都市高速道路






都市の隙間を縫うように建設された首都高速道路


都市高速道路(としこうそくどうろ)とは、日本の都市計画法に規定されている都市施設の一つで、首都高速道路、阪神高速道路、名古屋高速道路、福岡高速道路、北九州高速道路、広島高速道路の6つの都市内において自動車のみに通行が限定され、一般道路から出入り口制限された道路のことである。すべての道路についてETCなどによって通行料金が課金されている[注釈 1]




目次






  • 1 概要


  • 2 都市高速道路の位置づけ


  • 3 歴史


    • 3.1 年表




  • 4 料金政策


  • 5 都市高速の影響


    • 5.1 渋滞緩和


    • 5.2 都市景観




  • 6 都市高速道路の一覧


    • 6.1 ルート図




  • 7 脚注


    • 7.1 注釈


    • 7.2 出典




  • 8 参考文献


  • 9 外部リンク





概要




首都高速道路(東京)

首都高速道路(東京)

首都高速道路(横浜)

首都高速道路(横浜)

首都高速道路(さいたま)

首都高速道路(さいたま)

名古屋高速道路(名古屋)

名古屋高速道路(名古屋)

阪神高速道路(大阪)

阪神高速道路(大阪)

阪神高速道路(神戸)

阪神高速道路(神戸)

阪神高速道路(京都)

阪神高速道路(京都)

広島高速道路(広島)

広島高速道路(広島)

北九州高速道路(北九州)

北九州高速道路(北九州)

福岡高速道路(福岡)

福岡高速道路(福岡)



日本の東京・大阪・名古屋・福岡・北九州・広島の6つの大都市圏に所在する、都市内の道路交通を円滑にする目的で建設された自動車専用道路のことで、一般に高速道路とよばれている高速自動車国道(高規格幹線道路)とは区別されている[2]。海外においても都市内に高速道路は存在し、幾何構造や運用において差別化されている例は存在するが、都市高速道路という用語は日本独自のものである[注釈 2]


道路法上は都道府県道または指定市道(政令指定都市内の区間)である[3]。単に都市高速とも呼ばれる。また、地域高規格道路の概念ができてからは、地域高規格道路に自動的に指定されている。


都市高速は道路構造令で定められている第2種の規格で設計されている[2]。都市内においては用地確保の問題から規格が都市間を結ぶ高規格幹線道路の第1種に比べて低い規格である。ただし、これは都市内を通過する高規格幹線道路においても同様である。


一般道路の上や、河川の上に高架で建設されていることが多いことから、一般の高速道路と比較してカーブが多い。また、制限速度も本線に合流するまでの助走距離が短いことや、騒音問題の観点からも制限速度が50-60 km/hの区間が多い[2]。信号機つき交差点を持つ路線も存在する。


流入部や流出部も他の高速道路は左側合流に統一されているが、都市高速では土地制約から統一されておらず、速度が高い追い越し車線に合流する右側合流の場合がある[2]。また、一般の高速道路に設置されているようなフル規格のインターチェンジはなく[2]、ハーフインターチェンジの場合も多い。



都市高速道路の位置づけ


高速道路とは高速道路株式会社法に規定される道路のことであり[4]、その中で自動車専用道路と同等の規格及び機能を有する道路として都市高速道路が位置づけられる。また、国および地方公共団体以外の公益法人が事業にあたっており[5]、道路整備特別措置法においてはネクスコ3社や首都高速道路及び阪神高速道路株式会社のように、会社が管理している会社管理高速道路とその他の地方道路公社によって運営されている指定都市高速道路と分けられ、共に料金を徴収することのできる道路と位置づけられる。


都市高速道路は、東名高速道路などの高速自動車国道と比べると、有料道路である・自動車専用道路である・中央分離帯で往復交通が区別されている・立体交差であるなどの多くの共通点を持つ[3]。その一方で、国道ではない[注釈 3]・インターチェンジがない・サービスエリアがないなどの違いが挙げられ[3]、規制速度の低さや線形の悪さから旅行速度が低くなる。名は高速道路と付くが、本線と合流するまでの助走距離が短いため十分な加速ができないことや、車線幅は高速自動車国道よりも狭く造られているため、多くの区間で制限速度が50-60 km/hと低く設定されている[5]


