石英


























































































石英

石英
石英の結晶(ブラジル産、18×15×13 cm)

分類
酸化鉱物
シュツルンツ分類
4.DA.05
Dana Classification
75.1.3.1
化学式
SiO₂
結晶系
低温型: 三方晶系
高温型: 六方晶系
単位格子
a = 4.9133Å、c = 5.4053Å
モル質量
60.08 gm
へき開
不明瞭
断口
貝殻状
モース硬度
7
光沢
ガラス光沢

無色(紫色、黄色、黒色などもある)
条痕
白色
比重
2.7
光学性
一軸性 (+)
屈折率
nω = 1.543 - 1.545、nε = 1.552 - 1.554
複屈折
δ = 0.009
蛍光
なし
文献
[1][2][3]
主な変種
玉髄
微粒石英の集合体

プロジェクト:鉱物/Portal:地球科学
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水晶砂


石英(せきえい、独: Quarz、英: quartzクォーツクオーツ)は、二酸化ケイ素 (SiO₂) が結晶してできた鉱物。六角柱状のきれいな自形結晶をなすことが多い。中でも特に無色透明なものを水晶(すいしょう、独: Bergkristall、英: rock crystal、ロッククリスタル)と呼び、古くは玻璃(はり)と呼ばれて珍重された。


石英を成分とする砂は珪砂(けいしゃ・けいさ、独: Quarzsand、英: quartz sand)と呼ばれ、石英を主体とした珪化物からなる鉱石は珪石と呼ぶ。




目次






  • 1 産出地


    • 1.1 水晶鉱山




  • 2 性質・特徴


  • 3 成分・種類


    • 3.1 色つき水晶


    • 3.2 変わり水晶


      • 3.2.1 抱有物によるもの


      • 3.2.2 形態によるもの




    • 3.3 その他の名称




  • 4 用途・加工法


  • 5 文化


    • 5.1 山梨県と水晶




  • 6 安全性


  • 7 脚注


  • 8 参考文献


  • 9 関連項目


  • 10 外部リンク





産出地




石英産生の地図


石英は地殻を構成する非常に一般的な造岩鉱物で、火成岩・変成岩・堆積岩のいずれにもしばしば含まれる。水晶としては、花崗岩質ペグマタイト・熱水鉱脈などに産出する。


砂は岩石が風化することにより生じるが、石英は風化に強く、砂は石英主体となることが多い。一般的に、砂漠・砂丘の砂は石英が主成分となる。


どこにでもあるため、砂埃(すなぼこり)にも石英が含まれている。石英はモース硬度7なので、プラスチック・金属・車の塗装などは砂埃で容易に傷ついてしまう。そのため、宝石は石英より硬度の高いものが選ばれていることが多い。これは砂埃などで簡単に傷ついたりしては困るからである(ただし生体起源の宝石である真珠や珊瑚、琥珀などは例外)。


日本国内においても各地で産出するが、そのなかでも山梨県甲府市、岐阜県中津川市、愛知県春日井市などで産出されたものが有名である。岩手県矢巾町にある南昌山では宮沢賢治が水晶を採集していた。



水晶鉱山


以下は水晶を目的に採掘している鉱山である。




  • アメリカ合衆国・アーカンソー州(現在盛んに採掘・輸出されている)


  • ブラジル・ミナスジェライス州(現在盛んに採掘・輸出されている)

  • 日本山梨県・乙女鉱山(明治~昭和期に盛んに採掘され、輸出された。工業用の他、標本用としても美麗な結晶を産出)
    現在、日本国内に水晶を目的として採掘している鉱山は存在しない(珪石を採掘している鉱山はある)。



性質・特徴


石英は二酸化ケイ素結晶の多形の一つで、1気圧、573℃で三方晶系の低温型石英から六方晶系の高温型石英に転移する。高温型石英は六角柱面を持たない。さらに高温では、鱗珪石やクリストバライトに、また超高圧下でコーサイトやスティショバイトに相転移する。常温下における高温型石英の外観は仮晶による。


水晶(低温型石英)は、代表的な圧電体であり、圧力が加わると電気が発生する。このために初期のレコードプレーヤーのピックアップに使われた。今日、水晶の圧電性は、水晶発振器として最も活用されており、時計が単に「クォーツ」(水晶の英名)としばしば呼ばれるのは、水晶発振器を利用した時計が最も多いからである。この原理を利用して、水晶振動子マイクロバランス (QCM) と呼ばれる微量質量を正確に測定するための装置の研究が行われている。



