ製品、部品、ソフトウェア、開発環境、ITサービス $7,400
HyperRoll 2009年9月29日 財務報告ソフトウェア N/A


製品とサービス



テクノロジー製品




  • オペレーティングシステム

    • Solaris

    • Oracle Linux



  • データベース製品


    • Oracle Database - オラクルの主要製品
      • Oracle Secure Enterprise Search - エンタープライズサーチ



    • Hyperion Essbase - 多次元データベース


    • Berkeley DB - 組み込み型データベース


    • Oracle Rdb - OpenVMS用RDBMS。1994年、DECから購入

    • TimesTen - インメモリ・データベース



  • Oracle Fusion Middleware - ミドルウェア

    • Oracle Beehive - コラボレーションソフトウェア。SaaSとしても提供している[17]


    • Oracle Collaboration Suite - グループウェア。Oracle BeeHive で置き換えられた[18]


    • Oracle Application Development Framework - Javaアプリケーション開発用のフレームワーク



  • Oracle Enterprise Manager - アプリケーション管理

  • 開発ソフトウェア

    • Oracle Designer

    • Oracle Developer

    • Oracle JDeveloper

    • Oracle Application Express

    • Oracle SQL Developer

    • Oracle SQL*Plus Worksheet





アプリケーション製品




  • Oracle E-Business Suite - 財務、製造、ERP、人事管理システムなど


  • Hyperion Planning - 予算編成および管理


  • Hyperion Financial Management - 管理連結、国際会計基準(IFRS)対応

  • PeopleSoft Enterprise

  • Siebel Systems

  • JD Edwards EnterpriseOne

  • JD Edwards World


  • Oracle Open Office - OpenOffice.orgをベースにしたオフィススイート。販売終了。旧名StarOffice/StarSuite。


  • Oracle PowerBrowser - イントラネット対応多機能ウェブブラウザ。



サービス



  • Oracle Academy - 教育機関とのパートナーシップによるコンピュータ及び商業に関するトレーニング[19]

  • Oracle Consulting

  • Oracle University - オラクル製品のトレーニング[20]
    • Oracle Certification Program


  • Oracle On Demand - SaaS

  • Oracle Support

    • 製品サポート: オラクルは、CSI (Customer Support Identifier) コードで顧客とサポート状況を把握している[21]。登録済み顧客は Service Requests (SRs) を送る[22]。このときウェブ経由でMetaLinkインタフェースかその上位インタフェースである "My Oracle Support" を使う[23]

    • Critical Patch Updates: 2005年以降、オラクルは製品ごとにパッチを四半期ごとにまとめた "Critical Patch Update" (CPU) を1月、4月、7月、10月に発行している[24]



  • Oracle Financing



マーケティング



過去の営業慣行上の問題


1990年、オラクルは10%(約400人)の従業員を解雇した。このときオラクルは倒産寸前まで追い込まれたが、その原因は同社の最前線のマーケティング戦略にあった。営業員は潜在的顧客になるべくたくさんの製品を一度に購入させようとする。そして、将来のライセンス売り上げまで今期の売り上げに計上し、自分のボーナスを増やそうとした。しかし、計上した将来の売り上げが実際に入金されない状況が生じ、問題が表面化した。結果としてオラクルは売上高を2回訂正せざるを得なくなり、売り上げを強調しすぎたことに対する集団訴訟を起こされ、示談でそれを収拾した。エリソンは1992年、オラクルが「信じられないビジネス上のミス」を犯したと述べた[25]



競合


IBMはDB2およびSQL/DSという製品でメインフレームの関係データベース市場を独占していたが、UNIXおよびWindows向けの関係データベース市場では出遅れていた。このため、Sybase、オラクル、Informix(さらにはマイクロソフト)がミッドレンジとパーソナルコンピュータのデータベース市場を支配するチャンスが生まれた。


当初、オラクルはSybaseに技術的に遅れをとっていた。1990年から1993年までSybaseは最も成長が著しいデータベース企業だったが、すぐに合併と製品上の問題によってトップの座から陥落した。Sybaseは1993年にPowerSoftと合併したことによって、データベース技術への集中を失った。1993年、SybaseはWindows上で動作する同社のデータベース技術をマイクロソフトに売却し、それが Microsoft SQL Server となった。


1994年、InformixがSybaseからトップの座を奪い、オラクルの最大のライバルとなった。InformixのCEOフィル・ホワイトとエリソンの確執は3年に渡ってシリコンバレーの新聞の一面を飾った。1997年、最終的にオラクルはInformixを打ち破った。2005年11月、オラクルとInformixの争いに関する本が出版され[26]、フィル・ホワイトがいかにして収監されるに至ったかを詳細に記している。