幾何構造や運用については都市高速道路だけではなく、級区分の差はあるものの都市内高速道路[6][7](道路構造令の第2種に該当する道路)に共通する特徴である。



歴史


日本初の都市高速道路は、1962年(昭和37年)に京橋 - 芝浦間が供用された首都高速道路で、1964年東京オリンピック開幕の2年前、名神高速道路が開通する1年前に誕生した[5]。これに続いて、1964年(昭和39年)に阪神高速道路、1979年(昭和54年)に名古屋高速道路、1980年(昭和55年)に福岡高速道路・北九州高速道路、1997年(平成9年)に広島高速道路が順次開通し[8]、5都市圏で供用されている。



年表




  • 1958年(昭和33年)10月17日:北九州高速4号線の春日 - 大里間が国道3号バイパス北九州道路(自動車専用道路)として開通[注釈 4]


  • 1962年(昭和37年)12月20日:日本初の都市高速である首都高速道路の京橋 - 芝浦間 (4.5 km) が開通[9]


  • 1964年(昭和39年)6月28日:阪神高速道路が開通。


  • 1979年(昭和54年)7月25日:名古屋高速道路が開通。


  • 1980年(昭和55年)10月20日:福岡高速道路および北九州高速道路が開通。


  • 1997年(平成9年)10月1日:広島高速道路が開通。



料金政策


これまで、多くの都市高速道路では基本的に均一料金制(首都高速、阪神高速および名古屋高速では、エリア別の料金設定)を採用し、料金所建設のコストや料金所での渋滞の回避などのために細かな課金がされていなかった[注釈 5]。そのため、移動距離によって不公平感のある価格体系とされてきた。


広島高速道路では他の都市高速道路に先駆けて2010年(平成22年)4月26日から対距離料金制を採用した。料金所の設置スペースに余裕があるため、入口で通行券を発券して出口で料金を収受する方式とすることにより、ETCを利用しない車にも対距離料金が適用されている。


首都高速と阪神高速では、路線網の拡大により利用距離のばらつきが大きくなっていたが、2008年(平成20年)にはETCの利用率が80%近くとなったことから、距離別課金への変更が検討された。しかし、ETCをもっていない人や長い距離を移動する利用者には値上げとなるため、経済状況の悪化もあって、導入は見送られてきた[注釈 6]。関係自治体との協議の結果、料金圏の廃止、上限料金の設定、各種割引、ETC設置助成キャンペーン等の実施により利用者の負担増を抑えることとして、2012年(平成24年)1月1日から首都高速と阪神高速でも対距離料金制が採用されることになった(ETC非搭載車は原則上限料金に)。



都市高速の影響



渋滞緩和


日本の都市内の旅行速度は世界的にみても低く、都市高速を利用することで都市内の混雑を避けることが可能になる。また、移動距離が長いトリップの車両が都市高速を利用することで街路の混雑が緩和されることも多い[2]。ただし、一般道路とはランプで数キロおきに直結されるため、一般道路の交通状況の影響を直接受けることになり、一般道路が渋滞すると都市高速道路もたちまち渋滞に巻き込まれるとの指摘もある[注釈 7]



都市景観


都市高速道路の多くは用地確保の難しさから、ビルとビルとの間や河川の上に建設されている場合が多く、景観の問題が指摘される[2]。そのため、最近ではトンネルによる建設も行われている。歴史的建造物であり、日本道路元標があることでも知られる日本橋は、首都高速道路の高架下にあることから景観を損ねているとして、高架を移設してかつての都市空間を取り戻そうとする動きも出ている[2]