成分・種類


石英の非常に細かい結晶が緻密に固まっているものを玉髄という。不純物によっていろいろな色となり、紅玉髄、緑玉髄、瑪瑙、碧玉などと呼んで飾り石とする。



色つき水晶






水晶に不純物が混じり色のついたものを色つき水晶という。色つき水晶は準貴石として扱われる。


水晶の発色原因は、主に不純物の混入と放射線による結晶格子欠陥によるもので、主要構成元素によるものではない。紫水晶、黄水晶、煙水晶、黒水晶の発色原因はいずれも、不純物欠陥に電子(または正孔)が捕獲され特定のエネルギー準位をもつもの(色中心、カラーセンターという)で、紫水晶、黄水晶は鉄イオン、煙水晶、黒水晶はアルミニウムイオンが関連している。




紫水晶(amethyst、アメシスト)

紫水晶(むらさきすいしょう)は紫色に色づいた水晶。紫色の発色はケイ素を置換した微量の鉄イオンによる色中心が原因と考えられている。最近の研究ではアルミニウムも関係しているとの説がある。尖っていて、細長く装飾品に使われる場合は研磨される場合が多い。加熱するとレモン色や黄色に変わりやすい。紫外線に曝露すると退色する(そのため、直射日光の当たる窓際に置くと次第に色が褪せてくる)。英語名 amethyst はギリシア語の amethustos(酔わせない)から派生した。アメシストを持つと酔いを防ぐはたらきがあると信じられていたことによる。

黄水晶(citrine、シトリン、もしくは、citrine quartz、シトリンクォーツ)

黄水晶(きすいしょう)は黄色に色づいた水晶。黄色の発色は紫水晶と同じように鉄イオンによる色中心が原因で、黄水晶と紫水晶の色の違いは色中心のエネルギー準位が違うと考えられている。天然の黄水晶の産出は少なく、市場に出回っている黄水晶のほとんどは紫水晶を熱処理して黄色にしたものである。マディラシトリンと称される深いオレンジの色相を彩るシトリンは、さらに希産。黄水晶の薄い黄色はトパーズに似るため、シトリン・トパーズとも言われ、安価なトパーズの代用品として使われる。また、トパーズと偽って売られる場合もある。トパーズと共に11月の誕生石でもあり、石言葉は「社交性・人間関係・自信・生きる意欲」など。


紅水晶(rose quartz、ローズクォーツ)

紅水晶(べにすいしょう)は薄いピンク色に色づいた水晶。ローズクォーツのピンク色は光に敏感で退色しやすい。この色は、不純物として混入している微量のチタン、鉄、マンガンに由来するとされる。近年のX線元素分析では、この色は光学顕微鏡で観察可能なレベルのデュモルチエライトの繊維によるという結果も出ている。しかしながら、デュモルチエライトは単独の結晶としては滅多に産出しないもので、従って呈色はリン酸塩やアルミニウムによると考える意見もある。また、ローズクォーツは内部に微細な金紅石(ルチル)の針状結晶をインクルージョンとして持つ場合があり、スター効果を示すものもある。


煙水晶(smoky quartz、スモーキークォーツ)

煙水晶(けむりすいしょう)は茶色や黒っぽい煙がかったような灰色に色づいた水晶。発色する原因ははっきりとは分かっていないものの、ケイ素を置換した微量のアルミニウムイオンが特に多量の放射線を受けると色中心となり、光を吸収するため灰色に見えるためであるとされている。受けた放射線の量が多いほど色が濃くなる。放射線照射をして色を付ける場合が多い。かつては、トパーズの一種と考えられ、スモーキー・トパーズという名称で呼ばれていたこともある。

黒水晶(morion、モーリオンないしはモリオン)

黒水晶(くろすいしょう)は不透明と言えるほどこげ茶から黒に色づいた水晶。色の濃い煙水晶との区別は、結晶構造が破壊されたもの、表面に透明感のないものなどと言われることもあるが、黒水晶と色が濃くなった煙水晶を区別する明確な定義は存在しない。アメシストに放射線照射をして色を付ける場合が多い。

レモン水晶

レモン水晶(レモンすいしょう)は硫黄により黄色に色づいた水晶。結晶の間に硫黄が入ったために黄色に色づいて見える。

緑水晶

緑水晶(みどりすいしょう)は微細な角閃石等が水晶中に含まれ、全体が緑色を呈色して見える水晶。




変わり水晶


インクルージョン(内包物または包有物)を含んだり、結晶の形が変わって見えるものを変わり水晶という。変わり水晶はコレクターに人気がある。


大別して、水晶の抱有物によるものと、形態によるものがある。



抱有物によるもの



針入り水晶(ルチルクォーツ)