InformixとSybaseに勝ったオラクルは、しばらくの間データベース市場の独占を達成していたが、Microsoft SQL Server のシェアが大きくなり、2000年にはIBMがInformixを買収したことで状況が変化した。


2004年、オラクルの売り上げは14.5%伸びて62億ドルとなり、関係データベース市場でのシェアは41.3%でトップとなった(InformationWeek - March, 2005)。いくつかの情報源によれば2005年には、シェアが44.6%になったと見積もられている[27]。当時はオラクルと競合するのは主に IBM DB2 と Microsoft SQL Server であり、SybaseとTeradataがそれに続いていた[27]。オープンソースのデータベースではPostgreSQLとMySQLが広く使われている。EnterpriseDBはPostgreSQLをベースとしており[28]、オラクルとの互換性機能をより低価格で提供するとしている。


アプリケーション市場では、オラクルはSAPと競合している。2007年3月22日、オラクルは詐欺と不正競争でSAPを訴えた[29]


ビジネスインテリジェンスソフトウェアの市場が成長するに連れ、様々な企業がオラクルやSAPの製品と競合する製品を投入するようになってきた。2008年にはSAPがビジネスインテリジェンス最大手BusinessObjectsを買収、2010年にインメモリーデータベースSAP HANAをリリース、同年にデータベース大手Sybaseを買収したことでデータベースおよびアナリティクス市場の勢力図は一変した。[30][31][32][33] 2017年現在、オラクルのリレーショナルデータベース分野での主なライバルはIBM DB2とMicrosoft SQL Server、SAP HANA、PostgreSQLである。



Oracle と SAP


1988年以来10年間、オラクルはドイツの企業 SAP AG との協力関係にあった。始まりは SAP R/3 をオラクルの関係データベース製品と連携させることだった。両者は補完関係にあり、決して競合するものではなかった。SAPは今ではマイクロソフトとも提携し、マイクロソフト製品(Microsoft SQL Server など)との連携を強化しているが、依然としてオラクルとも協力関係にある。オラクルによれば、SAPの顧客の多くがオラクルのデータベースを使っている[34]


しかし、2000年代後半に入って両社は競合することが多くなり、対立する場面が増えてきた。時には相手企業についてネガティブなコメントを発表することもある。


2004年、オラクルは企業向けアプリケーション市場への関心を増すようになった(1989年、オラクルは Oracle Financials という製品を既にリリースしている)。オラクルはそのための一連の企業買収を開始し、ピープルソフト、Siebel、Hyperionといった企業を手中に収めた。


SAPがリーダーシップを発揮している市場でオラクルが競合しようとしていることが明らかとなり、オラクルが買収した企業の顧客をその機会に奪おうとした。SAPはそれら顧客に特別な値引きを提示した。オラクルも同様の手法でSAPの顧客を奪おうとし、これを同社のミドルウェア製品 "Oracle Fusion for SAP" にひっかけて "OFF SAP" と称した[35]


2008年現在、オラクルとSAPはサードパーティによるソフトウェア保守サポート市場でも競合している。2007年3月22日、オラクルは再びSAPを訴えた。訴状によれば、SAPの子会社であるTomorrowNowが、以前のオラクルの顧客のアカウントを使い、古いオラクル製品群についてオラクルのウェブサイトから体系的にパッチや文書を取り出し格安でサポートを提供したという[36][37]。2007年7月3日、SAPはTomorrowNowの従業員がオラクルのサポート用ウェブサイトから「不適切なダウンロード」を行ったことを認めた。しかし、SAP本体の従業員や顧客がTomorrowNowを経由してオラクルの知的資産にアクセスしたことは否定した。SAPのCEO Henning Kagermann は「1回でも不適切なダウンロードが行われたとしたら、私から見れば受け入れられない。このようなことが起きたことを遺憾に思う」と述べた。さらにSAPはTomorrowNowの過失に対してしかるべき対処をすると発表した[38]



メディア


オラクルはマーケティング素材として "Oracle ClearView" というビデオシリーズを製作・配布している[39]



論争



トラッシュゲート事件


2000年、オラクルはマイクロソフトの反トラスト法違反の裁判に関連して、ゴミから情報を掘り出すために私立探偵を雇い、コンピュータ業界と報道機関の注目を集めた[40]。オラクル会長ラリー・エリソンは、反トラスト法裁判においてマイクロソフトを支援したグループを調査するためであり、一種の「公共サービス」だとして、同社が東海岸の探偵事務所を雇ったことを擁護した。この調査で、Association for Competitive Technology の管理人に1200ドルを支払って、マイクロソフトのゴミから情報を探したという。他人がオラクルのビジネス活動を調査したとしたらどう感じるかを訊かれ、エリソンは「我々はレドモンドにゴミを出しており、誰でもそこを通り抜けることができる。我々は完全公開を信じている」と述べている[41]