都市高速道路の一覧




  • 首都高速道路
    東京23区を中心に、横浜市・川崎市・さいたま市にも路線を伸ばす、延長322.5 km[注釈 8]の都市高速道路網。



  • 阪神高速道路

    大阪市を中心に、京都市、神戸市、堺市にも路線を伸ばす、総延長273.0 kmの都市高速道路網。



  • 名古屋高速道路

    名古屋市に所在する、総延長81.2 kmの都市高速道路網。



  • 福岡高速道路

    福岡市に所在する、総延長56.8 kmの都市高速道路。



  • 北九州高速道路

    北九州市に所在する、総延長49.5 kmの都市高速道路網。



  • 広島高速道路

    広島市に所在する、総延長31.1 kmの都市高速道路網。



都市高速道路は札幌市と仙台市を除く、人口約100万以上の政令指定都市とその周辺都市にほとんど集中している。札幌市は、地元から都市高速道路の建設を望む声も出ているが、他の大都市と比べて既存の一般道路の幅員の平均が最も広く、道路事情はさほど差し迫る問題となっていないことや、冬季の積雪時の道路管理に莫大な費用がかかってしまうため、都市高速道路は建設されていない[11]



ルート図





脚注


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注釈




  1. ^ 阪神高速5号湾岸線及び阪神高速7号北神戸線の一部の区間では第二神明道路の管理者(NEXCO西日本)によって料金が徴収されているが[1]、これはいわゆる合併徴収の一類型であり、徴収された料金はNEXCO西日本と阪神高速会社に分割して納入される。


  2. ^ ただし、韓国語には「都市高速化道路」(ko:도시고속화도로)という語があり、これのうちには、釜山第二都市高速道路のような有料道路もある。


  3. ^ 原則は都府県道または政令市道だが、阪神高速道路と首都高速道路には一般国道も計画されている。


  4. ^ 同区間が都市高速道路に転換されたのは1991年(平成3年)3月31日である。このため、同区間は最古の都市高速道路ではあるが、日本初の都市高速道路ではない。


  5. ^ 北九州高速4号線は1991年(平成3年)3月31日に日本道路公団から北九州道路、北九州直方道路の移管を受けた路線であり、移管から1993年(平成5年)3月31日までは4号線のみ対距離制料金が維持されたが、同年4月1日に他路線と合わせた均一料金制に移行し、出口料金所は撤去された[10]


  6. ^ ただし、ETC車限定の社会実験として、短距離では高い割引率、長距離では低い割引率とする割引を実施したことはある。


  7. ^ 首都高速道路が低速道路と酷評される所以である[5]


  8. ^ 2014年(平成26年)12月末時点。



出典




  1. ^ “通行料金一覧”. 阪神高速ドライバーズサイト. 阪神高速道路. 2018年7月1日閲覧。

  2. ^ abcdefgh浅井建爾 2015, p. 98.

  3. ^ abc浅井建爾 2001, pp. 60-61.


  4. ^ 高速道路株式会社法第2条第2項

  5. ^ abcd浅井建爾 2001, p. 60.


  6. ^ 吉井稔雄, 桑原雅夫, 森田綽之 : 都市内高速道路における過飽和ネットワークシミュレーションモデルの開発 ・ 交通工学, No.30, Vol.1, 交通工学研究会, 1995.01


  7. ^ 中村英樹,大口敬:日本の交通容量・サービスの質に関する研究展望・第33回土木計画学研究・講演集,vol.33, CD-ROM,2008.11


  8. ^ 浅井建爾 2015, p. 99.


  9. ^ “会社沿革”. 首都高速道路株式会社Webサイト. 首都高速道路. 2015年12月19日閲覧。


  10. ^ 都市高速道路 開通30周年(福岡北九州高速道路公社) (PDF) [リンク切れ]


  11. ^ 浅井建爾 2015, p. 100.




参考文献



  • 浅井建爾 『道と路がわかる辞典』 日本実業出版社、2001年11月10日、初版。ISBN 4-534-03315-X。

  • 浅井建爾 『日本の道路がわかる辞典』 日本実業出版社、2015年10月10日、初版。ISBN 978-4-534-05318-3。



外部リンク



  • 国土交通省道路局

  • 首都高速道路

  • 阪神高速道路

  • 名古屋高速道路公社

  • 福岡北九州高速道路公社

  • 広島高速道路公社









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