水晶の結晶中に金紅石(ルチル)の針状結晶がインクルージョンとしてあるもの。とても細い金色の針が入り込んだように見える。

ススキ入り水晶

水晶の結晶中にトルマリンなどの柱状の鉱物がインクルージョンとしてあるもの。細い苦土電気石が入り込むとほのかに緑色にみえ、まさにススキのように見える。

草入り水晶

水晶の結晶中に緑泥石などの不定形な(あるいは草のように見える)鉱物がインクルージョンとしてあるもの。インクルージョンの形によって苔のように見えたり、毬藻のように見えたりする。インクルージョンが緑泥石のように緑色のものは、まさに草入りというにふさわしいものがある。ガーデンクォーツとも呼ばれる。

水入り水晶

水晶の結晶中に空洞があり、それが液体で満たされているもの。閉じ込められた液体は、水晶の成長当時の環境を保存していると考えられる。空洞中に液体と共に気泡が入っている場合があり、結晶を傾けると空洞中の壁に沿って気泡が移動するのを観察できることがある。



形態によるもの



山入り水晶

水晶の結晶成長中に成長条件が変化して一時期だけ有色の不純物やインクルージョンの混入があると、条件が切り替わる境界を目で確認することができ、水晶の中にもう一つの水晶が含まれるように見える。この、水晶内部に見える結晶の頭部を山にたとえて山入りと呼ぶ。ファントムクォーツ(幽霊水晶)とも呼ばれる。また、通常の山入り水晶の内包物は白色だが、緑色の場合もあり、こちらはグリーンファントムと呼ばれる。なお、中に含まれる結晶の頭部が1つではなく、複数の場合もあり珍重される。

松茸水晶

成因は山入り水晶とほぼ同じだが、先に晶出した水晶の先端に外側の結晶が大きく成長し、まるでキノコのような形になった水晶。

日本式双晶

日本式双晶 (Japanese-twin) は2個の結晶がξ面((1122) 面)を双晶面として84°33′の角度で接合した、多くハート形の双晶 (twin crystal)。双晶としては他にブラジル式、ドフィーネ式、エステレル式等各種が存在するが、その形態や名称からか日本式双晶の知名度が高い。

両錐水晶

結晶の両端の錐面ともに母岩に接さずに成長し、結晶成長が阻害されず模式の結晶形態に近い形態を表したもの。成因としては生育途中に母岩から脱落しそのまま成長した、等が考えられている。アメリカのニューヨーク州ハーキマー産のものが非常に有名。




その他の名称


上記以外にも愛好家によりさまざまな名称が使われている。特に連晶は形状がユニークであることから珍重されており、形状によってエレスチャル・スケルタル(骸晶)・カセドラル・ジャカレーなどとさまざまな名称が使われるが、名称の分類は必ずしも愛好家の中で一致したものでない。


パワーストーン愛好家は石英をパワーストーンの中でも強力な鉱物として珍重しているため、それに関係した名称を使っている。細長く先細りの単結晶をレーザーと称してとりわけ大きな力があるとしたり、あるいは、バーコード状の成長線が浮き出たレーザー石英をレムリアンシードと称し、古代レムリア大陸の叡智を伝えるものだと主張している。


また、表面に金属を蒸着することにより人工的に着色した石英が製造され、オーラクリスタルなどとニューエイジ好みの名称で販売されている。色合いによりコスモオーラ・アクアオーラ・ゴールデンオーラ・オーロラオーラという名称も使われている。



用途・加工法





水熱合成法で製造された人工水晶, 長さ19cm 重さ127g


粉末は水晶末と呼ばれ、顔料として使用される。


また、火打石として最低硬度を持つ石でもある。


電子工学向けの用途では、オートクレーブを使った水熱合成法によって天然水晶を種結晶として製造される人工水晶が通常用いられる。工業的に利用される石英ガラスは、通常、天然に産出される珪砂、珪石などを溶融した後冷却し、ガラス化させたものである。