"Can't break it, can't break in"


オラクルは宣伝文句として "Can't break it, can't break in"(壊せない、侵入できない)あるいは "Unbreakable" という言葉を使っている[42]。これは、情報の安全性へのますます高まる需要を意味している。オラクル社はまた、ネットワーク型データベースの信頼性とデータベースへのネットワークアクセスを主要なセールスポイントとして強調している。


しかし、2002年にこれらスローガンを使い始めて2週間後、David Litchfield、Alexander Kornbrust、Cesar Cerrudo らはオラクル製品に対する攻撃が成功したことを明らかにした[43][44]。このため、オラクルのスローガンは非現実的でありクラッカーをひき付けるだけだと批判されたが、オラクルのセキュリティ担当重役の Mary Ann Davidson は、その批判が不公平だと述べた。このスローガンはオラクル製品の難攻不落さを表しているのではなく、オラクルのデータベースサーバが14種類のセキュリティ評価に合格したことを示したキャンペーンだと彼女は主張した[45]



ジョン・アシュクロフトとの関係


2004年、当時のアメリカ合衆国司法長官ジョン・アシュクロフトは契約成立を阻止するため、オラクル社を訴えた。2005年、オラクルはアシュクロフトが最近設立した政治団体 The Ashcroft Group, LLC. と契約を結んだ。その後、オラクルとアシュクロフトの政治団体は諜報機関関係で数十億ドルの契約を獲得している[46]



本社




オラクル本社ビル群


オラクルの本社はサンフランシスコ半島のレッドウッドシティの Redwood Shores 地区にある。サンカルロス空港(IATA空港コード: SQL)に近い。


現在のオラクル本社の敷地にはかつて Marine World Africa USA があったが、1986年にヴァレーホに移転した。オラクルは当初2つの建物を借り、以前の本社があったベルモント(レッドウッドシティの隣)から財務部門と経営部門だけを移転させた。その後敷地全体を買い取り、さらに4つのビルを建設した。


これら本社のビルは、ロビン・ウィリアムズ主演の映画『アンドリューNDR114』(1999年)[47]で、架空の会社“NorthAm Robotics”(ノース・アム・ロボティックス社、北米ロボティクス社)のビルとして登場している。



人々


オラクルの初期の従業員ブルース・スコットは、1984年に Umang Gupta と共に Gupta Technologies(後の Centura Software)を創業し、後に PointBase, Inc. の創業者兼CEOとなった。スコットは Oracle V1, V2, V3 の設計に携わっていた。Oracle のサンプルスキーマ "SCOTT"(EMPDEPTという表を含む)とそのパスワード "TIGER"(彼の飼っていた猫の名前)は彼の命名である[48]


1997年、ラリー・エリソンはスティーブ・ジョブズがアップルに戻った後、同社の取締役に就任した。エリソンは、取締役会に出席する時間がとれないことを理由に、2002年にアップルの取締役を辞任した。



脚注・出典


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  1. ^ Oracle>About>Investor Relations>Proxy and Electronic Delivery Enrollment>2013 Annual Report on Form 10-K>76P>ORACLE CORPORATION CONSOLIDATED BALANCE SHEETS>Total Oracle Corporation stockholders equity


  2. ^ Oracle>About>Investor Relations>Proxy and Electronic Delivery Enrollment>2013 Annual Report on Form 10-K>32P>Item 6. Selected Financial Data>Total revenues


  3. ^ Oracle>About>Investor Relations>Proxy and Electronic Delivery Enrollment>2013 Annual Report on Form 10-K>32P>Item 6. Selected Financial Data>Operating income


  4. ^ Oracle>About>Investor Relations>Proxy and Electronic Delivery Enrollment>2013 Annual Report on Form 10-K>32P>Item 6. Selected Financial Data>Net income


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関連項目







  • Oracle Database

  • オラクル・チームUSA

  • オラクルマスター

  • 日本オラクル

  • Oracle Enterprise Linux



外部リンク




  • 公式ウェブサイト(英語)

  • Oracle Technology Network


ビジネスデータ



  • Oracle Corporation · Google Finance


  • Oracle Corporation · Yahoo! Finance


  • Oracle Corporation · Hoover's


  • Oracle Corporation · ロイター


  • Oracle Corporation SEC提出書類 · SECDatabase.com


  • Oracle Corporation SEC提出書類 · アメリカ合衆国証券取引委員会










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