徹甲弾







徹甲弾
1:被帽
2:弾芯(タングステン、ステンレス、劣化ウラン)
3:炸薬(TNT, RDX, HMX)
4:信管
5:弾帯


徹甲弾(てっこうだん、英語:Armor-piercing shot and shell)は、装甲に穴をあけるために設計された砲弾である。艦砲・戦車砲・航空機関砲等で用いられる。弾体の硬度と質量を大きくして装甲を貫くタイプ(AP, APHE)と、逆に弾体を軽くして速度を高めて運動エネルギーで貫くタイプ(HVAP, APDS, APFSDS)が存在するが、本項では主に前者について述べる。




目次






  • 1 理論


  • 2 歴史


  • 3 構造


  • 4 脚注


  • 5 関連項目





理論


初期の徹甲弾は、艦砲で発達が始まり、「相手の装甲より硬く、そして充分に重い砲弾をぶつけてやれば装甲は破壊できる。さらに矢のように先端を尖らせておけば突き刺さりやすい」と言う思想で開発されていた。そして敵艦の舷側装甲水線部を打ち破ることが目的とされた。


しかし、表面硬化装甲が開発されると、正撃の場合は弾体が砕け、斜撃の場合は砲弾が滑るという事態が発生するようになった。これにより日露戦争時頃には戦艦主砲砲弾の対戦艦貫通力は不足した。


そのため、先頭を丸くし、金属板や軽金属で作られたキャップを取り付けることで、着弾時の衝撃による弾体の破壊を防ぎ、装甲への食い付きを良くした被帽付き徹甲弾が開発され、以後の主流となった。また加工された被帽は着弾時に潰れながら、装甲表面硬化層に対して破砕を及ぼし、弾体の貫通を助ける。これらにより艦砲の砲弾は第一次世界大戦頃には貫徹力(貫通力)が増大した。



歴史


大砲および装甲と共に発達してきた砲弾であるが、第二次世界大戦中のドイツ軍のレクリング有翼弾や、日本軍の九一式徹甲弾、アメリカ軍の大重量砲弾(Super Heavy Shell, SHS)で一つの頂点に達したと言える。鉄(鋼)の装甲を貫く徹甲弾の材質は特に強靭性が求められる。



構造


徹甲弾は、金属板や軽金属で作られた被帽と鋼鉄で作られた弾体から構成される。弾体の中に少量の炸薬を詰め込み、貫徹後の内部破壊を期待する徹甲榴弾も用いられる。



















































徹甲弾の種類[1]
画像 名称 特徴
Armour Piercing 201403.svg 徹甲弾
Armour Piercing Capped 201403.svg 被帽付徹甲弾(APC) 先端に軟鋼の被帽(左図の灰色部)を付け、着弾時の跳弾を防ぐ。
Armour Piercing Ballistic Capped 201403.svg 仮帽付徹甲弾(APBC) 先端に空気抵抗軽減用の仮帽(左図の青線部)がある。
Armour Piercing Capped Ballistic Capped 201403.svg 仮帽付被帽付徹甲弾
(APCBC)
先端に軟鋼の被帽(左図の灰色部)及び空気抵抗軽減用の仮帽(左図の青線部)がある。
Armour Piercing Composite Rigid 201403.svg 硬芯徹甲弾/高速徹甲弾
(APCR/HVAP)
硬芯部が重金属(左図の青色部)であり、外皮は相対的に軽い金属でできている。
着弾時に硬芯部のみが装甲貫徹することを目的としている。
Armour Piercing High Explosive 201403.svg 徹甲榴弾
(APHE)
徹甲弾の内部に炸薬(左図の赤色部)を有する。
遅延信管を備え、弾体が装甲を貫徹して、目標の内部に入ってから爆発するよう設定されている。
Armor Piercing Discarding Sabot 201403.svg 装弾筒付徹甲弾
(APDS)
装弾筒(左図の茶色部)を有する。
発射後、装弾筒は外れ、弾体(青色部)のみが飛翔・着弾する。
Armor Piercing Fin Stabilized Discarding Sabot 201403.svg 装弾筒付翼安定徹甲弾
(APFSDS)
装弾筒(左図の茶色部)を有する。
発射後、装弾筒は外れ、弾体(青色部)が飛翔・着弾する。安定翼により飛翔中の安定を確保する。


脚注





  1. ^ 新・現代戦車のテクノロジー,P73,三修社,ISBN 4384044399




関連項目







  • 砲弾
    • 榴弾








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