  • 水晶振動子 - 水晶片に交流電圧をかけることにより共振を起こし、精度の高い周波数を発振する電子部品。

  • ローパスフィルタ(LPF)-デジタルカメラ等の光学フィルタに用いられる。

  • 位相差板-λ/2板、λ/4板 光の偏光状態を変えるのに用いられる。


  • 石英ガラス - 石英を材料としたガラス。耐熱性・透明度に優れ、化学器具・光学機器に用いられる。光ファイバーにも用いられる。


石英は、装飾品(宝石)、 ボタンとして用いられたり、水晶玉としてスクライング(水晶占い)の道具としても利用される。ジュエリーや数珠に使われることも一般的である。また、パワーストーンの世界では、単結晶が集合した群晶(クラスター)や、細かい結晶片であるさざれ石(チップ)は、他のパワーストーンを浄化する儀式に使われている。


中国医学では白色の石英を白石英、紫水晶を紫石英と呼び、鎮静作用のある薬剤として使用されるが、地方によっては紫色の蛍石と混同される。



文化


仏教においては七宝の一つである。


マヤ文明およびその地域の原住部族においては、透明水晶を「ザストゥン」と呼び、まじない石として大切に扱う。
水晶を加工して作った人間の頭蓋骨を模った細工物が大英博物館に展示されている。
オーストラリア先住民の神話の中では、最も一般的な神の思し召しの物質、「マバン」として分類されている。


水晶は、永久的に凍ったままの氷だと古代ローマの博物学者ガイウス・プリニウス・セクンドゥスによって信じられた。


4月の誕生石である。石言葉は「完璧・冷静沈着・神秘的」。



山梨県と水晶


日本では、山梨県での産出が有名である。加えて甲州水晶貴石細工として経済産業大臣指定伝統的工芸品にもなっている。県北部、甲府市近郊の金峰山一帯にはかつて、古くは武田氏の治世の金山に端を発するという幾つもの水晶鉱山が存在し、明治に入り近代化が行われた後には工学ガラスや珪石資源として盛んに採掘された。今日稼動している水晶鉱山は皆無であるものの、牧丘町に位置する乙女鉱山等では、産業遺産としての保存、活用への道が検討されている。


また、同甲府市では昇仙峡等の観光地で水晶の土産物が盛んに売られている。市内に日本で唯一の宝石博物館があり、国内最大級の白水晶を始めとした宝石が展示されている他、水晶の即売も行なわれている(ただし、国産は稀)。また、全国唯一の宝石専門学校(山梨県立宝石美術専門学校)がある。




安全性


鉱山や採石場などでの粉体吸引により珪肺や肺癌になる危険性がある。
石英の粉体はIARCにより「ヒトに対する発癌性が認められる」グループ1に分類されている。



脚注


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  1. ^ 国立天文台編 『理科年表 平成20年』 丸善、2007年、646頁。ISBN 978-4-621-07902-7。


  2. ^ Quartz, MinDat.org, http://www.mindat.org/show.php?id=3337 2011年12月13日閲覧。  (英語)


  3. ^ Quartz, WebMineral.com, http://webmineral.com/data/Quartz.shtml 2011年12月13日閲覧。  (英語)




参考文献



  • 松原聰 『日本の鉱物』 学習研究社〈フィールドベスト図鑑〉、2003年、222-227頁。ISBN 4-05-402013-5。

  • 青木正博 『鉱物分類図鑑 : 見分けるポイントがわかる』 誠文堂新光社、2011年、183-188頁。ISBN 978-4-416-21104-5。



関連項目



















  • 鉱物

  • 鉱物の一覧

  • 造岩鉱物


  • 宝石 - 宝石の一覧 - アメシスト・ローズクォーツ・スモーキークォーツ


  • 二酸化ケイ素 - 鱗珪石・クリストバライト・コーサイト・スティショバイト

  • 衝撃石英


  • 玉髄 - カーネリアン・クリソプレーズ・メノウ・碧玉・ブラッドストーン

  • オパール


  • チャート (岩石)(堆積岩)


  • 珪岩(変成岩)


  • 珪石(鉱石)

  • ヒスイ



外部リンク



  • 福岡正人. “鉱物リスト”. 地球資源論研究室. 広島大学大学院総合科学研究科. 2016年3月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2011年12月13日閲覧。


  • 国際化学物質安全性カード 石英 ICSC番号:0808 (日本語版), 国立医薬品食品衛生研究所, http://www.ilo.org/dyn/icsc/showcard.display?p_card_id=0808&p_version=2&p_lang=ja 

  • “安全データシート 結晶質シリカ(石英)”. 職場の安全サイト. 厚生労働省 (2016年3月). 2018年2月20日閲覧。











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